サザエさん―シルバ(18)
カツオ君それはないでしょう!
朝日文庫版23巻〔154頁〕・昭和36年
『カツオ君が、勉強机の前に座って勉強しています。教科書を開いて読んでいましたが、判らないことがありました。そこで、お父さんに聞いてみようと、隣の部屋にいるお父さんを「おとうさーん!」と大声で呼んでいます』
『カツオ君は、理解できないことが書いてある教科書のページを開いて、両手に持って、「にんげんはサルのしんかしたものだというけどさ」と言いながら隣の部屋のお父さんの方にやってきました』
『カツオ君は、隣の部屋に通じる襖を開けました。すると、その部屋にはオバアサンとお父さんが、ちゃぶ台を囲んで話をしていました。カツオ君を振り返ったオバアチャンを見たカツオ君は、怪訝な顔をして、「ぼくはなんだか」と言い始めました。』
『カツオ君は、続けて、「しんじられるよ」と言うと、襖をぴしゃりと閉めて戻って行きました。お父さんとオバアサンは、ちゃぶ台を挟んでお茶を飲んでいました。オバアチャンは、残り少なくなった髪の毛を頭の上で束ね、皺の沢山入った顔は、まるで、お猿さんのようでした』
カツオ君、それはないよ。
オバアチャンの顔が、お猿さんのようだったからといっても、人間はサルが進化したものだと信じるなんて。
たまたま、カツオ君が、ちらと見たオバアチャンの顔が、サルに似て可愛かっただけだろう。サルのように見えたオバアチャンの若かりし頃は、皺もなく、目もぱっちりの小顔の美人だったと思うよ。
しかし、カツオ君が信じた通り、恐らく人間は、サルが進化したものでしょう!