サザエさん―走り回る

 

アイスクリームをお土産に持参する時は、冷凍した2酸化炭素を使用します。

 

朝日文庫版9巻〔98頁〕・昭和27年

『ハンドバックとお土産の化粧箱を持った、ワンピースを着たサザエさんが、或る屋敷の裏木戸で、柄杓と水が一杯入ったバケツを持っているお婆さんと立ち話をしています。サザエさんが、困った顔をして、「おとなり戸がしまってますけど、どこにいかれたんでしょう」とお婆さんに尋ねました。すると、お婆さんは、困った顔をして、「さあどこにいきましたかね」と答えています』

『サザエさんは、ハンドバックと化粧箱を持って、慌てた様子で走り出しました』

『お婆さんのいた屋敷の、隣の屋敷の裏木戸まで汗を流して走ってくると、そこにいた、エプロン姿の太ったオバサンに「おとなりどこにいったんでしょう」と息咳切って尋ねています。オバサンは、「さあ?さっきまでいましたよ」と教えてくれました』

『屋敷のお婆さんと、その隣の屋敷のオバサンが、肩を並べて、走り回るサザエさんを見ています。隣の屋敷のオバサンが、屋敷のお婆さんに、「おみやげにアイスクリームをもってきたんであのさわぎさ」と教えてくれました。お婆さんは、納得顔で走っているサザエさんを見ています』

 

アイスクリームやアイスキャンデーなど冷凍菓子を買うと、必ず、「お帰りの時間はどれくらいでしょう」「如何ほどのドライアイスはお入れしましょうか」などと聞いてくれます。

多少長めの時間を言って「ドライアイス」を頂戴します。これで安心して、冷凍菓子を、持って帰ったり、届けたりする事ができます。

今時では、デパート、スーパや専門店では、ドライアイスを十分な量が置いてあるようです。

「ドライアイスは、触ってはいけません、危険です」と注意されますが、貰って帰り、水の中に投げ込み、もうもうと白煙が立ち上る様は、子供たちを喜ばせます。

サザエさんが、アイスクリームを買った時も、ドライアイスはあった、と思いますが、余裕を持って、時間を言えば、十分な量のドライアイスを箱の中に入れてくれたと思いますが?解けなお家に届けようと走り回ることはないでしょう。

この時代、ドライアイスが、豊富になかった?氷を入れていた?

しかし、アイスクリーム等の冷凍菓子をお土産に持参する時は、届け先が留守であれば、ドライアイスがなければ、お土産になりませんよネ!

そうなれば、そんなに慌てて走り回らずに、家に持って帰って、カツオ君やワカメちゃんと一緒に、家族皆で美味しく食べましょう!

アイスクリームをお土産に持参する時は、冷凍した2酸化炭素が必要です。

解凍すれば『地球温暖化』の元凶と言われる嫌われ者です。

サザエさん―可笑しな女の謎

 

朝日文庫版2巻〔5頁〕・昭和22年で、魚を入れた桶の蓋を押しのけて、桶の中の魚を覗いていた猫を見て、思わず「アラ!!」と言ったサザエさん。そこへ、屋敷の中から魚屋のお兄さんが、天秤棒を振り上げて飛び出して、デッカイ声で「コンチクショウ!」と怒鳴りました。すると、猫だけでなく、そこにいたサザエさんも、必死に走り去りました。それを見た魚屋のお兄さんは、「おかしなおんなだなあ」と、わけのわからぬ顔をしています

 

この時、サザエさんは、何故走り去ったのかが謎でした。お兄さんは、天秤棒を振り上げたのは、猫を追い払うためです。サザエさんと言う、人間を追い払うためではありません。それなのに、サザエさんは、なぜ、走り去ったのでしょうか?魚屋のお兄さんは、思い当たらず、可笑しな女だと頭をかしげています。読者も即座に判らないでしょう。

サザエさんを、初めから読み直すと、思い当たりました。

サザエさんの家では、猫を飼っていました。サザエさんが、足踏みミシンを「ガラガラガラガラ」と踏んで服を縫っています。すると、お母さんが「サザエさん」と呼びました。サザエさんは、お母さんが、「昼のご飯」だと、声をかけてくれたと思いました。返事をしないでいると、お母さんは、「サザエさんふろばをそうじしないさい、サザエさん!」と、大きな声で命じました。サザエさんは途端に、ミシンを「ガーツガラガラガラガラ」と激しく踏んでいます。この時、サザエさんの近くに、飼い猫が、寝そべっています。サザエさんの家ではを飼っていたのです。(朝日文庫版1巻〔18頁〕・昭和21年)』

このころの古い時代、闇市がありました、戦後の闇市、バラックのお店が並んだ、みすぼらしい商店街があったのです。当時の少年の目にも、闇市は興味深いものでした。この頃のサザエさんは、カツオ君を連れて、こんな闇市に買い物に出かけていたのです。サザエさんが、外で遊んでいた、カツオ君とワカメちゃんに「闇市に連れて行ってあげる」と誘っています。闇市に行くと、台の上にワカメを並べ「えーワカメはどうです、ワカメは!べらぼうに安いよ」と叫びながら、オバサンがワカメを売っています。ワカメちゃんが、いやな顔をしています。ほかの店まで来ると、魚屋さんがありました、台の上に魚を並べ、「えーこのカツオをみてくれ!からっと煮つけにしてみな!」カツオを手にしたオジサンが叫んでいます。カツオ君もいやな顔をして、その店の前を通り過ぎました。カツオ君とワカメちゃんは、サザエお姉さんに、「ねーちゃん闇市見るのは嫌だ」と文句を言っています。この頃、サザエさんは、カツオ君達がいやがる闇市で、魚を買っていたのです。(朝日文庫版2巻〔22頁〕・昭和22年)

この二つの話から、可笑しな女の謎は解けました。

こういうことでした。屋敷の前で、魚が入っている桶の蓋を開けて、魚を覗きこんでいる猫を目撃したサザエさんは、「あらっ!」と声が出るくらい思い当たることがあったのでした。

その事が、頭の中を駆け巡りました。

「そうだ、先ほど買って帰ったカツオは、調理台の上に出したままだったわ!家の猫が食べようとして狙っているわ!すぐ、帰らなくては食べられる。危ない。すぐに家に帰らなくっちゃ」と家に向かって走ったのでした。

ということに違いありません。サザエさんは、決して、魚屋のお兄さんの言う可笑しな女ではありません。桶の中を覗いていた猫、天秤簿を振り上げた怖い顔のお兄さんを見て、咄嗟に判断できた回転の速い頭脳の持ち主でした。決して可笑しな女ではありません。

サザエさん―可笑しな女

魚ではないサザエさんが、なぜ逃げるのでしょう? 


朝日文庫版2巻〔5頁〕・昭和22年

『門柱に「山田」と書いた表札がある屋敷の門の前に、魚を入れた桶が置いてあり、その桶の蓋を押しのけて一匹の猫が桶の中にある魚を覗いています。通りかかったサザエさんが、それを見て思わず「アラ!!」と言ってしまいました』

『その時、屋敷の奥の方から、袢纏を着た粋な姿の魚屋のお兄さんが、天秤棒を振り上げて飛び出してきました。お兄さんは、デッカイ声で「コンチクショウ!」と怒鳴りました。そこにいたサザエさんも、お兄さんの怒った姿を目にして、ビックリしています』

『猫は、素早く逃げ去りました。と同時に、そこにいたサザエさんも、買い物袋をシッカリと握り締め、必死に走り去りました。それを見た魚屋のお兄さんは、キョトンとしています』

『魚屋のお兄さんは、天秤棒を持ち、頭に手をやり、「おかしなおんなだなあ」とわけのわからぬ顔をしています』

 

昔の昭和の話です。魚を桶に入れ、桶を天秤棒で担いで売り歩いていた古い時代の話です。

桶に入っている魚を覗き込んでいたが、「コンチクショウ」と怒鳴られて、慌てて逃げ去るのは判ります。しかし、サザエさんも逃げ去ってしまった理由がわかりません。三コマ目の絵の中を、何度も繰り返して見てみても、逃げ去る理由が理解できません。猫とサザエさんは、逃げる方向は違いますが、同時に走り去っています。魚屋のお兄さんでなくても、逃げ去っていくサザエさんを見ると「おかしな女だなー」と頭をひねります。

年の瀬ですから、これ以上、頭を捻るのは止めにします。理由がわかったら改めて書きます。

サザエさん―お年玉

 

子供達は、お年玉を待っています。

 

朝日文庫版45巻〔62頁〕・昭和48年

『ノリスケさんが、街角で公衆電話をかけています。受話器を耳に当てて、「オメデトウ、サザエさん?カツオ君たちいますか?」と尋ねています』

『受話器の奥から、「アラたったいまはつもうでに出かけちゃったわ」と返事が返ってきました。ノリスケさんは、イクラちゃんを抱っこしているタイコさんに、右手の人差指と中指を立ててサインを送っています』

『ノリスケさんは、受話器に向かって、「ざんねんだなぁとにかくすぐうかがいます」と嬉しそうに言っています』

『サザエさん家の居間に置いてある電話機の周りには、カツオ君とワカメちゃんとタラちゃんがいます。カツオ君が、ヤッタと言わんばかりの顔をして「おまちしてるゎ」と言って受話器を電話機の上にガチャンと激しく置くと、人差し指と中指を立ててサインをしながら「てきはひっかかったぞ」と、得意満面の表情をしています。ワカメちゃんもタラちゃん、楽しそうです』

 

2016年の新年を迎えるのも、後二日になりました。お年玉も袋に入れ、準備が終りました。

ところで、ノリスケさんは、どうやら、サザエさんに電話したのは、カツオ君達三人にお年玉をあげるため、3人が家にいるかどうかの確認の電話をしたようです。しかし、三人が家にいないと聞いて、「残念だなぁーお年玉を渡せない」と思ったのでしょう。

 

≪いや!そうではない≫

ノリスケさんは、3人が家にいないことを確認して、お年玉をあげなくて済んだと、喜んだ!

「エッそうですか?ノリスケさんは、三人にお年玉をあげなくて済むので喜んでいるのですか?ケチですね」

しかし、ノリスケさん!喜ぶのは早いですよ。カツオ君が電話に出たんですよ。

声色が少しおかしいと思わなかったのですか?

カツオ君達3人は、正月の晴れ着を着て、ノリスケさんがお年玉を持ってくると待っていたところです。状況の読みが速いカツオ君は、ノリスケさんが、

「オメデトウ、サザエさん?カツオ君たちいますか?」

などと電話するものだから、受話器を取ったカツオ君は、もし、

「いるわよ」

などと答えると、ノリスケさんが来ないと読んで、サザエさんの声色を真似て

「アラたったいまはつもうでに出かけちゃったわ」

と答えたんですね。

お年玉を、あげたくないノリスケさんは、3人がいないうちに、サザエさん家に新年の挨拶を済まそうと計らったようです。なぜ、カツオ君達3人にお年玉をあげたくないのか、その理由は分かりません。ただただ、ケチですね。お年玉くらいあげればよいのに。

ノリスケさんは、カツオ君に騙されて、家にやって来ました。

多分、ノリスケさんが、

「おめでとうございます」

と玄関に踏み込むと、カツオ君達三人が飛び出してきて

「オジサン!お年玉まっていたよ」

と声を揃えて言うでしょう。

その時、ノリスケさんは

「やられた」

と頭を引っ掻くに違いありません。

 

「ノリスケさん!そんなケチなことするのやめませんか」

それより

「カツオ君達オメデトウ。お年玉持ってきたぞ!」

と言って渡せば、

「オジサンありがとう!僕たちオジサン大好きだよ」

と言うことになるでしょう。ノリスケさんの今年1年は良いことが沢山ありますよ。

サザエさん―シルバ(55)

 

食事の拘り、ご飯は羽釜で炊いたご飯が良いl魚は七輪で焼き網の上で焼いた魚が良い!

 

朝日文庫版41巻〔48頁〕・昭和45年

『エプロン掛けのお婆さんが、台所で調理台の上に電気釜を置いてご飯を炊いています。電気釜の蓋を押し上げんばかりに、湯気がふっふっと立ち上っています。炊き上がったようです。お婆さんは、「できたワ」と言っています』

『お婆さんは、傍に、昔の分厚い木蓋羽釜を持ち出し、電気釜の蓋を開けると、炊き上がったばかりのフカフカと湯気が立ち上っているご飯を、昔の羽釜に移しています』

『お婆さんは、台所には、大きく立派なガスオーブンレンジがあります。そのオーブンレンジで魚を焼き、その奥にある2匹の焼き上がった魚を箸ではさみ取って、手に持った昔の焼き網に乗せています』

『居間には、ツルッハゲの頑固そうなお爺さんが、お婆さんが、運んでくれた羽釜焼き魚が乗った焼き網から、お椀に、羽釜の中のご飯をよそおい、大皿に、焼き網から焼き魚を取り、たまたま、来ていたサザエさんのお父さんに、「昔しきにつくらせとるが、どだい味がちがいますワイ」と嫌みをこぼしています。それを聞いたサザエさんのお父さんは、少しだけ驚いた様子です。また、それを聞いたお婆さんは、変な奴と言いたげな妙な、可笑しくてしょうがないとでも言いたげな顔をしています』

 

お爺さんとお婆さんの若かりし頃は、ご飯は、羽釜で美味しく炊き上げ、魚は、木炭や練炭を燃やしている七輪の上に乗せた焼き網で美味しく焼き上げて、美味しい美味しいと言いながら食べていたのでしょう。

お爺さんお婆さんになった頃は、時代も大きく変わり、電気釜ガスオーブンレンジも出てきました。勿論、その後、電気冷蔵庫や電気洗濯機も普及し、味気ない時代になってしまいました。

こんなに時代になると、偏屈なお爺さんが現れるのでしょう。こんなお爺さんと時代を共にしなければならないお婆さんも大変苦労します。

お婆さんは、嘆いています。

「そうなんですよ!うちの爺さんは、偏屈で困っています。妙なこだわりがありまして、時代の先端を行く電気釜は買ってくれたんですけど、わしや、電気釜で炊き上げたご飯はフックラしていないから嫌じゃ、と言うし。立派なガスレンジを買ってくれたんですが、魚を焼いてあげると、この焼き魚は、柔らかさがないなど言って、文句を言うんです。じゃ、どうすればいいんですかと聞いたら昔のようにご飯は羽釜で炊け、魚は焼き網で焼け、なんて言うんです。

それで、この間から、爺さんに判らないように、電気釜でご飯を炊いて、羽釜に移して、魚はレンジで焼いて、焼き網にのせて、爺さんに出していたんです。

でも、バレました。爺さんは、何時も、私が怖くて黙っているんですが、客が来ると、お客さんに「昔しきにつくらせとるが、どだい味がちがいますワイ」と、言っているんです。

爺さんも、ご飯は、羽釜で炊いたご飯が良い、魚は七輪で焼き網の上で焼いた魚が良いということが分かっているんです。でも折角、買った電気釜やレンジを使うなとは決して言いません。

だから、爺さんは、私に、

「ご飯は、羽釜で炊いたように、魚は、焼き網の上で焼いたように、させているんです」。

こんな事するのは、本当に、もう嫌になりますわ!

サザエさん―シルバ(54)

 

母の日のプレゼントは、布団の中に入れるものではありません。

 

朝日文庫版44巻〔57頁〕・昭和48年

『今日は、母の日です。カツオ君とワカメちゃんがよそ行きの服を着て、お母さんと一緒にお出かけです。ある家の前で、相当の歳のお婆さんが、竹箒で、お掃除をしています』

『その後、そのお婆さんは、家の中にいます。忙しそうに家事をしています。お婆さんは、お膳の上に散らかっている、食器や箸などをお盆の上に乗せてて、後片付けをしています。その前で、鼻髭をはやし、デップリと太った浴衣を着たオジサンが、碁盤に碁石を並べながら、頭をひねっています』

『お婆さんは、夕食の後片付けも終わり、裁縫道具を取り出し、自分の足袋を繕っています。その横で、でっぷりと太ったオジサンは、寝そべってテレビを視ています』

『お婆さんが、もう寝ようと思って、寝室に行き、敷いてあった寝床の上布団をあげると、その中に、リボンで飾られた反物と菓子折がありました。それを見たお婆さんは、「あのコはテレ屋でから」と、驚いたような嬉しそうな顔をしています』

 

良かったですね!お婆さん。母の日だというのに、全く無視したような息子さんが、本当は、お婆さんのことに感謝し、大事に思っていたのですよ。

お婆さんも、この息子さんに、母の日だからと、何も期待していたわけではないでしょう。

しかし、知らん顔をしている息子さんが、寝床の中に、母の日のプレゼントを、ソーッと忍ばせていたんですね。泣かせますね。

どうして、こんなややこしいことするんでしょう。

ああ!そうなんですか?息子さんは、テレ屋なんですか?

普通の息子さんだったら、

「お母さん、今年で88歳だったね!良く長生きしてくれたね。今日は母の日だから、何時もお世話してくれる母さんに、何年ぶりかな~、プレゼントを沢山あげるよ」

と手渡してくれるでしょう。しかし、お礼の言葉もなく、布団の中にプレゼントを忍ばせるようなことをするのは、何時までも母離れできないからです、ちゃんと叱ってやりましょう。

エ-ッ!息子さんは怖がりですか?

そう言えば、この間、怪奇テレビを視た後、一人でトイレに行けなかった息子さんですか?

お婆さん、息子さんを何時までも甘やかしたらいけません。もう大概に乳離れさせないといけません、あまり甘やかすから、「お母さん!プレゼントだよ」と何時までも言えない子になってしまいますよ。あれ!なんだか変だ!

サザエさん―シルバ(53)

 

幾つになっても、トイレに一人で行けない。怖いテレビ見るのはやめなさい!

 

朝日文庫版41巻〔71頁〕・昭和45年

『黒ぶちの眼鏡をかけ、その眼鏡が、異様に小さく見える、顔がデカク、頭は禿げあがり、でかい鼻の下には、一文字に髭を生やした、太っちょのオジサンが、浴衣を着て、寝そべってテレビを見ていました。テレビの画面には〈おわり〉と番組の終わりを告げました。オジサンは、テレビのボタンを押して消しています』

『オジサンは、年老いたお母さん(お婆さん)が寝ている部屋に現れました。お婆さんは、浴衣を着て、敷布団の上に横たわり、足は折り畳んだ上布団の上に乗せています。頭を枕に乗せ、穏やかな表情です。そんな、お婆さんが寝ている部屋の襖を開けて、オジサンが顔を出すと、「おっかさん」と頼りのない声で呼びかけました。オジサンのデッカイ顔は、怯えているようです』

『オジサンは、怯えたような表情のまま、部屋の襖の横に立って、お婆さんを見ています。お婆さんは、敷布団の上で上体を起こすと、呆れかえったような情けなさそうな顔をしているオジサンを見つめたまま、「また怪奇シリーズみたんじゃろう」と言いました』

『でっかい顔のオジサンは、トイレのドアの前にスリッパーを残し、トイレの中に姿を消しました。お婆さんが、トイレの前に立って、「おくびょうでこまるわいあの子は」と嘆いています。隣の家の窓際で、カツオ君が、不思議そうな顔をして、お婆さんを見ています』

 

困ったもんですね「息子さんは」。テレビばっかり視ているんじゃありませんか?それも怪奇シリーズですか?息子さんは、お幾つですか?小さい子ではないのですから、厳しく、躾けないと!これから先、どうするんですか?息子さんも先は、そんなに長くないんですから。

怪奇ドラマや映画を見たあと、トイレに一人ではいけない。お母さんトイレについてきてと言うんですか?そのオジサンが?

ついて行っては駄目じゃないですか?癖になっているじゃありませんか!

なんですか?

「わたししゃ、息子をアホだとは思っていないが、怖いテレビを視たがるんですよ。テレビの前に一緒にいなくても、視ることはできるんですが、その後がいけないでんすよ!見終わると、怖くて、一人でトイレに行けないらしいんです。このあいだも、視た後、怖がってトイレに行けず。テレビの前で、大きなおもらしをしたんですよ。本当にバカ息子には困ります」

お婆さん、いいものがありますよ。大人用のおむつです。それを買いなさい。ただ、赤ちゃんじゃないんですから、オジサンになっている息子さんを寝かして、おむつの取り換えはしてやらなくてもいいですよ。ポイと投げ与えて、「自分であてなさい」と言えば良いじゃありませんか。

しかし、怖がりの怪奇シリーズ好みも困ったものですね。

お婆ちゃん、息子さんを懲らしめてみませんか?ビデオを借りてくるんです。

『リング』が良いでしょう。多分、息子さんは。テレビ画面を食い入るように見るでしょう。そのうち、髪の長い貞子がテレビの中から這い出してきますよ。息子さんは、その時、驚き、怖さのあまり、絶対に失禁します。トイレに行く暇もありません。テレビの前で、じょ~~~、洪水だと息子さんは慌てふためきます。

これで、息子さんは、怪奇物や恐怖物の映画やテレビを見るときは、オムツをするようになりますよ。そうすれば、夜中に起こされて、トイレについて行くこともなくなるでしょう。

サザエさん―シルバ(53)

 
乞食は、自由で気儘が良い。

 

朝日文庫版39巻〔71頁〕・昭和44年

『くたびれた帽子を被り、繕ったズボンを着て、ボウボウの髪の毛、鼻毛と顎髭ともにボサボサで、手には、ゴミを拾って籠に入れるトングを持ち、背中にゴミ籠を背負った痩せたお爺さんが、ある日、スーツを着た、頭は禿げていますが、顎髭は、立派に整えた、ステッキを持ったデップリと太った老紳士が、運転手つきの車から降りてきて、「一日かわらんかね?」と言われました』

『痩せたお爺さんは、豪華なガウンを着て、縁側に置いてある植木にジョウロから水をやっています。と、老紳士の奥様と思われるお婆さんに、「よろしんですよごいんきょさま」と止められています』

『痩せたお爺さんが、豪華なガウンを着て、リビングのソファーでくつろいでいると、部屋の片隅に置いてある、アンチークな電話台の上の電話のベルがけたたましく鳴り響きました。お爺さんは、電話を取ろうとソファーがら立ち上がると、奥様らしきお婆さんが、「あ わたくしがうけます」と言いながら、リビングに駆けつけました』

『痩せたお爺さんは、ガウンを着たまま外に飛び出してしまいました。そのまま、町を駆けまわっていると、繕いだらけのスーツを着て、破れた帽子を被ったデップリと太った老紳士にあいました。痩せたお爺さんは、「しごとかえしてくれ~第一戦がいい」と言いながら追っかけると、デップリと太った老紳士「いや~~~」と言いながら逃げ回っています』

 

このサザエさん漫画には、「乞食と王子」物語と表題がついていました。「乞食と王子」の話は、アメリカの作家;マーク・トウィエンの児童文学作品だそうで、このサザエさんは、そのバロディ―のようです。本当の物語は、記憶にありませんが、ここでは、痩せ細った乞食をしていたお爺さんと、社長さんのような金持ちが入れ替わり、社長は、乞食の毎日が自由気儘に過ごせて、気に入ってしまったようです。一方、金持ちの生活が窮屈であることを知った乞食のお爺さんは、もうこんな生活は嫌だと、俺の乞食の道具を返せと、今は乞食の姿をした元金持ちに迫りますが、いやだーと逃げ回っています。

やはり、人の生活は、自由で気儘であるのが良いのです。元乞食のお爺さんも、今乞食の社長さんも、どちらも、乞食の生活が、気に入っています。

どうやら、その原因は、なんでも気がつく奥様の性格にあるのでしょうか。

サザエさん―シルバ(52)

 

お爺さん!叙勲の勲章は届きましたよ!息を吹き返しましょう。

 

朝日文庫版37巻〔117頁〕・昭和43年

『パトカーが先導で、続いて救急車が、けたたましいサイレンを響かせて街道を走っています』

『パトカーが、ある邸宅の前で止まりました。続いて、サイレンを鳴らしながら、救急車も止まりました』

『救急車から鞄を下げたお医者さんのような人が飛び出し、門の中に駆け込みました。何時の間にか、門の外には、近所の奥さん達の野次馬が集まっています、その中には、勿論、サザエさんが混じっていま』

 

こんな展開の先に何があると思いますか。そうです、予想された通りです。瀕死のお爺さんが寝ていました。

しかし、予想とは少し違っています。

鞄を持って邸宅に駆け込んだお医者さんと思われた人は、そうではなかったのです。その人が、カバンから取り出したものは勲章でした。それを瀕死のお爺さんに届けてくれたのです。

 

四コマ目の場面は、次のように衝撃的でした。

『寝間着を着た痩せ細ったお爺さんが、布団の中にいます。デップリと太った医者が、お爺さんの細い腕の手首を、腕時計を見ながら握っています。お爺さんの枕元には、白い布を持った婆さんがいます。そこへ飛び込んできたお医者さんと思われた人は、鞄を開き、勲章を取り出し、「叙勲!」と言って痩せ細ったお爺さんの手に渡しました、お爺さんは、その勲章を左の手でシッカリと掴んでいます。お医者さんは、痩せ細ったお爺さんの手首をつまみ、「まにあった!」と胸を撫でおろしています。枕元に座っているオバアサンは、お爺さんの顔を覆っていた白い布をヒラヒラさせて持っています』

 

お爺さんは、天国に旅立つ瀬戸際でした。そんな瞬間的な束の間に、お爺さんへの叙勲の勲章が届き、お爺さんは、それを握り締めることができました。パトカーに先導されて救急車が走っていれば、何処かに瀬戸際の人がいるかもしれないと、予想されることでした。予想通り、天国に行きかけたお年寄りがいました。瀕死のお爺さんの枕もとには、かかりつけ医が、既に、お爺さんの枕元にいて、瀕死の状態にあるお爺さんの脈を診て、もう駄目だと診断していました。お爺さんの奥さんのお婆さんでしょうか?そのお婆さんは、かかりつけ医の診断により、お爺さんはもう駄目だと決めつけ、お爺さんの顔に白い布を被せようとしているところでした。

そんなときに、パトカーに先導された救急車が来ました。救急車から飛び出したお医者さんのような人は、お爺さんに授与された勲章を、緊急に届けてくれた人でした。パトカーに先導され救急車で運ばれ、瀬戸際のお爺さんの手に渡されました。お爺さんが、勲章を握った後、息を吹き返してくれればいいのですが、そうなれば、お婆さんが持っていた白い布は、お爺さんの顔から、取り除くまでもなく、吹き返したお爺さんの息で飛んで行くかもしれません。

お爺さん!勲章を貰って息を吹き返しましょう。

サザエさん―シルバ(51)

 

お腹の渋滞は、日頃からサッパリと解消しておきましょう。

 

朝日文庫版38巻〔141頁〕・昭和44年

『サザエさんが、パンタロンとお揃いの柄のスーツを着た、オカッパ髪のご婦人、髪をアップにした、袖なしの上着と少しミニのスカートを着た顔の大きいご婦人と、街角でお喋りをしています。サザエさんが、「トウメイ高速全せんかいつうしたわね」と言うと、オカッパ髪のご婦人が、「すっとばしたらキモチいいわね」と言い、顔の大きいご婦人が、続けて「そらキモチいいわヨ」と言っています』

『そこへ、着物を着て、エプロン掛けをした白髪のお婆ちゃんが現れ、「そらあんた三日四日べんぴしてても」と言い出しました。3人のご婦人たちは、お婆ちゃんに注目しています』

『続けて、お婆ちゃんは、「通じたときはソウカイだもの!!」と締めくくりました。三人は啞然としてお婆ちゃんを見ています』

『お婆ちゃんは、「けいけんしたものでないとねー」と言いながら、立ち去りました』

 

昔の出来事でした。東名高速全線開通、当時の人たちは、喜んだことでしょう。本当に良かったですね。

妙なお婆ちゃんが出てきて、なんだか変な話題を出して、サザエさん達を煙に巻いたようです。お婆ちゃんが言っているのは渋滞が解消することであり、東名高速の全線開通とは、大いに違うようです。

お婆ちゃんが言っているのは、腸という通路が、渋滞で通れないのです。この渋滞が、解消した時は、確かに爽快で、お婆ちゃんの思いよくわかります。

お婆ちゃんも、腸の渋滞が続くのでしょうか?

お腹の渋滞は、日頃からサッパリと解消しておきましょう。ということで、お婆ちゃんが言い出した話題が、続けて語りたくない話題だから、今日は、この辺で終わりにしよう。