サザエさん―シルバ(50)

 

テンプラそば三つ! 出前は、届けばいいのです。

 、

朝日文庫版34巻〔114頁〕・昭和42年

『頭の上は禿げていますが、まだ、後頭部に白髪が残っているお爺さんが住んでいる家です。ねじり鉢巻きをしたイナセナお兄さんが、ドンブリが3個乗っている大きな盆を右手に捧げ持ち、玄関の引き戸を開いて、「テンプラそば三つね!とキップのいい声を張り上げて、玄関の中に入ってきました。応対に出て着たお爺さんは、出前のお兄さんを睨みつけて、「商人はうらにまわって」と叱りつけています』

『裏の勝手口に、「テンプラそば三つネ!と言いながらお盆を肩に担いで現れた出前のお兄さんは、待っていたお爺さんに、「おまたせしましたご注文はテンプラそば三つですね」と言うように注意されています』

『出前のお兄さんは、お盆を丁寧に廊下に置きながら、「おまたせしました、ご注文はテンプラそば三つですね」とおとなしく、静かに言いました。すると、お爺さんは、怖い顔をして、「いやウチはたのまない」と言いました』

『出前のお兄さんは、ドンブリが三つ乗った大きなお盆を肩に担ぎ、しかたなく外に出ました。お爺さんは、「あきれたもんじゃ」と罵声を浴びせています。出前のお兄さんは、お盆を肩に担いで、「どっちがあきれるか!」と言い返しながら、自電車にまたがっています。その家の白壁には「正しい敬語の研究所」と書いた立て看板が出ています。サザエさんが、見ながら通り過ぎていきます』

 

格式ばったお爺さんがいました。嫌ですね! お兄さん、相当腹が立ったでしょう?研究所の所長か何かは知らないが、玄関から入ると、「裏に回れ!にはカチッとくるよね!

お兄さんは、「俺が言った「テンプラそば三つね」は、「ヘイ!お爺さん出前ソバ三つでしたね!と言うことだよ。いい年をしたジイサンがそれくらいわからんかな!」、グーッと抑えて、「おまたせしました、ご注文はテンプラそば三つですね」と丁寧に言ってあげたのに「いやウチはたのまない」とはなんだい!頭に来るな!ドンブリ引っくり返して、ソバだらけにして、引きあげてもいいんだぜ!

しかし、そうはいかねえ~、俺んちの店は、代々伝わる老舗だ!ジイサンとこのような何時できたか判らん、いい加減な名前だけの「正しい敬語の研究所」とは違うんだぁ!と言ってやりたかつたでしょう。

しかし、それは出来ませんでした。お蕎麦屋さんは、「正しい敬語の研究所」以上に立派な客商売の威勢のいいお店ですから、妙な評判を立てられると大変なことになりかねません。グーッと抑えて辛抱、辛抱ですね!

余計なことですが、「正しい敬語の研究所」のお爺さんは、昔、映画「七人の侍」などに出演の俳優・志村喬氏にソックリで、思い出しました。

サザエさん―シルバ(49)

 

懐かしい、舟木和夫さんの「高校三年生」。

 

朝日文庫版28巻〔128頁〕・昭和39年

『サザエさんが、お線香の束と花束を持って、墓参りに行っていました』

『すると、黒い絣の羽織を着て、花束を持った腰の曲がったお婆さんが、サザエさんを追い越して行きました。サザエさんは、直ぐに追いかけて、そのお婆さんに、「おばあさんごいっしょにまいりましょう」と声をかけました』

『立ち止まったお婆さんは、サザエさんを振り返り、「あたしゃ舟木カズオのがくやにいくんですよ」と憮然として言いました』

『そして、手をあげると、「タキシー」と大声をあげてタキシーを呼びとめていました。サザエさんは驚きました』

 

サザエさん、黒い羽織を着て、花束を持っているお婆さんを見かけても、お墓参りに行っているとは限りませんよ。お婆さん自身が、もう間もなくお墓に行かれるのだから、お墓参りは、ご無沙汰され、もっと良い所に行かれるんじゃないでしょうか。お婆さんには、生きている内に行きたいところが沢山あるんでしょう!サザエさんが、見かけたお婆さんは、とってもいい所に行っているところだったんです。橋幸夫さん、いや!間違った!!舟木和夫さんの楽屋に行っていたんですよ!

 

懐かしい。舟木和夫さんの「高校三年生」、"赤い夕陽が校舎を染め~テ・・・”良く聞いていました。何度も何度も聞き、社会人になっても、カラオケで歌っていました。試しにU-tubeを開いてみると、「御三家・青春メドレー・ファイナル」橋幸夫 舟木一夫 西郷輝彦が出てきました。暫く聞きました。両人が西郷輝彦さんと一緒に歌っていました。懐かしい、昔を思い出してしまいました。舟木和夫さんの「高校三年生」もあり、熱唱されています。良いですね!ほんとに懐かしい歌声を聴きました。ただ、パソコンですから、音声が!残念ですが、仕方ありません。

橋幸夫さんも好きでした、「いつでも夢を」や、特に「潮来笠」が好きでした。

酔った時のカラオケは、口を斜めにして、良い気分で歌っていたかもしれません。

サザエさん―シルバ(48)

 

お婆ちゃんの場合、息子さんが、「優しいこと何一つしてくれない」、「無駄遣いする」と小言ばかりで、怒りの状態が続き、動脈硬化を患ってしまったようですね!

 

朝日文庫版28巻〔65頁〕・昭和39年

『着物の上にエプロン掛けしたお婆さんが、カーッと大変怒って、障子をチリハタキでバタバタとはたきながら、「やさしいこと一つしおらんで!」と愚痴を言っています。傍には、鼻の大きい息子さんが、お婆さんの愚痴を悲しそうな顔をして聞いています』

『息子さんは、実に鼻の大きいオジサンです。そのオジサンが、大きなバラの花束を持って、お婆さんに、「おっかさん母の日のこころ祝いです」と言いながら渡しています。裁縫をしていたお婆さんは、今日も、カーッと怒った顔をして、息子さんを睨みつけています』

『お婆さんは、バラの花束を、手にするやいなや、カンカンに怒り、畳の上に激しく投げ捨てました。そして、まだまだ、怒った顔をして、「つまらんムダづかいばっかりしおって!」と叫んで、息子さんの顔を睨みつけています』

『息子さんは、まだ、カンカンに怒っているお婆さんを背負って、「おっかさんどうみゃくこうかだよ」と言い聞かせながら医院にやってきました。お婆さんは、息子さんの背中の上で、「バカにするなよ」と相変わらずカーッと怒った顔をしています』

 

お婆さん!息子さんは、何もしてくれませんか?腹立ちますね、それは。怒った顔は、もの凄いですよ、何時も同じカンカンに怒った顔をしていますよ、その顔、見方によって、魅力的です。

「黙っていればバカにしおって」と、とうとう怒り爆発して、言ってやりましたか!

すぐ効果あったじゃないですか!五本もの大きなバラの花束ですよ。

「わかってくれたか!ありがとう」

と言って気持ちよく良く、貰ってあげたらよかったのに!

なぜ投げ捨てたんですか?息子さんは、多分、大金を出して買ってきたのでしょう。もともと、お婆さんはケチですね。ケチだから、息子さんがプレゼントのバラの花を買ったのが無駄遣いと決めつけてしまったのですね。

お婆さんも、何時もカーッ~カーッして、どうやら、動脈硬化になってしまったようですよ。

息子さんは、偉いじゃありませんか!お母さんの怒りは、動脈硬化の所為だと判断して、背負って病院に運んでくれましたね!よーく、検査してもらい、動脈硬化の所為で、何時も怒っていると診断してもらいましょう。

怒りの原因は、息子さんが、「やさしいこと一つしおらん」ためではないと思います。

「やさしいこと一つしおらん」「つまらんムダづかいばっかりしおって!」と小言ばかり言って怒っているので、お婆さんは、動脈硬化になったのです。

因みに、実際に怒ると血圧が上がって脳溢血などの脳内出血を起こすことがあるそうです。だから年老いて、動脈硬化があれば、危険です。親孝行な息子さんで良かったですね、お婆さん!

サザエさん―シルバ(47)

 

年を取っていくと、年の流れとともに、いろいろなことを見聞きができて良いじゃないですか。もっと逞しくならなければいけませんよ、お爺さん!

 

朝日文庫版25巻〔27頁〕・昭和37年

『サザエさんが、近所のお宅に行きました。庭の方から入っていくと、廊下の先の部屋に、頬髭も顎髭も伸び放題の、痩せたお爺さんが、肌着とステテコ姿で、薄い煎餅布団の上に横になっています。サザエさんは、心配そうに、「どうなすったんですの」と尋ねていました』

『お爺さんは、少しだけ頭をもたげ、指を折りながら、「でんしゃの二重衝突から、あんた」、続けて「マリリンモンローでしょう」、と親指と人差し指を折っています。サザエさんは、廊下に両手をついて身を乗り出し、興味深そうに聞いています』

『お爺さんは、布団の上に身を横たえたまま、続けて、「太平洋ヨット横断に」、更に続けて、「アベック衛星船の成功」と薬指まで折っています。まだ、小指が折り曲げずに残っている、手を揺すっています。サザエさんは、とうとう、廊下に腰かけ、興味深そうにお爺さんを見ています』

『お婆さんが、やってきて、お爺さんの上体を布団の上に抱き起こして、錠剤を飲ませています。多分、精神安定剤と思われる錠剤を、二粒を「老人にはショックの強い世の中ですわ」と嘆きながら、喉に放り込み、お婆さんから渡されたコップの水で飲んでいます。サザエさんは啞然としてお爺さんを見ています』

 

お爺さん!ショックを与えた事件は、10本の指で足りましたか。マリリンモンローは、お爺さんにどんなショックを与えましたか?お爺さん!映画を見ましたね、あれは何という映画でした。確か「7年目の浮気」だったと思いますが、お爺さんは、見ましたね。地下鉄の排気口から吹き出す排気で、モンローさんのスカートがめくれ上がり、モンローさんが「おお猛烈!」と言いながら、パンティをチラッと見せたのを!あるいは、大きなオッパイがショックでしたか?

「太平洋ヨット横断に」に、「アベック衛星船の成功」は、ショックでした?そのほか、どんなことがあったか聞きたかった、最後まで、言わせてあげたかった、お婆さんが、薬を持ってきて飲ませたので、途中でお爺さんの言いたいことを全部聞けなかったのが残念です。

今でも、いろんなことが起きていますよ。お爺さんが今の世の中を見たら、やはりショックを受けるでしょう。そうですね、身近なショックな事件は、切れめなく起きていますよ。

自民党政権になって、安倍総理の独断先行の政治に、色々ショックなことありました。いちいち挙げませんが、確かに、もう「さらばアホノミクス」(危機の真相)(浜矩子著。毎日新聞社)ですね。

しかし、数々の安倍ショックの悪いことだけではありません。暗い安倍総理にかかわる数多くの暗い出来事を晴らしてしまうような、素晴らしい、お年寄りがいらっしゃいました。ノベル医学・物理賞を受賞された大村智博士です。大村博士のことは、博士がノベル賞を受賞されるとの情報が明らかになるまで、全く知りませんでした。博士のこれまでの業績を知らされるほどに、全く感動していまいます。ゴルフ場で見つけた糸状菌を研究所に持ち帰り、その糸状菌に属する微生物を培養して、培養物中に微生物が生産する化学物質を蓄積させて、該培養物から、寄生虫とくに蠕虫の感染症に有効な化学物質を製造し、3億もの感染症に苦しむ人たちを救われ、まだこれから感染所を撲滅してしまう業績は感動そのものである。

博士の特許戦略も素晴らしいものであろう、と特許を検索すると数多くの公表特許を出願され、特許権も所持されているようである。しかし、多額の特許料も250億円を放棄されているとのこと、全く感動してしまう。

何かをやれば「ドヤ顔」をする安倍総理は、全く、かすんでしまう。

サザエさん―シルバ(46)

 

歳ですから、混んでる駅でのデートは止めましょう。

 

朝日文庫版24巻〔81頁〕・昭和37年

『駅が大変な混雑です、改札口に向かう人々で大変な喧噪状態です。そんな駅の改札口から少し離れたところに着物に、コートを羽織り、ソフト帽を被り鼻の高い、顎髭の長い、カッコいいオジサンが、バックを持って、腕時計を見ながら立っています』

『お爺さんは、手をかざして、遠くを見まわし、「彼女おそいなー」と気が気ではないようです』

『着物姿のお婆さんが、太った制服制帽のお巡りさんに背負われてお爺さんの傍にやって来ました。鼻息も荒くなっているお巡りさんの背中に乗ったまま、お婆さんは、「あんたもうこんでこんで・・・・」と言いました』

『お爺さんと、並んで立っているお婆さんは、お巡りさんに、「ここんとこお年よりのデートはむりですよ」と叱られています。2人はションボリと頭を下げています』

 

そうですよ!お巡りさんの言うとおりです。いい年の爺さんと婆さんが、駅の改札口の近くでデートをするのは無理ですよ!デートしたのは何処の駅ですか?新宿ですか?東京駅ですか?エッ東京駅!どうしてそんな混雑する場所を選んだのですか?何々!!東京の中心で判りやすい?出かけるのに迷わない?

そうですか、お爺さんは横浜、お婆さんは・・エッ!埼玉、遠く離れているんですね!場所は、互いに真ん中に向かえば良いのでわかりやすくて迷わないですって!しかし、混んでいますよ。人混みの中で、互いに発見するのは大変ですよ。とてもお年寄りには無理です。

もう年ですから、メールで済ませてはいかかですか?

そんなに、直接、顔を見たいのですか?そんなに皺一杯の顔は、互い見なくてもいいじゃないですか?

いやそうでもないですか?大変情熱的なお爺さんですね!貴方は!いやそうでもない?ああそうなのか、お婆さんが情熱的なのですか?しかし、もう年ですから駅でのデートはやめましょう。お巡りさんに、大変なご迷惑をかけてしまいます。

?????老いらくのデートは、参考になりそうなので聞きたいことが一杯でした。

兎に角、歳ですから、混んでる駅でのデートは止めましょう。

サザエさん―シルバ(45)

 

テレビのプロデューサーと言う職業は、過酷な職業なのだそうです。

 

朝日文庫版21巻〔137頁〕・昭和33年

『何処かのパーティ会場で、頬に3本の縦皺、鼻の下に4本の縦皺があり、頭の髪の毛も数本しか残っていないお爺さんが、スーツを着てネクタイを締めた正装で、豊満で派手なご婦人とダンスをしています。その会場にはテレビカメラがあり、カメラ技師がマイクを持ったインタビュウアに踊っているお爺さんを指で指示しています』

『インタビュウア画、お爺さんの口元にマイクを差し出し、「かくしゃくたるおげんきですが老人もんだいについてどのようにお考えですか?」と尋ねています。お爺さんは、直立して、緊張している様子です。豊満なご婦人も、お爺さんのお言葉を待っているようです』

『ところが、お爺さんは、マイクに向かって、鼻の下に4本の縦皺の下にある口を開き、「僕は、まだ、四十三歳だよ」と言いました。インタビュウアもカメラ技師も口をぽっかりと開け驚いています』

『お爺さんは、肩を落として、「あんまりひどいかろうでテレビのプロデューサーをこの前やめたところだ」と言いながら、ダンスもやめ、立ち去りました。インタビュウアもカメラ技師も唖然として開いた口も閉じれないようです』

 

テレビのプロデューサーと言う職業は、本当にこんな過酷な職業なのでしょか?ここに登場しているお爺さんは、本当に年老いたお爺さんです。43歳とはどう見ても、見えません。

顔には、左頬には三本の深い縦皺があり、鼻の下の口の周りにも深い4本の縦皺があり、その上、頭の髪の毛は、薄く僅かしか残っていません。

正に80歳を超えたお爺さんです。誰が見てもお爺さんです。ダンスをしている姿から判断して、インタビュアーが言うように、「かくしゃくたるおげんき」なお爺さんにしか見えない。

そんなお爺さんが、「僕はまだ四十三歳だよ」と言うのです。

「えっウソでしょう。絶対43歳には見えません。80歳を超えていらっしゃるでしょう」

と若いですねとは全く真逆のお世辞?を言うことになるのです。

でも、ダンスをしている豊満なご婦人が、奥様だとしたら、お爺さん?が、その旦那であるとすれば、「僕はまだ四十三歳だよ」は本当でしょう。

エッ、この判断間違っていますか!最近は、お爺さんが、歳の差が、大きく離れた奥さんを貰うのが流行っている。

とすると、やっぱりこのお爺さんは、43歳ではなく、80歳に近い老人ですか?

 

サザエさん―シルバ(44)

 

お爺さん、お菓子で誘拐されないようにしましょう。

 

朝日文庫版18巻〔84頁〕・昭和32年

『サザエさんのお母さんが新聞を読んでいます。その前に、サザエさんとワカメちゃんが座っています。お母さんが、新聞を読みながら、「あらまたこどもがゆうかいされかかったんだって」と言いました。直ぐ、サザエさんが、ワカメちゃんに「しらない人がなにかくれるといってもけっしてもらうんじゃないのよ」と言って注意しました』

『ワカメちゃんが、お菓子の入った包みを持って、お菓子を食べながら、公園を歩いていると、一人のお爺さんが首をうなだれ、杖を傍に置いて、淋しそうにベンチに腰掛けています』

『ワカメちゃんは、お爺さんに近づき、つつみから一個のお菓子を取り出し、お爺さんの方に指し出すと、「おじいちゃんおかしあげましょう」と言いました。おじいちゃんは、顔を横に振りながら「わしやいらん」と断わっています』

『ワカメちゃんは、手に持ったお菓子を、お爺ちゃんの鼻先にまで差し出して、「だいじょうぶよあたしやゆうかいしないから」と念を押しています。おじちゃんは、「ハハハハハッハ」と高笑いしています』

 

可愛いワカメちゃんでした。誘拐とは何のことか分かりません。お母さんが読んでいる新聞と、お姉さんが、大変そうに言う「誘拐」が、「誰かが誰かに何かをあげる」というのが「ゆうかい」と思ってしまったようです。

お爺ちゃんになって、公園などの一人寂しくベンチに腰掛けていると、ワカメちゃんみたいな可愛い子が、「お菓子あげるよ」「誘拐」しに来ますよ。

お爺ちゃんが優しそうで寂しそうだと、ワカメちゃんのような女の子が近づいて「誘拐」するかもしれません。

しかし、お爺さん!豹変して「怖いお爺さん」になって、近づく可愛い女の子を誘拐してはいけませんぞ!

優しいお爺さんだったら「わっはははは」と高笑いするでしょう。

「お菓子一つ貰うよ、お譲ちゃんにお菓子を貰って誘惑されるよ、はっはっは~」

 

サザエさん―シルバ(43)

 

お爺さんを誘って一緒に銭湯に行くような、変わった趣味を持った坊主はいないでしょう

 

朝日文庫版16巻〔138頁〕・昭和31年

『マスオさんが、タオルと石鹸を入れた洗面器を持って、銭湯に行こうとしている時、カツオ君がタオルを肩にかけ外に出て行こうとしていました。それを見たマスオさんは、「おまちよいっしょにいこう」と声をかけました。すると、カツオ君は、マスオさんを振り返り、「ぼくともだちをさそっていくの」と言って出て行きました』

『カツオ君は、友達の加藤君家に来ました。加藤君!と声をかけると、家の中から、髪は薄く、無精髭を生やした、禿鷹のような、浴衣を着たお爺さんがタオルと石鹸を入れた洗面器を持って出てきました。カツオ君は、お爺さんに、「カトウくんは?」と尋ねました。すると、お爺さんは、「まごはもうさきにでかけましたが」と教えてくれました』

『お爺さんとカツオ君は並んで歩いています。お爺さんが、カツオ君に言いました。「同級であんなさるかね」。カツオ君は、首をしなだれて、「はあ」と返事をしています』

『カツオ君が、冴えないお爺さんと、トボトボと歩いているのを見た、マスオさんは、「へえーかわったしゅみだね」と呆気にとられています』

 

マスオさん!カツオ君の風呂友達は、そのお爺さんではありませんよ。カツオ君には、お年寄りを介護や介抱してお世話する趣味はありません。

カツオ君は、同級生の加藤君と仲が良く、何時も誘って銭湯に行くんです。でも今日は、学校で、少しだけ口喧嘩して、加藤君の方が、何時までもいじけて一人で銭湯に行ってしまったんです。加藤君は、同級生だから、肩を並べて銭湯に行くけど、お爺さんが「同級生であんなさるかね」と言ったって、同級生でもない、禿げ鷹のような頭をしているお爺さんと、並んで銭湯には行きたくないはずですよ!

カツオ君は、きっと、言ってますよ、

「マスオ兄さん!僕は、お爺さんを誘って一緒に銭湯に行くような変わった趣味は持っていないよ。今日は、友達が一人で先に行ってしまったから、お爺さんと仕方なく一緒に歩いているだけだよ」

と!

サザエさん―シルバ(42)

 

年寄を驚かさないでよ!

 

朝日文庫版14巻〔136頁〕・昭和30年

『サザエさんが、門を出た外で焚火をしていました。右手に細長い棒を持ち、左手は喉元を抑えているように見えます。立派なアゴヒゲをたくわえた背の低い、お爺さんが、杖をついて、近寄ってきました』

『お爺さんは、両手を焚火にかざして温めています。そして、目を丸くして黙って立っているサザエさんに、「たきびですか」と話し掛けています』

『サザエさんは、眉毛を八の字にし、頬を膨らませて胸を叩き苦しそうです。お爺さんは、サザエさんの苦しそうな顔を、首を伸ばして覗き込んで見上げています』

『サザエさんは、目を丸く見開いて、卒倒してしまいました。お爺さんは、目の前で、女性が倒れてしまったのを見て驚いて、倒れたわけは、すぐにわかりました。お爺さんは、大きな声で「たいへんじゃイモがのどにつまったらしい」と叫びながら、救いを求めて走って行きました』

 

お爺さんは、びっくりしたでしょうね!

焚火をしていると女性が、目の前で、喉を抑えながら、頬を膨らませ、目を丸くしている。

「わしが、手を温めようと焚火にかざし、焚火ですかと話し掛けると、なんだか返事をしたそうな様子じゃったが、声が出ないらしい。目を丸くして、わしを見つめるんだ。わしもニコニコ愛想笑いをして女性を見ていると、なんだか変だ。直ぐに、苦しそうな顔になり、胸をボーンボーンと叩きはじめたんだ。何発ぐらい叩いたかな~と思ったら、急に丸太棒が倒れるように、体を真っすぐに硬直させたまま倒れてしまったんだよ。驚いたね!わしゃ、でも、わしゃまだ耄碌してはいない、直ぐ分ったよ。この女性は、焚火でやきいもを楽しんでいたんだ。、どうやら食いしん坊らしく、焼いたイモを沢山食べすぎて、喉をつまらせたようだ。わしゃ、焼きイモで倒れた人を救助することはできない。だから、出来るだけの大きな声で助けてくれと叫んだんだよ!「大変じゃイモがのどに詰まったらしい」と恥ずかしいことを叫んでしまった。ご免勘忍してくれ!でも誰か助けにきてくれるよ。わしの声は、まだまだ大きいから、誰か聞いてくれたはずだ」

サザエさん―シルバ(41)

 

優しいお爺さんと可愛い女の子―2

 

朝日文庫版14巻〔78頁〕・昭和30年

『セータにズボン姿の太った、下駄履きのお爺さんと、着物を着た、下駄履きのお爺さんが、公園を散歩中、バッタリと会いました。2人は、共に手をあげ、大きな声で挨拶をしています』

『太ったお爺さんが、「やすみがつづきますな」と言いました。着物を着たお爺さんが、「天皇たんじょう日、日曜日、・・・・え~と」と指を折りながら数えています。2人が、お喋りに夢中になって、歩いていると、縄跳びの縄を持ったワカメちゃんが、縄を引きずりながら付いてきます』

『いつの間にか、2人のお爺さんの話に割り込んできたワカメちゃんは、着物を着たおじいさんが、休みの日を、指を折って数えていると、続けて、「けんぽうきねん日、こどもの日」と教えてあげました』

『その内、ワカメちゃんは、2人のお爺さんの間に入り、並んで歩いています。セータを着たお爺さんが、「へんなつれができましたな」と苦笑いしながら言うと、着物を着たお爺さんも、仕方ありませんねと言わんばかりに、セータを着たお爺さんの方を見ています』

 

今日は、学校が休みだったので、ワカメちゃんは、公園に行って、縄跳びの練習をしていました。すると、2人のお爺さんが、お喋りしながら散歩をしていました。2人の声は、大きくて、縄跳びしているワカメちゃんにも、よく聞こえました。一人のお爺さんが、「やすみがつづきますな」と言いました。外のお爺さんが、「天皇たんじょう日、日曜日、」といって「え~と」と言いました。ワカメちゃんは、「えーと」の先を知っていました。そこで、二人に教えてあげようと、後に付いて行きました。

ワカメちゃんは、二人のオジサンの間に並んで歩きながら、「あのね、お休みは、憲法記念日、子供の日もあるんだよ」と教えてあげました。

二人のお爺さんは、突然、下の方から、女の子の声がして、驚きました。女の子は、一緒に並んで歩いているので、どうしたらいいか戸惑いました。優しいお爺さんでしたので、「あっちへ行きなさい」とは言いませんでした。可愛い女の子と一緒の散歩が楽しくなり、「縄跳びしていたのかい」と聞きました。ワカメちゃんは、「おじいちゃん、今日は子供の日だから、学校休みだよ!だから公園に来て、一杯、縄跳びするんだ!」と教えてやりました。すると、セータを着たお爺さんが、下駄を脱いで裸足になり、「縄跳びの飛び方教えてあげよう。縄を貸してごらん」と言って、跳び縄を借りました。お爺さんは、縄を借りて廻そうとしましたが、ワカメちゃんの縄は短くて、縄が頭に引っかかり飛ぶことができませんでした。ワカメちゃんは、可笑しくなりました。そして、「私、縄跳びはちゃんとできるんだよ」と教えてあげました。下駄を脱いだお爺さん達は、「ワッハ・ハ・ハ」と楽しそうに高笑いしていました。

 

昔は、公園の散歩は、下駄を履いていたんですね。今は、下駄を履いて公園を散歩するお爺さんには、多分、会えないでしょう。

今日は、散歩しながら、「この靴は古くなったな新しい靴がほしいな!どんな靴が良いかな!」と散歩をしている人達の靴を見ると、殆どウオキングシューズで、カッコいいのが、色々とあるのですね。その中にも、気に入ったものありました。「アレにしよう」と決めましたので、近いうちに靴屋に行くことにします。

勿論、下駄を履いている人は、一人もいませんでした。