”お詫び”を読んで考えたこと | 2コ下のブログ


AKB48秋葉原劇場の細井孝宏支配人が更迭された。原因は戸賀崎氏(とがちゃん)のバカッターが炎上したから。

 

少し補足すると、NGT48の山口真帆さんの暴行事件について第三者委員会で事実関係の調査中であるにもかかわらず、当時NGT48の劇場支配人であり、問題報道後1月14日付でAKS東京本社の「取締役室」付に左遷された今村悦朗氏と、元AKB48総支配人で現在はフリーターの戸賀崎智信氏の3名で浅草の居酒屋で飲み、事件について色々と話題にしたことが、責任ある立場にある者として許されないとされた結果、支配人を退任することになったということ。今村氏は契約解除と発表されているが、細井氏は支配人退任であるから契約関係は継続しているものと推測される。

 

 

とがちゃんのバカッターは、スリーショットを掲載した上で、報道をくだらないとこき下ろし、怒ったファンからの批判に対して軽々しい返しをしていて、写真を見る限り結構気持ちよく酔っ払っていた様子なので筆が滑ったのだろうと思われる。しかし、本来であれば若い女の子たちを預かり、誰よりも彼女たちの味方になってやらなければならない運営の現場責任者(と、経験者)が、部外者を含めて内情を交換し、その上でたいした事件ではないと被害者を軽んじるような言動をしたのだから、ファンならずとも義憤にかられるのは当然だと思う。

 

細井氏を少し擁護すると、彼もとがちゃんと飲んでいることや、浅草で飲んだ経験があまりなかった様子で、灯台もと暗しで面白い街であることなどをつぶやき、とがちゃんのワンショットをツイートしているが、今村氏と一緒だということには一切触れていなかった。ただ、とがちゃんのスマホに今村氏を含むスリーショットで写り、彼がそれをツイートすることを止めなかったというミスを犯した。恐らく、事件の責任を押しつけられ更迭された今村氏を慰労するという思いもあったろうし、経験豊富な大先輩の意見やアドバイスを聞いてみたいという考えもあったのかもしれないが、脇が甘かったと言われても仕方がない。

 

山口真帆さんの暴行事件については少々不可解なところもあるが、現役メンバーが寮のドアを開けたところ複数の男性ファンに襲われ、死を意識するほど怖い目に遭ったという部分については事実とされており、どんな経緯があったとしても許されることではなく、また実際の結果がどうだったかということはさておき、最悪の事態につながる可能性もあったということから、絶対に起きてはならないレベルの事件だったことは論を待たない。とがちゃんがどんな話を聞いたのか知るすべもないが、バカッターに記載された内容から推測すれば、恐らく事件に至る経緯や、その後の報道について事実をよく知る者からすれば「大袈裟」だと反論したくなる状況なのだろう。そもそもNGTの運営が事件後もみ消しを図って被害者本人に告発されたり、報道対応をミスしてメディアスクラムを招いたり、お座なりな第三者委員会でお茶を濁そうとしている姿勢を批判されていることも、全て根っこは同じだと考える。

 

世の中きれい事だけでうまく回るものではないということは、おっさんなのでよく知っている。しかし、本音と建て前というものもあって、少なくとも公の場では背筋を伸ばしきちんと紳士的に振る舞わなければならないのも事実である。いい年をして、或いはある程度の規模で商いをしていて、愚連隊のような反社会的態度は許されないのである。事実関係を知らないから断定的なことはいえないが、それなりに知恵も経験も資金もある彼らがどうしてこの程度の事件を早急に処理できないのか、不思議でならない。

 

細井さんについては、2011年頃からAKSの本部にはいらしたそうだが、秋葉原劇場の支配人になるまで私は知らなかった。前任の茅野しのぶさんはメンバーと仲が良かったし頑張っていたけれど、正直なところ機能不全に陥っているように見えたから交代するのは賛成だった。ただ、過去の経歴が華麗だったことや、京楽関係ということで個人的にはあまり好きになれなかった。褒められるより非難されることの方が多いポジションだったが、彼のタフでありかつ丁寧な仕事ぶりを見ていて、それまでの歴代支配人のようなたたき上げのべったり感ではなく、一般の企業にあるスマートさを感じたし、バランス感覚が良いと思ったし、AKSにしては得がたい逸材なのではないかと、私は評価していた。グループの活動歴が長くなってオリメンがほとんどいなくなり世代交代が進む今、上手にイメージチェンジして新しいファンを開拓してゆくことが大事で、第二の創業期を迎えたAKB48グループには、こういう人物が必要だと思ったのである。それだけに、血が濃いとはいえ、今は部外者であるとがちゃんのミスにより責任をとらされて更迭されるという今回の事態は貴重な人材の喪失であり、非常に勿体ないことだと残念に思った。象徴的な重い立場ではあるが、官邸でも、官僚でも、上場企業の経営者でもない彼に対してこういう処遇をするのはあまりにも世間の顔色を意識しすぎたステレオタイプな反応であり、AKBのためになるのかという観点で考えると、かつて湯浅氏をファンによる信任投票をやって研究生に降格させたようなシャレの効いた対応はなかったのかと残念に思う。今回は場合によっては刑事事件にもなり得た事件を発端としており、恐らく顧問弁護士がAKSの経営意思決定に強く影響しており、その結果今回の素早い更迭につながったのだろう。

 

NGT48で起きた事件がAKB48に飛び火したことで、今まで無関係だと思っていたメンバーやスタッフにも緊張感が生まれたかもしれない。グループ全体としては人気が下降気味のこのタイミングで、対応を間違えれば命取りになるような事件が発生し対応がずっと後手に回っていることからも、緊張感をもつこと事態は良いことだと思う。

 

AKSのスタッフや、責任ある立場の人達を見るにつけ、世の中人材不足だなあと思ってきた。歴史が浅く、浮き沈みの大きい不安定な業界だから仕方がない面もある。組織の底力はアクシデントに遭遇した時に真価が問われるものである。しかし、彼らは夢を売るという非常に有意義な仕事をしてくれているのである。なんとかこの現状を乗り越えてほしいと切に願っている。そのための第一歩は、メンバー、そしてファンからの信頼を獲得するということではないだろうか。また、膿を出すにも今をおいてないくらい好機だと私は考える。