2019年2月21日 両家顔合わせ(劇団シアターザロケッツ)のキャストを予想してみる | 2コ下のブログ

 

演劇は参加してナンボではないかと思っている。もちろん、役者でもないただの素人が舞台に上がることはできないが、劇団によっては色々と情報提供してくれるので、稽古の段階から胸ときめかせ、グッズを買い、差し入れをし、本番では大いに笑い、泣き、時と場合によってはヤジる。せっかく毎回生で展開されるのだから、舞台上の役者と観客との相互作用を楽しみたい。もちろん、空気を読んでやりすぎないようにしなければならないが。

 

久しぶりのシアターザロケッツ本公演「両家顔合わせ」、顔合わせの顔合わせが済んで稽古が始まったとのこと。公式サイトの「あらすじ」と出演者の情報提供があったので、少し遅れたが待ちきれない私は役の予想をしてみることにした。やや、「佐山家シンフォニア」に引っ張られすぎているかもしれないが、かなり真面目に考えてみた結果が上の通りだ。予想したからには残しておかないと、後出しジャンケンでは面白くないのでブログに書いておくことにする。念を押してことわる必要はないと思うが、すべて私の独断と偏見による戯言にすぎないので苦情は受け付けないが、未熟さによる読み違いを指摘し、バカにされる覚悟はできている。

 

■堅いと思っているところ

まず、冒頭で登場する従業員、「小坂慎之介」。料亭の従業員でありながら、板場ではなく、番頭でもない、従業員としてはランクが低そうなのにあらすじの最初に登場する。しかも、両家顔合わせの際に当主とその娘に替玉を立てるという咄嗟のアイデアを思いつくという浅はかなトラブルメーカーぶり、これは井上貴々さんをおいて他にあるまい。

 

替玉を立てるということは、第一印象を良くしたいということだろうから、見た目の良いのを持ってくる筈である。そして、荒木節なら次々とボロが出てあたふたする筈なので、替玉には高度な演技力が要求される。長身でイケメンの佐藤弘樹さんは、新婦の父であり老舗料亭の当主(西村徳一)として不足はない。西村桜の替玉は、(ぱっと見)美人で頭が良さそうな岡田彩花をおいて他になかろう。ポーカーフェイスで難しい役をこなしてくれる筈だ。本物の西村桜は、目玉ゲストの大森美優だと考える。別に見た目も悪くないし、お嬢さまっぽい雰囲気を帯びているし、替玉を立てる必要もなさそうだが、そこは性格が悪いとか、極端に人見知りとか、緊張すると変なことをする癖があるとか、見た目以外の欠点を設定されていると思われる。結婚相手の東条蒼史は、良家の跡取りでイケメンだろうから、やっぱり目玉ゲストの網代将悟さんが順当なところだろう。

 

■やや迷ったところ

新婦の父である西村徳一は、今回東条家に初めてお目見えすることになる。良家の跡取り(蒼史)の縁組みで、気張って良家顔合わせなんてことをするくらいだから、嫁(桜)はもちろんのこと、それ以上に親兄弟が厳しく査定されるはずである。小坂慎之介が替玉を立てようなんて余計な提案をするということは、第一印象に問題があるからだと考えた。西村徳一の替玉は、独特の風貌をお持ちで強烈な第一印象のある木村俊之さんか、常識外れの変人を演じさせたら右に出る人のいないすずきつかささんかで悩んだ。つかささんはアクの強い独特な役を演じることができるから、新婦の父にしておくのは勿体ない。また、後段のアクセントでお涙頂戴になるときに、新婦を送り出す父としてどちらがより感動的かと考えた結果、西村徳一の替玉は木村俊之さんだと考えた。ただ、ちょっと安直すぎる気がしていて、少し自信がない。

 

新郎、東条蒼史の姉の東条華は、替玉を立てた西村家の様子がおかしいところに気付き、小坂慎之介の口を割らせようとするトラブルメーカーである。要になる役なので、ベテランが当てられているのではないかと、最初は加藤真由美​さんかと思ったが、網代将悟さんの姉というには少々年齢が離れすぎている。東条家も良家なので、ちょっと嫌味な美男美女で固めるはずだということと、怪演できる演技力ということで、渋木美沙さんではないかと予想した。シャンパンタワーの時みたいに、嫌なやつを演じてくれる筈である。加藤さんは、仲居役でどうかと考えた。仲居は年配から若手まで誰がやっても違和感がなく、従業員でありながら裏にも客前でも神出鬼没で、物語をひっくり返すジョーカーにもなり得る幅広さから、ベテランの加藤さんがぴったりではないかと考えた。

 

番頭役が誰かというのは正直なところ迷った。番頭というのは実務の要なので当主よりしっかりしているものだが、頼りない番頭がいてもコメディなら成立してしまう。木村さんか、赤沼さんか、林さんか、すずきさんかで迷った。赤沼さんが新婦の父だと、替玉を立てる必然性に説得力がなくなってしまうと思い、木村さんを当ててみたため、林さんか赤沼さんかでいうと、消去法で赤沼さんだと考えた。必然的に、小うるさくてしっかりものの番頭さんということになる。

 

林さんは演技の幅が広いので、正直なところどの役になるのか自信がなかった。ロケッツでは弁護士とか、お堅いのに崩れていって面白い役が多いことから、駐在さんではないかと考えた。ただ、番頭もできそうだし、西村徳一の替玉でも面白そうだ。

 

■自信がないところ

すずきつかささんは、毎回予想を覆すような役をやられるので、一番予想が難しかった。ただ、ロケッツではいつも物語の主筋にかかわるような役というより、印象的な脇役をされることが多いのと、恐らくお得意の変態的なキャラクターを出してこられると思ったので、駐在や番頭ではなく、板前ではないかと消去法的に予想した。別に板前に変態が多いとか思っているわけではないので、あしからず。板前は包丁一本さらしに巻いての渡世だし、上方が江戸前より格式が上みたいなことを言う業界だったりするので、関西弁でもおかしくない、と読んでみた。

 

ロケッツ所属の残りの役者さん、根魏山リョージさん、十二月一日絵梨さん、だんしんぐ由衣さんは何をやるのかちょっとわからなかったが、あらすじに明確に登場しない「にしむら」の従業員であろうとは考えた。そこで、板前と仲居ととりあえず当てておいた。由衣さんはギャル芸を出してくるのではないかと思われ、仲居でもあり得るのだが、料亭にあんな仲居さんいるか? ということで飲料販売員(ヤクルトレディ)ではないかと考えた。ちょっと佐山家に引っ張られているし、実際の料亭には由衣さんみたいな仲居さんもいるので、我ながら確信はない。しわすださんも色々な役ができるので自信はないが、陰のある女性役が多いから東条華ではないだろうし、ひょっとしたら西村桜(本物)もできなくはないと思ったが、お得意の地味で目立たない女性の演技で仲居をやりつつ、実は悪いことを考えているといった役が面白いかなと思った。少しシャンパンタワーに影響されすぎているかもしれない。

 

役を予想すると、配役が合っているかどうかはともかくとして、仕掛けの数々がアイデアとして浮かんでくる。しかし、毎回荒木さんの脚本は私の予想なんて遙かに超えて面白かったし、なるほどその手があったかといつも感心させられてきた。両家顔合わせなんて、建前だらけでストレスフルだし、できれば避けて通りたいところだけれど、別々の家同士が親戚になるというプロセスでは不可避の行事であって、緊張しているだけにちょっとしたことで面白くなり得る、さすが良いところに目をつけられたと思う。私も経験があるが、一般家庭の顔合わせは十分に根回しをしたところで、新郎側が主導し、新婦側が諦めの境地で「シャンシャン」で終わるというのが一般的だ。ところが本作では、おとなしく貰われてゆく筈の新婦側が替玉とかふざけきっているところが面白い。今から本番が楽しみでならない。もちろん、一通り見ただけではつまらないので、舞台との距離を変えながら、複数回見させて頂くつもりである。役者の方々に笑い声が届くように、しっかり腹筋を鍛えてからポケットに臨みたい。