
私撮影:海老名駅より
この鉄道車両は、「相模鉄道(相鉄)11000系」でございます。
相鉄11000系とは、相鉄が将来的に他線を経由して東京都心に乗り入れる計画が進んでいる事で、この計画に対応した車両の増備が必要になって来たのと、製造から約25~30年以上経過して老朽化が進んでいる「5000系」及び「7000系」の置き換えを目的に、2008年(平成20年)から「東急車輛製造・総合車両製作所」と一部車両は東日本旅客鉄道(JR東日本)「新津車両製作所」で製造された通勤型電車です(編成は全て10両編成)。
・車体構造
車体に限らずですが、先代車の「10000系」に続いてJR東日本の最新通勤型車両をベースに設計&開発されており、今回は「E233系」をベースにしています。
※他線の車両をベースとする事で、設計費やライフサイクルコストの削減を狙っており、低出費でありながらも最新の車両を導入出来ると言うメリットがあります(反面にデメリットとして、車両に関するその鉄道会社の個性が失われてしまう)。
車体材質は、軽量ステンレス鋼を用いており、ステンレス製による錆に強い性質からメンテナンスが簡略化出来るのと、「軽量」と前記にある様に軽量ボディー採用なので、軽量化された分の従来ボディー重量から削減された無駄な重量による走行消費エネルギーを減らす事が出来ます。
更に、この軽量ステンレス鋼は軽量ながら従来よりも厚みのあるタイプを用いており、2005年(平成17年)に発生した西日本旅客鉄道(JR西日本)の「福知山線脱線事故」を踏まえて衝突事故時の耐久性を高めています。
車体各寸法は、全長20,000mm・全幅2,950mm・全高3,620mm・編成重量311.9t・軌間1,067(狭軌)mmとなっており、特に全幅はE233系と同様に「ワイドボディー」を採用している事から寸法が他の車両よりも大きめであります。
車体デザインは、前面を除けばE233系と殆ど同じであり、ちなみに前面はライトなどの配置を除けばJR東日本のE231系ベースの「10000系」と良く似たデザインになっています。
一方の側面は、片側に4箇所の両開きドアを備えた一般的なデザイン配置(構造)であり、当たり前の事ですが両方合わせて8箇所のドアが存在します。
ボディーカラーは、営業運転開始時から相鉄のグループカラーである「相鉄ブルー」と「相鉄オレンジ」となっており、上部にブルー・下部にオレンジと言う配色(10000系とほぼ同様)です。
その他に車体構造で特筆しておくべき事柄としては、本形式では衝突事故対策として厚めのステンレス鋼を採用ている事はさっき書きましたが、更に安全性を確保(特に運転士に対する)する為に、運転台を比較的高い位置に設置して十分な視界を確保したり、先頭車両を「クラッシャブル(衝撃吸収)構造」として運転台部分の奥行きを長くしています。
ちなみに「クラッシャブル構造」とは、自動車のボンネットやバンパーみたいに衝突時にあえて潰れやすい部分を設ける事で、運転士と乗客への衝撃を吸収し軽減する構造及び仕組みであります。
またクラッシャブル構造の採用により、乗務員室次位の客室ドアの位置が後方に移動した為、その近くにある座席は4人掛けになった(他の車両は6人掛け)になったのと、ドア位置変更にも対する留置線昇降台や横浜駅ホームの安全柵等の寸法変更が行われました。
編成両端の先頭車に装備されている排障器は、10000系と同じ形状であり、あと非常時に他系列と連結する事に備えて連結器は在来車と同じタイプの「小型密着自動連結器」にしています(加えて、連結器周辺にある「スカート(排障器)」は、E233系と形状は異なりますが大型の物を採用)。
種別・行先表示器は、E233系と同タイプの「フルカラーLED式」を採用し、また同じく2段表示が可能な仕組みで、下段に途中駅停車中は次駅・始発駅停車中はスクロールで全停車駅を案内表示する事が出来ます(前面と側面共に、基本機能は同じである)。
前面上部にある前照灯は、相鉄としては初となる「高輝度放電ランプ(HIDランプ)」と呼ばれる白みの強い色のランプを採用し、遠方の視認性を高めています。
車体側面上部には、相鉄デバイス初の「車外スピーカー」を設置しており、このスピーカーからは車掌によるアナウンス・自動放送を流すことが出来ます。
冷房装置は、集中式の「AU726形」と言う物を採用しており、出力は58.14kW(50,000kcal/h)で各車両に搭載しています。
集電装置(パンタグラフ)は、東芝製「PT-7103E形」と呼ばれる、いわゆる「シングルアームパンタグラフ」を採用しています(このパンタグラフは、「10000系」の一部にも採用されました)。
・車内
シート(座席)は、全てロングシートを採用しており、このシートは1バケットシート仕様で1人分の着席区分が明確化されており、また中のばねを改良した事で座り心地は良くなっています(車両事に3人掛け・4人掛け・6人掛けの仕様かをりある)。
シートの生地色は、通常席の赤紫系と優先席は青色となっており、加えて座席には握り棒が設置され、つり革は灰色の三角形を装備・上部の網棚はパイプを組み合わせ作られた物・編成両端の1号車と10号車には車椅子スペースを設けてあります。
車内客用ドア上部には、相鉄では初採用となる17インチ横長の「LCD式車内案内表示器(SIS(Sotetsu Infovision System))」が1つのドア上部に対して左右2基設置され、右側は停車駅・乗り換えの案内&自線又は他社路線の運行状況等、左側は主に宣伝広告を流しています。
ちなみに、本形式の営業開始当初より「自動放送」が搭載されており、次駅・停車駅・乗換の案内や車内でのマナーに関するお願い等を放送してくれます。
車内全体の構成としては、全体的に白色を基調とし、客用ドアや車両連結面の貫通扉はステンレスの無塗装では無くて、丁寧にも化粧板仕上げとしています。
更に、客用ドアは視覚障害者へ配慮した設計(バリアフリー化)となっており、特にドア中央部の車内側は黄色く着色され、且つ床には黄色の滑り止めも兼ねた点字ブロックを貼付・ドア開閉時にはドアチャイムと連動して赤色ランプが点滅する工夫がなされております。
・運転席(車掌室)
上記で既に示しましたが、クラッシャブル構造を採用している為に、乗務員室内はスペースが広く確保され、あと踏切事故対策&視界性の向上目的として運転台が10000系よりも185mm高くした「高床構造」となっています。
更に、相鉄車両では初めて「グラスコクピット仕様」と呼ばれる液晶表示式運転台を採用しており、これはアナログの指針式メーター類を廃止する分、速度計・電圧計・ブレーキ圧力計等の運転に必要な情報を液晶3画面にて表示するシステムであります(E233系も「TIMS」と称した同様のシステムを用いている)。
その他、主幹制御器(マスターコントローラー)は「左手操作式ワンハンドルマスコン」を装備し、前面ガラスのワイパーは常用の2本に加えて補助ワイパーを1本設置し、万が一の故障時に切り換えて使用する事が出来ます。
・走行機器
制御装置は、三菱電機製「IGBT-VVVFインバータ制御装置(IGBT素子を用いている)」を採用し、主電動機(駆動用モーター)はE233系と同じ「ST-MT75型(出力140KW)」でありますが、耐寒耐雪を施す作業は製造時に簡素化して、その分でメンテナンス性を向上させています(10両編成出力は3,360kWである)。
歯車比は「1:6.06」で、起動加速度は3.0km/h/sとなっており、最高速度は120km/hでありますが、営業最高速度は100km/hに留まります。
駆動装置は、軽量とメンテナンス性に優れた「TD平行カルダン駆動方式」を採用し、台車 は「軸梁式ボルスタレス台車」で、動力車には「ST-DT71A形」order「ST-DT71B形」・付随車には「ST-TR255形」or「ST-TR255A形」が装備されています。
制動方式(ブレーキ)は、「回生ブレーキ併用電気指令式直通ブレーキ」で、相鉄線内には特別長い勾配区間が存在しない事から、「抑速ブレーキ」は将来の発展を見越して準備工事がされています。
電気指令式ブレーキは、一部の相鉄車両が搭載している日立製「電磁直通弁式電磁直通ブレーキ」とは互換性が無いのですが、非常時に双方の車両を連結し救助する娘とを見越して、ブレーキ指令読み換え装置を先頭車に搭載させております。
この事は11000系の走行機器のほぼ全体に言える事ですが、運転に不可欠な各種機器は同一の物を2つ以上搭載し、万が一事故や故障が起きたとしても、もう一つの予備機器に切り替えてやる事で自力走行出来る様にされています。
・保安装置
保安装置は、「EB装置(緊急列車停止装置)」・「TE装置(緊急列車防護装置)」・「相鉄型ATS(自動列車停止装置)」を現在装備し、その他に将来のJR線との直通運転を考慮して「ATS-P型(自動列車停止装置)」・「JR式空間波列車無線アンテナ」を設置する為の準備工事がされてます。
上記の準備工事は、他の速度車両にも順次改造により装着していますが、本形式唯一の事項として「JR式車両用信号炎管」も準備工事されていて、これは他の相鉄車両では行えない工事であります。
・運用&今後の動向
運用形態は他の相鉄車両と共通で、10両編成で本線(海老名~横浜間)又はいずみ野線(湘南台~二俣川間)の急行・快速、朝夕を中心に各駅停車に充当されています。
何度も書きます様に、この車両は10両編成であるからして、基本的には10両編成での運用に充当されていますが、もしダイヤが乱れた場合等には、8両編成の運用を代走する事もあったりします。
現状では、上記に示した通りの運用形態のみでありますが、実はあまり遠くない将来に他線への直通運転(乗り入れ)計画が浮上若しくは準備されています。
その代表的な直通運転計画としては、このブログ記事内でもチラッと取り上げた様に、ズバリ「JR東日本」との直通運転であります(そんな計画があるので、上記で紹介した様な保安装置の共通化を現在実施しているのです)。
この計画はほぼ実現すると思われ、その内容としては2018年(平成30年)度内の開業を目指しており、相鉄本線の西谷駅からJR東海道貨物線の横浜羽沢駅(新たに「羽沢駅」を設置予定)までの間に約2.7キロの連絡線新設工事を行って、双方の線を直通させようとしています。
更に現段階において計画されている運行ルートは、西谷駅からこの連絡線に入って東海道貨物線・横須賀線の線路を経由した後に湘南新宿ラインと同じルートで新宿駅方面に向かう運用を計画しています。
加えてコチラは実現が不透明でありますが、JR東日本が建設している東京~上野間の東北縦貫線への直通も行って、おそらく大宮付近まで運用する計画もある様です。
直通運転計画はまだあり、もう一つ現実的な直通運転計画としては、「東京急行電鉄(東急)東横線」との直通運転で、これは 同じく新駅になると思われる羽沢駅から東急東横線の日吉駅までを結ぶ約10キロの連絡線を新設し、途中駅として新たに設置予定である新横浜駅と新綱島駅を経由しながら、最終的に渋谷まで直通運転する予定です。
当計画も実現すると思われますが、東急東横線から更に「東京メトロ副都心線」・「東武東上線」・「西武池袋線」まで直通するかは不明であり、現在ネット上等で噂されている事からすると、あらゆる理由(地下鉄へ直通出来るかどうか?)からおそらく東急東横線の渋谷までの運用になると予想されています。
あと、JR線・東急東横線線への直通運転計画以外にも、海老名駅から小田急電鉄小田原線の本厚木駅までの乗り入れ・JR東日本相模線への乗り入れも計画されている様ですが、双方の話が折り合わない事から現実化するかは不透明であり、且つ実現は難しいでしょう。
まあともかく、相鉄は将来の直通運転の動向が非常に楽しみな鉄道であると共に、今日紹介しました「11000系」は相鉄車両の中で最も新しい車両で、且つそれら直通運転に対応させる目的に導入された車両でもあるので、今後の11000系の動向についても本当に楽しみでありますね。
そんな大きな計画がある事から、11000系は現役車両として長期に渡って活躍すると思われますが、もし今日のブログ記事内容において、相鉄11000系に興味を持たれたのならば、是非とも実際に相鉄線へ足を運んでいただき、その車両を乗車又は写真撮影等してみてはいかがでしょうか(^.^)
Android携帯からの投稿

























