人生行路は天使の采配
■東京 ととのいました
休日の午前 昨夜から消すのを忘れていたテレビからの映像と音声で愛川聡は歩むのを止め立ち尽くした。
「東京・品川区の東京湾につながる運河で男性の遺体が見つかり身分証等から 天然資源鉱物技術開発機構 調査役 利根明さんと判明し警視庁は事件と事故の両面で捜査しています」
テレビ局アナウンサーがニュースを読み上げ終了しているのに 愛川聡は動転し めまいがするも態勢を立ち直した。
(まさか本当に原稿より先に現実になり上司が亡くなった)
玄関のチャイムが鳴った。
「宅急便です 愛川さん 宅急便です」
愛川聡は心が落ち着かないままドアスコープで確認せず鍵を回して開けた。
俺は奴の鼻先に麻酔薬を染み込ませた布で抑え込み玄関の三和土に崩れ落ちた体を抱き部屋へ引き入れてから ノートパソコンと
プリントアウトされた紙を掴み取ると担いでいたバックへ入れてから部屋内に有るはずの品物を探した。
30分も経たない間に目的の品物を探し出しバックへ入れて立ち去る時 机に広げられたノートに視線が向く。
エピローグ
【創作 旅 乗り物】
■東京
試合終了のホイッスルで俺の短い夏休みも終わった
冷えた缶ビールを鷲掴みにし喉に流し込むと
むせて涙目の霞んだ視線から天井の壁紙の
合わせ目が広がって浮き上がっている。
頬に伝う涙を拭くこともなくTV映像からは
異国より歓喜と無念が入り混じった姿と声が
室内で連日稼働のエアコンが自動クリーニング
突入擬音と重なった。
俺は奴のノートに書き込まれた文字に加筆した。
プロローグ
天使エブラハムは何人にも対し優しく微笑むとは限らない。
翼の見えない天使が舞い降りた あなかしこ
(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)
(画像はイメージです)
第一部 完
追記
【ととのいました 人生行路は天使の采配】
登場人物のスピンオフ版が発売中です
Amazon Kindle本 (電子書籍)
一瞬の交差 Kindle版
KIYO♂ (著) 形式: Kindle版