『在るべき形』

語り:エミリー

 

 

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あれからわたしとお姉ちゃんは雷神ステージを楽しんでる。

 

OPアクトのLenny code ficitonから始まって今、ゴールデンボンバーのステージが終わった。

 

次がいよいよ本命のUVERだ。

 

そのステージが始まるまでの間、隣のお姉ちゃんがわたしに言った。

 

「あぁ~!面白かったね!ゴールデンボンバー!」

 

「うん。わたし、あの人達の曲はよく知らないけどあのパフォーマンスすごく面白かった。」

 

「あの人達は歌より相手を笑わせる方で有名だからね。あんたも結構、楽しんでたじゃない。」

 

「魔法界じゃこんな派手なイベントそうないもん。やっぱり楽しまなきゃ。」

 

「あたし、思ったんだけどさ。あんた、昔と比べて明るくなったね。結構、内気でさ、怯える事とか多かったじゃん?怖いものとか見てよくあたしに泣きついてきたりしてたのに。」

 

「お姉ちゃんもそう思う?実はわたしもそう思ってるんだ。魔法学校の授業で失敗して落ち込む事とか多かったけど今じゃめっきりそんな事は減った。きっと友達やお姉ちゃん、それにUVERの歌のお陰だと思う。わたし、皆から元気をもらってる気がする。UVERの歌はお姉ちゃんが薦めて聴かせてくれたお陰だよ。あの人達の歌を聴いてると元気が湧くの。特にあの曲。えっと…タイトルを思い出せない。“全部やって確かめりゃいいだろう”ってやつ。」

 

「あぁ、「PRAYING RUN」ね。あれは確かに前向きになれるよ。あたしも今でも失敗して落ち込む事はあるよ。そんな時は身近な友達と好きな歌があれば立ち直れる。あんたも同じだね。さすがあたしの妹。」

 

「そう!その曲!前のイナズマでも歌ってたよね。この後も歌ってくれるかな?」

 

「やるんじゃない?あれ、普段のLIVEでも結構、定番で人気も高いし。」

 

「そうだと良いな。それよりもうすっかり日も暮れて来たね。」

 

「今日のフェスも後はUVERとLUNA SEAだけだしね。もうすぐ始まるよ。楽しもう!」

 

「うん!」

 

わたしは笑顔でそう頷いた。

 

そう。わたしは変わった。

 

これもそれもみらい、リコ、は~ちゃん、モフちゃん、ジュン、ケイ。

 

わたしの大切な友達。

 

そして隣にいるお姉ちゃん。

 

 

UVERworld。

 

皆のお陰だよ。

 

そうしてついにその時が来た。

 

ステージ上の左右の大型画面に紹介映像とアナウンスが流れた。

 

“NEXT ARTIST UVERworld”

 

「エミリー!ほら、始まったよ!」

 

お姉ちゃんは嬉しそうにそう言って声を上げた。

 

「うん!」

 

周囲から大きな歓声が沸く。

 

見渡せば周りはすごい人。

 

これだけの人の中にわたしも紛れて一緒にこの日のLIVEを楽しんでいるんだ。

 

UVERが目当てじゃない人も一緒に楽しんでる。

 

それだけ皆が一つになって盛り上がってる証拠なんだね。

 

ステージからは「TYCOON」が流れ出す。

 

この曲は今、1番新しいオリジナルアルバムの1曲目のインスト曲だ。

 

そこにUVERのメンバーが出て来てそれぞれの位置に着いた。

 

克哉さん、彰さん、信人さん、真太郎さん、誠果さん。

 

そしてTAKUYA∞さんが出て来た。

 

「キャ~!TAKUYA∞~!!」

 

お姉ちゃんがTAKUYA∞さんに向かって叫んだ。

 

お姉ちゃんにとってTAKUYA∞さんが理想の男性みたい。

 

勿論、わたしだってそうだよ。

 

わたし達姉妹にとってこの人達は最愛のロックバンドなんだから。

 

そうしてスタンバイが完了すると1曲目が始まった。

 

「DECIDED」だ。

 

5人の奏でるサウンドにTAKUYA∞さんのキーの高い歌声が乗ってオーディエンスに向かって放たれる。

 

左右の画面には曲の歌詞がその曲をイメージしたアニメ映像と共に流れる。

 

それを見ているだけでその曲の世界に引きずり込まれる気分になれる。

 

炎も吹き上がるなど凝った演出だ。

 

その途中で「WE ARE GO」に切り替わった。

 

こうオリジナルとは違ったアレンジも良いよね。

 

TAKUYA∞さんはステージから下の方に降りて客席の上に立って叫んだ。

 

「他のアーティストを観に来たはずなのに、フェスが終わって心に残ってしまったのはUVERworldだった…。そう言わせたい。そんなこと出来るかどうかわかんねぇ。でも、出来るか出来ないかはやって確かめる!」

 

その言葉から次の歌を察する事が出来てわたしの中に喜びが満ち溢れた。

 

さっき、お姉ちゃんにも話したわたしが彼らの歌で1番好きな「PRAYING RUN」。

 

わたしもますます盛り上がった。

 

「全部やって確かめりゃいいだろう!」

 

わたしもお姉ちゃんもその部分を叫んだ。

 

努力する人を応援するこの曲。

 

“起こるべき奇跡が起きただけさ”

 

こんな歌詞、TAKUYA∞さんにしか書けない。

 

この人もそれだけこれまで頑張って来た証拠。

 

だからわたしも前を向いて頑張ろうと思った。

 

この曲はわたしにとっても1番の応援ソングだ。

 

その曲が終わるとTAKUYA∞さんはステージの真ん中に立ってまたMCに入った。

 

「イナズマ10年の歴史の中で最多出演のUVERworldです。ずっと好きにやらせてもらってたんだけど、そろそろみんなが喜ぶことやらなきゃなって。ひょっとしたらワンマンライブでも全然やらないような曲を!」

 

そう言って披露したのは「君の好きなうた」だった。

 

そのイントロが流れた途端、お姉ちゃんは泣いて喜んだ。

 

「嘘!この曲、歌ってくれなんてマジ!?超感激!!」

 

本人もそういう通り久しぶりに歌うその曲。

 

ドラマチックなバラード。

 

わたしもこの曲を初めて聴いた時はすごくうっとりした。

 

そんな曲をここで生で聴けるなんて本当に来て良かった。

 

お姉ちゃんは歌が終わるまでずっと泣いていた。

 

お姉ちゃんも結構、涙もろいんだね。

 

「イナズマ10年間に感謝です。でも、やっぱり俺らは最新の自分たちがカッコいいと思ってるんで、2030年対応の曲やっていい?」

 

このフェス10回目の中でT.M.Revolutionに次いで1番多く出ているUVERはもう1人の主役と言っても良いみたい。

 

これからも毎年、出て欲しいな。

 

そう言って歌ったのは最新曲の「ODD FUTURE」。

 

お姉ちゃんも好きな『僕のヒーローアカデミア』ってアニメのOPテーマにもなってた曲。

 

UVERはアニメのタイアップが多い。

 

それだけオファーが多くて、そのアニメに合った曲を歌えるのだと思う。

 

それからまたMC。

 

「実家が凄く近くて。昨日リハーサルが終わって実家まで走って帰りました。遠くから来た人…このあたり、超ド田舎やばいっしょ(笑)

でも、俺はここでやりたいことを見つけた。歌詞を書くことをみつけた。滋賀県でたくさんのライブを観に行って、いいライブを観るたびに悔しくて。みんなはどんな人生を送りたい?ほんの少しでもやりたいことがあって、今日UVERworldのライブを見て感じるものがあったら是非始めてほしい。いろいろ言う人もいるかもしれないけど、俺たちも数年前まではそうだった。そう、俺たちは、昔はあなたたちと同じ場所にいたんだから。証明完了!」

 

前の時もこうしみじみと来るMCをしてくれたTAKUYA∞さん。

 

この会場のある滋賀はこの人達の地元。

 

西川貴教さんと同じでそれだけここを愛しているって言う地元愛を感じた。

 

わたしだってそうだよ。

 

わたしも生まれ育った魔法界が好き。

 

そしてこんなに素敵なフェスが開かれて、UVERworldのいるこのナシマホウ界と滋賀県も大好き。

 

わたしもお姉ちゃんも今、この烏丸半島にいる。

 

ここにいる数万人と一緒にいる。

 

雷神ステージでのLIVEを観に来たんじゃない

フリーエリアにだけ来ている人達も、

 

Lenny code fictionを目当てで来た人達も、

 

西川貴教さんを目当てで来た人達も、

 

ROTTENGRAFFTYを目当てで来た人達も、

 

和楽器バンドを目当てで来た人達も、

 

欅坂46を目当てで来た人達も、

 

ゴールデンボンバーを目当てで来た人達も、

 

わたし達と同じUVERworldを目当てで来た人達も、

 

この後のLUNA SEAを目当てで来た人達も、

 

皆、今ここで同じ時間を過ごしている。

 

この日のこの数時間をこうして過ごせる幸せを改めて感じた。

 

それから「Q.E.D.」、「零HERE」、「IMPACT」とかっこ良いロックチューンが3曲続いた。

 

「ここから数分間は俺たちが世界の中心だ!東京じゃねぇ、大阪じゃねぇ、ここ滋賀県、イナズマだ!」

 

そう熱く話すTAKUYA∞さん。

 

その通り。

 

その中心にわたし達がいる。

 

空はすっかり暗くなり、ステージは明るくライトアップされ、その中で盛り上げるUVER。

 

間違いなく最高の気分。

 

それはお姉ちゃんも同じだった。

 

「俺がイナズマで感じた、イナズマ史上最高の一体感でした!ありがとう!どこでライブをやっても集まってくれる人がいるのを俺たちは知っている。いつも応援してくれるCrewのおかげで、どんな場所でも胸を張ってライブをすることが出来るんです。ただ、次にやる曲は俺たちを応援してくれてる人、初めて出会うという人、関係ない。まだ、音源になってない曲をやります。すべての人を楽園へ、音楽の楽園へと連れていきます!」

 

そう言って披露された次の曲は「EDENへ」と言う新曲だった。

 

まだ発売はされてないからわからなかったけど、落ち着いた気分にさせてくれるバラードだった。

 

UVERは新曲のリリースもLIVEも実に精力的だ。

 

そしてラストナンバーと言って披露されたのは「在るべき形」。

 

これもLIVEの定番。

 

そしてわたしの応援ソングの1つ。

 

わたしも未来を自分の手で切り拓く!

 

そうしてこの日のUVERのステージは終わり、メンバーは退場して行った。

 

わたしは隣のお姉ちゃんに言った。

 

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「もう最高だったね!お姉ちゃん!」

 

お姉ちゃんは満面の笑みで答えた。

 

「もう最高中の最高だよ!やっぱりイナズマはUVERのためにあるようなもんだよね!あんまりかっこ良過ぎたから我を忘れちゃってたよ。」

 

「わたしもこんなに楽しい気分を味わえたのは久しぶり!」

 

「あたしもあんたと一緒にUVERのステージを観れて言う事なしだよ!これで後はLUNA SEAだけね。」

 

「LUNA SEA、ロレッタ先生が大好きなんだけどわたしは曲をよく知らないんだ。だからもう帰らない?」

 

「でもせっかくなんだから周りにあわせて盛り上がれば良いじゃない!最後にはまたドカ~ンって花火も打ち上がるんだしさ!」

 

「そうだね!」

 

そうしてこの後のLUNA SEAも楽しむ事にしたわたしとお姉ちゃんだった。

 

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(TO BE CONTINUED...)

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前々回前回に続き『魔法つかいプリキュア!』のエミリーが主役のスピンオフ小説の続きをようやく書けました。

 

今回は9月に行ったイナズマロックフェス2018のUVERworldのステージの感想も兼ねた内容になっています。

 

作中のTAKUYA∞のMCはイナズマの公式サイト内のレポートを引用しています。

 

この後、大トリのLUNA SEAのステージの感想を普通の記事としてアップしてから、エミリーの終演後の様子を描いた話で今回のエミリー編は完結となります。

 

そしてそれからback numberの曲を使ったケイ編を書いて行きます♪

前にも書いた通り、ケイ編は現代日本を舞台にナシマホウ界のごく普通の女子高生となったケイの日常を描いて行き、ジュン編とエミリー編よりもシリアスな内容にします。

何かお薦めのback numberの曲があれば教えて下さい。

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