定年延長制度最後の年、ボッシュが扱った10年前の未解決事件の顛末を描いた作品である。
ボッシュは65歳になり、マデリン(ボッシュの一人娘)は17歳になっている。
ボッシュの相棒は、メキシコ系の新米刑事ソトである。
今まで以上に丁寧に事件を解明していく二人。その描写はたいへんしっかり描かれており、本物のアメリカの刑事とは、ボッシュのようなタイプなのだと納得する。
手がかりのつかみ方、真実を解明するための手順と手段は、まさしくそのようであるだろうというリアリズムで描かれている。
コナリーはやっぱりすごい!
主人公の心情と行動、推理の仕方は実に無理がなく、着々と真実に迫っていく。
ラストの50ページほどの、真相を解明する場面とその結末の書き方には、現実の厳しさがある。ボッシュシリーズの最終回といっても過言ではない、痛切なラストシーンなのだ。(この作品の後もボッシュシリーズは続きますが)
マイクル・コナリーは、たしかにアメリカを代表する警察小説作家である。