僕達はコモンウェルスに帰ってきた。ヌカ・ワールドの再建に時間を掛けた結果なのか、レイダー達が再び増えたようにも感じる。向こうには2カ月位いたので時間はそれなりにあったという事だろうか?まぁ、仕方がない。何事も万事上手く遂行出来るわけじゃないからね。いつものように戦ってレイダー集団を壊滅させるだけだ!
業魔、治安維持に邁進すべし
僕達はいつものように治安維持活動を行った。順調にレイダー集団を壊滅させていったが、Pip-Boyに安全保持局から通信が入った。サウガス製鉄所にフォージ残党が立て籠もっているというのだ。それとライダブルボットも保有しているらしい。タイプはプロテクトロンとのこと。早急に対処しなければならないだろう。
僕達はテレポーテーションしてサウガス製鉄所に向かい、そこにいたフォージ残党を殺しつつ進んだ。あらかた全滅させた後、最上階に出ると情報通りプロテクトロンタイプのライダブルボットがそこにあった。担当パイロットのレイダーが搭乗しようとしたところ、僕はアクセラレーターで撃ち殺して未然に阻止するのだった。
その後、プロテクトロンタイプのライダブルボットをアバナシ―・ファームに運んだ。アバナシー家の皆は驚いたが、僕は一旦置くだけだから気にしなくていいと言って説得した。
置き場を確保して少し休憩した後、アバナシ―・ファーム付近の検問所にアルビノ・デスクローと発光デスクローが現れたとPip-Boyに通信が入った。僕達はそこに急行し、CWトルーパー達に加勢した。どちらのデスクローもブラステックやアクセラレーターの掃射で難なく殺せた。こちらの犠牲者はゼロだった。間に合って良かった。
戦闘が落ち着いた後、僕はふと気付いた事がある。量産型アクセラレーターを抱えたCWトルーパーが少数いたのだ。
僕はPip-Boyでロボット工学部のアランさんとマックスさん、アドバンスシステム部のマジソンさんやロザリンドさん、ウォレスさんに確認を取ると、ヌカ・ワールドでの量産化したアクセラレーターの性能が高いことが実証され、彼等はアリーさんと相談の上で隊長格のCWトルーパーに少数配備をテスト的に導入してみたらしい。
成果は上々で、ウォレスさんは装甲も強度を上げた物を開発し、少数配備を試みたとのこと。名前は装甲から見て分かる通り、CWトルーパー・シャドウというらしい。生存率も上がって戦力の向上も見込めるとアランさんは補足をした。
それとネオ・インスティチュート内部の防衛用に仮想敵としてB.O.Sが侵入したと想定して、エネルギー兵器への耐性を高めた赤色の装甲で量産型アクセラレーターを装備したCWトルーパー・ロイヤルも少数配備させたとマジソンさんは言った。この装甲もウォレスさんが開発した物のようだ。
僕がいない間にそこまでやってくれていたとは...。頭が上がらないよ。組織を刷新しても戦力不足は否めないからね。ありがたい限りだ。
ネメシス条約
そして、地道に活動を継続している内に転機が訪れた。治安維持活動や居住地支援、ヌカ・ワールドを経済圏として援助しつつもコモンウェルスに食糧や水に薬品等の物資の支援等を行った事で、正式に講和を結ぶことを検討する機運が高まってきたのだ。ネオ・インスティチュートになって大分経った後に講和とはおかしな話だが、かつてのインスティチュートの所業を思えば奇跡と言っても差し支えない。これは活かすしかないだろう。しっかり準備して臨もう。
講和を結ぶにあたり、主だった町や組織と講和を結ぶ事になった。コモンウェルスでの影響力や政治的立ち位置等も考慮して的を絞った形となる。ダイヤモンドシティやグッドネイバー、バンカーヒルやレールロード等である。ダイヤモンドシティからはマクドナウ市長やジェネバさん、バンカーヒルからはケスラーさんとストックトンさん、グッドネイバーからはハンコックとファーレンハイトさん、レールロードからはデズデモーナとディーコンが参加する事となる。
居住地は僕達が治安維持活動を行いつつ、その信頼を少しづつ培っていった形となるので、講和を結ぶ事の告知を行いつつも講和を結んだ後の内容も伝えていく事を説明していった。彼等の反応は喜んでいたり困惑したりと様々だった。彼等の生活が良くなるように結果を出そうと僕は心に誓った。
僕達ネオ・インスティチュート側は僕と理事会メンバーが参加する手筈となる。講和を結ぶまでの間は各部の副部長達に指揮を取ってもらうように段取りを付けた。そして、僕やX6、Z1-14は一旦ネオ・インスティチュートに帰還した。その後、僕は理事会の面々を招集し、講和を結ぶために必要な協議を2週間近くかけて行った。そう簡単にいく内容じゃないからね。何分各部門も好きなように言うもんだから取りまとめるのが大変だった。ショーン君の苦労が今に身に染みて分かるよ...。
協議を取りまとめた後、僕達は講和会議に指定された場所に向かった。この時僕は業魔としてのストラジデー・スーツを脱ぎ、ネオ・インスティチュートのエルドリッチ管理官として管理官のスーツを着て臨む事にした。きちんとした会議だからね。ネオ・インスティチュート発足の為の理事会とは訳が違うからだ。
講和会議のための場所はグッドネイバーの旧州議事堂だ。つまり、ハンコックのテリトリー内で行う事になる。距離的にもレールロードも近い位置取りだ。場所の指定はハンコック自らが打診してきたのだ。グッドネイバーの市長として、コモンウェルスに住む1人の人間として臨むためだと僕は思った。かつての仲間としての甘えを一切出さずに「市長」として行動するのは明白だ。
理事会メンバーはグッドネイバーで講和会議を行われる事に対して不平不満を言ったが僕が諫めた。これから厳しい戦いになるだろうことは分かり切っている。だからこそ、その状態で臨まないように注意したのだ。ハンコックならそういう隙は見逃さないからだ。僕も覚悟を決めて臨まねばなるまい。
僕達は旧州議事堂に入った。中では緊迫した空気に包まれ、一部の隙も見逃さぬ姿勢が先に到着していた人達の雰囲気から察せられた。マクドナウ市長はすり替えてしまっているのでこちら側ではあるのだが、流石の彼もこの緊迫した状況では口数も減っていた。バレたらタダじゃ済まないからね...。細心の注意を払わないと。
こうして講和会議が始まった。だが、順風満帆とはいかず、今までのインスティチュートが行ってきた非道もあってかなり厳しい条件を突き付けてきた。ジャスティンさんやアラーナさんは顔を真っ赤にしつつ抗議したが、ハンコックは冷ややかに受け流した。長い期間市長をやっているのは伊達ではない。
ジャスティン「こ、こんな内容を受け入れられるか!勝ったのは我々だぞ!それをよくも無理難題な!!」
アラーナ「あ、あんまりだわ!こんな内容じゃ立ち行かなくなるわ...。いくらなんでも横暴よぉ!!」
ハンコック「ほう?お前達が今までしてきた事に比べれば優しい内容だと思うけどな?」
向こう側のペースに引き込まれてしまっている...。理解していたつもりだけど、この会議はとても骨が折れそうだ...。
それとマクドナウ市長の正体がバレるのではないかと懸念したが、そこはジャスティンさんが前もって本物のマクドナウ市長の経歴や性格をまとめたデータを渡しているので問題なかったようだ。ハンコックへの対応も抜けが無かったのだ。これは欺瞞なのは重々承知である。しかし、ハンコックには申し訳がないがバレる訳にはいかないのだ。
何とか僕達の方でも妥協点を探しつつ会議を進め、粘り強く交渉していった。この講和会議は1週間続き、ようやく双方の落としどころが決定した。それはネメシス条約と呼ばれる講和条約の制定だ。名前の由来はギリシャ神話の女神ネメシスから引用しており、その神は義憤と罰の象徴とされる。なるほど、インスティチュートを罰するには相応しい名前だという訳か...。その罪は甘んじて受け入れなければならないだろう。
ネメシス条約はネオ・インスティチュート法の開示、アンチ・チェイサー法、アンチ・イントル―ジョン法、特記戦力の暫定保持、賠償金請求等の5つの内容を取りまとめたものだ。以下にその内容を説明するものとする。
1つ目はネオ・インスティチュート法の開示だ。これはネオ・インスティチュートへと組織を刷新時、組織改革のために定めた法律を内外へ公布させるためのものだ。コモンウェルスの人々により詳し認知させるという意味合いが強いだろう。
2つ目はアンチ・チェイサー法だ。これはコーサーとそれに伴うストラジデー・スーツの必要以上の製造を禁止及びヴェノムガン等のBC兵器の製造を禁止するという法律だ。コーサーの戦力やストラジデー・スーツの能力の凄まじさを知っている彼等はそれを規制しようと考えたのだ。ジャスティンさんやアラーナさんが顔を真っ赤にして抗議したのがこの法律と3つ目の法律だった。戦力が激減するし、自分達の仕事を失いかねないからだ。
そのため妥協案としてコーサーの製造の際にはレールロード派のネオ・インスティチュートの職員を通じて、レールロードのメンバーに審議を通した上での製造となる。レールロード派のネオ・インスティチュートの職員とはビネー親子、アリーさん等だ。それと今いるコーサー達はそのまま運用するという形で収まった。
ストラジデー・スーツに関しては今ある物はそのまま残してもいいが、新たに製造する場合はレールロードやグッドネイバー、ダイヤモンドシティやバンカーヒルとの合議の上で数を決めて製造するという形で落ち着いた。今までのように作れなくなるならば、代替の装備の政策も視野に入れなければならないだろう。
3つ目はアンチ・イントル―ジョン法だ。第3世代の人造人間のすり替えの禁止及び第3世代の人造人間の必要以上の製造を禁止するという法律だ。それを施行する事で人造人間への恐怖を軽減させ、社会的立場の強化にも繋げる試みだとハンコックは説いた。これにデズデモーナは大いに賛成した。レールロードの理想にも通じるからだ。これにもジャスティンさんやアラーナさんは猛抗議した。戦力だけでなく、ネオ・インスティチュートの生産能力に影響が出るのではないかと懸念した。
しかし、そこはアランさんが第2世代をかつてよりも製造してみたらどうかと提案した。僕もそれに同意した。第3世代を製造し続けるよりもリソースの節約も見込めると彼は説得した。これを受けてジャスティンさんやアラーナさんも渋々納得した。
アンチ・イントル―ジョン法の可決は僕としては問題ない。しかし、マクドナウ市長やワーウィック農園のロジャーさん、ファー・ハーバーのアヴェリーさん(アヴェリーさんの件はDiMAの責任ではあるのだが...)やニュークリアスのテクタス上級聴罪司祭、B.O.Sのエルダー・マクソンの件は伏せたままにしておいた。この行為だって欺瞞の極みなのは重々承知だ。言い訳がましいのは理解しているが、これ等の件は露見しないように永久に秘匿したままにしておくつもりだ。明かしたところでどうにもならないし、最悪完全に滅ぼされるまで戦う事になるのは明白だからだ。心苦しいが黙ったままにしておく事にした。
4つ目は特記戦力の暫定保持だ。コーサーの戦力拡充に伴い製造された技術であるプラズマソード、僕が持ち込んだ地上戦のデータから開発されたアクセラレーター、鹵獲した新技術の塊であるライダブルボット等の保有の許可だ。
敵対勢力が減ったとはいえコモンウェルス内外から現れる可能性は十分にあるので、そのための戦力は必須であると僕は交渉し、何とかコモンウェルス側の合意を得る事に成功した。アンチ・チェイサー法可決により生じる戦力の減少の穴埋めも出来た事は幸いだと言えるだろう。
だが、その代わり自分達も同じようにパワーアーマーやライダブルボットを持つ事を条件に僕達の特記戦力の保有を許可するとのこと。その条件は吞まざるを得ないだろう。僕達はそれに同意した。
最後の5つ目は賠償金請求だ。旧インスティチュート時代に行われた非合法活動及び侵略行為に対する賠償金を支払う事を確約させるという内容だ。レールロードには5万キャップ、ダイヤモンドシティには10万キャップ、バンカーヒルには15万キャップ、グッドネイバーには20万キャップ、総額50万キャップをネオ・インスティチュートが支払うという事が確定した。
クレイトン「法外な値段ですね...。我々の足元を見過ぎではないですかね?」
マジソン「...分かり切っていた事ではあるけど、この額は頭を抱えるわね...」
デズデモーナ「本当ならもっと搾り取ろうと思ったけど、これからの関係を考えて止めておいたわ。講和条約だものね?」
これには理事会メンバーは慌てふためいたが、僕は落ち着くようにと諫めた。彼等は口々に法外な金額だと言ったが、これでもまだ軽い方なのだと僕は思った。
僕が介入するまでの出来事で多くの人命は失われ、多くの尊厳が踏み躙られてきた。それを贖う為にも具体的に形としたのがこれ等の条約内容なのだと思う。ならば、僕達はそこでNOと言う訳にはいかないのだ。受け止めねばならない。
そして、紆余曲折ありながらも僕達はネメシス条約を批准した。すり替えの件は隠し立てした事になるが、この条約を結ぶ事が出来た事は本当に良かったと僕は思う。本当の意味でかつての戦争を終わらせ、今までのインスティチュートを終わらせるにはこれが適切だと思うからだ。これを受け入れて示し続ける事が今後の僕達の未来への展望になるだろう。
Z1-14との絆
ネメシス条約可決後、僕達は理事会メンバーと共にネオ・インスティチュートに帰還した。通常作業に戻ったのを確認後、各居住地に赴いてネメシス条約の詳細を入植者達に説明していった。受け入れられるまでにはしばらくかかりそうだが、概ね了解といった具合だと思う。
居住地への報告が全て終わった後、Z1-14が僕に話し掛けてきた。彼はネオ・インスティチュート発足の契機となった理事会から僕の事を尊敬しており、今までの旅を通じてそれがさらに深まったと言った。それにネメシス条約に対して真摯に取り組んだ事も彼にとっては好印象だったと告白した。それは嬉しい限りだ。僕も頑張ってきた甲斐があるというものだ。
そして、Z1-14はX6と同様に略称でこれからは呼んでほしいとお願いしてきた。そこまで心を許してくれるようになったのは僕としても嬉しい。これからはそのように呼ぶことにしよう。
パーマー「分かったよ。これからもよろしくねZ1!」
Z1「はい!こちらこそよろしくお願いします、エルドリッチ管理官!」
その後、ちょっとというかかなり嫉妬深い感じになるX6なのであった...。いや、今でも君の事は大事な仲間だからね?そんなに拗ねないでね...。
ネメシス条約批准の動向
それから1週間後、ネメシス条約批准に伴って調印した町のパワーアーマーやライダブルボットの情報が安全保持局から齎された。ネオ・インスティチュートの一強独裁にならないためにしっかりと準備しているのが伺えた。
パワーアーマーに関しては以下の通りとなる。
レールロードはT-51型パワーアーマーを所有し、識別用カラーとしてレールロード塗装を使用。ダイヤモンドシティはT-60型パワーアーマーを所有し、識別用カラーは軍用塗装を使用。グッドネイバーは同じくT-60型パワーアーマーを所有し、識別用カラーは冬用コーティングを使用する事となった。
ライダブルボットに関しては以下の通りとなる。
ダイヤモンドシティはアサルトロンタイプのライダブルボットを未改造で3体所有しているようだ。青色と水色、水色の分を所有しているとのこと。鹵獲したままの分を使用しているという事は、改造よりも練度を優先したと思われる。
レールロードはプロテクトロンタイプのライダブルボットを3体所有しているようだ。かなり改造しているようで、白色と紫色、青色のプロテクトロンタイプを所有しているとのこと。
白色のプロテクトロンはRLG01、紫色のプロテクトロンはRLG02、青色のプロテクトロンはRLG03という名前らしい。RLはレールロードの頭文字でGはガードの頭文字だと伺えた。インスティチュートの脅威を知っていれば重装備の改造は理解出来る。
バンカーヒルはハンディタイプのライダブルボットを3体所有しているようだ。こちらもかなり改造しているようで、ケンタロウという名前の少年が製作協力したらしい。彼の所有するハンディタイプもかなり改造されているようだ。その分の名前は分からなかったが、それ以外は白色のハンディタイプとハンディタイプを所有しているとのこと。
白いハンディタイプはBHG01、灰色のハンディタイプはBHG02いう名前らしい。BHはバンカーヒルの頭文字でGはガードの頭文字である。この特異なタイプはケンタロウの技能の高さと知識の豊富さが見て取れると感じた。
グッドネイバーはアサルトロンタイプのライダブルボットを3体所有しているようだ。こちらも他と同様にかなり改造しているようで、赤色と青色、黄色のアサルトロンタイプを所有しているとのこと。高性能化を重視して戦闘力を高める為か、アサルトロン・ディフォームで統一されていたようだ。
赤色のアサルトロン・ディフォームはGNG01,青色のアサルトロン・ディフォームはGNG02、黄色のアサルトロン・ディフォームはGNG03という名前らしい。GNはグッドネイバーの頭文字でGはガードの頭文字である。レールロードと少なからず繋がりがある場所なのでノウハウが活かされている可能性がある。高機動かつ高火力。諸々の制限が掛かったネオ・インスティチュートの立場ではかなり厄介な戦力なのは明白だ。
彼等と戦争したいとは僕は思わない。そうしない為にも今のネオ・インスティチュートをきちんとした組織として作り上げていかねばならないのだと僕は肝に銘じるのだった。
マロ―スキーとの一悶着
各町の動向を確認後、僕達はネオ・インスティチュートに帰還した。装備の整備や定期報告等の確認のためだ。幸い整備も滞りなく進み、各部門間でのトラブルは起きていない様子で何よりだった。そこで僕はストラジデー・スーツを居住者のスキンに変更した。これからは入植者達に親近感を持ってもらうためにこの色の方がいいかなと思ったのだ。目立つのは確かだけどね...。
その後、アラーナさんから僕に重大な報告が舞い込んだ。トリガーマン達が僕を探すためにコモンウェルス中に展開しているらしいのだ。恐らくトリッシュとネルソンの薬物取引の強奪とマロ―スキーの薬品ラボの壊滅の件だろう。成り行きとはいえ、かなり大きな問題になりつつある。僕はそのケジメを付けなければならない。
最寄りのトリガーマン達の待機場所をアラーナさんに確認すると、ビーンタウン醸造所付近の橋にいる事が分かった。僕達はテレポーテーションして向かうのだった。
そして、ビーンタウン醸造所付近の橋に向かうとトリガーマン達が待ち構えていた。僕はなるべく穏便に事を進めるために丁寧に応じる事にした。
僕がマロ―スキーからの要求は何かと尋ねると、予想通りと言うべきか僕が絡んでいると疑い、無くなった大量の薬について真偽を問いたいという内容だった。彼の根城であるグッドネイバーのレクスフォード・ホテルに行き、彼に会う事をお勧めるとトリガーマンのリーダーは言った。今度来る時は優しく言わないぞと警告もされた。まぁ、そうなるよね。僕は了承してレクスフォード・ホテルにX6とZ1を連れてテレポーテーションするのだった。
そして、僕達はレクスフォード・ホテルに到着した。ここに来るのも本当に久しぶりだ。レオさんと再会したのもここで、他にもルーファスさんやフレッドさんの仕事を請け負ったり、クレールさんの愚痴も聞いたりしたっけ...。おっといけない!マロ―スキーにお詫びを入れに行かないとね。
僕はクレールさんにマロ―スキーの事務所は何処かと尋ねるとこの受付のすぐ後ろにある部屋がそれだと教えてくれた。僕は彼女にお礼を言ってすぐに向かった。
事務所ではマロ―スキーは帳簿とにらめっこしつつ配下にスタン・スレイヴィンという名前の男性にパイプライフルを持たせて護衛させていた。もっと部下を配置させていると思ったが僕達の捜索のために方々に散らせていて彼だけしかいなかったのかもしれないと思った。さて、本題に入ろうかな。
マロ―スキーは僕達を一瞥するなり余程の覚悟があってここにいるんだろうな?と啖呵を切った。スタンは自分が始末を付けようと提案したが、マロ―スキーはそれを止めさせ、話を聞くところから始めると言った。諺にある「疑わしきは罰せず」に則り誰から盗んでいるのを知らなかったんだろう?と言って向こうも穏便に済ますつもりはありつつも、トリッシュ達の取引を奇襲して薬を強奪した事を怒っていた。だよねぇ...。僕も同じ立場ならそうするだろうし...。
この埋め合わせのためにマロ―スキーは取引を持ち掛けた。2,000キャップを支払えば今回の事は1回こっきりの過ちとして忘れようと提案してきた。あれ?それ位でいいの?もう少し搾り取られる思って覚悟していたけど、2,000キァップで済ませてくれるとは思わなかった。まぁ、ネメシス条約での賠償金支払いもあるからこっちも懐が寂しいのは本当だからねぇ...。
僕はその条件を呑んでマロ―スキーさんにケジメとして2,000キャップ支払った。これでお互いの因縁も解消されたという事になる。
マロ―スキー「これでお互いのメンツが保たれたわけだな?忘れるなよ?1回こっきりの取引だからな?」
パーマー「承知してますよ。私としてもこれ以上ゴタゴタを起こしたくないですし...」
ネメシス条約批准直後という事もあるが、ダイヤモンドシティやグッドネイバーでこれ以上ゴタゴタを起こしたくはない。ネオ・インスティチュートの今後の為にも慎重な行動を心掛けようと僕は肝に銘じるのだった。
あの夢が真実であったならば...
そして、僕達はサンクチュアリヒルズに帰還した。僕はPip-Boyからワークショップを呼び出してパワーアーマーステーションを製造後、休む事にした。ここのところ講和会議のための準備やネメシス条約の批准、各地の動向の調査,マロ―スキーとのトラブル等で肉体的にも精神的にも相当疲労が溜まってしまっていたのだ。僕達は自宅で少し休養を取る事にした。
寝ると気分が幾分か楽になる。それのおかげコモンウェルスを生きていける。ただ、寝る時に見る夢がいつも気がかりなのだ。それはネイトさんやノーラさんのどちらかがVault111から脱出し、コモンウェルスを生き抜く夢だ。その夢のネイトさんやノーラさんの容姿は様々で、僕が知っている顔のままだったり、稀に名前まで違っているがショーン君の両親であるのは共通しているという事もあった。
そこでは僕は遅れてダメだったがプレストン・ガービーやスタージェス、ママ・マーフィーやマーシー・ロング、ジュン・ロングがサンクチュアリヒルズで暮している夢も見る。こういう展開が本来の道筋だったのではないかと思える。
組織はミニッツメンに入り、最終的に将軍となるのが多い。もしくはB.O.Sかレールロードに最終的に身を置く事もあれば、将軍をやりつつもセンチネルやフィクサー(レールロードはコードネームが多いからとりあえずということで...)をやるネイトさんやノーラさんもいた。彼等は多才でスペックが高いからあり得るなぁと夢の中で思ったものである。
だが、インスティチュートに入るネイトさんやノーラさんは極めて少ない。夢の中では敵対して滅ぼすのがほとんどだ。入ったとしても改革までこぎつけていたかは分からない。全部見れたわけではないからね。もしかしたら彼等は僕がやるよりも優れた方法でインスティチュートを変革出来たのかもしれない。
色々間違っているのではないかというのも思わない日はない。僕が生き残ったのはイレギュラーな事ではないかといつも思っているのでそのような夢を見るのだろうか?僕の選択も考えも本当にこれで良かったのだろうかという不安から見てしまっているのだろうか?
だとしても選んだ以上は行動し続けるしかない。コモンウェルスを今まで以上に安全で豊かな場所にしていく為にも僕は示し続けるしかないのだから...。