Fallout4(フォールアウト4)パトロール編 第35話 コモンウェルス流の仁義なき戦い 後編 | TES&fallout forever

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 僕達はコロニアル酒場を出た後、ダイヤモンドシティを出て取り引き現場に向かう事になった。その前に僕は少しクックさんに質問しようと思い、誰もいない入口手前で呼び止めるのだった。

 

クックの動機

 僕は何故今になってネルソンを裏切る気になったのか尋ねた。クックさんは前々からネルソンが自分の取り分にずっと不満を言い続けてきたんだと教えてくれた。それにきっと1人でも奪い取る事も考えていたはずだと推測した。

 ネルソンを出し抜いて全部奪うために機会を伺っていたら、僕達とポールさんが結託してコロニアル酒場を訪れた事でチャンスだと確信したのだと答えた。儲け話は僕だけに持ちかけるつもりだったが、大勢で来たので少々変更せざるを得なくなったがクックさん的には結果オーライの様子だ...。

 次にダイヤモンドシティに何故薬物を密輸するのかと尋ねた。ソロモンさんの店のように規制も禁止もされていないからだ。まぁ、その後は使用者の自己責任となってしまうけどね...。

 話を戻そう。密輸をする理由はマクドナウ市長が市に運ばれた全ての薬品から大きな分け前を持っていくので、誰もビジネスをやりたがらないのだとクックさんは言った。そこで自分とネルソンの出番であり、彼はお金を出し、自分は調整をする役割だという。

 最終的には安い薬品をダイヤモンドシティに流すという算段で誰もが得をするとクックさんは力説した。まぁ、そう言えないでもないけどね...。

 それにマクドナウ市長は本来は旧インスティチュート時代からのすり替えた第3世代の人造人間M7-62だから、薬物の大きな分け前の何割かはネオ・インスティチュートに流れているのかもしれない。クックさんはそれを知らないのは無理のないことだ。そうなれば間接的にではあるが僕にもその責任があるという事になるのかな?う~ん、彼に関わっていくのも因果なのかもしれないなぁ...。

 マロ―スキーの追っ手が送られる可能性に関しては奇襲して皆殺しにすれば問題ないだろうとクックさんは考えている様子だ。まぁ、それが一番手っ取り早いのは確かだけどね...。

 

クックとAJは友人関係

 そして、クックさんはある事を僕に聞いてきた。AJという人物を知っているかと言ったのだ。知ってるも何も僕がシルバー・シュラウドとして活動していた時に殺してしまっている...。どうして今そんな事を聞くのだろうか?

 どうやらクックさんは薬物絡みの取引で過去にAJと知り合い、意気投合したらしい。その後、分かった上で共にインスティチュートの情報提供者となり、更に稼ぐようになったらしい。そんな繋がりがあるとは知らなかったなぁ...。

 どう言おう...。本当の事を言うべきだけど、抜け目ないクックさんの事だ。AJ殺害を強請りの材料にするかもしれない。熟考の末、僕はシルバー・シュラウドが彼を殺したのだと答えた。シルバー・シュラウドは僕自身が衣装を着て活動していた事があるので嘘は言っていない...筈だ...。まぁ、それは詭弁でしかないのだけれど...。

 Z1ー14は僕の嘘を聞いて困惑した。持ち物整理をした時に僕がシルバー・シュラウドの衣装や武器を持っているのを見かけた事があったからだ。それをX6はこれは問題ないと言った。クックさんから強請りが発生しないためには仕方がない事だと言った。ありがとうね、本当はこういうのは良くないけれど、説得してくれる君がいて良かったよ...。

 この一連の会話にはポールさんは付いてこれなかった。まぁ、彼にはこの話は全くの無関係だから仕方がないのだ...。

 

 パーマー「それはシルバー・シュラウドという人物が殺したんですよ...」

 クック「何!それは本当か!?チクショウめ!いつか必ず復讐してやる!!」

 パーマー「......」

 Z1ー14(いいんですか?エルドリッチ管理官があんな嘘を言って...)ヒソヒソ...

 X6(構いませんよ。クックは抜け目ない男です。こちらの弱みを敢えて伝える必要は皆無ですよ...)ヒソヒソ...

 ポール「何だか俺だけ置いてけぼりになるような話をしているなぁ...」

 

取り引き現場を奇襲せよ!

 クックさんは取引場所はバックストリート・アパレルの近くだと教えてくれた。僕は奇襲を確実に成功させるために、一旦サンクチュアリヒルズに戻ると伝えてから戻った。

 僕は戻った後、武器作業台を使ってハンティングライフルを改造する事にした。それをスナイパーライフルに改造するのだ。だったらそっちの方が改造が楽だろうと思うけど、威力があって隠密性を高くするのにはこれが最適だと僕は考えたのだ。

 それじゃ、時間も押しているので改造に移ろう。最初は発射音を抑制して発射ごとの反動を大幅に改善し、反動制御を改善するが射程が短くなるサプレッサー。次は反動と射程と構えた時の命中率をかなり改善するが、腰だめ時の命中率が悪化するロングボーテッドバレル。その次は反動をかなり改善してスコープの標準精度をより改善するマークスマンストック。次の次は対象を追跡する最高倍率のスコープで構えた時の命中率をかなり改善する長距離リコンスコープ。そのまた次はダメージを大幅に増加させて弾薬を50口径弾に交換し、発射速度が上昇する50口径レシーバー。最後は装弾数がかなり増加し、リロード速度を改善する大型クイックマジェクトマガジンを組み込んだ。これで上手くいくと思いたい。

 その後、僕達はテレポーテーションしてクックさんとポールさんのいる待ち合わせ場所に向かった。隠れていた彼は待ち合わせ場所はこのすぐ先の川の近くて行われると教えてくれた。いつもマロ―スキーの用心棒が4人来る流れになっており、リーダー格のトリッシュという名前のグールの女性と3人のトリガーマンの男性で編成されているとのことだ。その3人がボートから荷物を降ろし、銃を持って来るのだと教えてくれた。

 奇襲はこれ等のビルの周りから良い射撃角度を見つけて先制攻撃を仕掛けるのだとクックさんから指示を受けた。襲撃が始まるのを確認したら、自分達もここから参加すると言って打ち合わせは終了した。

 僕はX6とZ1ー14に待機させた。念のために他のトリガーマンが来ていないか警戒させるためだ。僕はステルス迷彩を起動してバックストリート・アパレルの入り口まで移動し、スパイパーライフル仕様にハンティングライフルを構え、照準をトリガーマンに合わせた。特に恨みはないが、この仕事を終えないとポールさんに平穏が訪れない。元より僕は業魔。極悪人には相応しい仕事ではないだろうか?そう自嘲しつつ、僕は引き金を引いた。

 1人目のトリガーマンにヘッドショットを決めた時、トリッシュやネルソンに残り2人のトリガーマンは奇襲を受けている事を察した。だが、姿は見えない。そりゃそうだろう。ステルス迷彩は改造インプラントの中では隠密性抜群で、こういう奇襲戦には最適だ。

 そう思いつつも僕は続けて2人目、3人目とトリガーマンにヘッドショットを決めていく。見えない敵の攻撃にトリッシュやネルソンは恐怖を抱くのは当然だった。

 

 トリッシュ「ど、何処からの攻撃なの!?」

 ネルソン「お、俺が知るかよぉ~!!誰だよ、レイダーか?ガンナーか?ラスト・デビルかぁ~!?」

 

 3人のトリガーマンが全滅し、後がなくなったトリッシュとネルソンはクックさんとポールさんを見つけ、彼等が首謀者だと気付いて攻撃を開始した。マズイ、気付かれた!急いで助けないと!

 僕はトリッシュの持っていたパイプピストルを狙撃した。それを拾おうとした彼女に対して銃口を突き付け、動かないように言った。彼女は恐怖からしり込みした。僕はそのパイプライフルを遠くに投げて捨てた。ネルソンは勝てないと悟り、一目散に逃げ去った。僕は彼を撃たなかった。もう戦う気がない相手を殺す事はしたくないからね。まぁ、レイダーやガンナーだったら話は変わってくるけどね...。

 

 パーマー「...動かない方がいいですよ?」

 トリッシュ「ひ、ヒィィィ~!」

 ネルソン「も、もうダメだ!俺は帰る!あばよ!」

 トリッシュ「ちょっと...待ちなさいよぉ~!」

 

 その後、僕が確認しに行くとクックさんやポールさんは無事だった。良かった、まずは一安心だ。落ち着きを取り戻したトリッシュは自分を殺す必要はなく、誰にも口を割らないと誓うと言った。どうだろうか?とりあえず話を聞こう。

 

トリッシュとの取引
 トリッシュを生かす事にクックさんは難色を示した。ネルソンを逃がしてしまった事を暗に責めているのだ。まぁ、僕が見逃したのはダイヤモンドシティでマルコムさんと因縁を作りたくないのもある。息子を殺されれば怒り、憎まない親はいない。あそこで戦いが起きるのは避けたかったのだ。どちらからも追手が来るかもしれないが、その時は僕が責任を以て対処すると彼に伝えた。

 そのやり取りの中で、トリッシュはガンナーの所為にするから任せてほしいと言った。マロ―スキーの薬品ラボは諦めるとも言った。ここにある薬物は薬品ラボとは比べ物にならないし、想像を絶する量の薬品を彼が管理していると教えてくれた。但し、自分無しだと見つけられないだろうと念を押していた。彼がそんな場所を保有していたのか?彼と初対面時には落ちぶれているとは思ったが、底知れない何かがあると感じた事があった。それが薬品ラボで精製される薬物の収益で持ちこたえていたというわけだ。なるほどね。

 僕はそれで取引する事にした。こちらに対する儲けはかなりの物になるだろう。クックさんもポールさんもこれで納得いくだろうと思う。トリッシュは僕が取引を受けるという言葉を信じざるを得ない状況なので、もう少し情報が引き出せるだろう。だが、その時の彼女はどうしてネオ・インスティチュートの僕が介入するのか訝しんだ。答えに困ったが、成り行きと言う他ないのだ...。

 

 トリッシュ「それにしても、どうしてインス野郎がクックの相棒をやってるのよ?アンタは金に困ってないでしょ!?」

 パーマー「...まぁ、成り行きとだけ答えましょうかね...」

 

 トリッシュはマロ―スキーの薬品ラボの場所はサウスボストンの波止場の古いフォー・リーフ・フィッシュパッキング・プラントにあると言った。もしかして、あのフォー・リーフ・プラントの事かな?あそこな何かあると思っていたけど、薬品ラボがあったとは盲点だったなぁ...。

 僕がもう確保済みだと伝えると、トリッシュは最初は信じずにあそこはフェラル・グールだらけで自分やグールには疑いの目を向けないので問題ないと自信たっぷりに言った。しかし、僕が業魔でありフェラル・グール相手にしっかり戦えるというのを失念している様子だった。まぁ、それは今重要じゃない。

 僕はフェラル・グール以外にも重要な何かがある筈じゃないかと尋ねた。トリッシュは得意げに真のセキュリティはトリップワイヤーでできたシステムだと言った。薬品ラボのドアを開けるには、正しい順番で作動させなければならないと教えてくれた。ドアが閉まっている時は薬品ラボがあるとは思われないとまた自信たっぷりに言った。確かにあそこにはトリップワイヤーがいくつもあった。あれがパスワード入力のダイヤル代わりの役割を示していたという訳か...。

 トリッシュはクックさんがネルソンを裏切らなければ、誰も暴く事はなかったと憤慨した。それを聞いた彼は不愉快そうに悪態をついた。

 それとトリッシュはトリップワイヤーをバイパス出来るターミナルが薬品ラボのドアの近くにあり、パスワードを入力すると薬品ラボのドアを開けられる事を教えてくれた。そのパスワードも彼女は知っているようだ。その後、彼女は念押しでパスワードを教えたら見逃してくれるかどうか確認した。

 流石にここで約束を反故にするのも気が引けてきた。武器も護衛も無いので身を守る術がない。何もしなくても道中で死ぬ可能性が高い。これ以上はやり過ぎかもしれないと思ったのだ。僕はそれを受け入れる事にした。トリッシュはホッとした様子でパスワードは「アップルジャック」だと教えてくれた。これで僕は全てを得た事になり、自分は全てを失ったと彼女は嘆いた。

 

仁義なき戦い

 トリッシュは現状を受け入れられるといいけどと言って帰ろうとしたが、クックさんはそれを見逃さなかった。彼はダブルバレルショットガンを撃とうとしたが、彼女は予備のパイプライフルを隠し持っていた。その一瞬の隙を突いて彼の頭を撃ち抜いたのだった。彼女は罵詈雑言を言い放ち、一目散に逃げだした。

 

 クック「がっ!!」

 パーマー「あっ!」

 トリッシュ「ざまあみろクック!裏切った報いよ!!」

 

 トリッシュを捕まえるために待機させていたX6とZ1ー14に追撃を行わせたが、彼女が逃げた道の陰にトリガーマンが3人程現れて攻撃してきた。念のために護衛を増やすようにしていたのかは知らないが、彼等はきちんと返り討ちにした。しかし、彼女は裏通りを利用して逃げ延びてしまった...。

 僕はクックさんをスティムパックで治療しようとしたが、流石に頭を撃ち抜いた後となっては効果はない。残念ながら彼は死んでしまった...。

 そして、ポールさんは何処だろうと気になった。X6は彼は薬品の入った箱の近くにいると教えてくれた。そこへ行くと、確かに彼はそこにいた。クックさんの死を悲しんでいる様子は皆無だった。まぁ、自分の妻を寝取った間男の事を憎んでいると思われるので、そういう行動に出たのだろう...。それを責める事は僕には出来ない。

 僕はそう考えながら近づくと、ポールさんは報酬は五分五分でいいか?と聞いてきた。僕としては薬物は使うつもりはないが、彼は僕が汚れ仕事を全部した事へのせめてものお礼だと言った。そう言われると断れないなぁ...。クックさんを助けられなかった事について一応話に上げてみたら、案の定死んでくれて良かったと言った上に、トリッシュに感謝すらしていた。まぁ、そうなるよねぇ...。 

 X6は大儲け出来たポールさんが気が大きくなった様子に呆れ、Z1ー14はポールさんに同情的だった。色々な展開が起きたからその気持ちもよく分かる。僕も頭の整理が追い付かない状況だ。

 

 ポール「業魔、アンタは汚れ仕事を全部やってくれた。ネオ・インスティチュートの怪人で管理官と聞いた時は恐ろしかったが、味方になればこれ程頼りになる相手はいない。これはそのお礼だ」

 パーマー「成り行きではありましたが、助けになれて良かったです。クックさんは助けられませんでしたが...」

 ポール「当然の報いさ!あんな間男は死んでくれて良かったと思っているよ。トリッシュ様々だな!」

 X6「やれやれ...。間男が死んだ途端に気が大きくなりましたね」

 Z1ー14「余程恨んでいたんでしょうかね?気持ちは分かりますが...」

 

 その後、僕はこれからどうするのかポールさんに尋ねた。彼はクックさんが死んだ以上、ここのキャップと薬品を売って得たキャップで彼の家を買い取るつもりらしい。ダーシーさんが願っていたいい暮らしがやっと出来るようになると嬉し気に言った。 

 僕はその受け答えをしている際に、ある映画の存在を思い出した。日本のギャングである「やくざ」と呼ばれる存在が抗争を繰り広げる大昔の映画だ。苛烈な内容だったと思うので僕は見ていないが、かなり暴力的な内容だったらしい。正義も人情もない、仁義と呼ばれる人間らしい道義から逸脱した戦いの映画だったという。まさにこの日の戦いに当てはまるのではないだろうか?自分達の利益のために他者を攻撃し、平気で騙し、欲しいものを奪い取るのだから。僕はそれを手伝った極悪人なのだ...。

 そう考え耽った後、報酬は五分五分でこのやり取りは終了となった。箱にはサイコやジェット、メンタスやバファウトが10個ずつ入っていた。売ればそれなりに良い儲けになるだろう。ソロモンさんかウルフギャングさん,フレッドさんに売るかな?転売じゃないよ?有効活用してくれる人に売るだけだからね? 

 

マロ―スキーの薬品ラボを制圧せよ!

 報酬を貰った後、僕達はテレポーテーションでフォー・リーフ・プラントに向かった。マロ―スキーの薬品ラボを制圧しておくべきだと考えたからだ。違法薬物の規制は今のウェイストランドには存在しないが、その収入でトリガーマンを大勢雇っていくのは流石に脅威だ。その収入源を絶つ事で勢力を削ぐ事が僕達の狙いだ。

 ワイヤートリップはそのままに、薬品ラボの入り口と思われる場所に行ってターミナルを起動し、トリッシュから聞いた「アップルジャック」をターミナルに打ち込んだ。そして、セキュリティドアを開くの項目を押して、薬品ラボのドアを開いた。そこには薬品ラボのスタッフが4人いた。僕は抵抗しないように言ったが彼等は攻撃してきた。こうなっては仕方がない。僕達は彼等を返り討ちにし、マロ―スキーの薬品ラボを完全制圧した。ここにはCWトルーパーを配置して、トリガーマンやマロ―スキーの手下がここを再び使う事がないように徹底しようと思う。何にせよ、ひとまずは安心だ。

 

ポールの栄光!ネルソンの僻み

 マロ―スキーの薬品ラボを完全制圧した後、僕達はダイヤモンドシティに戻った。コロニアル酒場はあれからどうなったか気になったのだ。そこへ向かうと身綺麗になったポールさんと再会した。クックさんのキャップと薬物を売ったキャップで大儲けして彼の家だけでなく、コロニアル酒場の営業権を買い取ったのだろう。成り上がり物語としては上々なのではないだろうか?

 ポールさんはこの状況をとても気に入っており、遂に目覚めたようだと感慨深げに言い、僕が助けてくれたおかげだとお礼を言った。これで全てが変わり、ここにいると気分がいい上に自分の居場所を見つけたと誇らしげに言った。色々あったが、幸せそうで何よりだ。この幸せを失わないように頑張ってもらいたいと僕は思った。X6は彼の栄光が三日天下で終わらなければいいのだがと皮肉を言った。それをZ1ー14は止めさせた。いやいやX6、ポールさんは日本の戦国時代のミツヒデ・アケチ(明智光秀)じゃないんだから...。

 

 ポール「業魔、アンタのお陰で俺は栄光を掴めたよ!アンタは怪人だけど俺にとっては幸運の女神...いや、幸運の運び屋だな。感謝してもしきれないよ」

 パーマー「幸運の運び屋ですか?何だか照れますね。何にせよ、これからも応援していますよ」

 X6「彼の栄光が三日天下にならなければいいのですがね...」

 Z1ー14「言いたい事は分かりますがX6-88 、こういうめでたい日にそういうのは止めましょうね...」

 

 その後、コロニアル酒場から出るとネルソンが待ち構えていた。薬品を盗んだのは誰かマロ―スキーに報告したと僕に告げた。嘘じゃないと念押しした上に自分の父親であるマルコムさんはダイヤモンドシティを動かす存在だぞと脅しもかけてきた。加えて前回はまんまと度肝を抜かれたが、いつかは僕の度肝を抜いてやると宣言した。最後に彼は僕に精々気を付けるようだな、ろくでなしよと言って会話は終了した。卑屈になるどころか食って掛かる様はいっそ清々する位に見どころがあるなと思った。その反骨心を正しく扱ってほしいと願うばかりである。

 

 パーマー「分かったよネルソン君?君に度肝を抜かれないように頑張るから、君も悪党ごっこはその辺にしてダイヤモンドシティの為に働いた方がいいじゃないのかな?」

 ネルソン「うるせぇ!馬鹿にするんじゃねぇ!業魔、アンタを叩きのめすその日まで俺に怒りは収まらねぇのさ!!」

 X6「ふぅ...。粋がっている地表人の相手は骨が折れますね...。捨て台詞を並べ立てるので耳も疲れましたよ...」

 Z1ー14「煽るのは止しましょうよX6-88 ...」

 

 

アッパースタンドの住人達
 その後、僕はウェリンガムの店に入った。そこにはクラレンスさんやユースタスさん、マルコムさんやアンさんがいた。

 最初にクレランスさんに挨拶すると、世間話をしつつもダイヤモンドシティの家々を「ゴミみたいに汚い下層の家」と言って侮辱した。役立たずのバラモンでさえあの場所は無理で、価値の無い人間に相応しいとまで吐き捨てていた。流石にそれは言い過ぎだろう。僕は内心腹を立てたが、ネオ・インスティチュートの管理官としての立場もあるので、この会話に突っ込む事はしなかった。この人はいい人だと思っていたが、何というか選民思想を持っているように感じたのだった。

 

 クレランス「管理官としてダイヤモンドシティを治めるのは大変だろう?下層の連中は浅ましくて頭が悪い奴等ばかりだ。心中お察しするよ」

 パーマー「...そうかもですね。でも、その辺はしっかり頑張るのでご心配なく」

 クレランス「ああ、大変だったらまたここに来いよ。愚痴位は聞いてやるさ」

 パーマー「それはありがたいですね...。(この人は選民思想が強い気がしてならないよ...)」

 

 次にユースタスさんに挨拶をした。彼女は僕に孫に会うべきだと言った。ホーソンは母親にいているとのことだ。やっぱり彼とは家族だったのだ。父親はジュリアン・ホーソンという名前らしい。

 ホーソンさんの通り名が名字であるのは明白だが、その理由は彼の母親は冒険好きな人だったが、彼に可愛い名前を授けたらしい。その名前で通ってないのが残念だとユースタスさんは嘆いた。

 次にユースタスさんは自分達老人は本当に寄生虫のようであり、自分達の子供が成長するのが嫌いだし、自分達に取って代わるのはもっと嫌だとも話した。年を取る事による体の衰え、自分の子供達への世代交代による自分達の栄光が過去に置き去りになる事への抵抗が気持ちとしてあるのだろうか?

 僕は改造人間となったので人並みの年の取り方をするのか分からない。ケロッグのように年を取らないまま何処かで死ぬのかもしれない。なって初めて分かる、人並みに生きて死ぬのがどんなに凄くて素晴らしかったのだと...。死ぬのは怖いけれど、それは生命体として当然避けては通れないし、来世があるかもわからないが、少なくてもそれは人間として当然の在り方なのだ...。

 最後にユースタスさんは長話をして引き留めた事を謝罪した。1日中でも話せるけど、とりとめが無くて飽きるだろうと。そな事はない。そういう何気ない日々がどんなに素晴らしかったのかを僕は全部失くしてから知ったんだ...。仲間達とはある程度和解したけど、かつてのような関係とは程遠い。ホント、馬鹿だよなぁ僕は...。

 

 ユースタス「長話ばかりでごめんなさいねぇ。とりとめのない話ばかりで...。忙しいのに退屈だったでしょう?」

 パーマー「...いいえ。そんな事ありませんよ。素晴らしい話でした」

 ユースタス「?そうかしら...。まぁ、ありがとう...」

 パーマー(そうだよ、こういう何気ない日々が大切なんじゃないか?僕はそれを捨てたんだ...。自分の意思でね...)

 

 最後にマルコムさんに挨拶した。彼はいつものようなぶっきらぼうな話し方ではなく、息子のネルソンを殺さないでくれて事に対してお礼を言った。下層地区の人々に対して傲慢な態度をとる彼も自分の息子は大事なようだ。彼もこの事がきっかけで皆に優しくなってほしいなと僕は思うのだった。

 

 ネルソン「なぁ、業魔...。その、息子のネルソンを殺さないでくれて感謝する。ネオ・インスティチュートの管理官と敵対したと聞いた時、もう無理だと諦めていた...。けれど、アンタは生かしてくれた...。ありがとう」

 パーマー「いえいえ...。無用な殺しはしたくなかったし、殺さねばと思ったりはしていません。息子さんを大事にして下さい」

 

 

クックの娘、コレット来訪

 その後、僕がかつてダイヤモンドシティで買った家の掃除等をしていた。活動拠点のつもりで買ったが、全然使っていなかったので埃を被っていた。その掃除だけで半日以上使ってしまい、もう夜になっていた。終わった後はダグアウト・インで晩ご飯にしようと考えた。いざ入ろうとすると、女性に声を掛けられた。彼はお酒を奢ると言ったが、僕は飲めないのでヌカ・コーラをお願いした。彼女は苦笑したが、バディムさんにその旨を話して注文した。

 僕はこの女性は誰かと訝しんだ。名前を尋ねると、彼女は自分の名前はコレットだと名乗った。僕みたいな相手に何もなく近づくはずがない。何か理由はある筈だと僕が言うと、彼女はヘンリー・クックを探していると明かした。何処にいるか知りたいらしい。困った。どう答えるべきか...。

 僕はコレットに何故探すのか尋ねた。彼女はヘンリー・クックは自分の父親だからだと答えた。つまり、彼女の本名はコレット・クックということなのだろう。彼女は父親からこのところ連絡がないし、この街に来て様子を見ようと思ったのだと言った。彼は悪人の部類だったが、良き父親ではあったらしい。

 僕は迷ったが、クックさんは亡くなったと答えた。コレットさんは驚きつつも理由を尋ねた。僕は彼が「仕事の最中」にトリガーマンに襲われ殺されたと伝えた。「仕事の最中」とは勿論薬物とキャップの強奪で、トリガーマンはマロ―スキーのの配下であるし、トリッシュその一味である。大分はぐらかしているが、彼女に父親の裏の顔を伝えるのは憚られると思ったのだ...。かなり慕っている様子なので、それを壊すわけにはいかないと考えたからだ。

 Z1ー14はこれで良かったのか困惑したが、X6はクックさんが他の組織にネオ・インスティチュートの情報を売るかもしれないと危惧していたようなのである意味幸運だったと小声で言っていた。そういうのは良くないと思うよ...。

 

 コレット「そうですか...。父はそんな死に方をしたんですね...。業魔、ありがとうございます。知る事が出来て良かったです」

 パーマー「...いいえ。それ位しかお力添え出来ずすみません(嘘は言ってない筈だけど、大分はぐらかしているよなぁ...)」

 Z1ー14(エルドリッチ管理官は誤魔化したみたいですが、これで良かったのでしょうか?)ヒソヒソ...

 X6 (これで良かったのですよ。ヘンリー・クックは狡猾な男です。別組織にネオ・インスティチュートの情報を売らないとも限りません。阿野氏はある意味幸運でした)ヒソヒソ...

 

 そして、コレットはダイヤモンドシティを出発した。はぐらかした内容ではあるが納得したと思いたい。でも、こういうやり方しか出来ない僕は極悪人でしかないと改めて痛感するのだった...。