俺はソリチュードを出て他の町に行こうかなと考えていた矢先にウッドエルフの男性に声を掛けられた。俺が人助けをしているのなら助けてほしいと言ってきたのだ。確かにそうだけど、俺は英雄でもないし善人でもないぞ?吸血鬼の悪党だからな。まぁ話を聞いてみるか...。
彼の名前はデルヴェニンというらしく、彼の主が何年も国をほったらかしにして休暇に入った事を嘆いていた。その主はブルー・パレスの古い友人を訪ねに行った後は音沙汰がないようだ。その時にエリシフ首長を馬鹿にする物言いだったので反論しようと思ったが我慢した。困っていることには変わりないからだ。
その主はブルー・パレスの立ち入り禁止の棟にいる古い友人と話をしたらしい。過去にお茶会をして何年も経つので楽しくて仕方がないのかもしれないと言っていた。そんな場所で長い時間居続けられるものだろうか?何か違和感を覚えるぞ?
古い友人とデルヴィニンの主がいるのはペラギウスの羽と呼ばれる部屋にいるらしい。だがそこへは寛骨を持って行かねばならないと言われた。その寛骨はペラギウスの物を使うようにと彼は言った。部屋の名前にもなったペラギウス本人のを使うのか?それにその名前といえば本の題名にもなった王のことではないか?段々雲行きが怪しくなってきたなぁ。
ペラギウスの羽の棟に行くには扉に鍵が掛かっているので、鍵を持っているファルクさんか召使のウナとエルディという名前のノルドの女性から別の方法を聞き出すようにと言われた。ここまできたらやるしかなさそうだ。
ペラギウスの羽に行け!
ペラギウスの羽に行く前に、デルヴェニンの主はどんな人か尋ねてみた。大した人物ではあるが称賛される事はほとんどなく、広大な対をなす帝国を支配して民衆の心も支配しており、誰もが知ってはいるが名前を呼べる者は数少ないらしい。
名前を言われると気が散るらしく、デルヴェニン自身もそれが出来ないとのこと。怒りを買えば悲劇が待っており、彼がこの姿になっているのはそのためだと言った。今の姿が本来の姿じゃないならば魔法か何かで変身させられているのだろうか?その主の正体が段々掴めてきた気がする...。
その主がいなければ帝国はバラバラとなり、北が南に戦争を仕掛けて、聖なる炎が消えてしまうので早急に戻ってきてほしいとデルヴェニンはまた嘆いた。だが上手くいけばそれ相応の報酬が見込めるはずなので、その価値は十分あると保証した。そこまで言うならやりますかね。
俺はブルー・パレスに向かい、ファルクさんにペラギウスの羽の棟に行くための鍵を渡してもらうようにお願いした。しかし、あそこが封印された理由は狂王ペラギウスの亡霊が憑りついている可能性を鑑みてのことだった。いてもいなくても暗黒の時代を思い出させるので闇の葬ったままがいいと拒否された。
俺は注意して入るからと説得してようやく許可をもらえた。今までのソリチュードの貢献を鑑みてファルクさんは譲歩してくれた。ありがたい限りだ。但し、中の物を持ち出したりしない事を条件に許可を出すとのこと。俺はそれを承諾して鍵を受け取った。
封印された棟に入ると、そこは埃と蜘蛛の巣だらけの不衛生な環境となっていた。ここでお茶会なんて出来るわけがないと思ったが、正体が俺の経験上の存在ならどうということはないだろう。その後、ペラギウスの羽付近に着いたのでようやくと思った矢先に俺の意識は飛んだのだった。
気が付くと俺はデイドラの鎧ではなく、いつの間にか高級な服を着ていた。それに何処かは分からないが霧がかった荒野のような場所に飛ばされていたのだ。するとかなり機嫌のよい声で客人を相手にする老人とテーブルに顔を向けてブツブツ呟いているブレトンの男性を見かけた。老人の方は俺の脳内に語り掛けていた声と類似している気がする。本人じゃないのか?
その話の内容を聞いてみると、俯いているブレトンの男性はペラギウス本人であるらしい。死者を呼び出しているのか?それと老人の方は「マーティン」の次に最高のセプティム王だと言っていたが、そのマーティンは「竜神」になったとも言っていた。最後には「卑怯な奴さ...」と悲し気に呟いている気もした。
何だろう、あの老人はマーティンという名前のセプティム王と友人だったのだろうか?支離滅裂な会話の中に、時折まともな会話が出るのでその心理を掴み辛いな。
そう考えている内に狂王ペラギウスはお茶会を強制的に終了する旨を老人に告げた。老人はがっかりしながらもそれを受け入れ、お茶会は終了となった。雰囲気的にデイドラ・プリンスっぽいけど話し掛けてみるかな?
シェオゴラスの暇潰し
老人に話し掛けると友人をおもてなしするのに10年や20年位いいじゃないかと言っていたが俺はそんなに待つつもりはない。ここはどこかと尋ねると狂王ペラギウスこと、ペラギウス3世の心の中だと老人は言った。そんな事があり得るのか?いや、デイドラ・プリンスならば可能か...。
俺は伝言を届けに来た事を伝えようとしたが老人は遮り、唱歌か召喚、もしくはアルゴニアンの愛人の背中に書かれた脅迫文かと言ったがどれも違う。その後、デルヴェニンさんの事を言おうとしたがまたしても遮られた。モラグかリトル・ティム、もしくはライサンダス王の亡霊かスタンリーなのかと言ったがそれも違う!
だがそんなふざけた話し合いの中で、俺がちゃんと説得して帰るように仕向けられるかが重要だと老人は言った。何だよ、分かっているんじゃないか...。
老人は自分は俺の潜在意識に居座る影であり、壊れやすい心に付いた染みなのだと言った。それと脳内に語り掛けた声はやはり彼自身が言ったものだと種明かしをした。やっぱりか!
その後、改めて老人は自身の名前を言った。狂乱の王子シェオゴラスであると。やはりデイドラ・プリンスだったか!しかもかなり厄介な相手だ。何を考えているかは不明な狂気を司る神であり、モロウウィンドでは壊滅の危機に瀕する騒乱を引き起こしたり等の凶行を退屈や暇潰しという理由だけで行ったりするので、邪悪な存在として恐れられているのだ。
オブリビオン領域はシヴァリング・アイルズと呼ばれており、両極端な性質であるマニアとディメンシャと呼ばれる地域があり、それぞれが公爵が統治しているらしい。きっとそこはシェオゴラスと同様に狂人だらけなんだろうなぁ...。
話を戻そう。俺は休暇を切り上げるようにお願いしたがシェオゴラスは聞き入れる様子もないと思われたが、突然休暇を止めると宣言した。しかし、その条件は俺がここの出口を見つけるという無理難題なお願いだった。
俺はきっと裏があるのだろうと思い、そこを追求するとあっさりシェオゴラスは認めた。危ない危ない...。ここはペラギウス3世の心の中だ。どんな脅威が待ち受けているか不明瞭だ。そうして思案している最中に、剣か魔法か隠密やその他の下らない方法を考えているのだろうと言って、俺にちょっかいを掛けてくるシェオゴラスが煩かった。
今度はこっちが遮ろうと思ったが、彼は俺にワバジャックと呼ばれる変な杖を貸してくれた。大口を開けた老人の顔が3人分連なったような形状をしていた。これも恐らくデイドラのアーティファクトなのだろうと思った。持つだけで何かしらの力を感じたからだ。
ペラギウスの自信を取り戻せ!
俺はペラギウスの心の中でどうするか迷った。ここには門が3つあったので、最初は南東方面の門を潜った。するとシェオゴラスが俺の脳内に語り掛けてきた。 この門ではペラギウスは多くのものを憎み恐れたと言った。暗殺者、犬、アンデッド、黒パン等だ。黒パンが怖いってどんな過去があったんだろうか?
しかし、最もペラギウス3世が憎んでいたのは自分自身であったのだとシェオゴラスは言った。自分の弱い面に向けて攻撃するのでいつもその自信は打ち砕かれているとのことだ。自己嫌悪がペラギウス3世の怒りに火を注ぐ形となる。
攻撃された自信となるペラギウス3世はすぐに縮こまってしまうのでバランスを取らねばならないとシェオゴラスは言った。それをワバジャックで何とかすべきなのだろう。
早速向かうと妖精と形容すべきと思われるサイズのペラギウス3世が帝国軍兵士に殴られていた。これが彼の心の在り様なのか?よく分からないが俺はワバジャックを使用して彼に当てた。すると身の丈が倍になり殴り返すようになった。俺はどんどんワバジャックから放たれる魔法を当てた。
ワバジャックの魔法を何度も受けたペラギウス3世は巨人サイズに等しくなり、自身に満ち溢れた様子で殴り返していった。亡霊が数名加勢に現れても全く物怖じしなかった。シェオゴラスもこれに満足し、この門の課題は完了となった。自分を愛するようになったペラギウス3世は今後、自分以外の他人を憎み続けるだろうと語った。
憎しみは他者に向けるべきで、自分を憎むなんて馬鹿げているとも言っていた。間違ってはいないかもしれないが何だか不穏だなぁ...。
ペラギウスの悪夢を振り払え!
今度は北東の門に進んだ。そこでまたシェオゴラスが語り掛けてきた。ペラギウス3世は幼少期から悪夢に苦しめられてきたらしい。目覚めのために必要なものを見つけなければならないが、悪夢はしつこくやって来るので注意するように言われた。
早速向かうとペラギウス3世はベットでがっつり寝ていた。俺はワバジャックの魔法を放つとオオカミが現れた。これが悪夢なのか?そのオオカミにもワバジャックの魔法を放つとヤギが現れたり、子供時代のペラギウス3世が現れた。こちらは特に脅威にはならなかった。う~ん、関連性がよく分からない。
その次はハグレイヴンや山賊長が現れたのでワバジャックの魔法を使って消した。その後もう一度ペラギウス3世に魔法を放つと、今度は彼の妻と思われる女性が現れた。こちらも脅威にはならなかった。きっと心の拠り所を召喚すれば安心する流れなのだろう。
もう少し続けると、炎の精霊やドラゴン・プリーストが現れた。これもワバジャックの魔法を使って消すと、これ以上は特に現れずにペラギウス3世派気持ちよく目覚めるのだった。シェオゴラスは満足げに笑い、順調に事を運んでいるので終わりは近いと言った。もう少しなので頑張ろうと思う。
ペラギウスの恐怖心をほぐせ!
最後は北西の門へと向かった。そこでまたシェオゴラスが語り掛けてきた。ペラギウス3世の母親はセプティム家の者としては普通だったが、一般大衆からは異端者とされていたようだ。恐怖を包丁のように振り回すか、包丁を振り回して人々を怯えさせたらしい。どっちかはシェオゴラスにも分からないようだった。
それと幼いペラギウス3世に周りは危険だらけだと教育したらしい。いつ何時襲ってくるのか分からないからという理由のようだ。だから狂王ペラギウスが誕生した訳か...。あまり詳しくないから安易なことは言えないけれど、何だか不憫だな。
門を超えるとそこにはペラギウス3世はおらず、闘技場があっただけだった。サルモールが雷の精霊同士を戦わせていたのだ。シェオゴラスは敵を倒せと急かしてくる。向こうもワバジャックを使ってくるだろうと警告した。
俺は嵐の精霊に向けてワバジャックの魔法を放ったが、氷の精霊に変身しただけで問題解決とはいかなかった。どうしてだ?だがよく考えるとサルモールは俺の味方ではないし、所属しているわけでもない。ならば精霊に当てるのではなくサルモールに当てればいいのではないか?
その予想は大当たりだった。ワバジャックの魔法を受けたサルモールはオオカミとなり、残ったサルモールを攻撃したのだ。この引っかけに気付いた俺をシェオゴラスは満足した。そして、ペラギウス3世が安心したと思い込み、救った形になるのでこの課題も完了した事になる。これでようやく終わりが見えたな。
狂神の戯れの終幕
俺はシェオゴラスの下に戻り、ペラギウス3世の心を直した事を報告すると彼は「治療した」という表現の方が適切ではないかと言った。まぁそうだけどさ、狂っているのかマトモなのかどっちなのかと突っ込みたくなるぞ?
しかし、俺がしっかり仕事をこなした事でシェオゴラスも約束を守ると言った。心変わりが早いから早く行くように急かした。言われなくてもそうするつもりだ。シヴァリング・アイルズに戻ったら執事が煩いだろうと彼は言った。ハスキルという名前の人物らしい。狂神の相手をするのだから大変だろうなぁ...。
最後に忘れ物がないか確認する事になった。一張羅よし、顎髭よし、荷物はよし。だが荷物の件でシェオゴラスは荷物はどこだと言った。何の荷物の事だ?
その後、デルヴェニンさんが召喚された。彼は帰れることが出来て喜んでいた。荷物とは彼の事か?俺の表現もおかしかったがシェオゴラスも同じだな!そう思っていると荷物の件は解決したようで報酬の話となった。借りたワバジャックを俺にくれるようだ。使い所は難しいが貰っておくことにした。
最後にシェオゴラスは俺にある話をした。デイドラ・プリンスについて詳しいのはどうしてかという話だった。何故そんな事を聞くのだろう?そんなこと本に書いてあるのにと思ったが、デイドラ全書の本を開いてみたがどれも概要というか当たり障りがない事ばかりしか書いていなかった。そんな馬鹿な!じゃあ俺が今まで出会う度に思い出していたことは一体なんだというのか?
戸惑う俺に対してシェオゴラスは「思い出したくない事が多すぎて記憶や魂に蓋をしているだけじゃないのか?自分がやった汚い事から逃げたいだけなのさ。まぁどこかでまた会うだろうから気にするな、意外な形で会うことになるだろうけどな」と面白そうに言っていたのだ。どういう意味だ!?
教えを乞おうとしたがシェオゴラスは切り上げるようにニュー・シェオスに立ち寄ったらイチゴのトルテをご馳走すると言い終わった後に、一期一会のトゥルットゥーとふざけた挨拶をして俺をブルー・パレスに帰すのだった。
理由が分からなかった。俺の記憶がないのは昔「何か」をしたからそうなったのか?その答えが出ないままソリチュードを後にするのだった。