テュリウス将軍は最後の詰めとしてイーストマーチの砦を制圧させる事を俺に命じた。そのためにイーストマーチの帝国軍野営地に赴いた。指揮しているリッケ特使に詳細を聞こうとしたが、ただアモル砦と呼ばれる砦を制圧すルようにとだけ言った。
もう汚れ仕事を必要とせず、単純に戦うのみでいいのだろうと思った。それともストームクローク側は兵力も武器も、ゴールドも残り僅かなのかもしれない。何とも言えない悲壮感を抱いたが、ここで気を緩めるわけにはいかない。スカイリムの人々を守り、アルドメリ自治領の脅威を防ぐためにも。
アモル砦を制圧せよ!
俺達はアモル砦に向かった。キャラバン襲撃により資金や武器にも余裕が出たので今まで以上の士気の高さだ。だが、対するストームクローク兵は決死の覚悟で俺達を攻撃してきた。
俺は先陣を切って戦ったが、何本か矢の直撃を受けた。吸血鬼ではなかったら死んでいただろう。痛みを堪えて斬り殺していった。最終的に犠牲は何名か出たがアモル砦の制圧は完了した。リッケ特使に報告に戻るべきだろう。
イーストマーチの帝国軍の野営地に戻り、アモル砦制圧を報告した。リッケ特使は1,000ゴールドの報酬を支払い、いよいよウィンドヘルムに進軍すると宣言した。テュリウス将軍もそこに向かっているので急いで合流すべきだろう。
ウィンドヘルムに進軍せよ!
俺は急いでウィンドヘルムに向かった。するとそこには投石器を両軍が使い、互いに火の海を作りながら殺し合いをしている様子を目の当たりにしたのだ。早期終結のためとはいえ、ホワイトランで使われたそれを俺達が使うのか...。綺麗事では済まないのは重々承知だが、何となく納得いかなかった。
正門前ではテュリウス将軍が帝国軍兵士達に向けて演説していた。この戦いで反乱軍であるストームクロークに最後の一撃を加えるのだと豪語した。それは帝国軍人達が多くを犠牲にしながらも勇敢に戦ったからだと労った。
王の宮殿にいるウルフリックは隠れられると思っているだろうが、瓦礫の中からでも引きずり出し、正義の裁きを下すと言った。
どんな頑張っても今日がウルフリックの最期であり、向こうも必死なので絶対に油断するなと忠告された。それでも帝国軍の敵ではなく、我々こそがタムリエルで最高の戦士であり、勇敢にして最強な、専門の戦士だと俺達を鼓舞した。
それとこの戦いは皇帝であるタイタス・ミード2世が知るところになるだろうと言い、目立った武功を挙げた者には報酬が出るだろうとテュリウス将軍は言った。
最後に帝国と帝国軍のためにと掛け声をあげて突入した。これでストームクロークとの最後の戦いになる。気を引き締めてかかろう。
正門を潜るとウィンドヘルムは火の海となっていた。不幸中の幸いというべきなのか一般人の犠牲者は居なかったが、俺達はホワイトランでされた事を今ここでしている。これが正しい事なのか?報復というやつなのか?だが考えても仕方ない。ウルフリックのいる王の宮殿を目指さなくては!
道中ではブッチャーの件で調査で何度か通った墓地を横切った。俺はブッチャーと何も変わらず、平穏を奪うだけの存在ではないのか?と自問自答してしまう。
しかし、ストームクローク兵は待ってくれない。油断した俺を殺そうとしたが、テュリウス将軍やリッケ特使が助けてくれた。悩むのは後だ。俺は油断した分だけストームクローク兵を殺し、王の宮殿を目指した。
業魔VSウルフリック・ストームクローク
王の宮殿に入ると、そこにはガルマルとウルフリックが待ち構えていた。ウルフリックに至ってはストームクロークを象徴するような装飾を施された鎧を装備していた。決死の覚悟で待っていたのかもしれない。
それに対してテュリウス将軍は反乱と帝国市民の殺害、上級王トリグの暗殺、帝国に対する大逆等の罪状を列挙した。リッケ特使はガルマルに下がるようにお願いした。これ以上元同僚を殺したくないのだろう。
だがウルフリックは、堕落して死に瀕した帝国に未来は無く、スカイリムを明け渡したりは絶対にしないと突き放すように言った。
リッケ特使は「スカイリムは貴方のものではない」と否定したが、それに対してウルフリックは「私はスカイリムのもの」であると屁理屈のようなことを言って恭順を示さなかった。
これ以上付き合う気のないテュリウス将軍は、ストームクロークは帝国の裏切り者であると断じ、その罰に相応しい処刑を受けるように言った。拒否するならばこの場で簡易処刑するとも言った。彼としてはどちらでもいいらしく、どの道シロディールにウルフリックの首を送る事になると言った。それを合図に最終決戦の幕が上がるのだった。
ガルマルは鉄の両手斧を軽快に使用して俺達を攻撃してきた。参謀格でありながらその身のこなしは凄いの一言に尽きる。だが俺とて負けるわけにはいかないのだ。大振りの技を見切りつつ、斬撃を繰り返して弱ったところで急所を一突きして殺した。
最後に残ったウルフリックの耐久力は尋常ではなかった。どうやら鎧には黒檀をふんだんに使っているようだったのだ。そのため拳を受けるとかなり痛かったし、テュリウス将軍やリッケ特使の攻撃にもある程度耐えてみせたのだ。おまけに揺ぎ無き力も放つので隙が生まれやすかった。
しかし、俺のデイドラの鎧と同様に完璧な硬さを有するわけではない。体を動かすために脆い所が必ずあるはずだ。狙いは下腹部辺りの鎧の繋ぎ目。鋼鉄の片手斧を振り回している時の隙を伺って攻撃していった。かなり危うかったが俺のドラゴンベインが鎧を貫いてウルフリックの急所を一突きして致命傷を負わせた。
勝ちを確信したテュリウス将軍は、最後の要求はあるかと尋ねた。それを聞き届けたらストームクロークが行きたがっている場所に送ると言った。リッケ特使はか細い声で「ソブンガルデです...」と答えた。俺はきっといたたまれないのだろうと思った。
ウルフリックは処刑を俺に任せると言った。それと自分の死は後世に残る歌が生まれるだろうと語ったが、テュリウス将軍は面白くないといった雰囲気で早く刑を執行するように言った。そのための剣である黒檀の剣を貸してくれた。猛火の付呪が施されていた。ウルフリックを殺す時に使用するつもりだったらしい。
俺は迷ったが、いつものドラゴンベインで処刑を行うことにした。理由としては自分がきちんと責任を全うするために、普段使う武器で殺す事でウルフリックの命も覚悟も奪った証となり、俺が背負う罪になると考えたからだ。俺はドラゴンボーンでもあるが業魔でもある。ウルフリックを殺す事によって生まれる業はしっかり背負うつもりだ。
俺は「さらばだ。ウルフリック・ストームクローク...」と呟いて渾身の一撃で斬り殺した。その後ウルフリックは息絶え、ストームクロークによるスカイリムの内戦は終結した。
ウルフリックとは交渉で一度だけ話し合っただけの関係だが、俺は嫌いではなかった。むしろアルドメリ自治領と戦うために帝国と力を合わせるべきだと思う程だったのだ。
拳と刃を交えて分かったのは根っからの戦士でスカイリムを何とかしたいという情熱を持っていたことだった。やり方を間違えてしまったが...。
リッケ特使は「タロスのご加護を...」とウルフリックの亡骸に向けて小さく呟いた。彼女も悲しいのだろう。テュリウス将軍は聞き返したがお別れを言っただけだとはぐらかした。
そして、ウルフリックの後釜としてブランウルフ・フリー・ウィンターという名前のノルドの男性を新たに首長にするとテュリウス将軍は言った。リッケ特使もそれに同意し、早急に政府を擁立させるべきだと言った。
確かに暫定政府を擁立しとかないと暴動が起きかねないもんなぁ。ノルド至上主義者の武装蜂起やダークエルフやアルゴニアン達の不満の爆発等考えられるだけでも色々ある。やっておかなければいけない事だらけだ。
最後のテュリウス将軍は一緒に仕事が出来て光栄だったと言い、彼の剣をお礼に報酬として授けると言った。色々複雑な気分ではあるがありがたく受け取ろうと思う。
内戦終結
王の宮殿を出た後にテュリウス将軍は帝国軍人達に向けて演説を行うこととなった。ウルフリックは死んだのでその首はシロディールに送られて晒し首にされる事、ストームクロークは壊滅した事、その後の政府はブランウルフ・フリー・ウィンターが首長になって執り行う事、これまでの奮闘に感謝して給与と遺族への補償金は2倍にすると言い、最後には皇帝万歳!帝国軍の兵士万歳!と言って演説を締めくくった。
テュリウス将軍は演説は嫌いだと言ったがリッケ特使は悪くないと言ってフォローした。それと殉教者が生まれないかを危惧していた。確かに信奉者は多いだろうから生まれる可能性は大だと思った。
リッケ特使もそれは危惧しており、山間にはまだいくつものストームクロークの野営地が存在すると言った。しかし、ウルフリックなしではそこまで組織を維持出来ないはずなので諦めて故郷に帰るだろうと言った。テュリウス将軍はそうであってほしいと願った。
最後にテュリウス将軍は、俺の参加なしでは勝てなかった事と言った。そうだろうか?俺の力が人の役に立てて良かったと思う。リッケ特使は深刻な時こそ分別を持つべきだと忠告された。一大事の時にこそ、公正に動くべきなのだろうと思った。
スカイリムの内戦はこれで終結したが確実に全てが平和になったわけではない。ドラゴンの脅威もあるしアルドメリ自治領もまだ暗躍している。俺は吸血鬼であるから正義の味方ではないけれど、出来る事は力になるようにしていきたいと思うのだった。