俺達は最初にマルカルスに来た時に関わったペライトの信者の頼みを聞き入れるために、そのデイドラ・プリンスを祀っている祠を目指すことにした。
その道中でブロークン・タワー要塞と呼ばれる砦を発見した。そこはフォースウォーンの根城になっていたので、彼等は俺達を発見次第攻撃してきた。マダナックとその配下を殺したのが伝わったのかもしれない。向こうがその気なら俺達は受けて立つまでだ。
そうと決まれば実行だ。この旅の面々は自分で言うのもなんだが規格外ばかり揃っている。故に時間は掛からずに全滅出来た。勿論直に吸血するのもしっかりやった。飢えと渇きを癒すのも市井に紛れる条件だからねぇ~。セロとミラークは仮面越しに渋い顔をしていたが...。
ブロークン・タワー要塞を制圧後にペライトの祠に向かおうとした矢先に、山賊が奇襲してきた。返り討ちにして殺すとセロがある事に気付いた。実際には山賊ではなく、ボエシアの信者だったようだ。懐にボエシアの証明と称される本を携えていたからだ。
ボエシアは謀略や暗殺、反逆を司るとされるデイドラ・プリンスだ。アズラと並び守護神とされる。オブリビオン領域は、塔や巨大な迷宮、庭園等があり裏切りや反逆が絶えず起こっているアトリュビューションズ・シェアと呼ばれる。
またデイドラ・プリンスか...。最近多いいよなぁ。だがセロが関わる気満々だった。守護神だから張り切っているのだろう。気は進まないが、ペライトの件が片付いたら行くべきかな?普通なら関わっただけでも危ないのに立て続けに発生するなぁ。もしかして俺って呪われているのか?
ペライトを召喚せよ!
夜頃にペライトの祠に到着した。これといった祭壇は無かったが、信者と思われるカジートの男性を見つけた。話し掛けると彼がケッシュのようだ。正しくはきれい好きのケッシュという名前らしい。
俺達のことを放浪者か巡礼者と思っているらしい。ペライトの神託を授かりに来たのかと尋ねてきたので、マルカルスで出会った感染者の信者への義理を果たすためにそうだと答えた。それを聞いたケッシュは快くここに足を踏み入れることを許してくれた。
その後、ペライトについて尋ねてみた。それは傷口に滲む膿汁であり、それが汚れた体液を吸う事で血を綺麗にすると語った。ケッシュはそのペライトを信仰し、世界は病によって浄化されるべきだと豪語した。中々の危険思想だなぁ。吸血鬼の俺が咎めるのもおかしいのかもしれないが...。
実際にペライトを召喚するには、香料のための材料を集める必要があるようだ。祠がない以上、代替で捧げものが必要らしいのだ。では取り掛かるとしますかね。
その香料には以下の通りのものが必要とのこと。デスベルの花、銀のインゴット、傷の無いルビー、吸血鬼の遺灰をそれぞれ1つずつ用意しなければならないそうだ。用意が出来たらケッシュに渡せばいいらしい。
その材料なら既に持っている。長旅でヴォルキハル城やホワイトランのブリーズホームにも帰っていなかったから、その手の物が多い位に持っていたのだ。いつか整理しに帰らないとなぁ...。
俺はその材料をすぐにケッシュに渡した。あまりに早いものだから彼は驚いた。そりゃすぐに入手出来そうにない物も含まれているからね。
ケッシュは大釜にそれらを入れて香料を煎じた。体に悪そうな緑色の液体が出来上がったのだが、それを嗅げばいいそうだ。かなりの臭いだったのでミラークに代行してもらおうと思ったら、即座に拒否された。だろうねー。まぁ俺が最後までやりますとも。
オーチェンドールを始末しろ!
嗅いだ後はとてつもない吐き気を催したが、その後周りの景色は色を変え、頭の中に声が響いた。ペライトの声なのだろう。と思ったらスキーヴァーの霊体が現れた。ハーシーンのような依り代で現れたのかもしれない。
この香で肺を満たせと言っているがそれは御免被りたい。どうやらペライトは、俺の今までの旅を見ていたらしかった。その結果、仕事を任せる事を決めたらしいのだ。どんな仕事だろうか?
どうやらペライトはブレトンの村に疫病を流行らせたらしく、その指揮を任せた僧兵であるオーチェンドールという名前のエルフが感染者達をブサーダムズと呼ばれる場所にまで連れてきたが、行方不明になったらしい。その裏切り者の始末を依頼したいそうだ。
何だかなぁ。スカイリムどころかタムリエルの危機じゃないのかそれは?どうしても殺さないといけないのかと問うたら、生意気だと言われた。嫌なら別の者のに頼むまでだと言っていた。怖いねぇ~。
もしこの仕事を完遂すれば、ドワーフの紋章盾を報酬として与えると言った。剣と呪文の両方から守る優れものらしい。まぁ気にはなるけどさ。
俺はオーチェンドールに引導を渡すのは了解するが、正しい事のためにすると宣言した。だがペライトはそれも生意気と言い放ち、オーチェンドール抹殺に拘った。やるしかなさそうだ。
俺は行く前にケッシュにオーチェンドールについて尋ねてみた。その人物は監督官であり羊飼いという役割だったようだ。感染者を指揮していたのはペライトの号令の下、祝福を世界中に蔓延させる事だったらしい。う~ん、中々の狂信っぷりだなぁ!
今度はブサーダムズはここから西にあるドワーフ遺跡のようだ。あまり遠くないらしい。ならばすぐに取り掛かりますかね。
ブサーダムズに突入すると、ペライトを召喚するための巨釜がいくつもあった。そのおかげで臭いがキツかったが進むしかあるまい。道中は感染者とも戦った。これもスカイリムやタムリエルを守るためなのだ。
感染者達はペライトを召喚する時と同じような緑色の吐しゃ物を俺達目掛けて吐いてきた。俺やセラーナは大丈夫だが、セロやルパートに当たらないように注意しなければならない。ミラーク?多分アポクリファにいたから耐性があるんじゃないかな?
道中返り討ちにしつつ進んだのだが、セラーナが死霊術で蘇生させた感染者は祈りを捧げる姿勢を取っていた。流石はペライトの信者、敬虔な姿勢は筋金入りだぜ!
それはそれとして、俺は吐しゃ物を吐きかけられたくないので死の稲妻を使用して攻撃の隙を与えずに殺していった。だって嫌なんだもんなぁ...。
その後、感染者の居住区に到着し、手掛かりを探していたらメモを発見した。その内容によればオーチェンドールはエアドロームと呼ばれる場所にいるらしい。古いドワーフの道具がペライトと親しくなると思っているとか書かれていた。意味はよく分からないが、この遺跡を利用して何かをするのだろうと俺は思った。
急いで向かったが、ドワーフ・スフィアやスパイダー、感染者の攻撃もあり思うようにはいかなかった。だがその最中に再びあの発作を起こした。
久しぶりの感覚だが、何だか安定したような感覚だ。そしてあの老人の声が聞こえた。
老人は「とうとう最高ランクになってしまったようだなぁ?なになに、ナイトマスターだって?ワシとお茶会するに相応しい品格があるとはいかんが、まぁ面白そうだからいいだろう。モラグの現身とも直に話をしてみたいからな。そうと決まれば早く来い!時間は有限なのだ。まぁワシにとっては無限だがな!」と捲し立てた。
いやはや、頭の中に直接話し掛けるから疲れた。モラグ・バルの現身とまた言われて腹が立つし、お茶会に来いとか勝手に言うしでてんやわんやだ。まぁ気が向いたら行くとするかな?多分デイドラ・プリンス絡みだろうけどさ。
ようやくエアロドームに到着した。オーチェンドールと思われるウッドエルフの男性は、どうしてここに来たのかと質問してきたので、俺はペライトの命令でここに来たと答えた。
オーチェンドールはペライトに仕えるのは苦痛ではあったが、長い年月を辛抱に費やしていたようだ。その甲斐あって信者達のトップになる事に成功し、ブサーダムズでドワーフの技術を入手し、反旗を翻す事を決意したと豪語していた。
そして、ここまで来た俺達を始末して自身の力をさらに高めることに注力したいと言っていた。そうはさせるかっての!
だがオーチェンドールは思いの外強かった。魔法による瞬間移動や大治癒と呼ばれる熟練者クラスの回復魔法の多用、アイスジャベリンやファイアボール等の熟練者クラスの破壊魔法を使って攻撃してきた。
それにセラーナのアイススパイクやセロの火炎、ルパートの氷雪の杖の力もあまり受け付けていなかった。ブサーダムズで何らかの力を引き出して、魔法に耐性が出来たのかもしれない。
俺はミラークにサイクロンを放つように指示し、隙を見せた所で死の稲妻を使って瞬間移動出来ないようにした。その間に仲間達に剣や斧等の物理的な武器を使って攻撃してもらって、オーチェンドールを殺す事に成功した。僧兵と思って甘く見ていたので反省しようと俺は思った。油断大敵ってね。
戻る頃にはもう朝方だった。倦怠感を抱きながらも俺はケッシュさんにまだペライトの会話は出来るかどうか尋ねた。香煙は薄くなりつつもまだ消えていないので、また深く息を吸えば謁見出来ると教えてくれた。気が進まないがやるしかないだろう。
あの独特の臭気のある香煙を吸い込んだ。再び景色が歪むとペライトが現れた。秩序は取り戻され、オーチェンドールはペライトの領域であるピッツで彷徨う事になるらしい。
感染者達は皆殺しにはしなかった事を指摘された。俺としては襲い掛かってくる相手のみしか殺さなかったので、見逃していた。その内新しい監督官を差し向けるとペライトは言った。
う~む、やはり殺すべきだっただろうか?いや何もしない相手を殺すのは忍びないしなぁ。でもスカイリムやタムリエルを思えばやるべきだったかも?難しい問題だ。再び脅威になるようだったら、責任をもって俺が殺すとしよう。
そして、報酬としてドワーフの紋章盾であるスペルブレイカーと呼ばれる盾を貰った。
俺はそれをありがたく受け取りつつも、ペライトの言いなりにはならないと宣言した。ケッシュさんは驚きつつも慌てふためいていた。俺が裏切ったかもしれないと思ったのだろう。実際は忠誠を尽くすつもりはなかっただけなのだが...。
しかし、ペライトは「その割には従ったのは何故だ?」と問い詰めた。俺はその理由が分からなかった。嫌なのになぜ言われた通りに行動したのだろうか?
答えられない俺を見たペライトは「お前自身の運命を探すのだ。」と言った。いずれまた会う事になるとも。デイドラ・プリンス共通の恐ろしさもあるが、異名の1つにある親方に相応しい口ぶりだった。もしかして俺の過去を本当に知っているかもしれないと思ったが、聞く前に香煙が尽きてしまった。
結局のところ、俺の運命は自分で探すしかないのだろう。過去は分からないがこれからは決められるはずだ。そう思い、ケッシュさんに別れを告げつつペライトの祠を後にするのだった。
虐殺者エリクを雇え!
日の光は吸血鬼には大敵だ。俺達は近場のロリクステッドに向かった。宿屋のフロストフルーツで休もうと思ったのだ。エリクは元気にやっているだろうか?
店内に入るとエリクを見かけた。傭兵になったようだ。広い世界を見て回り、稼ぐには都合が良かったらしい。
それと自分の名前に「虐殺者」と付けていたのでどうしてこの名前を付けたのかと尋ねた。自分を真に表す名前を付けるようにと父親のムラルキさんに言われたらしいが、素朴な名前よりも敵を怖がらせる名前にしようと考えたようだ。俺は知らない間に何人殺したのだろうかと勘繰ってしまっていたので、意外と簡単な理由だったことに苦笑した。
そして、俺はエリクを雇う事にした。彼が望むものを見せてみたいと思った。これはいい旅になりそうだ。