俺は少しの間ファルクリースで働く事にした。最初は通り過ぎただけで、何も知らないからだ。セラーナも色々見て回りたかったようで何よりだ。
墓が多いのはかつて戦いが多くあって、その年月が積み重なる事で大きくなっていった事、この土地特有の暗さは呪いか何かではないかと考えられている等といった話も聞けた。
そして、墓場を少し見て歩いたら、アーケイの司祭を務める年老いたハイエルフの男性が誰か家族を失ったと思われるノルドの夫婦に対して慰めの言葉と魂の安らぎを得られるように儀式を執り行っていた。
失礼を承知で俺は夫の方に何があったのかと聞いてみた。彼はマシエスという名前でコープライト農園を経営しているらしい。妻の方はインダラ・カエレリアという名前だと教えてくれた。司祭の話に出てきたラビニアという名前は彼等の娘の名前であり、10歳にならないでこの世を去ったらしい。
どうしてなのか?それは渡りの労働者のノルドの男性が原因だった。シンディングという名前らしい。その人物が引き起こした凶行だったのだという。まともそうに見えたのにラビニアに対して凄惨な殺しを行ったようだ。遺骨もまともに残らなかったとか。
今ではファルクリースの地下牢に閉じ込められているようで、マシエスは説明する毎に怒りと悲しみが伝わってきた。俺はどうしてこうなったのかを調べようと思った。セラーナもこれに同意していた。
ハーシーンに出会え!
早速地下牢に行くと、シンディングと思わしきノルドが近づいてきた。いたいけな少女を殺したのはなぜかと問いただしたら、我を失ってしまったかららしい。詳しく聞くとハーシーンの指輪が原因だと弁解した。これをはめると体に変化が起きるようだ。どうなるかは分からないが、最悪のタイミングで発動する事があるらしく、彼もその状況になったと言った。
ハーシーンとは狩猟の神、デイドラ・プリンスの一柱ではなかったか?その神はウェアウルフ(人狼)やウェアベア(人熊)などに変える病気を流行らせたとか。領域は永遠に狩人と獲物が鬩ぎ合うハンティンググラウンドだったか?
その指輪を持っているとはつまり、シンディングもウェアウルフなのか?それを聞くと彼もその1人だという事を明かした。やはりか...。モラグ・バル以外にデイドラに関わる事になるとは思いもしなかったぞ。
そして、マシエスさん夫妻の娘ラビニアを殺した事はそれと関係あるのか尋ねた。最初は製材所で働こうと思ってファルクリースに来たが、その娘を見た時に自分の中で何かが走ったらしい。味を想像し、狩りをしなくちゃ堪らなくなったといった。
う~ん、ウェアウルフの症状と関係あるか怪しくなってきたぞ。自分よりも弱い相手を殺したかっただけなのか、もしくはシンディングの、その、特殊な性癖じゃないのか?そうでないと信じたいが。
事態を収めるには、ファルクリースの外れにいる白くて大きな鹿を殺して、それに宿ったハーシーンの霊に許しを乞うしかないらしい。シンディングは自分に代わって指輪を返して欲しいと言った。
そして、俺がそれを受け入れると、彼は人間社会にはもういられないと言ってウェアウルフとなり脱獄した。マシエスさんに許しを乞う方が先なような気がするし、刑を受けるべきではと思わざるを得ない。それは考えていなかったからなのかは俺には分からなかった。衛兵は俺が手引きしたと言ったがったが、セラーナの仲介で事なきを得た。助かったよ、本当に。
ハーシーンの指輪は強制的に装備される仕組みになっていた。なぜか血が騒ぐ気がしたが、これは呪いなのか?早急に対処しなければならないだろう。
俺達はファルクリース郊外を探索し、とうとう大きく白い鹿を発見した。すばしっこいので弓矢で射殺すると、その中から鹿の霊が現れた。本能的にハーシーンだと実感した。吸血鬼の王の権能だろうか?
俺はシンディングに代わって許しを乞い、指輪の呪いを解呪してもらおうとしたが、やるべき事をしてからだと言われた。それはシンディングを殺す事だった。
ハーシーンの栄光のために
ハーシーンはシンディングの事を不誠実者のゴロツキと例えた。罪に対する向き合い方の事を言っているのか、それともウェアウルフとしての在り方の事を言っているかは分からない。もしくはその両方かもしれない。彼を殺したらその皮を剥ぎ、供えるのだと言われた。気は進まないがやるしかないようだ。
この狩りには他にも狩人が参加しており、ハーシーンは競争であると俺に発破を掛けた。場所はブローテッド・マンの洞窟らしい。早急に向かおう。
幸いにも朝日が昇る前ぬ到着出来た。洞窟内部に侵入すると狩人達の死体の山だった。これを見たセラーナは「ご覧になって!素敵な光景ですわよ!」と言って見惚れているようだった。え?この死体の山を見て楽しんでいるの?素敵とは一体?流石はハルコン卿の娘よ、血は争えぬわ!
進もうと思ったが生き残りのカジートの男性狩人が1人いた。ジェキールという名前らしく、シンディングは狩人達よりも強いと警告し、造園の狩人も直ぐに到着すると言い、ハーシーンの栄光のためにと言い残し絶命した。
狩りは開始された。その時月は血のように真っ赤(ブラッドムーン)だった。
進んで行くとウェアウルフ化したシンディングが現れた。俺が殺すように頼まれて来たと言うと彼は「報いという訳だな」と言って自嘲した。見逃してくれるなら味方になるし、人間社会に戻らない事を約束した。
俺は迷ったが、マシエスさん夫妻の事や娘のラビニアの事を思うと殺してその無念を晴らすべきだと結論付けた。それを受けてシンディングは俺と敵対関係となった。追跡すると増援の狩人達は皆殺しにされていた。これは油断ならないぞ。
最深部にて追い詰めた俺達はシンディングを殺すために挟撃する事にした。セラーナが剣でシンディングを斬りつける間に俺が弓矢で射るという流れだ。その連携で攻撃し続けて殺す事に成功した。
殺した後にシンディングの皮を剥ぎ取ると、ハーシーンが現れた。彼の神は剥いだ皮を魔法か何かで鎧に仕立て上げた。これは救世主の皮鎧と呼ばれるアーティファクトらしく、魔法耐性や毒耐性が付与されている物らしい。これを報酬として俺に授けたのだ。
ハーシーンは自分の栄光によって、俺はあらゆる不満から解放されると豪語した。それと勇者の称号もくれたのだ。俺みたいな吸血鬼には分不相応な気がするが、受け取っておこう。
そして休むためにファルクリースに帰還した。墓地に赴きラビニアの墓に弔いの言葉を添えた後に何となくアーケイの像を見た。その後俺は「我が敵アーケイ...」と呟いていた。何でこんなことを口走ったのだろう?会った事も無いエイドラに対して。理由が分からない?吸血鬼の王になったからだろうか?
老ハイエルフ司祭の頼み
翌朝、吸血鬼の王になってもやはり太陽が天敵である事を再認識した後に、埋葬ではないならこの街にいる理由は無いとノルドの男性に言われた。
タジェールという名前らしく、他意はないと伝え、手伝える事は無いかと尋ねると友人のベリットの遺灰をルニルという名前のアーケイの司祭に渡すようにお願いされた。俺はそれを了承した。彼はそれを聞くと、照れくさそうにありがとうと言った。悪い人間ではないのだろう。警戒していただけかもしれない。
ルニルという名前の司祭は最初にマシエスさん夫妻に出会った時に儀式を執り行っていたハイエルフの男性だった。俺はタジェールから受け取った遺灰を彼に渡した。生前のベリットとは交友関係にあったらしく、かつての事を懐かしんでいた。相応しい葬式をあげると約束し、報酬のゴールドを受け取った。
司祭になる前はサルモールの魔闘士として、多くの人々を殺していたようだ。だが、それに対して懺悔の意識が募り、アーケイの啓示を受けて司祭に転向したと打ち明けてくれた。クストという名前の助手やファルクリースの人々に仲間のように受け入れてくれた事に感謝していると言った。それだけ信頼されているという証なのだと思った。
そして、探検した洞窟の中に日記を忘れてきてしまったと打ち明け、それを取ってきて欲しいと依頼された。それならお安い御用だ。俺はそれを了承して探検した洞窟とされる北ブリトルシン峠に向かうのだった。
北ブリトルシン峠は死霊術師の住処だった。ルニルが出た後に住処にしたのか分からないが、スケルトンをけしかけて来たので応戦する事となった。スケルトン達を全滅させたら俺のドラゴンベインの斬撃の前にひとたまりもなく、魔術を行使する前に殺した。その後ルニルの日記を回収した。読もうかと思ったが彼の苦悩に満ちた内容だと思ったので開けないでそのままにした。俺にだって分別はあるからね。
持ち帰るとルニルさんは「これは後悔の記録だから見つかって良かった」と言って喜び、報酬のゴールドをくれた。彼の役に立てて良かったと思う。
その後、コープライト農園にいるマシエスさんを訪ねた。彼に娘さんの無念を晴らした事を伝えると、とても喜んでいた。少しでも無念を晴らせることが出来ただろうか?シンディングも被害者ではあると思うが、マシエスさん夫妻の方が義があると思ったので彼等の味方をしたのだ。その後、新鮮なキャベツを売った。これからの事を思って少しでも稼ぎになればいいと思ったのだ。
就任!ファルクリースの従士!
その後、シドゲイル首長に呼ばれ、俺はファルクリースに対して貢献したので従士に任命すると宣言した。私兵であるラッヤという名前のレッドガードの女性が任命された。アリクルの戦士のようないで立ちだった。
記章としてシルバーウィンドと呼ばれるアーティファクトの弓を報酬としてくれた。距離が遠いほど威力を発揮するらしい。この待遇に応えられるように頑張ろうと思う。
従士に任命された後に、執政をしているネンヤという名前のハイエルフの女性に挨拶をした。彼女は前任のデンジェールにより抜擢されたらしい。彼が病気がちになると、シドゲイルが首長に任命されたが、そうする方が楽なだけだったからだそうな。
要塞の管理に無頓着なシドゲイル首長は、ネンヤにそれを丸投げにした形となる。かなり苦労している様子だ。もし何かあったら手伝うべきだろう。