俺はガラン・マレシにハルコン卿からの言伝である「時が満ちた」を伝えた。彼は悪態を付きながらもブラッドストーンの聖杯について知っているかと尋ねられた。
全く知らないと答えると、かなり厳重に守られた秘密のようで、上手く使えば潜在能力を高めてくれるらしい。だが、これをハルコン卿は長い間放置しており、今それを満たす事は、彼曰く「面白い事」が起きるかもしれないと言った。何が起きるか全く見当がつかない。
ブラッドストーンの聖杯を満たせ!
ガランと同行してブラッドストーンの聖杯を受け取りに行く前にヴィンガルモと口論していたもう1人の政敵であるノルド男性の吸血鬼オースユルフに割って入り、俺がレッドウォーターの隠れ家と呼ばれる場所に行き、聖杯を満たす役目を担う事になったことを彼等に教えた。
口論していた彼等が団結するくらいに一大事らしく、ガランは彼等がハルコン卿の第一の相談相手であることを知った上で煽り、それを楽しんでいると伺えた。彼等から睨まれなければいいのだが、大丈夫かな俺?
ガランはブラッドストーンの聖杯は、レッドウォーターの隠れ家の血の泉から直接満たす必要があると言った。それと強力な吸血鬼の血を加える必要があると付け加えた。また同族殺しをしなくてはならないのか...。
そして目的地のレッドウォーターの隠れ家は、社会的に信用ならない連中の住処と言われており、取引するか強引に殺して進むかを選ぶといいと言われた。なるべくなら穏便に進みたいものだ。
行く前に俺はガランから装備と武器を受け取った。デイドラの鎧とドラゴンベインと呼ばれる変わった剣だった。
鎧の方は、吸血鬼として行動するために身元が割れる事を防ぐ名目もあると彼は言った。市井では見かけない装備で目を引くが、生存率と吸血鬼の正体発覚を防ぐためのようだ。
剣はシロディールにかつて存在したブレイズと呼ばれる組織が使っていた武器を闇ルートで仕入れた物らしい。ありがたく使うとしよう。だが鎧を着ると何となく力が溢れ出るような感覚だった。吸血鬼の王の力が強すぎるためだろうか?何とか制御してみせなければならない。
その後、サロニア・カエリアという名前のインペリアル女性吸血鬼とスタルフという名前のノルドの男性吸血鬼に挨拶をしたが、あまり良い対応では無かった。新参者だから敬遠されているだけだろうか?
地図を頼りにレッドウォーターの隠れ家に向かった。そこは廃屋だったが、地下に通じており門番を通過した後、ウッドエルフの女性ディーラーにここはどんな場所かと尋ねると呆れられてしまった。ここはバルモラ以外で最高のスクゥーマが手に入る場所なのだと言った。バルモラとは確か、モロウウィンドの地域名だったはず。ガランの言っていた通りだ。ここはスクゥーマ中毒者用の隠れ家なのだ。
ここのスクゥーマが何が特別なのかと聞くと、秘伝のウォーター・スプリングにあると言っていた。水に込められた魔法で、精神を解放するのだと言った。それにより極上のスクゥーマ体験が出来るのだと。要するにトリップ効果(麻薬が効いている状態の事)が素晴らしいようだ。
俺は油断を誘うために味見として1本くれないかと言ってみた。彼女は初めて来たのならしょうがないとして、1本恵んでくれた。空いている部屋で使用するようにと言われた。
俺はレッドウォータースクゥーマを使う事はしなかった。どうなるかは使用者を見てやはり止めておいて正解だと思ったからだ。彼等にも彼等の苦しみがあるのだろうが、やはり使わないのが一番だろう。
そう思い、付き添いのダークエルフの男性から鍵をスリ取って鉄格子を開錠して奥に進んだ。
進むとスクゥーマの製造工場を見つけた。そこで作業していたのは吸血鬼だったのだ。表の顔としての資金繰りのための経営なのかもしれない。俺は貴重な透明化の薬(小)を2,3本使って回避しつつ進んだ。このデイドラの鎧を脱げばよかったのかもしれないが、危険が付きまとうのでこのままにして進む事にしたのだ。道中で殺したのは従徒だけだ。それもしっかり吸血しておいたが。
だが思ったよりも警備が厳しく、同族殺しは避けられなかった。何とか隠密行動を試みたがやはりデイドラの鎧の足音や金属音は響く。仕方ないので殺すしかなかった。その道中にヴェナルス・ヴルピンという名前の吸血鬼の日記を見つけた。
読んでみると、レンガイア祭りの血の泉を探していたが、その過程でレッド・スプリングを見つけた経緯と、これを見つけられないようにする事と副作用の効果を考えた結果、レッドウォーターの隠れ家が生まれた事が書き綴られていた。この流れの中で配下の吸血鬼を増やし従徒も確保したようである。中々計画的だと思う。まぁ無実の人を吸血鬼にするつもりは全くないが。
配下の吸血鬼もどうして泉から直接の飲まないのかと聞くと、他の吸血鬼が副作用が強いからスクゥーマに混ぜるように至った事を話していた。
更に進むとインペリアル男性の吸血鬼、ヴェナルス・ヴルピン本人が攻撃してきた。配下の吸血鬼と従徒が挟撃してきたので1人ずつドラゴンベインで斬り殺していき、残ったヴェナルスを斬撃の連打で隙を作り、斬り殺した。
そして、血の泉から汲んで、ブラッドストーンの聖杯を満たした。後は強力な吸血鬼の地だがどうすべきかと思っていたら、スタルフとサロニアが現れた。どうやら俺を殺してブラッドストーンの聖杯を献上する事が目的らしい。どうしても戦わなければならないのか?
だがサロニアの方は、それをヴィンガルモの方に献上すると宣言した。それを聞いたスタルフは話が違うと抗議したが、彼女は俺達を皆殺しにして口封じするつもりだ。ならば自分もとスタルフはオースユルフのために邪魔者は殺すように言われていると言って両方に攻撃を開始した。
何だかなぁ。吸血鬼は元々肩身が狭い生き物なんだから、同胞同士なら協力しないと。まぁ生き延びるために俺も同族殺しをしてしまっているけどさ。
こうなっては仕方がない。破壊魔法の火炎を多用するスタルフを先に距離を詰めて殺し、残るサロニアも反撃する間も与えずに斬り殺した。強力な吸血鬼の血はこの2人で何とかなるだろう。俺は彼等の血をブラッドストーンの聖杯に注いで完成させた。
その後レッドウォーターの隠れ家まで戻るとレッドウォータースクゥーマの常飲者たちは皆殺しにされ、見張りは従徒になっていた。いや、本性を現しただけなのか?とりあえず生産工場に有った眠り木の樹液と呼ばれる薬を見つけたので貰っておくことにした。何かで使えるか高く売れるかもしれない。
ヴォルキハル城に戻り、ガランさんにサロニアとスタルフに襲われて殺されそうになったことを報告すると、彼は「ハルコン卿の政略争いへようこそ」と涼しく言った。オースユルフとヴィンガルモはハルコン卿の玉座を切望しているが、露骨な行動は取れず、手下を使って俺を殺して、自分が聖杯を献上する事でその地位を確実な物にしようと画策していたようだ。
だがそれを、俺が健闘してブラッドストーンの聖杯を満たして、オースユルフとヴィンガルモの配下も殺した事で、2度も貢献した形となったらしい。これを忘れずに信頼する相手を選ぶようにと言われてこの件は終わりとなった。何だか掌で踊らされただけな気がする。まぁしょうがないか。この後はハルコン卿のお呼び出しが掛かったので応じなければいけない。
聖蚕の僧侶を探せ!
俺はハルコン卿に謁見することとなった。疑問があれば聞いていいと言われたのでセラーナの母親のことを尋ねた。随分前にいなくなり、配下の吸血鬼総出で捜索したが見つからず、絶望したのだという。名前はヴァレリカという名前らしい。
その妻が娘のセラーナを連れ去ったのではないかと考えていると言った。もしまた会う事になったら、裏切りの代償を支払わせると意気込んでいた。怖いねぇ...。
それを言い終えた後に本題に入った。ハルコン卿は吸血鬼最大の弱点は太陽であり、最近までは戦う術が無い相手だと嘆きながら語ったが、ある解決法を見つけたらしい。何百年もかけて探し回った結果、聖蚕の僧侶の記した古い預言がその答えなのだと言った。
吸血鬼達が太陽を制し、その脅威を恐れなくなる時代について書かれていたそうだ。その予言を知る手掛かりがセラーナのエルダー・スクロールにあるようだ。そんな事が可能なのか?だとしてもリスクが大きいような気がする。
俺との会話の後、ヴォルキハル城の全ての吸血鬼達を集めてハルコン卿は演説を行った。予言の時が来て、太陽そのものを支配し、永遠の闇に覆われた新たな領域を作り出すことになると高らかに宣言した。エルダー・スクロールの一巻が手元にあるので、聖蚕の僧侶をなんとしても見つける必要があると言い、スカイリムにエルダー・スクロールが発見されたと偽の噂を流したらしい。
その甲斐があるかを確かめるため、スカイリム各地を回り調べる必要があると言った。宿屋の主人や馬車の御者、旅人等だ。成功してもその後が怖い気がするがやるしかないだろう。
早速調査しに行こうとしたが、セラーナに呼び止められた。広大なスカイリムを1人で探すよりも2人で探した方が効率が良いと言った。どうやらそれは口実のようなもので外に出て、歩き回りたかったらしい。如何にも物語のお嬢様といった感じだが俺はそれを了承した。
エルダー・スクロールに関して何か分かった事はあるかと行く前に尋ねると、セラーナは何百年も一緒に埋まっていれば何か分かるかもと思っていたが、そんな事は無かったようだった。うむ、ノルド生まれだという話は本当そうだ。
ウンウンと言いながら納得した俺を見て、セラーナは馬鹿にされたと思ったのか、膝を思いっきり蹴ったのだ。悪かったよ、痛てぇな...。
シドゲイル首長の依頼
セラーナは外に出るととても嬉しそうだった。それを見ると俺も嬉しくなる。聖蚕の僧侶を探さねばならないが、少しだけなら旅を楽しむのも悪くないだろうと思った。
最初はファルクリースに行く事にした。そこのシドゲイル首長から仕事の依頼を受けているので済ませてしまおうと思ったからだ。一応行く前の準備としてグレイ・パイン・グッズと呼ばれる雑貨屋に入った。そこの店長はソラフという名前でノルドの男性だ。製材所で勤務してるボルンドという名前の兄弟がいるらしい。
元ストームクローク兵だったらしいが何年か前に怪我をして引退したらしい。剣はもう振るえないがウルフリックの考えには共感しており、スカイリムはノルドの土地であるという考えのようだ。人それぞれだと思うが、ノルドだけで成り立つのは難しいように感じる。
その後、ファルクリースの衛兵に犬を見なかったかと聞かれたので、知らないと答えた。鍛冶屋の主人が探しているらしい。その内確認しに行くべきだろう。
今度はグレイブ調合薬店と呼ばれる錬金術の店に立ち寄った。そこの店主はザリアという名前で、レッドガードの女性だ。
どうしてここに来たのかと尋ねると、家族は致死毒や死に惹かれる自分を認めなかったから、家出してここまで来たと言った。ファルクリースの巨大な墓地に心が休まり、店を開く事に決めたと語った。性分と言う奴だろうか?
この店の名前の由来について尋ねると、確かに病人向けではないとザリアは苦笑した。ここは良くも悪くも大きな墓地なので、不吉な名前はファルクリース特有の冗談らしい。土地柄なのだろう。
色々見て回った後、首長の長屋に向かった。そこで手紙を書いた本人と思われるノルドの男性が噂道理の人物かどうか試そうと言ってきた。彼がシドゲイル首長で間違いないらしい。何となく飄々としている感じだ。
この地にいる山賊と裏取引をして美味しい思いをしてきたがそろそろ清算したくなったらしい。その連中を始末するように仕事を依頼されたのだ。汚れ仕事のような気もするがやってみよう。
前任の首長はデンジェールという名前のノルドの男性で、老いにより引退したらしい。その後は従士として働き、ファルクリースの利益を十分に考えて、シドゲイル首長にその座を譲ったようだ。
若いうちにその座に就くのは大変だろうと俺が言うと、毎日遊んで暮らしているし、難しい仕事は執政がやってくれるので、首長は簡単な仕事だと豪語した。冗談で言っているのか計算して行っているのか不明だが、掴み所のない人物のように思った。
シドゲイル首長が取引していた山賊はバナーミスト塔に潜んでいるという話だ。早速そこに向かい対峙すると、思ったよりも強くなかったので簡単に始末出来た。吸血鬼の王の力のおかげか?
すぐに終わったので、シドゲイル首長は驚きながらも肩の荷が下りた様子で俺達の仕事ぶりを称賛した。彼は汚れ仕事もしっかりこなす働きぶりに対して、従士の資格を与えるチャンスをくれると言った。
土地の購入の権利も考慮してもいいと言った。そのためにはファルクリースにしっかり貢献する事が重要だと言ったのでいくつか仕事をこなすようにしよう。ゴールドや物資も貯めたいからね。