やっとのことでニュークリアスに潜入出来た。そこでは説教が始まったばかりだった。上級聴罪司祭のテクタスは声高らかに自分達の正当性を主張していた。
ファー・ハーバーの人々はアトムの顔を窓から空を見上げていればいい、霧コンデンサーの影に隠れて嘲笑し、宣教師を殺し、光を齎そうとする人々を虐殺するんだと言っていた。
そして、耐え忍んできた歳月の後で、勝利の鍵がニュークリアスの中にあるのは明らかで、その秘密はアカディアによって隠されているが、暴かれた後はファー・ハーバーを島から消せると豪語していた。
最後にテクタスはアトムのベールにより、聖なる霧が異端者の土地を浄化すると宣言した。分界が果たされた時には英雄となり、新しい夜明けとなると更に声高らかに唱え、アトムに栄光あれと言って締めくくった。
中々に狂信的だと思ったが、案外どの宗教にもこういった側面はありそうなので、深くは言及しない方が良さそうだと思った。どの宗派でも自分達の教えは大切にするものだし。
断食を中断させよ!
ここではB.O.Sと同じく階級と名前の組み合わせで呼ぶらしい。それならもう慣れているので大丈夫だろう。
見て回る中で、ジーロット・ウェアという名前の男性と出会った。彼は僕と一目で新人と見破り、ブラザー・デヴィンを見かけなかったかと聞いてきた。入ってきた時に祈りを熱心に捧げていた信者の男性がいたがその人だろうか?
どうやら長い間断食しているらしく、摂取するのは放射能汚染された水だけらしい。そうする事でアトムからの啓示を待っているようだ。
大半の人々は熱心に自身を捧げる姿を素晴らしいと思うが僕はどうかと聞かれた。難しい質問だが、信仰の自由は守られるべきだと思っているので「彼自身の選択なら問題ないのではないでしょうか?確かに体には良くないでしょうけど」と僕は答えた。
ジーロット・ウェアは言うのは簡単だと言いつつ、彼とブラザー・デヴィンはアトムの加護を受けていないらしく、放射能耐性が無い事を打ち明けた。抗放射能薬を飲むことなく、死ぬまで断食し続ける事で、啓示を得られるはずだと妄信しているらしい。彼は何度も説得したがダメで、周りは信心深いと思われているので誰も止めないようだ。
知り合ったばかりだが、ジーロット。ウェアは僕に助けを求めてきた。上手くいったら彼考案の抗放射能薬を報酬としてくれるらしい。狂信者達ではあるが、何となく見過ごせない。助けられるなら助けるべきだろう。僕は急いでブラザー・デヴィンの下に向かった。
急いで向かうと、ブラザー・デヴィンはまだ祈りを捧げていた。辛抱強く啓示が下りるまで待っているのだ。その後、僕はジーロット・ウェアから断食を止めるようにとお願いされたと言うと、汚い仕事を他人任せにした事に憤りつつ、気持ちはありがたいがここを離れるわけにはいかないと言われた。
ブラザー・デヴィンは啓示が下りるまでは、待つだけでいいとアトムから言われていると思っているらしい。以前はジェットを常用する事が心の支えだったらしく、ある日森の中で体を汚している時に、目の前で空から何かが降って来たらしい。若い雄鹿で全身が聖なる光に包まれていたらしい。その雄鹿にニュークリアスに戻るようにと言われたようだ。そうして邪心を捨てて心から尽くすようになったと言った。
アトムは自分の献身を知っているので、使者が再び来るのを待っていると言った。そうする事で呪縛から解放されると思っているようだ。最初の使者はジェットによる幻覚かもしれないが、霧の母の例もあるので、本当に現れたのかもしれない。次はいつになるかは分からないが...。
僕は久しぶりに芝居を打つことにした。大まかに纏めると「フハハハハ!良い知らせがあるぞぉ!私はアトムの使者でありぃ、貴方の呪縛を解きにやって来たのだぁ!そうらぁ!これは我々2人だけの秘密だぞぉ!良いなぁ!?」という具合で語り掛けた。端から見ていたニックは帽子を目部下に被りながら「恥ずかしげもなくよくやるよな...」と呆れていた。仕方ないじゃないか、これでも人命が掛かっているんだから。
ブラザー・デヴィンは、僕の芝居に心を打たれたようで、呪縛が解けたと喜んでいた。そして、光り輝く者と僕を称えながら、断食を止めたのだった。彼は断食が長期化していたので、判断力が鈍っていたのかもしれない。それを止められて良かった。組織としては悪い人が多いだろうけど、個人間では良い人が多そうだと思った。
ジーロット・ウェアに成功した事を報告すると、アトムと共にあらんことをと言いながら、僕に感謝した。そして、報酬として「ウェアの醸造酒」という名前のお酒をくれた。これが抗放射能薬のようだ。
お酒は飲めないんだけどなぁと思っていたら、彼はレシピもくれた。それを読むと樹液を煮込むだけで出来上がると書かれていた。それってお酒なの?何となく東洋の薬である「漢方薬」と呼ばれる代物ではなかろうか?まぁ、お酒は飲めないからこっちの方がありがたいけどね。
僕はブラザー・デヴィンについて聞いてみた。彼はジェット依存になっているが、暴れる事はしなかったらしい。ただ救いが必要だったが、僕が現れて解決した事で生き永らえる事が出来た。これもアトムの思し召しと考えているようだ。説得しただけなんだけど、そういうことにしておこうと思った。
今度はジーロット・ウェア自身の話を聞いてみる事にした。放射能に耐性が無いのにどうしてここで生きる事になったのかを聞いてみたくなった。以前いた場所よりもはるかにマシであり、かつてはトラッパーだったらしい。霧の中で生きていく事は相当過酷であり、寝る前に食糧の心配をしながら、ナイフを携えている位だったと言った。
そんなある日に、狩りの最中にテクタス上級聴罪司祭とその同胞達に出会ったそうだ。取り囲んで連れ去った後に、食べ物や弾薬と引き換えに身柄を渡す取引を行う事になり、護衛役になったジーロット・ウェアはその時、テクタス上級聴罪司祭と話す機会を得たらしい。
その時にニュークリアスでの生活を話し始めたらしい。アトムのいる生活をだ。1日3食ありつけて、寝る前に食糧の心配をしなくていいのはジーロット・ウェアにとってこの上なく魅力的だった。醸造酒もあるので、放射能対策はばっちりだった。簡単な答えとして、トラッパーを裏切った彼はここで生活することを決めたらしいのだ。
信仰よりも生活を選んでここにいるという事か。そういうのはコモンウェルスでもよくあると思うので、ジーロット・ウェアの判断を僕は否定しなかった。
他に色々見て回ろうと思って医務室らしき場所を見つけた。そこではアルケミストという名前の医療用マスクを付けた女性が担当していた。それを付けているのは古傷だからと言っていた。
かつてはファー・ハーバーの医者で、ある男性と恋に落ちたがその仲に怒った町の人々に追われ、捨てられてしまい、今の外見になったのだという。僕は何かあったらここを利用して、力になるべきだろうと考えた。
放射能汚染アーチを作動させよ!
今度は長旅だったので物資調達しようと思い、雑貨店らしき所に行ってみると、シスター・マイという名前の女性に話し掛けられた。
霧の母に選ばれたことを知っており、彼女は「信心試験」も見たのかと聞いてきた。リヒターが2人を連れ出した時の事を言っているようだ。最初に見かけた献身どうこうのあの事だったのだ。ここでは信用で成り立っているので注意するようにと言われた。それはありがたく聞くことにしようと思う。面倒事は避けたいからね。
物資について聞いてみるとRADアウェイも扱っているようだ。アトムの恩恵は誰にでも与える訳ではない事を承知しており、その人々のために常備しているのだとか。その辺の采配は素晴らしいと思う。耐性の無い人への配慮を怠れば、離れる人が出るからね。
次に何で放射能を受けるのかと聞いてみると、ある種の懺悔とみなしているらしい。自らを洗い流し、光を新たに受け入れるためだとか。う~ん、よく分からないなぁ。
その後、シスター・マイはある計画を持ち出してきた。ここに来る途中に古い除染アーチがあった事を持ち出して、修理に行き詰っている事を明かした。化学物質に耐性がある業務用のポンプレギュレーターが必要らしい。入手先はヴィム・ポップ工場という場所にあるらしい。
だが、何故直すのかと聞いてみると、除染ではなく汚染のために使うようで、フィルターにバイパスを付けており、そこにレギュレーターを取り付ければ、光を簡単に沢山手に入れることが出来るのだとか。やはり、彼女もアトム信者だった。まぁ、頼まれた仕事はしっかりやりますとも。
ヴィム・ポップ工場に到着すると、スーパーミュータントやミュータントハウンドの攻撃を受けた。僕は以前ジャックさんから貰ったロレンゾアーティファクトガンを使用してみた。
それはとてつもない衝撃波を敵に向けて放つ、恐ろしい武器だった。ミュータントハウンドは何メートルも吹き飛び、スーパーミュータントは強靭な手足が粉砕されてしまう結果となった。使い所を間違えなければ素晴らしい武器になるだろうと思う。
そうしてスーパーミュータント達を全滅させた後に、ポンプレギュレーターを入手した。これをシスター・マイに持ち帰ろう。
帰る前にヴィム塗装のパワーアーマーを入手した。中々カッコイイので貰うことにしよう。だが、これを着て潜水艦基地に入ると怪しまれるのでファー・ハーバーに置いてから向かう事にした。
そして、シスター・マイにポンプレギュレーターを持ち帰った事を報告した。その後は潜水艦の近くにある機械に取り付けて、フィルターに取り付けられたバイパスがやってくれるらしい。成功したらアーチが放射能を持った水の噴霧をが開始され、皆を喜ばすようだ。
その後、シスター・マイは僕に「名誉ある仕事」としてポンプレギュレーターを設置する仕事を与えると言ってきた。その機械は港にあるがゴミだらけの場所だった。単に行きたくないだけなのではなかろうか?まぁ、やりますけどね。
最後に諸々のお礼を込めてラジウムライフルと呼ばれるガンマ線銃のライフル版を貰った。だが、これは特別な銃らしく「過激な会話」と呼ばれる一級品らしい。ダメージとエネルギー耐性をいくらか無視するようだ。ありがたく受け取ろう。
ゴミだらけの場所を掻い潜りながら、僕はポンプレギュレーターを設置した。その後、アーチを起動して放射能汚染された噴霧が出ることを確認して無事仕事を終えた形となる。
この事をシスター・マイに報告すると、彼女は喜び,皆に話すと言っていた。僕が頭が良かったら細工出来たかもしれないけど、上手くいくか不安だしこれで良かったのだろうと思うのだった。