僕はこれから何処か遠くに行こうと旅の準備をしていたら、パラディン・ダンスが声を掛けてきた。彼は「インスティチュートに潜入して無事に情報を持ち帰ることが出来たのは名誉なことだ。君をきちんと指導出来た事を誇りに思うよ」と言ってきた。
僕がB.O.Sのメンバーとして任務を果たしたことを労っているのだろう。だが、それを言い終えた後に相談があると言ってきた。スクライブ・ヘイレンについてだった。
僕は「この上なく献身的で、本当のチームプレイヤーだと思う」と答えた。だが、パラディン・ダンスが求めている答えはそれではなく、ヘイレン個人についてどう思うかについてだった。らしくないと僕は言ったが、彼もそのことはそのことは承知だったがそれでも心配なのだと打ち明けた。
お互いに上手くやっていけているので折り入って打ち明けたいことがあるそうだ。僕はその悩みを聞くことにした。その内容は僕とニックがケンブリッジ警察署に行く数カ月前に部下が1名、レイダー達に数発撃たれた時の出来事だった。
パラディン・ダンスの悩み
そのナイトをスクライブ・ヘイレンは2日間夜通し看病したが、残念な事に少しずつ衰弱していったのだという。それ以上は苦しませるのは酷な事だったので鎮痛剤の過量投与を施すように彼女に命令したという。所謂「尊厳死」のためだ。
だが、スクライブ・ヘイレンは救うために戦い続けたかったはずだが、異議申し立ては無く注射をしたとのこと。
僕はそのナイトの苦しみの話をしたかったのかと思ったらどうやら違うようだった。
重要なことはその日の夕方に起きたと話していた。当直となったパラディン・ダンスの所にスクライブ・ヘイレンが現れた。彼女は何も話さなかったが明らかに様子がおかしかったようだ。
気の遠くなる沈黙の後にスクライブ・ヘイレンはパラディン・ダンスの胸で泣き崩れた。どうすればいいか分からなかった彼はただ腕で支えてあげたと言った。その後、泣き止んだ彼女は彼の頬にキスをして「ありがとう」と言って警察署に戻ったという話だった。
パラディン・ダンスは「彼女に無理をさせ過ぎたのかもしれない」と言って激しく後悔していた。直感を無視するように命令を出したのだと言った。医学訓練で間違っているとされる事を彼女にさせた事を悔やんでいた。
それ故に心配でならないのだという。それ以外に自分が指揮する部下にも心配していると言い、今まで4人の部下が彼の判断で死んでしまった事実を打ち明けた。こんな自分をこれから信頼してくれるのか?そもそも自分をどうやって信用すればいいのかと言った。彼は苦しんでいると僕は理解した。
僕は「スクライブ・ヘイレンを腕で支えた話を聞くと貴方は部下を大切に思っているし部下もそう思っているはず」と答えた。それを聞いた彼はそう思った事は無かったと言い「形勢逆転してしまった」と苦笑した。
パラディン・ダンスは自分の知り得る全ての知識を教えるために僕の指導に志願したが、今日は僕から教わるべきことがあったと言った。そして、相談出来た事に満足したようだ。僕が話をしっかり聞いたことで肩の荷が下りたようだ。その悩みを聞いて解放出来たのは良かったと思う。
調子の悪い時に会ってこの話をしたことを彼は謝罪してこの会話を終えた。気分が沈んでいたのは僕も同じだ。彼の助けになる事が出来て良かった。
パラディン・ブランディス復帰!
旅に出る前にプリドゥエンで食事をしようと思って食堂を目指すと声を掛けられた。その声の主はパラディン・ブランディスだった。髪を整え、服装を一新して気持ちを新たにB.O.Sに復帰していたのだ。僕は「おかえり、パラディン」と答えた。彼はそう言ってくれたことがとても嬉しいようで「きちんとお礼がしたい」と言った。
パラディン・ブランディスが愛用していた銃を僕にくれると言った。古い銃だがそれのおかげで何年も生き延びられたようだ。その名も「サバイバー・スペシャル」という名前のレーザーピストルだ。これが同じように役に立つことが彼の願いのようだ。その好意は嬉しい。大切にしよう。
パラディン・ブランディスは長い間B.O.Sを離れていたのでここでやって行けるか不安らしい。向いていないのかもしれないとも言った。それでも焦らずに行動しようと思うと言った。これも僕とチーム全員のおかげだと言った。最後に「やり直すチャンスをくれてありがとう」と感謝の言葉を言ってその会話は終了となった。
パラディン・ブランディスは本当にB.O.Sと仲間の事を真剣に考えている。それに引き換え僕はどうだ?どの組織にも心からの忠誠を示していない。どっちつかずのコウモリのようだ。いや、それはコウモリに失礼か...。とにかくまた気持ちが沈んできたので今度こそ旅に出よう。
キュリーとコモンウェルスを旅する
僕はVault81の近況を見るためにそこに立ち寄った。パラディン・ダンスはここをVault‐Tecが人間に対して非人道的な実験を行ってきたことを知っていたため、ここも同じような場所だと考え「反吐が出る」と忌々しそうに呟いた。
それを僕は「確かに多くのVaultはろくでもなかったけど、ここはしっかり人道的に管理されているから大丈夫だよ?」とフォローを入れた。パラディン・ダンスは「俄かには信じられんな。君は人が良すぎるから騙されているぞ?」と反論された。そんな自覚は無いけど、もしかしたらそうであるから重責に耐えられなかったのかもしれないと内心思った。
居住者達は以前と比べて外の人間に対して友好的となっていた。パラディン・ダンスはまだ警戒していたがそれは日本語の諺にある「杞憂」という言葉が似つかわしかった。
そして、キュリーと再び出会い、彼女は外の世界を旅したいと言った。科学のために貢献したいのだそうだ。僕は了承した。
だが、それを聞いたパラディン・ダンスは「機械と交代か...恥ずかしい」と愚痴を零した。対してキュリーは「恥ずかしがることはありません。単に特技が違うというだけです」と反論した。渋々納得した彼はプリドゥエンに戻った。彼の人生を思えば中々受け入れられないのは分かるけどね。いつかは仲良くしてほしいものだと思い、Vault81を後にした。
シェフィールドの再起!
僕はバージルさんの血清を取ってくるのに成功したのでパワーアーマーを取りにダイアモンドシティに向かった。そこでモーさんの店の前で項垂れている男性を見つけた。シェフィールドという名前らしい。
どうやら医者にアルコール依存症だから酒を止められた後、ヌカ・コーラに切り替えたら今度はヌカ・コーラ依存症になったようだ。依存性体質なのかもしれない。だが、僕は自分がヌカ・コーラが飲めなくなったら苦しいだろうなと思い、彼にヌカ・コーラを1本あげることにした。
それを見ていたキュリーは束の間の安らぎに過ぎないとしながらも、確かに慈悲であると言っていた。
シェフィールドは無事に持ち直した。彼は僕に何かやれる事は無いかと言った。僕はその時崩壊したままのサンクチュアリヒルズの再建を思い付いた。そこで住民として働いてもらえないかと提案してみた。幸いにもワークショップを手に入れたことで再建は時間が掛かるが容易だろうと思ったからだ。
彼はやる気に満ち溢れて見事再起した。先にサンクチュアリヒルズに行ってもらうことにして、僕はバージルさんの約束を果たすためにロッキー洞窟を目指した。
バージルに血清を届けろ!
バージルさんの所に行くと彼は上手くいったことにホッとしていた。これも設計してくれたシグナルインターセプターのおかげである。そして、気がかりだった血清について聞いてきたので僕はきちんと持ってきたことを伝えて手渡した。
喜んだバージルさんは、その後血清の出来具合を調べた。「レトロウイルスの順調な成長、組み換え反イントロンの配列,転写エクソンらせん構造が形成」等と専門用語を呟きながら慎重に調べていた。それが終わった後にバージルさんは血清を打った。
血清を打った後はしばらく待つらしい。僕はきっと上手くいくと励ました。バージルさんは、そうだと良いなと言ったがレトロウイルスが一巡するまで待たなければいけない。
数日か1週間後にまた来てほしいと言った。そして、最後に「ありがとう」とバージルさんは言った。ここまで助けてくれたのでお礼が出来て良かった。
Vault‐Tecスタッフとの210年ぶりの再会!
夜遅くになったので今日はグッドネイバーで休もうと思う。キュリーは旧州議事堂を見て回りたいと言っていた。
パンフレットが欲しかったようだが残念ながらハンコックに聞いたら「その手の旧世界の技術の残り物はここには無いぜ?」と言った。キュリーはがっかりしたがしょうがない。
気持ちを切り替えてレクスフォード・ホテルに泊まることにした。まだ泊まったことがないので興味があったからだ。そこの受付のクレールという名前の女性に話を聞くと、元々は豪邸であり、マナーの悪いお客は泊めない上級ホテルだったのだ。だが、今や二日酔いを治す場所や薬物を打つ場所に成り下がってしまったようだ。
次にオーナーについて聞くと、Mr.マロ―スキーという名前の男性だった。高級な薬物(上級ホテルなのに薬物を使うのは良いの?)や美しいクライアント、沢山のパーティー等の絵に描いたような豪華さだったようだ。
だが、今では裏にある事務所で親の形見を汚すだけになっているらしい。それを知ったら「親がもう一度死んじまうに違いない」と言っていた。何と言うべきか、日本でいう諺の「草葉の陰で泣く」が似つかわしいなと思った。その両親が確かに現状を知ったら泣くどころでは済まないかもしれない。
その話をしていく内にクレールの機嫌はどんどん悪くなった。もう少しマロ―スキーについて聞いてみると、更に機嫌を悪くした。マロ―スキーの事を役立たずだとか他の大物に赤っ恥をかいて今やこのホテルのみだと怒りを露わにした。
これ以上は危ないと思いホテル代を払って、自分の部屋に向かった。その後、ようやくクレールは期限を良くした。やれやれ、休む前なのに疲れてしまった。
休むために自分の部屋に行こうとすると、見たことがあるスーツの男性に出会った。最終戦争の数日前に僕に家に現れたVault‐Tecスタッフだったのだ!戦前の生き残りに出会えるとは思ってもみなかった!どうやら20年勤続のベテランだったが入居者リストに入っていなかった事を怒っていた。
そして、200年以上経過したのに当時のままで、肌が人間のままの僕の事を不審がった。僕は「Vault111には使える冷凍ポッドがあって、つい最近目覚めたばかりなんです」と答えた。それを聞いた彼は「Vault‐Tecはそんなことは言っていなかった!信じられない!」と言って驚いていた。僕自身も入るまでは冷凍ポッドだなんて知らなかったし、その気持ちは分かるよ。
その後、彼はハードな方法で未来に慣れるしかなかったのだという。汚物や腐敗、流血等の戦前からは考えられないような危険な時代を生きねばならなかったと打ち明けた。そして、自分はグールとなり、化け物であると言った。僕は「すみません。こうなるとは思わなかったんです」と謝罪した。
落ち着きを取り戻した彼は戦前の生き残りである僕に自分の現状を打ち明けた。グッドネイバーではずっと孤独だったこと、コモンウェルスの集落は200年のVault‐Tec社員を欲しがらないと言った。
僕はシェフィールドにしたように、彼もサンクチュアリヒルズに招くことにした。彼も復興に協力してもらおうと思う。そのことを彼に伝えると目を丸くして喜んでいた。
僕も休んだら一旦戻ろうと思う。彼等のためにワークショップを起動して建築しなければならないからだ。