この仕事の目的は何かとアーニエルさんに聞いてみた。彼はドゥーマーの一族ごとの謎の失踪についての伝説に幼少期から憧れており、それを自分で再現するために個人で行動していたらしい。
そういう理由があったのか。確かに謎に包まれている。僕もそれは気になるのでもう少し手伝おうと思った。
かつてドゥーマーはロルカーンの心臓を使って力を引き出そうとしたらしい。
ロルカーンとはこの世界「ニルン」を創造したとされる神で、僕達アルトマーにとって霊的な世界から断絶したとされ憎き宿敵になるそうだが、僕は別段憎いとは思わない。だって世界を創るなんてすごいと思わない?僕はすごいと思うから尊敬するなぁ。これを言ったら同胞に怒られちゃうので言わないでおく。幼少期はこれで両親によく怒られていたものだ。兄弟達はそんな僕を笑っていたが、これが僕なのだ。気になることは首を突っ込む性質なのだ。
話を戻そう。ロルカーンの心臓は使えないので、以前手に入れた汚れた魂石を代用するらしい。なぜ心臓が使えないのかは後で知ったことだが、どうやら第3紀のいずれかの時に破壊されたようだ。
この魂石をドゥーマーの暖房機に入れて3秒ほど熱することで変化するようだ。だが一回使うごとにそれは壊れるので3カ所のドゥーマー遺跡で暖房機を見つけて熱していく他ない。そのための専用の魔法「アーニエルの伝達」を教わった。
なかなか難儀だがやってみよう。世界的な大発見が出来るかもしれないし。
汚れた魂石を変質させよ!
とりあえず、ドゥーマー遺跡のディープ・フォーク・クロッシングに行ってみた。そこには暖房機がすぐに見つかった。宝箱のような見た目だが細部が違うので恐らくこれだろう。
これに汚れた魂石を入れてアーニエルの伝達を3秒くらい使用して熱した。そしたら少し変質したことを確認した。これを後2カ所やってみよう。
その後、ムズルフトやダークフォール洞窟の近くのドゥーマー遺跡でそれぞれ暖房機を見つけて1回目と同じくアーニエルの伝達を使って熱した。合計3回、変質は完了したのでアーニエルさんに報告しよう。
このことを報告すると、完璧とは言えないが最初の実験をするには十分のようだ。後はそれに必要な品が届いたら開始出来るとの事だ。それを見る日が待ち遠しい。
しかし、数日後問題が起きた。アーニエルさんはまたもやエンシルさんとトラブルを引き起こしたようだ。彼は過分に料金を支払ったのに道具を届けてくれないと憤慨していた。道理を分からせてやれと怒り心頭である。余りに喚くのでジェイ・ザルゴ君が凝視してるよ。
またしても僕が交渉人をすることになるのだろう。あまり拗れなければいいけどなぁ。
アーニエルの大望!
エンシルさんに恐る恐る話してみると、彼も喚き散らしていたアーニエルさんとは犬猿の仲なのだろうか?
彼曰く、取引のお膳立てを行ったのは自分だがアーニエルさんの手配でモロウウィンドから運ぶのみだったのでそれを引き受けたとのことだった。配達人はリフテン付近で消息を絶ったようなのでそこを目印に探すべきだろう。
しかし、荷物については話してもらえなかったようだ。エンシルさんは重要ならもっと請求していたのにと憤慨していた。それぐらい重要で誰にも話せないような物なのだろうか?
リフテン付近の洞窟で配達人の死体を発見した。周りはスプリガンやホラアナグマがいたのでそれらに襲われて死んでしまったのかもしれない。
懐を探るとあるものを見つけた。どうやらダガーのようなものだ。これ尾を持ち帰ればいいのだろうか?
持ち帰ると剥き出しの状態で包装されていなかったことにアーニエルさんは驚いていたが、これで問題なかったらしい。
これは「キーニング」と呼ばれる代物らしく、かつてのドゥーマーの指導者カグナレク自身が使っていた秘宝らしい。これには対になる「サンダー」と呼ばれる防具があるらしいのだがそれは手元にないらしい。
ロルカーンの心臓もない、サンダーもない、代用するのは変質した魂石で行うとのことだがうまくいくのだろうか?不安でしかないが彼はこの実験を楽しみにしているので止めるのは野暮だろう。
アーニエルさんはキーニングを装備して変質した魂石を何度も斬りつけるが変化がない。やはり必要なものが足りなかったのだろうか?それでも諦めずに斬りつけるアーニエルさん。
最後に悪態を付きながら斬りつけると衝撃が走った。収まるとアーニエルさんの姿が消えていたのだ。どういうことだ!?
そこにはキーニングが落ちているのみだ。どこにもアーニエルさんの姿が見えなかった。消えてしまったのだ。ドゥーマー消滅の伝説のように。
だが、ふと魔法で知らない術を覚えていることに気付いた。使用してみるとアーニエルさんのような人物を召喚出来る魔法だった。これは本人なのか本人の残滓なのか。そこはよく分からない。
彼はドゥーマーに会えたのだろうか?それともこの世界と別の世界に行ってしまったのだろうか?もしくは死んでしまい、この召喚魔法で少しの間エセリウスかオブリビオンから呼び出せるようになったのだろうか?真相は分からない。もう少し実験は待つべきだったのかもしれないが彼の熱意の前に躊躇した僕も悪かったかもしれない。今となってはどうしようもない、彼に会えなくなるのはとても残念だ。
いつか戻ってきて欲しいがいつになるだろうか?アルトマーの僕なら100年でも200年でも待つ、実験に協力した責任があるのだから。




































