これは僕がアリーナに所属していたころに起きた出来事だ。
決闘のルールに慣れてきた後、休暇を取って帝都の外を散策していた時に、ある祭壇を見つけたことから物語は始まる。
クラヴィカス・ヴァイルの祭壇へ
早速僕は、信者のリーダーに話しかけてみた。
マラカス「ここはクラヴィカス・ヴァイル様の祭壇である。取引を行うために参られたのか?謁見を賜りたいなら500ゴールドを捧げよ。」
アタナシア「ありますので、謁見します。」
クラヴィカス・ヴァイル。契約や取引を司る。「虚偽と約束の王子」とも言われる。
デイドラ・ロードだ。司るものの通り、契約を結ぶことで利益を得ることができるが、彼の行動は結果として碌な事にならない事が多く、大抵の場合は歪んだ形で願いが叶えられることとなり、取引をした者はその後絶望する事が多いとか...
気になるけど注意して謁見しないとね。
お前のウンブラは僕の物!
クラヴィカス・ヴァイル「やあネレヴァリン卿!最近は他のロード達の使い走りになっているんだろう!僕の頼みも聞いてくれよ!報酬は出すから嫌とは言わせないからね!」
アタナシア「まぁ、確かに小間使いみたいなことはしてますね...」
モロウィンドではあまり関わりがなかったデイドラ・ロード達とシロディールで良く出くわすようになったのは、僕がネレヴァリンだということがロード達にバレていていいように遊ばれているような気がしないでもない。
デイドラ・ロードにとって僕は退屈しのぎの珍しい玩具なのだろう...
アズラ様は違うと信じているけどね!
お願いの内容は、過去にクラヴィカス・ヴァイルと取引したウンブラという英雄の魂が入っている剣を取り返して欲しいとのこと。何となく簡単そうだと思った。そして、祭壇の犬の像を僕に渡してきた。監視用なのだろうか?
俺の名前はバルバズ。大変だ、お前さんは騙されている!
調べるために、ぺル の門に向かう時に授けられた犬の像が話しかけてきた。
バルバズ「よう!お~い!気付ったら!犬の像から話しかけているんだ。全く英雄様は機転が利かないよなぁ。」
アタナシア「.頭の中に直接話しかけている!」
バルバズ「いやいや、そんなありきたりなボケをかまさなくていいから...とにかく、俺の名前はバルバスってんだ。最初から犬じゃなくてだな、レッドガードやスカンプだったこともある。デイドラ・ロードの使いだから姿形も自由自在さ。」
ふ~ん、使いでも変わるのか。こりゃうかうかしていられないな。どこで見られているか分からないもんね。
バルバズ「この取引のことだけどな、ウンブラは最悪だぜ、これに関わっちまえばろくなことにならねぇんだよ。クラヴィカスはそれに関しては盲目でな。今回も良くないことが起きるぜ!断って立ち去ってしまいな。それが最善だぜ。」
アタナシア「う~ん...」
伝承通りならそうだろうなぁ。でも気になるからバルバスの忠告は聞いておくだけ聞いて確認してからでも遅くないかな...多分ね?
私はウンブラだ!誰がなんと言おうとも本物のウンブラなんだ!
ペルの門にてある村人に話しかけてみると、ウンブラはかつてその村人の弟子であるレンウィンという女性だった。しかし、ウンブラの魔力に取りつかれてしまい、いつしか自身をウンブラと名乗るようになったという。彼女は現在ヴィンダセル遺跡に籠っているらしい。
ヴィンダセル遺跡に赴いてみるとレンウィンはもうウンブラの支配から逃れられない所まで浸食されている有様だった。
アタナシア「.ウンブラの魔剣を捨てて、帰る気はありませんか?」
ウンブラ?「くだらない!もはやかつての私ではないのだ。このウンブラの剣は渡さないぞ!どうしても欲しいなら私と戦い、殺してからにするんだな。」
これはいけない。話が通じる段階をとっくに超えてるじゃんか。どうしたものか。
そしたら、バルバスが話しかけてきた。
バルバズ「こりゃ、ダメだな。もう放っておけ。クラヴィカスには取引の解消を言ってみたらどうだ?多分お前を非難するだろうが、死なないし、俺様が助け舟出すからよ。」
アタナシア「...」
僕はバルバスの意見も尊重すべきだけど、ウンブラがこれ以上斬りつけを行うのはよろしくないので、魔剣と回収と合わせて退治することにした。
バルバズ「あ~あ、やっちまったな。その剣を渡すのはやめときな。奴を駄目にしてしまうから。もしもお前が望むのならそれはお前が所持しとけ。何度も言うがクラヴィカスに渡すのは駄目だぜ、往々にして物の価値を知らないやつだからな。」
アタナシア「どうしようかね、これは?」
そうした方がいいのかもしれないけど、目を付けられるのはごめんだだから申し訳ないからわたすことにしよう。バルバスの忠告を無視する形になるのは後ろ髪を引かれるけども。
報酬 クラヴィカス・ヴァイルの仮面
戻ってウンブラの魔剣を渡すと、クラヴィカス・ヴァイルは今にも小躍りしてしまいそうな上機嫌さだった。
クラヴィカス・ヴァイル「良くやったね、ネレヴァリン卿!君に頼んで正解だった!他の定命の者だとこうはうまく出来なかっただろうから。報酬として僕の仮面をあげる。また何かあったら頼もうかな?」
アタナシア「まぁ、無茶な頼みでなければ...」
これでいいのだろうかとも思いつつ、僕は仮面を受け取った。
クラヴィカス・ヴァイルの仮面。一度被れば自身の容貌に関係なく人間的な魅力を得ることができるという逸品だ。物語にも登場するくらいなメジャーなものなので大切にしよう。
元の位置に戻ったバルバスからは、落胆や失望感がこもった声で話しかけてきた。
バルバズ「こうなっちまったのか、まぁいいや。お前のこともよく分かったしな。縁がなかったってこったろうよ。幸運を祈るよ。デイドラ・ロードの言いなりになるのもほどほどにな。」
アタナシア「ごめんね。」
秘宝をもらったけど、大事なものもなくしてしまった感覚になりながら、僕は帰路に就いた。