母のことを一番に。

でも娘のことも一番に。

父は… 何も起こしませんように。。。


とにかく穏やかに残された時間を過ごしたい。

そう願っていました。

 

 

 

   

 

 

 

KYのケアマネさんと一緒に玄関に現れたのは、私が父の介護保険申請でお世話になったFさんダウンだった。

1週間前に介護保険の申請でお会いしたばかり。

 

 

アキ「あれ…Fさん…?!」

 

Fさん「アキさん、こんにちは。お母さんの認定調査、私がさせていただくことになりました」

 

アキ「(新規の申請なのに父のときとは違って)市役所の方ではないんですね?」

 

Fさん「急いだほうがよい、ということで市役所の判断で…」

 

アキ「そうでしたか。よろしくお願いします」

 

Fさん「先にお母様にご挨拶させてください」

 

父のときは調査まで時間がかかったのに、昨日ケアマネさんが依頼して、翌日に調査に来るとは不思議だったが、納得した。

 

 

「キミエさんこんにちは。地域包括支援センターのFと申します」

Fさんがそう声をかけると、母が目を開けて「あ」と言葉にならない声を発した。

 

「お休みのところすみません」

続けてFさんがそう声をかけた後、母の反応はなく、眠ってしまった。

 

約2時間前には大きな声で父を見送ったのに。眠ってる時間が長くなってきたな…。

私は母の姿を見てそう思っていた。

 

 

Fさん「お母様お休みになっているので、アキさんにお話しを伺いたいのですが…」

アキ「あ、では上にどうぞ」

と誘導しながら、昨日から色んな大人が出入りするなぁ。頭の片隅で冷静にそう思っていた。

 

 

リビングに移動して「ちょっと打合せするね」と夫に声をかけると、

「お母さんのところ行ってるわ」と言って、義母と娘も一緒に席を外した。

 

 

Fさん「娘さん、また大きくなりましたねにっこり

そうだった。娘を連れてFさんにお会いした時ダウンから1ヶ月半ほどが経過していた。

 

 

そこからはFさんの進行で調査が進められた。

排泄、入浴、移動、寝返りは、すべて介助が必要。

食事は、できない。

次々に投げかけられる質問に、頭だけ働いて口から回答はですらすら出るが、気持ちがついていかない

 

4日前には自分で排泄もして、

5日前には自分で寝たり起きたりして、

7日前には自分で食事をしていた母。

 

現実味がなさ過ぎた。

 

今の母は誰が見てもわかる寝たきり状態なので、調査も父のときと比べて30分ほどでさくさく終わった。

KYなケアマネさんは時折メモを取りながら、でも言葉を発することはほとんどなかった。

 

最後にFさんへこう切り出した。

アキ「Fさんに4月下旬に父のご相談をしたのが最初でしたね」

 

Fさん「そうですね。先週お会いしたときには…ね。こんな想像はしていなかったので、お母様のお名前聞いてびっくりして…」

 

アキ「本当に…私もまだ信じられません…」

 

Fさん「介護ベッド、届いてよかったです。・・・お嬢様のご判断が、、、素晴らしいタイミングだったと思いますよ。お嬢様は・・・大丈夫ですか?」

 

その言葉に4月にFさんと出会ってからのことが走馬灯のように蘇ってきて、涙があふれた。

先週の介護ベッドの申請後、今日まで何があったかをFさんにお話しした。

 

「つらかったですね…私はいつでもあそこにいますから。何かあったらいつでも話に来てくださいね」

そう言われて、また泣いた。

 

Fさんも、私たち家族を救ってくださったの方の一人だ。

 

 

父がデイを早退

 

FさんとKYケアマネさんを見送ってすぐ、携帯が鳴った。

画面には父の名前が表示されている。嫌な予感がする…。

 

アキ「もしもし…」

 

ゲン「あ、アキ?僕いま外にいるんだけどさ。「ここどこだっけ?(近くにいるスタッフに聞いている様子)あ、そう、〇〇ケア?」○○ケアってとこにいるんだけど」

 

アキ「うん、知ってるよ(いる場所の名前も覚えてないよね、そうだよね)」

 

ゲン「帰りたいんだよ

 

アキ「今日は16時まででしょ。まだお昼前だよ」

 

ゲン「いや、もう僕元気だからさ。こんなところいなくてもいいからさ」

 

病院じゃないんだからそりゃ元気でしょ…そう呆れたところで、母の部屋にいたモモが泣き出したようで、夫と廊下に出てきた様子だった。

 

家では生後8ヶ月の大きな泣き声。

電話の向こうでは父が大きい声で「帰りたい」とエンドレスの主張をしている。

今日か明日には…という母が下で寝ている。

 

相変わらず、私は脳内も感情もカオスだ。

 


アキ「お母さんが帰ってきてる間は日中家をあけるって約束したよね?」

 

ゲン「そんな約束誰が決めたんだ?キミエ、家にいるんだろ?気になるんだよ。なんで帰っちゃダメなんだ?自分で帰れるよ?もうこんなところにはいなくて大丈夫だから。僕は元気だよ」

 

アキ「わかった…わかったよ。隣にスタッフの方いるの?替わって?」

 

Oさん「お電話替わりました、Oです」

 

アキ「Oさん…ご迷惑おかけしてすみません」

 

Oさん「いえいえ、それはこちらのセリフです…少し自由な時間ができたので手帳を見ていらして奥様がご自宅にいらっしゃることを思い出されたようで。なんでご自身がここにいるのかわからなくなってしまったようです」

 

アキ「あぁ、そうでしたか」

 

Oさん「かなり混乱されているご様子だったので何度もご説明していたんですが、少し離れた間にアキさんにお電話をかけてしまって…すみませんでした」

 

アキ「お手数おかけしました、よくわかりました…。申し訳ないのですが、スタッフさんの良いタイミングで送っていただいてよろしいですか?」

 

Oさん「大丈夫ですか?」

 

アキ「はい、もう…今日は帰していただいて大丈夫です。明日は予定通りで、今日と同じ時間にお迎えお願いします」

 

認定調査の対応をした直後で、まだ昼間だ。

今日の午後だって何が起こるか分からない。

ヒートアップしてしまった父に何を言っても伝わらないのは、私が1番良く知っている。

今日はもう、父のことは放置だ。

そこに体力を使う方がもったいない、と判断した。

 

 

電話を切ってすぐ「お父さん帰ってくる」と夫に声をかけると

「え?もう??・・・あー、昼ご飯・・・(準備しないとじゃん)」と返ってきた泣き笑い

 

廊下で泣いているモモを抱っこしてあやしていると、

間もなく玄関から「ただいま~帰ったぞ~!」と陽気な父の声が聞こえた。

 

 

「キミエのことが気になるんだよ!」と電話であれだけ言っていたのに、母が寝ている部屋を開けることはなくリビングに現れた。

 

歩いている間に、そもそもどこへ行ってたかも忘れているんだろう。

認知症とはそんなものだ。

 


完全に、父のゴネ勝ちだった。

(勝ちも負けもないんだけどさ…)

 






 

 

 

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