大切な日には必ず着飾るおしゃれな母も、化粧も薄く、着ている服もルームウェアでした。
でも、本当に幸せで、かけがえない時間で。
母が大好きな鰻のお弁当は、半分以上食べてくれました
ショートケーキも半分くらい食べて。
もう記憶がないくらい久しぶりに、この日は食べられました。
そして、この日のご飯が、母が最期にしっかり食べたまともなご飯になってしまったのです。
次の誕生日は一緒に迎えられないかもしれない、と思っていただろう母。
何となく私もそんな気がしていた。
義父母は、母の体調をずっと気にかけてくださっていて、
「みんなで母の誕生日会しませんか？」とお誘いしてくれたが、今の母にはその体力も食欲もなく。
今年の母の誕生日は自宅で過ごすことになった
掃除機もかけられなくなっていた母に、私と夫からロボット掃除機をプレゼントした
その代わり、母の好きなものを少しでも食べてもらいたいと、
私は朝から近くのデパ地下に行き、母の大好きな鰻のお弁当を買った。
父にも、夫にも、私にもちょっといいお弁当。
義母はランチに出かけられない代わりにケーキを持って遊びに来てくださった
そして、掃除機もかけられなくなっていた母に、
私と夫からロボット掃除機をプレゼントした
ホテルランチ
したときと同じく、その日に何を話したかは全然覚えていない。
とっても暑い8月下旬の日だった。
娘もなんだか楽しそうで、駐車場にプールを出して水遊びをした
義母と夫と私で、プールで遊ぶ娘を囲んでいたら
義母がお土産でくださった梨を、母が剝いて持って出てきた。
キッチンに立って包丁を持って、
梨を剥いて、
それを持って階段を下りて、
外に出て、段差に座って孫を眺めていた母。
階段なんて、もう何日もおりてなかったはず。
体調がよかったから？
楽しかったから？
誕生日だったから？
今となってはもうわからない。
そして、義母が帰ったあと、夕方からは本当に疲れ果てて布団に倒れこんだ。
翌日には布団から起き上がるのが一苦労になってしまった。
この日の私の日記には、こう記してあった
何よりお風呂が好きなのに、入らない誕生日が来るなんて。
食べたいものを食べて、行きたいところに動けるようになる日が着ますように。
徐々にでも、たまにでもいいから、すこしでも増えてほしい。
来年の誕生日はもっと笑ってお祝いしたい。
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