臨床推論。。。。
医師は患者の話を聴き,診断し,ケアする. 患者と医師の間には必ず患者の心身の問題が存 在する.その問題を解決する(problem solving) ために患者は医師のもとを訪れ,医師はその問 題を解釈・理解し,解決することを委ねられた 存在である.
つまり,診断とは症状・徴候をもとに疾患 を正しく解釈する技術であり,その技術獲得に は実践・座学・観察が必要である.この解釈の プロセスを臨床推論(clinical reasoning)とい う.患者が語る症状,体が現す徴候の源は何か. 我々の役割はそれを明らかにし,解決すること である。(松村 正巳: 日本内科学会雑誌 106 巻 12 号 Problem solving~臨床現場の問題/課題解決(problem solving)に関する方法論やツールを再考する)
ここまで見てみると、一見、この臨床推論は「医師がやること」と、とらえがちになります。
しかし、これからの時代、特に医療の現場では、医師だけでなく、各専門職種間での多職種連携が不可欠となってくるわけです。
保健医療福祉のための臨床推論(朝倉書店)の著者である北島政樹先生は
これからは、医師だけでなく、看護師をはじめ言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などの
各専門職種が
適切な治療・ケア・援助を推進していく考え方、思考プロセス、すなわち臨床推論を扱うことが不可欠になると述べてあります。
それは、看護師にもこれから十分に求められる思考過程であります。
そこで、今回は、成人看護学方法論Ⅱ演習で
心疾患を基礎疾患に持ち、脳梗塞による右片麻痺のある患者で、左手に点滴が入っている患者さんの
バイタルサイン(血圧測定)はどこではかるのか?
また、寝衣交換はどのような順序で行うのが、一番患者さんに負担がないのか?
そのような点を学生に考えてもらい、計画を立て、演習を行ってもらいました。
今回、演習で活用した SASUKE
点滴用のシミュレーター器材です。
右片麻痺であるため、
健側である左前腕に点滴が留置されています。
さあ、どちらの手から袖を通しましょうか?
また、点滴がある場合の袖通しは、どうしましょうか?
大切なことは、どっちから? どちらが正解?
ではなく、このようなことを行うために
まず、患者情報として把握しておくことは何か?、
理解しておくことは何か?、
そしてどのようなことを患者さんに確認する必要があるのか?
それらの情報を整理し、分析することが大切なんですね。
しかし、今の
若い人たちは、どうしても正解は何か?
そこを中心にしか考えようとしないのです。
大切なのはそこを考えるために必要な情報や理解と、何を確認する必要があるのか?
そのような分析のプロセスではないでしょうか?