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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

1、音楽著作物の演奏禁止仮処分についての間接強制の決定

2、右決定発令前の審尋手続

3、間接強制の方法として支払いを命ずる賠償金の額

大阪高等裁判所決定昭和44年3月14日

間接強制の決定に対する即時抗告事件

【判示事項】 1、音楽著作物の演奏禁止仮処分についての間接強制の決定

2、右決定発令前の審尋手続

3、間接強制の方法として支払いを命ずる賠償金の額

【判決要旨】 1、音楽著作物の演奏を禁止し(ただしレコードによる演奏の場合その出所を明示する場合を除く旨の仮処分決定の不遵守ありとして)間接強制の決定が発令された事例

2、右決定の発令前の審尋は、債務者に意見陳述の機会を与えれば足りる。

3、右間接強制の方法として支払いを命ずる賠償金の額は、命令違反によって債権者が蒙る損害額によるのを相当とする。

【参照条文】 著作権法1

       著作権法29

       著作権法30-1

       著作権法30-2

       著作権法36

       著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律(昭和14年法律第67号)2

       著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律(昭和14年法律第67号)3-1

       民事訴訟法734

       民事訴訟法735

【掲載誌】  判例タイムズ232号345頁

 

著作権法

(目的)

第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

 

第四款 映画の著作物の著作権の帰属

第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。

2 専ら放送事業者が放送又は放送同時配信等のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。

一 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、特定入力型自動公衆送信を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利

二 その著作物を放送同時配信等する権利及び放送同時配信等されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利

三 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利

3 専ら有線放送事業者が有線放送又は放送同時配信等のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属する。

一 その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利

二 その著作物を放送同時配信等する権利及び放送同時配信等されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利

三 その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利

 

(私的使用のための複製)

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

二 技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変その他の当該信号の効果を妨げる行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約によるものを除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすること(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)をいう。第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(以下この号及び次項において「特定侵害録音録画」という。)を、特定侵害録音録画であることを知りながら行う場合

四 著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合(当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)

2 前項第三号及び第四号の規定は、特定侵害録音録画又は特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならない。

3 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

(試験問題としての複製等)

第三十六条 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

平成十二年法律第百三十一号

著作権等管理事業法

(定義)

第二条 この法律において「管理委託契約」とは、次に掲げる契約であって、受託者による著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(以下「著作物等」という。)の利用の許諾に際して委託者(委託者が当該著作物等に係る次に掲げる契約の受託者であるときは、当該契約の委託者。次項において同じ。)が使用料の額を決定することとされているもの以外のものをいう。

一 委託者が受託者に著作権又は著作隣接権(以下「著作権等」という。)を移転し、著作物等の利用の許諾その他の当該著作権等の管理を行わせることを目的とする信託契約

二 委託者が受託者に著作物等の利用の許諾の取次ぎ又は代理をさせ、併せて当該取次ぎ又は代理に伴う著作権等の管理を行わせることを目的とする委任契約

2 この法律において「著作権等管理事業」とは、管理委託契約(委託者が人的関係、資本関係等において受託者と密接な関係を有する者として文部科学省令で定める者であるものを除く。)に基づき著作物等の利用の許諾その他の著作権等の管理を行う行為であって、業として行うものをいう。

3 この法律において「著作権等管理事業者」とは、次条の登録を受けて著作権等管理事業を行う者をいう。

第二章 登録

(登録)

第三条 著作権等管理事業を行おうとする者は、文化庁長官の登録を受けなければならない。

 

民事執行法

(間接強制)

第百七十二条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。

2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。

3 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。

4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。

5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。

 

ゴルフ場の建設は、ゴルフ場開場後も当分の間は債務超過の状態が継続するのが通常であるといえ、本格的に収益の計上を開始する三年ないし五年後の状況を見なければ、債務超過の状況が相当期間継続し、当該債務の弁済が不可能であるか否か(法人税基本通達九-六-一)及び債務者の資産状況、支払能力等からみて、債権の全額が回収できないものか否か(同通達九-六-二)は明らかにならないというべきであるとされた事例

 

 

法人税更正処分等取消請求控訴事件

【事件番号】    東京高等裁判所判決/平成5年(行コ)第94号

【判決日付】    平成7年5月30日

【判示事項】    (1) ゴルフ場の建設は、ゴルフ場開場後も当分の間は債務超過の状態が継続するのが通常であるといえ、本格的に収益の計上を開始する三年ないし五年後の状況を見なければ、債務超過の状況が相当期間継続し、当該債務の弁済が不可能であるか否か(法人税基本通達九-六-一)及び債務者の資産状況、支払能力等からみて、債権の全額が回収できないものか否か(同通達九-六-二)は明らかにならないというべきであるとされた事例(原審判決引用)

         (2) 法人税基本通達九-四-一(子会社等を整理する場合の損失負担)の趣旨(原審判決引用)

         (3) 青色申告法人にかかる更正に理由附記を要する根拠

         (4) 更正の通知書に記載された更正理由は、法人税法一三〇条(青色申告書に係る更正)二項の要求する更正理由として不備があり、更正に理由付記する趣旨に沿った十分な記載がされていないとの控訴人会社の主張が、更正理由の記載内容は、課税庁の判断を抑制する趣旨からも、処分の相手方たる控訴人会社に不服申立ての便宜を与える趣旨からも法人税法所定の更正理由の記載として十分であるとして排斥された事例

         (5) 法人税基本通達九-六-一(貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)によれば、債権額が貸倒れとして損金の額に算入されるためには、債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められることが必要であるから、特定時点の計算書類の数額が債務超過の状態を示していることのみをもって、直ちに同規定に該当するということはできないとされた事例

         (6) 法人税基本通達九-六-二(回収不能の貸金等の貸倒れ)にいう債務者の資産状況の判断にあたっては、特定時点の計算書類の数額はひとつの判断資料になるが、それが決定的な意味を持つものではないと解され、同規定の支払能力を判断するについても、その財産のみならず、信用や労力を考慮すべきであるとされた事例

         (7) 債務超過の状況が相当期間継続し、当該債務の弁済が不能であるとし、あるいは、資産状況、支払能力等からみて、債権金額の回収不能が明らかであるということはできず、また債権放棄に相当な理由があるということもできないから、本件債権放棄にかかる金額を寄付金と認定したことは相当であるとされた事例

【判決要旨】    (1) 省略

         (2) 法人税基本通達九-四-一は、子会社の整理等の場合において、親会社が株主有限責任の原理を理由にその責任を回避することが社会的に許されないという状況が生じる場合があり(例えば、子会社の解散にあたり、その雇用者の退職金の支給できない状態であれば、親会社が退職金の源資を援助しなければならない状況が生じうる。)、その責任を果たすために親会社が損失の負担(右の例でいえば、退職金の源資の援助がこれにあたる。)をしたとすれば、これをもって、任意の、事実上の必要と離れて行われる単純な贈与等とは同視できないから、親会社自らが生き残るために必要不可欠なものとして負担した損失については、それが今後より大きな損失の生ずることを回避するためにやむを得ず行われたものであり、それが社会通念上も妥当なものとして是認されるような事情にあるときは、これを寄付金の額に該当しないものとするのである。

         (3) 法人税法一三〇条二項が青色申告に係る法人税について更正をする場合には更正通知書に更正の理由を附記すべきものとしているのは、同法が、青色申告制度を採用し、青色申告にかかる所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨にかんがみ、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきである(最高裁判所昭和六〇年四月二三日判決、民集三九巻三号八五〇頁)。

         (4)~(7) 省略

【掲載誌】    税務訴訟資料209号940頁

 

法人税法

(青色申告書に係る更正)

第百三十条 税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その内国法人の帳簿書類を調査し、その調査により当該青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。ただし、当該青色申告書及びこれに添付された書類に記載された事項によつて、当該課税標準又は欠損金額の計算がこの法律の規定に従つていないことその他その計算に誤りがあることが明らかである場合は、その帳簿書類を調査しないでその更正をすることを妨げない。

2 税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項(更正又は決定の手続)に規定する更正通知書にその更正の理由を付記しなければならない。

 

法人税法施行令

(資産の評価損の計上ができる事実)

第六十八条 法第三十三条第二項(資産の評価損の損金不算入等)に規定する政令で定める事実は、物損等の事実(次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める事実であつて、当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。

一 棚卸資産 次に掲げる事実

イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。

ロ 当該資産が著しく陳腐化したこと。

ハ イ又はロに準ずる特別の事実

二 有価証券 次に掲げる事実(法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券にあつては、ロ又はハに掲げる事実)

イ 第百十九条の十三第一項第一号から第四号まで(売買目的有価証券の時価評価金額)に掲げる有価証券(第百十九条の二第二項第二号(有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法)に掲げる株式又は出資に該当するものを除く。)の価額が著しく低下したこと。

ロ イに規定する有価証券以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと。

ハ ロに準ずる特別の事実

三 固定資産 次に掲げる事実

イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。

ロ 当該資産が一年以上にわたり遊休状態にあること。

ハ 当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと。

ニ 当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと。

ホ イからニまでに準ずる特別の事実

四 繰延資産(第十四条第一項第六号(繰延資産の範囲)に掲げるもののうち他の者の有する固定資産を利用するために支出されたものに限る。) 次に掲げる事実

イ その繰延資産となる費用の支出の対象となつた固定資産につき前号イからニまでに掲げる事実が生じたこと。

ロ イに準ずる特別の事実

2 内国法人の有する資産について法第三十三条第二項に規定する政令で定める事実が生じ、かつ、当該内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額する場合において、当該内国法人が当該評価換えをする事業年度につき同条第四項の規定の適用を受けるとき(当該事実が生じた日後に当該適用に係る次条第二項各号に定める評定が行われるときに限る。)は、当該評価換えについては、法第三十三条第二項の規定は、適用しない。この場合において、当該資産(同条第四項に規定する資産に該当しないものに限る。)は、同条第四項に規定する資産とみなす。

 

建物の一部分の改築により区分所有権が成立したとされた事例

 

 

建物所有権移転登記抹消登記等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和42年(オ)第550号

【判決日付】      昭和44年5月30日

【判示事項】      建物の一部分の改築により区分所有権が成立したとされた事例

【判決要旨】      従来母屋に接続した簡単なパラック建附属建物にすぎなかつた部分を倍以上に拡げて店舗に改造し、母屋との間に板壁による間じきりをし、母屋とは全く別個に使用できるようにした場合においては、柱および板壁を共通にし、建物が屋根続きで外観上は一体の建物の観を呈していても、右改造部分につき区分所有権が成立する。

【参照条文】      建物の区分所有等に関する法律

             民法177

【掲載誌】        下級裁判所民事裁判例集31巻5~8号853頁

             最高裁判所裁判集民事95号443頁

             判例タイムズ238号107頁

             判例時報561号43頁

 

建物の区分所有等に関する法律

(建物の区分所有)

第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

 

 

平和条約発効後の戦犯者の国籍の喪失または変更とこれに対する刑の執行義務

 

 

              人身保護法による釈放請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和27年(マ)第79号

【判決日付】      昭和27年7月30日

【判示事項】      平和条約発効後の戦犯者の国籍の喪失または変更とこれに対する刑の執行義務

【判決要旨】      戦犯者として刑が科せられた当時日本国民であり、かつ、その後引き続き平和条約発効の直前まで日本国民として拘禁されていた者に対しては、日本国は平和条約第11条により刑の執行の義務を負い、平和条約発効後における国籍の喪失または変更は、右義務に影響を及ぼさない。(少数意見がある。)

【参照条文】      平和条約11

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集6巻7号699頁

 

日本国との平和条約

(サンフランシスコ講和条約などともいう)

「極東国際軍事裁判所並びに国内外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判の受諾」

 

 

保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」の意義

 

 

債務不存在確認事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和26年(オ)第799号

【判決日付】      昭和34年7月8日

【判示事項】      1、保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」の意義

             2、保険業法第10条第3項の主務大臣の処分と保険契約者に対する告知の要否

             3、新憲法施行後裁判所は法律が旧憲法に反するか否かの実質的審査権を有するか

【判決要旨】      1、保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」とは、たとえ個々的に観念すれば一見不利益のごとくであつても、保険事業の破たんを救う道が他に存しないため同条項の処分をすることが結局契約者らの利益に帰する場合をも含む趣旨と解すべきである。

             2、保険業法第10条第3項の処分は、これを保険会社に告知することによつて効力を生じ、各個の契約者に対する告知を要しない。

             3、旧憲法下において制定施行された法律が旧憲法に違反するか否かを実質的に審査する権限は、憲法第81条によつても、裁判所に認められていないと解すべきである。

             (3、につき補足意見がある。)

【参照条文】      保険業法1

             憲法81

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集13巻7号911頁

 

平成七年法律第百五号

保険業法

(顧客の利益の保護のための体制整備)

第百条の二の二 保険会社は、当該保険会社又はその親金融機関等若しくは子金融機関等が行う取引に伴い、当該保険会社又はその子金融機関等が行う業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客の利益が不当に害されることのないよう、内閣府令で定めるところにより、当該業務に関する情報を適正に管理し、かつ、当該業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。

2 前項の「親金融機関等」とは、保険会社の総株主の議決権の過半数を保有している者その他の当該保険会社と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者(金融商品取引法第二条第九項(定義)に規定する金融商品取引業者をいう。以下同じ。)その他政令で定める金融業を行う者をいう。

3 第一項の「子金融機関等」とは、保険会社が総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該保険会社と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者その他政令で定める金融業を行う者をいう。

 

憲法

第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 

第3章 令和3年法改正の主な内容

新型コロナウイルスの拡大により、令和2年度以降日本経済が大きな打撃を受けことから、この状況を受け入れながら長期視点に立った企業の変革を後押しすべく、政府は、令和3年に産業競争力強化法を改正しました。

 

コロナ危機下の令和3年改正では、グリーン社会への転換、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築、新たな日常に向けた事業環境の整備を主軸として、事業者への支援制度等が強化されました。令和3年法改正の主な内容について説明します。

具体的には①「グリーン社会」への転換、②「デジタル化」への対応、③「新たな日常」に向けた事業再構築、④中小企業の足腰強化等を促進するための措置、⑤「新たな日常」に向けた事業環境の整備を講じるとしています。

 

1.グリーン社会への転換

①カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減のトランジション推進のための金融政策

菅総理が2020年10月の所信表明演説で「宣言」として掲げた2050年のカーボンニュートラル(脱炭素社会)実現に向けて、着実なCO2削減のための取組み(トランジション)を進める10年以上の計画を策定し、事業所管大臣の認定を受けた事業者を対象としたツーステップローンと成果連動型利子補給制度を新設しました。

 

カーボンニュートラルとは、環境省の脱炭素ポータルによると「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」を意味すると解説されています。

 

つまり、カーボンニュートラルが達成されている状態とは、CO2、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」を排出した分、植林や、CO2を回収して貯留する「CCS」技術、大気中に存在する二酸化炭素を回収して貯留する「ネガティブエミッション技術」などを活用し、吸収をすすめ、「全体としてゼロとする」すなわち差し引きゼロとなっている状態を指しています。

 

このカーボンニュートラル実現には、民間企業が協力し、排出分の削減も大切であるため、令和3年の改正では民間企業の脱炭素化効果が高い設備や生産工程の脱炭素化が可能な設備の導入に対して税額控除や、金融支援の実施が追加されました。

 

 

出典:「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?(経済産業省 資源エネルギー庁)

 

②カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

民間企業による脱炭素化投資の加速を支援するため、産業競争力強化法の計画認定制度(同法第9条)に基づき、以下の設備導入に対して最大10%の税額控除又は50%の特別償却を新たに措置しました。(適用期限令和5年度末:措置対象となる投資額は500億円までで、控除税額は後述のDX投資促進税制と合計で法人税額の20%まで。)

 

(1)大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備導入

 

エネルギーの利用による環境負荷低減効果が大きく、新たな需要の拡大に寄与することが見込まれる製品の生産に専ら使用される設備(機械装置)の導入が対象となります。

 

措置内容:税額控除10%又は特別償却50%

製品イメージ:化合物パワー半導体、燃料電池等

(2)生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備導入

 

事業所等の炭素生産性(付加価値額÷エネルギー起源CO2排出量)を相当程度(1%以上)向上させる計画に必要となる機械装置、器具備品、建物附属設備、構築物の導入が対象となります。

 

炭素生産性の向上と措置内容:

3年以内に10%以上向上:税額控除10%又は特別償却50%

3年以内に7%以上向上:税額控除5%又は特別償却50%

計画イメージ:外部電力調達を一部再生エネルギーに切替え+生産工程の生産設備を一部刷新+エネルギー管理設備新規導入

2.デジタル化への対応(情報技術事業適応認定制度)

①DX(Digital Transformationデジタルトランスフォーメーション)投資促進税制

ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据え、デジタル技術を活用した企業変革(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには経営戦略・デジタル戦略の一体的な実施が不可欠です。

このため、産業競争力強化法に新たな計画認定制度を創設しました(同法第9条)。部門・拠点ごとではない全社レベルのDXに向けた計画を主務大臣が認定した上で、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対して税額控除(5%/3%)又は特別償却30%を措置しました(適用期限は令和4年度末まで)。

詳細については、財務省公式サイト内の「デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設」のページでご確認下さい。

 

②「デジタル化」への対応

2020年12月に経済産業省のデジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会から発表されたDXレポート2では、「9割以上の企業がDXにまったく取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっている状況」であり、日本のデジタルトランスフォーメーションが進んでいない現状が浮き彫りになりました。

 

令和3年の産業競争力強化法の改正ではDX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制が発表され、部門、拠点レベルではなく全社レベルのDXに向けた計画のうち、主務大臣が認定したものについては、デジタル関連投資について5%または3%の税制控除または特別償却30%の措置が講じられることになりました。

 

出典:「デジタル化」への対応(経済産業省ウェブマガジン)

 

3.「新たな日常」に向けた事業再構築

コロナウイルスの影響で、日本経済は大きな打撃を受けました。この影響化でも、カーボンニュートラル やDXに取り組むのは企業にとって大きな決断となります。

 

コロナ禍の厳しい経営環境の中で赤字経営が続いても、ポストコロナに向けて事業再構築・再編等の経営改革に果敢に取り組む企業に対して、繰越欠損金の控除上限(現行50%)を引き上げる措置を講じました。

 

産業競争力強化法に新設された新たな計画認定制度により、事業再構築・再編等に向けた投資内容を含む計画を事業所管大臣が認定し、当該認定を受けた企業についてコロナ禍に生じた欠損金を対象に最長5事業年度の間繰越金の控除上限を投資の実行金額の範囲内で最大100%に引き上げます。

 

すなわち、令和3年の産業競争力強化法の改正では、カーボンニュートラル、DX、事業再構築等に取り組む企業に対して、すでに中小企業では最大100%となっている繰越欠損金の控除上限の引き上げを中堅・大企業も対象としました。

 

 

4.「新たな日常」に向けた事業環境整備

①規制改革の推進

(1)場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー株主総会)に関する制度の創設

令和3年6月16日,産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)の一部規定が施行されました。同法による改正後の産業競争力強化法(平成25年法律第98号)において,一定の要件を満たし,経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた上場会社は,「場所の定めのない株主総会」(いわゆるバーチャルオンリー型の株主総会※)を開催することができることとされています。

※物理的な会場を用意せず,役員や株主がインターネット等の手段により出席する株主総会

 

これまで、株主総会は会社法第298条1項1号によって、「株主総会を招集する場合には、株主総会の「場所」を定めなければならない」と規定されていました。

 

この「場所」については株主が説明を聞いたり、質問をする機会を設けるために、物理的に入場できる会場を確保する必要があると解釈されてきました。

 

実際に開催する株主総会の場所を有しないバーチャル空間でのみ行う方式での株主総会(バーチャルオンリー株主総会)は解釈上難しいとされていました。

しかし、バーチャルオンリー株主総会は株主の参加が容易になる・運営コスト削減ができる・感染症リスク低減にもつながることから、産業競争力の強化に資するとしてバーチャルオンリー株主総会開催を可能とする特例を設ける要望が強まっていました。

 

令和3年法改正により、上場会社は、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合に限り、株主総会を「場所の定めのない株主総会」とすることができる旨を定款に定めることができ、この定款の定めのある上場会社についてはバーチャルオンリー株主総会の開催を可能となりました(産競法第66条1項2項、産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令)。

 

また、令和3年の改正で会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」に関する制度を創設。経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合に限り、上場会社において、バーチャルオンリー株主総会の開催が可能となりました。

 

また,改正後の産業競争力強化法第66条第1項及び第2項の規定に基づき,「産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令」(令和3年法務省・経済産業省令第1号)が令和3年6月16日に制定・公布され,同日から施行されました。同省令においては,以下のような事項を定めています。

  ・経済産業大臣及び法務大臣の確認の要件

  ・確認を受けるための申請の方法

  ・場所の定めのない株主総会を開催する場合における招集の手続

 ・場所の定めのない株主総会を開催した場合における株主総会議事録の記載事項

 

出典:産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会 制度説明資料

 

場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー株主総会)に関する制度について詳しく知りたい方は、経済産業省公式サイト内のこちらのページでご確認下さい。

 

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/virtual-only-shareholders-meeting.html

 

 

 

(2)規制のサンドボックス制度(新技術等実証制度)の移管・恒久化

規制のサンドボックス制度とは、AI・IoT・ビッグデータ・ブロックチェーンをはじめとする革新的な技術やビジネスモデルを活用した新たな事業の事業活動を促進するために制定された制度です。

 

具体的には得られた データを用いて規制の見直しにつなげるために、期間や参加者を限定し、実証を行うことのできる制度です。

生産性向上特別措置法で規定されている「規制のサンドボックス制度」(主務大臣の認定を受けて実証を行い実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しにつなげる制度)が2021年6月に廃止期限を迎えるところ、同制度により多業種で実績が上がったことから恒久化が求められていました。

令和3年法改正により、同制度は産業競争力強化法に移管され、恒久化されました(同法第6条~第14条)

 

出典:新技術等実証制度(プロジェクト型規制のサンドボックス制度)について

 

(3)民法の債権譲渡通知等の第三者対抗要件の特例

 

債権の譲渡は、譲渡人が債務者への通知等を確定日付のある証書によってしなければ第三者に対抗できない(その事実の存在を法的に主張できない)とされています(民法第467条1項2項)。

実務上は内容証明郵便が多く使われています。しかし、カーボンニュートラル実現・デジタル化推進の観点から、情報システムによる通知サービスを利用した債権譲渡の通知を有効にする必要性が生じていました。

そこで、令和3年法改正により、債権譲渡の通知等が、産業競争力強化法に基づく新事業活動計画の認定を受けた事業者によって提供される情報システムを利用してされた場合には、当該情報システム経由での通知等を確定日付のある証書による通知等とみなす特例が創設されました(産業競争力強化法第11条の2・産業競争力強化法第11条の2第1項2号の主務省令で定める措置等に関する省令)。

 

②ベンチャー企業の成長支援

(1)大型ベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度の創設

 

日本国内でも、大規模研究開発型(deep-tech ディープテック)ベンチャー企業が出現し、量産体制の整備のための資金などについては既存株主の株式を希薄化しないデットによる大規模資金調達のニーズが高まっています。

金融機関の側からみると、リスクはあるが潜在的成長力が高いベンチャー企業に魅力はあるものの担保資産が少なく事業見通しも不安定であるため、現状ではノウハウが不足しておりベンチャー向け融資の実績が積み上がらず、実績が上がらないためノウハウが蓄積しないという悪循環に陥っているため、通常の融資手法とは異なるアプローチが必要とされていました。

令和3年法改正により、事業計画を認可されたベンチャー企業が行う経産大臣に指定された民間金融機関からの一定の借入れについて独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が債務を保証する制度が創設されました(産業競争力強化法第140条、第134条2項1号)。

 

(2)ベンチャー企業の再挑戦支援

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、資金繰りの悪化により事業停止に至る前にベンチャー企業の有望なアセット(有形・無形資産)を切り出し、ニューマネーを投入しつつ承継していくエコシステム(ベンチャー業界の収益構造)が必要とされています。

また、低い時価評価をベースにした新規の資金調達に既存株主が合意していない状況(既存株主の持ち分が大きく低下する)が発生する可能性があります。

既存株主に含み損が発生した場合、現状、投資損失を税務上の損金として確実に計上するには法的整理以外のプロセスが不明確なため法的整理への移行が誘導され、再挑戦を阻害しているとの指摘もありました。

そこで、令和3年改正では、中小機構によって資金調達の円滑化や有望資産の再活用によるスタートアップ企業の再挑戦支援が強化されました(産業競争力強化法第133条~第140条)。

 

③事業再生の推進

(1)企業の機動的な事業再構築を促すための自社株式等を対価とするM&Aの円滑化

 

令和元年会社法改正前は、被買収会社の株式を譲渡した時点で課税されるという問題等から自社株式対価M&Aがあまり行われていませんでした。

 

令和3年法改正により、M&A推進のために令和元年会社法改正で創設された株式交付制度(会社法第774条の2~11・第811条の2~第816条の10)を用いて、買収会社が自社の株式を買収対価としてM&Aを行う際の対象会社株主の株式譲渡益の課税を繰り延べることが可能になりました(株の売却時に課税されます)。実効的な制度とするため事前認定を不要とし、現金を対価の一部に用いるものも対象とする(総額の20%まで)とともに、恒久的な制度として創設しました(産業競争力強化法第32条)。

 

(2)株式対価M&A時における反対株主の株式買取請求権の適用除外

現行の産業競争力強化法では、自社株式を対価とすることで現金を使わずにM&Aをしやすくするための措置を講じています。

他方、現行制度においては買収会社の株主保護の観点から、買収に反対する買収会社の株主に対して株式買取請求権を付与しており(会社法第469条)、買取請求権が行使された場合にはこれに応じるため金銭を使うことになります。この場合金銭を使わずに買収できるという株式対価M&Aのメリットが減少するという問題があります。

 

この点に対応するため、買収会社が上場会社である場合には株主が保有する株式を市場で容易に売却できることを踏まえ、その場合に限って買取請求権の適用除外とする特例を追加しました(産競法第113条)。

 

④中小企業の足腰強化等を促進するための措置

現在、国内の99.7%の企業は中小企業であり、政府は日本経済の発展の鍵となる中小企業の成長をサポートする様々な支援策を提供しています。

 

産業競争力強化法でも、中小企業が労働生産性を高め規模を拡大するために必要な制度について様々な措置を講じています。

 

具体的には、M&Aを通じた規模の拡大を促進するような税制を措置、下請振興法の対象類型の拡大など大企業との取引適正化を目指しています。

 

出典:中小企業支援策施策って何? 中小企業庁ミラサポplus

 

 

(3)事業再編促進円滑化業務の拡充

法改正前の事業再編促進円滑化業務は生産性向上設備の導入資金等に対象を限定されていましたが、コロナ禍で企業の借り入れも増加している状況において、ツーステップローン(主務大臣が認定した事業再編等を実施しようとする認定事業者等に対して、指定金融機関が行う貸付けに必要な資金の貸付け)の対象拡大の必要性が指摘されていました。

そこで、令和3年法改正では、特に不足するおそれのある事業再編に必要な資金(大規模な買収資金、構造改善費用等)を対象に追加しました(産業競争力強化法第37条)。

 

 

⑤事業再生の円滑化

(1)事業再生ADRと簡易再生手続連携円滑化等

 

コロナ禍においては、予防的な意味合いも含めて迅速な事業再生を可能とする環境整備の必要性が指摘されていました。

令和3年法改正により、非公表プロセスである事業再生ADR(*1)への金融機関の参加義務が創設されました。金融債権の減免に対して全債権者が合意していない場合は事業再生ADRによる再生手続は不調となりますが、5分の3以上の債権者が合意している場合簡易再生手続(*2)に移行します。

事業再生ADRの手続の最後に「再生計画案の債権カットが事業再生に不可欠である」ことを確認し、裁判所による簡易再生手続開始決定の際は、当該確認がなされていることが考慮されます(産業競争力強化法第54条、第55条)。

事業再生計画案が確定される見込み(予見可能性)を高めることにより、結果的に簡易再生に移行することなく、事業再生ADRでの迅速な事業再生を実現します。

 

*1 .事業再生ADR:経済産業大臣の認定を受けた公正・中立な第三者が関与することにより、過大な債務を負った事業者が民事再生や会社更生等の法的整理手続によらずに債権者の協力を得ながら事業再生を図ろうとする取組みを円滑化する制度。法的手続と異なり、手続開始に係る公表義務(民事再生法第35条1項、会社更生法第43条1項等)が存在せず非公表で手続を行うことができるので、公表がもたらす事業価値棄損を回避することができるというメリットがある。

 

*2 .簡易再生:先行する私的整理による調整において再生計画案に対して全員合意に至っていないケースを想定した公表プロセス。総債権額の5分の3以上を有する債権者の同意がある場合、債権の調査・確定プロセスを省略し、再生計画案の迅速な決議・認可を行う簡易な法的整理手続。

 

(2)中小機構等による事業再生のつなぎ融資の円滑化等の再生支援機能を強化

 

中小企業基盤整備機構(中小機構)及び認定支援機関は、中小企業者に対して、その求めに応じて事業の再生に関して必要な指導又は助言を行うことができます(産業競争力強化法第51条)。以前から事業継続のためにつなぎ融資が必要な企業や取引先との事業継続を望む企業による相談が多数寄せられていましたが、コロナ禍で相談件数が急増し、令和2年7月時点で昨年度の総相談件数を上回りました。

 

私的整理中のつなぎ融資の優先的な弁済について対象債権者が全て同意していること等を確認した債権については優先的な弁済が認められますが、改正前は法的整理に移行した場合他の再生(更生)債権と同様に弁済が禁止され、同一の条件下での権利変更の対象となり事業再生の妨げとなるとともに再生企業の事業価値も棄損するおそれがありました。

 

そこで、令和3年改正では、事業再生ADRと同様に、法的整理への移行を円滑化する仕組みが設けられました(産業競争力強化法第56条)。

私的整理手続の段階で、中小企業者の求めにより中小機構等が以下の2点を確認します。

・つなぎ融資の弁済について対象債権者が全て同意していること等

・商取引債権について早期に弁済しなければ事業再生に著しい支障をきたすこと等

私的整理が不調に終わり法的整理に移行した際、裁判所は上記の確認がなされていることを考慮した上で以下の2点を判断します(産業競争力強化法第57条)。

・つなぎ融資の弁済について民事再生法の再生計画案において他の再生債権と異なる取扱いを認めるか

・商取引債権について民事再生法上の保全処分を命じるか

 

 

「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の制度概要(経済産業省公式サイト)

 

令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について(経済産業省公式サイト)

1 商標法第34条第1号第3号の合憲性 
2 商標法第34条第1号第3号と憲法第22条
 最高裁判所第3小法廷判決/昭和28年(あ)第664号 
昭和29年8月31日 
商標法違反、薬事法違反 
【判示事項】 1 商標法第34条第1号第3号の合憲性。 
2 商標法第34条第1号第3号と憲法第22条。 
【判決要旨】 1 商標法第34条第1号、第3号の規定は憲法第25条に違反しない。 
2 商標法第34条第1号、第3号の規定は職業選択の自由を保障した憲法第22条と何等関係はない。 
【参照条文】 憲法22 
       憲法25 
       商標法34 
【掲載誌】  最高裁判所裁判集刑事98号439頁 
 
憲法
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
② 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

商標法
(商標権の設定の登録)
第十八条 商標権は、設定の登録により発生する。
2 第四十条第一項の規定による登録料又は第四十一条の二第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。
3 前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
一 商標権者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 商標登録出願の番号及び年月日
三 願書に記載した商標
四 指定商品又は指定役務
五 登録番号及び設定の登録の年月日
六 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
4 特許庁長官は、前項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した商標公報(以下「商標掲載公報」という。)の発行の日から二月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件及び公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であつて、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについては、この限りでない。
5 特許庁長官は、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件であつて、前項ただし書の規定により特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類又は物件を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。

 

区分所有法四七条二項の管理組合法人の理事長会への理事の代理出席を認める規約の定めが違法でないとされた事例

 

 

総会決議無効確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成2年(オ)第701号

【判決日付】      平成2年11月26日

【判示事項】      区分所有法四七条二項の管理組合法人の理事長会への理事の代理出席を認める規約の定めが違法でないとされた事例

【判決要旨】      区分所有法四七条二項の管理組合法人の規約中、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる旨を定めた条項は、違法でない。

【参照条文】      民法55

             建物の区分所有に関する法律30

             建物の区分所有に関する法律47

             建物の区分所有に関する法律49

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集44巻8号1137頁

 

建物の区分所有等に関する法律

(規約の保管及び閲覧)

第三十三条 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

2 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。

3 規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

 

(成立等)

第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。

2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。

3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。

4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。

5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。

6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。

7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。

11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。

12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。

13 管理組合法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第二項中「除く」とあるのは「除くものとし、管理組合法人を含む」と、同条第三項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。

14 管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。

 

(理事)

第四十九条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。

2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。

3 理事は、管理組合法人を代表する。

4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。

5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。

6 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

7 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。

8 第二十五条の規定は、理事に準用する。

 

 

ゴルフ会員権事件・受贈者が贈与者から資産を取得するために要した付随費用の額と所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」

 

 

所得税更正処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成13年(行ヒ)第276号

【判決日付】      平成17年2月1日

【判示事項】      1 受贈者が贈与者から資産を取得するために要した付随費用の額と所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」

             2 ゴルフ会員権の受贈者が贈与を受けた際に支払った名義書換手数料の額と所得税法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」

【判決要旨】      1 受贈者が贈与者から資産を取得するために要した付随費用の額は,受贈者が同資産を譲渡した場合に所得税法60条1項に基づいてされる譲渡所得の金額の計算において,同法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」に当たる。

             2 ゴルフ会員権の受贈者がその贈与を受けた際に支払った名義書換手数料の額は,受贈者が同会員権を譲渡した場合に所得税法60条1項に基づいてされる譲渡所得の金額の計算において,同法38条1項にいう「資産の取得に要した金額」に算入される。

【参照条文】      所得税法33-3

             所得税法38-1

             所得税法60-1

             民法3編2章

【掲載誌】        訟務月報52巻3号1034頁

             最高裁判所裁判集民事216号279頁

             裁判所時報1381号82頁

             判例タイムズ1177号150頁

             判例時報1893号17頁

             税務訴訟資料255号順号9918

 

所得税法

(譲渡所得)

第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。

2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。

一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得

二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得

3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。

一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)

二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの

4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。

5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。

 

(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)

第三十八条1項 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。

 

(贈与等により取得した資産の取得費等)

第六十条1項 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。

一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)

二 前条第二項の規定に該当する譲渡

 

 

1 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムと憲法13条

2 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムが,プライバシーを侵害するものとして憲法13条に違反し,個人情報の漏えいの危険性がある点で住民基本台帳法36条の2等に反するとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき,名古屋市長に対してされた,住民基本台帳カードの交付に関して公金を支出することの差止め及び支出した公金相当額の損害賠償を市長個人に対して請求するよう求める各請求が,いずれも棄却された事例

 

名古屋高等裁判所判決/平成17年(行コ)第39号

平成18年4月19日

支出差止等請求控訴事件

名古屋市事件

【判示事項】    1 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムと憲法13条

2 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムが,プライバシーを侵害するものとして憲法13条に違反し,個人情報の漏えいの危険性がある点で住民基本台帳法36条の2等に反するとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき,市長に対してされた,住民基本台帳カードの交付に関して公金を支出することの差止め及び支出した公金相当額の損害賠償を市長個人に対して請求するよう求める各請求が,いずれも棄却された事例

【判決要旨】    1 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムによって都道府県知事及び指定情報処理機関が取得し,国,行政機関,都道府県及び市町村に提供する個人情報は,氏名,生年月日,性別,住所に11けたの数字からなる住民票コードを加えた本人確認情報に限られるところ,国及び地方公共団体による本人確認情報の利用目的は正当なものであって,その取得の態様は社会通念上相当であると認めることができ,また,前記システムの対象となる情報は原則として個人の人格的自律に直接関わらない客観的,外形的事項に関するものにとどまり,かつ,これを提供,利用できる事務は法定されて,それ以外の提供,利用が禁止されている上,国や地方公共団体は,同法の規定する事務の遂行のため必要がある場合を除いては,何人に対しても,住民票コードを告知することを求めてはならないとされていることなどに照らせば,住民票コードを前提とする前記システム本体に関する規定及びこれと不可分一体の住民基本カードに関する規定は憲法13条に違反しない。

2 住民基本台帳法に基づく住民基本台帳ネットワークシステムが,プライバシーを侵害するものとして憲法13条に違反し,個人情報の漏えいの危険性がある点で住民基本台帳法36条の2及び住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号)附則1条2項の趣旨に反するとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき,市長に対してされた,住民基本台帳カードの交付に関して公金を支出することの差止め及び支出した公金相当額の損害賠償を市長個人に対して請求するよう求める各請求につき,同システムは,その利用目的が正当であり,同システム及び個人情報が記録された住民基本カードには,個人情報の漏えいを防ぐための対策が十分に施されていて,その危険性が高いとはいえないから,憲法13条及び前記法令に違反することはないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

 

憲法

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

住民基本台帳法

(住民票に記載されている事項の安全確保等)

第三十六条の二 市町村長は、住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たつては、住民票、除票、戸籍の附票又は戸籍の附票の除票に記載されている事項の漏えい、滅失及び毀損の防止その他の住民票、除票、戸籍の附票又は戸籍の附票の除票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

2 前項の規定は、市町村長から住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者が受託した業務を行う場合について準用する。

 

地方自治法

(住民訴訟)

第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。

一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求

二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求

三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求

四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求

2 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。

一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内

二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内

三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該六十日を経過した日から三十日以内

四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内

3 前項の期間は、不変期間とする。

4 第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。

5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

6 第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。

7 第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。

8 前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。

9 民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。

10 第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。

11 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。

12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。