保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」の意義 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」の意義

 

 

債務不存在確認事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和26年(オ)第799号

【判決日付】      昭和34年7月8日

【判示事項】      1、保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」の意義

             2、保険業法第10条第3項の主務大臣の処分と保険契約者に対する告知の要否

             3、新憲法施行後裁判所は法律が旧憲法に反するか否かの実質的審査権を有するか

【判決要旨】      1、保険業法第10条第3項にいう「保険契約者、被保険者又は保険金額を受取るべき者の利益」とは、たとえ個々的に観念すれば一見不利益のごとくであつても、保険事業の破たんを救う道が他に存しないため同条項の処分をすることが結局契約者らの利益に帰する場合をも含む趣旨と解すべきである。

             2、保険業法第10条第3項の処分は、これを保険会社に告知することによつて効力を生じ、各個の契約者に対する告知を要しない。

             3、旧憲法下において制定施行された法律が旧憲法に違反するか否かを実質的に審査する権限は、憲法第81条によつても、裁判所に認められていないと解すべきである。

             (3、につき補足意見がある。)

【参照条文】      保険業法1

             憲法81

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集13巻7号911頁

 

平成七年法律第百五号

保険業法

(顧客の利益の保護のための体制整備)

第百条の二の二 保険会社は、当該保険会社又はその親金融機関等若しくは子金融機関等が行う取引に伴い、当該保険会社又はその子金融機関等が行う業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客の利益が不当に害されることのないよう、内閣府令で定めるところにより、当該業務に関する情報を適正に管理し、かつ、当該業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。

2 前項の「親金融機関等」とは、保険会社の総株主の議決権の過半数を保有している者その他の当該保険会社と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者(金融商品取引法第二条第九項(定義)に規定する金融商品取引業者をいう。以下同じ。)その他政令で定める金融業を行う者をいう。

3 第一項の「子金融機関等」とは、保険会社が総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該保険会社と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、保険会社、銀行、金融商品取引業者その他政令で定める金融業を行う者をいう。

 

憲法

第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。