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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

所有権留保約款付月賦販売による自動車の責任と自動車損害賠償保障法3条の運行供用者

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和45年(オ)第885号

【判決日付】      昭和46年1月26日

【判示事項】      所有権留保約款付月賦販売による自動車の責任と自動車損害賠償保障法3条の運行供用者

【判決要旨】      所有権留保の特約を付して、自動車を代金月賦払いにより売り渡した者は、特段の事情のないかぎり、販売代金債権確保のためにだけ所有権を留保するものにすぎず、自動車を買主に引き渡しその使用に委ねた以上、自動車損害賠償保障法3条にいう「自己のために自動車を運行の用に供する者」にあたらない。

【参照条文】      自動車損害賠償保障法

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集25巻1号126頁

 

 

自動車損害賠償保障法

(自動車損害賠償責任)

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人古谷判治の上告理由一ないし四について。

 所有権留保の特約を付して、自動車を代金月賦払いにより売り渡す者は、特段の事情のないかぎり販売代金債権の確保のためにだけ所有権を留保するにすぎないものと解すべきであり、該自動車を買主に引き渡し、その使用に委ねたものである以上、自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する者ではなく、したがつて、自動車損害賠償保障法三条にいう「自己のために自動車を運行の用に供する者」にはあたらないというべきである。これと同旨に出て、上告人の本訴請求を排斥した原判決(その引用する第一審判決を含む。)の判断は正当として是認することができる。論旨は、いずれも、これと異なる見解に立つて原審の判断を非難するものであつて、採用することができない。

 よつて、民謙法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第三小法廷

会社更生法244条2項と憲法14条1項

 

 

              売掛代金請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和42年(オ)第1168号

【判決日付】      昭和45年6月10日

【判示事項】      会社更生法244条2項と憲法14条1項

【判決要旨】      会社更生法244条2項は憲法14条1項に違反しない。

【参照条文】      憲法14-1

             会社更生法240-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集24巻6号499頁

 

 

事案の概要

 本判決は、会社更生法240条2項の法意を説示し、会社更生法240条2項において、更生計画が更生会社の保証人等に対し影響を及ぼさない旨定めているのは、「事柄の性質に即応した合理的な差別」というべきであつて、何ら憲法14条1項に違反するものではない旨を判示する。

 

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

 

平成十四年法律第百五十四号

会社更生法

(更生計画の効力範囲)

第二百三条 更生計画は、次に掲げる者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。

一 更生会社

二 すべての更生債権者等及び株主

三 更生会社の事業の更生のために債務を負担し、又は担保を提供する者

四 更生計画の定めるところにより更生会社が組織変更をした後の持分会社

五 更生計画の定めるところにより新設分割(他の会社と共同してするものを除く。)、株式移転(他の株式会社と共同してするものを除く。)又は第百八十三条に規定する条項により設立される会社

2 更生計画は、更生債権者等が更生会社の保証人その他更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利及び更生会社以外の者が更生債権者等のために提供した担保に影響を及ぼさない。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告人の上告理由第一点について。

 債務引受に関する原審の事実認定は、原判決(その引用する第一審決を含む。以下同じ。)の挙示する証拠に照らし、是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、適法な原審の事実認定を非難するに帰し、採用することができない。

 同第二点について。

 所論は、会社更生法二四〇条二項の規定は、憲法一四条一項に違反する旨主張する。

 しかし、憲法一四条一項は、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、差別すべき合理的な理由なくして差別することを禁止している趣旨と解すべきであるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱をすることが何ら右法条の否定するところでないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和三七年(オ)第一四七二号同三九年五月二七日大法廷判決、民集一八巻四号六七六頁参照)。

 ところで、会社更生法は、窮境にはあるが再建の見込のある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ、その事業の維持更生を図ることを目的とするものであつて、そのために、裁判所の監督の下に法定の厳格な手続に従つて作成される公正かつ衡平な更生計画によつて、会社に対する債権は、必要やむを得ない限度において変更をうけ、ひいては、その限度において、会社は法定の免責をうける制度が定められているのである。

 他方、会社の保証人その他会社とともに債務を負担する者および物上保証人(以下「保証人等」という。)の負担する債務および責任は、会社債権者の債権を人的または物的に担保して、債権者が会社から完全を満足をうけられない場合に備えることをその主要な目的とするものであり、会社が窮境に陥つた場合にこそ、その担保としての効用をはたすべきものである。

 そして、同法二四〇条二項は、右のような免責制度の目的および性質にかんがみ、会社債権者の犠牲と保証人等の負担する債務および責任の性質を実質的合理的に考量し、保証債務や担保権の附従性および連帯債務の連帯性に関する民法所定の原則の例外として、更生計画の効力につき会社と保証人等との間に差異を設け、更生計画が保証人等に対し影響を及ぼさないことを定めたものと解すべきである。

 したがつて、これは、事柄の性質に即応した合理的な差別というべきであつて、会社更生法二四〇条二項は、何ら憲法一四条一項に違反するものではないのである。論旨は採用することができない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所大法廷

ビジネス法務2023年12月号【特集1】製造物責任法(PL法)の最新実務

 

定価(紙 版):1,800円(税込)

発行日:2023/10/20

 

中央経済社

本の紹介

より詳しい内容を、本誌ウェブサイト(https://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)にて紹介しています。

 

【特集1】

基礎を知り,新たな潮流を押さえる

製造物責任法(PL法)の最新実務

 

平成7(1995)年に施行され,以来大きな改正がなかった製造物責任法。一方で「製造物」の定義には変化がみられ,AIやソフトウェア,自動運転といったテクノロジーをめぐる議論が進んでいます。

欧州では製造物責任指令・AI責任指令が改正される見込みであり,日本における同法の見直しも待たれる状況です。メーカー以外の事業者も理解しておくべき点が多く,そんな製造物責任法の基礎から一歩先までを解説します。

 

 

コメント

アメリカ・EUのPL法が参考になります。

 

第9章 不当条項の追加(消費者の解除権を放棄させる条項)

旧法の規定はどういうものか

 旧消費者契約法上、事業者と消費者の間で交わした契約の条項は、次の①から③に該当する場合に限り、無効と判断されます。

① 事業者の損害賠償責任を免除する条項を無効とする規定(8条)

② 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等を無効とする規定(9条)

③ 消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする規定(10条)

 債務不履行や瑕疵担保責任に基づく消費者の解除権を放棄させる条項は、上記①や②の規定には該当しませんので、③の規定に該当するかが問題となります。

 この点については、現行の消費者契約法10条に基づき無効と判断される可能性があると考えられますが、同条の規定は抽象的であるため、絶対に無効となるといえるほど明確なものではありませんでした。

 

改正の趣旨

 そこで、当事者の予見可能性を高め、紛争を事前に回避する等の観点から、当該条項は特に不当性が高く例外なく無効とされる条項であると明示するため、改正法8条の2が新設されたものと考えられます。

 

不当条項の追加(消費者の解除権を放棄させる条項)

 改正法では、事業者と消費者が契約をする際に、次の(a)・(b)の条項について、例外なく無効とする旨の規定が新設されました(改正法8条の2)。

(a)事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

(b)有償契約である消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(請負契約の場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

 

(消費者の解除権を放棄させる条項の無効)

第8条の2 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

1 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

2 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

 

法定代理人と本人との間に利益相反する関係があるか否かは,専ら行為自体を観察して判断すべきものであって,その行為に至った縁由を考慮して判断すべきものでないとした事例

 

 

              債務不存在確認抵当権設定登記抹消請求

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和36年(オ)第1013号

【判決日付】      昭和37年2月27日

【判示事項】      法定代理人と本人との間に利益相反する関係があるか否かは,専ら行為自体を観察して判断すべきものであって,その行為に至った縁由を考慮して判断すべきものでないとした事例

【判決要旨】      法定代理人と本人との利益相反の有無は、もつぱら、その行為自体を観察して判断すべきであつて、当該借入金の用途が何であるかというような当該契約に至つた縁由を考慮して判断すべきではない。

【参照条文】      民法826

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事58号1023頁

 

 

民法

(利益相反行為)

第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 

 

 

       主   文

 

  本件上告を棄却する。

  上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告人の上告理由第一点について。

 本件金銭消費貸借契約及び抵当権設定契約は、上告人の未成年当時、上告人の親権者が法定代理人として、被上告人の代理人との間に、上告人を借主とし、上告人所有の不動産をその債権の抵当物件としてこれを締結したものである。而して、法定代理人と本人との間に利益相反する関係があるか否かは、専ら、行為自体を観察して判断すべきものであつて、その行為に至つた縁由を考慮して判断すべきもので味ない(大正七年(オ)第四四二号同年九月一三日大民判、大民録二四輯下一六八四頁参照)。されば、仮令、これ等の契約の締結が、所論の如くに、借入金を親権者自身の用途に供するためであつたとしても、それは、契約に至つた縁由にすぎないのであつて、本件各契約自体に対する観察上、上告人とその親権者とが、所論の如き利益相反する関係にあつたとは、認められない。以上と同旨の原判決は正当である。また、論旨引用の判例は、事案を異にする本件に適切でない。

 論旨は、狼自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、理由がない。

 同第二点について。

 上告人の法定代理人の一人であつたその母三浦道子が、本件消費貸借契約及び抵当権設定契約につき、同意して居らなかつたことを、被上告人及びその代理人において、契約当時知つて居つたものであるとの所論事実は、証拠上、原審の否定する所である。事実に関するこの判断は、これを是認し得る。

 論旨は、畢竟、原審の専権に委ねられた証拠の取捨判断、事実の認定を攻撃するか。或は原審の認定しない事実を主張し、これによつて原判決を非難するかに帰着する。したがつて、論旨は、上告適法の理由としては、これを採用し得ない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

              最高裁判所第三小法廷

取締役を辞任したがその旨の登記等が未了である者と商法二六六条ノ三所定の責任の有無

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和33年(オ)第370号

【判決日付】      昭和37年8月28日

【判示事項】      取締役を辞任したがその旨の登記等が未了である者と商法二六六条ノ三所定の責任の有無

【判決要旨】      取締役を辞任したがその旨の登記等を経ていない者は、商法二五八条によりなお取締役としての権利義務を有するとされる場合、又は辞任したにもかかわらず取締役として対外的又は内部的な行動をあえてした場合でなければ、右の者がなおも取締役であると信じて当該会社と取引した第三者に対しても、同法二六六条ノ三所定の責任を負わない。

【参照条文】      商法12

             商法266の3

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事62号273頁

             金融・商事判例778号22頁

 

 

会社法

(登記の効力)

第九百八条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。

2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

 

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)

第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。

一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役

二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役

三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)

4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人田中染吉の上告理由第一点について。

 まず、論旨中主要と認められる部分を要約すれば、株式会社の平取締役にも代表取締役の業務の執行を監視する任務があり、また、取締役は辞任するもその退任の登記があるまでは、対外関係においては取締役としての責を免れないものと解すべきところ、訴外東京山一株式会社(以下、山一会社と略称する)の取締役であった被上告人は、辞任による退任の登記前においては、山一会社の代表取締役山上健夫の行為を監視すべき任務があったにかかわらず、悪意又は重過失によりその任務を怠り上告人に損害をこうむらしめたのであるから、商法二六六条の三の規定により右損害を賠償する責を免れないものである。しかるに、原判決が、被上告人は取締役としてなんらの職務を行わず、また、この点につき懈怠のないものであるから、同条による責任はない旨判示したのは、商法の右規定ならびに一二条の解釈適用を誤った違法があるというにある。

 よって、案ずるに、昭和二五年の改正後の現行商法は、株式会社の業務の執行は取締役会の決するところによる旨を規定するとともに、会社の代表はとくに選任された代表取締役のみがこれを行うものとしているところからみれば、個々の取締役は、商法に特別の規定がある場合を除いては、取締役会の一員として、取締役会の審議ないし決議を通じて会社の業務に関与する権利義務を有するに過ぎないものと解するほかはない。しかし、他面において、取締役は、すべて、委任に関する規定に従い善良な管理者の注意をもって事務を処理すべき責任を有し、かつ、会社のため忠実にその職務を遂行する義務を負うばかりでなく、原則として、取締役会を招集する権限を有し、また会社の業務を執行すべき代表取締役及び支配人の選任及び解任は取締役会の決するところによるものとされていることなどにかんがみれば、個々の取締役は、取締役会の審議ないし決議を通じて代表取締役、支配人らの業務の執行を監視すべき権利義務を有するものと解するのが相当である。したがって、取締役が悪意又は重過失により右監視義務を怠ったことにより第三者に損害をこうむらしめた場合には、商法二六六条の三の規定による損害賠償責任を免れないものというべきである。

 次に、取締役の右損害賠償責任と商法一二条の規定との関係を考えてみるに、商法二六六条の三の規定は、職務の執行につき悪意又は重過失のある取締役を対象とするものであるから、辞任により退任した取締役は、商法二五八条の特別規定によりなお取締役としての権利義務を有するものとせられる場合を除いては、取締役としての職務をなんら有しないこととなる関係上その者に対し、商法二六六条の三を適用する余地はもはやないものといわなければならない。もっとも、商法一二条によれば、取締役の退任は、その登記及び公告をしなければ、善意の第三者に対抗しえないのであるから、取締役が退任したにかかわらず、その退任の登記、公告前、なお積極的に取締役としての対外的又は内部的な行動を敢えてした場合においては、その行為により損害をこうむった善意の第三者は、登記、公告がないためその退任を自己に対抗しえないことを理由に、右行為を取締役の職務の執行とみなし、商法二六六条の三の規定によりその損害の賠償を求めることはこれを容認しなければならないであろう。しかしながら、退任により取締役の権利義務をなんら有しなくなった者が、職務行為と認めるべき行為を行わないのは当然かつ正当なことであるから、なんらの行為を行わなかったことをもって任務懈怠ということはできない。したがって、この場合においては、退任の登記、公告の前であっても、その者に対し商法二六六条の三の規定を適用することのできないことは自明の理であると解される。

 これを、本件についてみるに、原審が確定したところによれば、被上告人は昭和二七年六月三〇日山一会社の取締役を辞任し(同年八月二九日退任の登記がなされた)、同年七月一五日被上告人に代り訴外丹野秀威が取締役に就任したが、被上告人は当時会社の運営にはなんら関係するところがなく、同年八月二三日の本件乙手形の支払についても山一会社の取締役としてなんらの職務を行ったものとは認められないというのであり、右によれば、被上告人は辞任し後任取締役の選任がなされた後は、山一会社の取締役としての権利義務を有せず、また、前記のごとく取締役としての行為をなんら行わなかったのであるから、被上告人には、取締役としての任務、ことに前示監視義務の懈怠はなく、したがって商法二六六条の三による損害賠償責任を負うべき筋合はないこと、前に説示したところに照し明らかである。原判決のこの点に関する判示は、やや簡に失したきらいがないではないが、結局、以上説示したところと同趣旨と解されるので、正当としてこれを肯認するに足る。論旨は、ひっきよう、独自の見解の下に原判決を論難するものであり、採用することをえない。

 なお、上告人は、論旨のその余の部分において、被上告人が代表取締役である訴外山一商事株式会社の本件乙手形取得に関する種々の事情を述べて原判決を論難するところがあるが、右は、上告人が原審において主張しない事実又は原判示に副わない事実を前提とするものであって、ひっきよう、原審が適法にした事実の認定又は法的判断を非難するに帰し、すべて採用に価しない。

 同第二点について。

 所論は、結局(一)乙手形金の取得が被上告人と山上との共謀によるものとは認められず、また、(二)上告人が甲手形金相当の損害を受けているものとは認められないとした原審の判断を非難するものと解されるが、右(一)の共謀の事実を認めるに足る証拠がないとの原審の認定はこれを肯認するに足り、また、原審の右(二)の判断もこれを肯認しえないではない。論旨は、いずれも採用し難い。

 同第三点について

 原判決及びその引用する第一審判決ならびに本件記録に徴するも、上告人が原審において所論のごとき主張をしたことはこれを明認し難い(昭和三〇年一〇月一五日付準備書面中に所論のごとく解される主張のあることは認められるが、右主張に関する部分は、第一審及び原審の口頭弁論において陳述されていない)。よって、所論は、原審において主張せず、したがって原審の判断を受けなかった事項を問題とするものであり、適法な上告理由とは認め難い。

 よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

寺院が葬儀の魔除の仏具として刀剣類を所持する場合と銃砲刀剣類等所持取締令第2条但書

 

 

              銃砲刀剣類等所持取締令違反被告事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所金沢支部判決/昭和27年(う)第19号

【判決日付】      昭和27年6月20日

【判示事項】      1、寺院が葬儀の魔除の仏具として刀剣類を所持する場合と銃砲刀剣類等所持取締令第2条但書

             2、銃砲刀剣類等所持取締令第2条但書と刑法第35条の関係

【判決要旨】      1、寺院が葬儀の魔除の仏具として刀剣類を所持する場合は、銃砲刀剣類等所持取締令第2条但書第1号の「法令に基き職務のために所持するとき」に該当しない。

             2、銃砲刀剣類等所持取締令第2条但書の規定は、銃砲刀剣類等の所持行為につきその違法性阻却の原由を列挙限定した規定であるから、刑法第35条を適用する余地はない。

【参照条文】      銃砲刀剣類所持等取締法

             刑法35

【掲載誌】        高等裁判所刑事判例集5巻9号1459頁

             刑事裁判資料114号56頁

 

 

刑法

(正当行為)

第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 

 

銃砲刀剣類所持等取締法

(定義)

第二条 この法律において「銃砲」とは、拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。

2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつて峰の先端部が丸みを帯び、かつ、峰の上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。

 

緊急逮捕の合憲性

 

 

              森林法違反等被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和26年(あ)第3953号

【判決日付】      昭和30年12月14日

【判示事項】      緊急逮捕の合憲性

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集9巻13号2760頁

 

 

憲法

第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

 

 

刑事訴訟法

第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

② 第二百条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

 

       理   由

 

 弁護人中野道の上告趣意第一点について。

 所論は、刑訴二一〇条が、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対し逮捕状によらず被疑者を逮捕することができることを規定しているのは憲法三三条に違反するというのである。しかし刑訴二一〇条は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法三三条規定の趣旨に反するものではない、されば所論違憲の論旨は理由がない。

 同第二点並びに弁護人森一朗の上告趣意はいずれも量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

 よつて刑訴四〇八条、一八一条により主文のとおり判決する。

 この判決は弁護人中野道の上告趣意第一点について、裁判官斎藤悠輔並びに同小谷勝重及び同池田克の各補足意見があるほか裁判官全員一致の意見によるものである。

 弁護人中野道の上告趣意第一点についての裁判官斎藤悠輔の補足意見は次のとおりである。

 憲法三三条中の「現行犯として逮捕される場合を除いては」とある規定並びに同三五条中の「第三十三条の場合を除いては」とある規定は、アメリカ憲法修正第四条と同じく、合理的な捜索、逮捕、押収等を令状を必要とする保障から除外する趣旨と解すべきものと考える。されば、右憲法三三条の除外の場合には、刑訴二一二条一項の現行犯逮捕の場合は勿論同条二項のいわゆる準現行犯逮捕の場合及び同法二一〇条のいわゆる緊急逮捕の場合をも包含するものと解するを相当とする。従つて、右二一〇条一項後段の場合に逮捕状が発せられないとき、すなわち逮捕につき令状の裏打がないときでも逮捕そのものは適意であるとしなければならない。

 弁護人中野道の上告趣意第一点についての裁判官小谷勝重、同池田克の補足意見は、次のとおりである。

  憲法三三条は、逮捕の要件を規定して、原則として、権限を有する司法官憲すなわち裁判官が発したもので、且つ逮捕の理由となつている犯罪を明示した令状によらなければならないとしているが、このように裁判官だけに令状を発する権限を与えているのは、裁判官は公正な立場に在る者であるが、捜査の権力をもつた者は、往々にして権力を濫用しがちであつたという過去の歴史的経験によるものであること、所論のとおりであると考える。しかし、それだからといつて、令状主義の原則をもつて捜査を規律して例外の場合を一切否定することは、捜査上迅速に被疑者の保全を必要とする場合があり、そのために被疑者を逮捕することもやむを得ないと認められるようなときでも、これが許されないこととなり、捜査を全うし難いこととなるのであつて、憲法は、かゝる場合の要請の合理性を認め、現行犯(本来の現行犯といわゆる準現行犯とを含むものと解する)の場合には、裁判官の発する令状によらないでも逮捕できるものとして、令状主義の保障からこれを除外しているのである。蓋し、事態の性質上、急速を要するばかりでなく、犯罪の嫌疑が明白であつて、裁判官の判断を待つまでもないからである。してみると、この理は、現行犯に限らず、その以外の右に準ずる場合についても考えられるところであつて、刑訴二一〇条のいわゆる緊急逮捕は、あだかもその場合にあたるものとして認められたものと解釈されるのである。すなわち、同条の規定するところによれば緊急逮捕のできる場合は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の自由刑にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があり、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときに限られているばかりでなく、その上になお、逮捕にあたつては、被疑者に対してその理由を告げなければならず、逮捕後は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないとされているのであつて、これによつても明らかなとおり、犯罪の嫌疑は、当該捜査機関の主観的判断では足らず、客観的妥当性のある充分な理由の存する場合であるから、現行犯の場合に準じて考えられる明白な根拠をもち、裁判官の判断を待たないでも過誤を生ずるおそれがないものとしなけれぱならない。それにも拘らず、刑訴法が逮捕後直ちに逮捕状を請求して裁判官の判断を受くべきものとしているのは、現行犯のような羅馬法以来の伝統に由来するものでないために、法律は、謙抑の態度をとつたことによるものと解されるのである。されば、刑訴二一〇条の緊急逮捕の規定は、令状の保障から除外している憲法三三条の場合の枠外に出たものでなく、同条の除外の場合を充足したものと認めることができるから、適意であると解するを相当とするものと考える。のみならず、憲法上逮捕は、被疑者の身体を拘束し、これを必要な場所へ引致して留置する継続的性質をもつた行為であることからみると、被疑者を拘束してから直ちに裁判官の逮捕状を求めて逮捕状が発せられたときは、なお且つ逮捕状による逮捕と認めることを妨げないとも解されるのであつて、右いずれの点からみても、違憲の主張は理由がない。なお、緊急逮捕は、その効力の消滅を裁判官の逮捕状が発せられないときにかからしめられているものと解すべきであるから、逮捕状が発せられなければ、逮捕はその効力を失い、直ちに被疑者を釈放すべきであり、刑訴二一〇条一項後段は、この当然の事理を規定したものに外ならない。

  昭和三〇年一二月一四日

     最高裁判所大法廷

第8章 事業者の損害賠償の責任を免除する条項

消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項を無効とする規定等について、「民法の規定による」という文言を削除することとした。(第8条第1項第3号及び第4号関係)

 

訪問販売等に関する法律六条一項一号にいう「第五条の書面」に該当しないためクーリング・オフの期間が進行しないとされた事例

 

 

              契約金返還請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成4年(ワ)第19268号

【判決日付】      平成5年8月30日

【判示事項】      一 訪問販売等に関する法律六条一項一号にいう「第五条の書面」に該当しないためクーリング・オフの期間が進行しないとされた事例

             二 アルミサイディングの取付工事附帯売買契約においてクーリング・オフ権の行使による解除が認められた事例

【参照条文】      訪問販売等に関する法律4

             訪問販売等に関する法律5-1

             訪問販売等に関する法律6-1

             訪問販売等に関する法律施行規則3

【掲載誌】        判例タイムズ844号252頁

【評釈論文】      別冊ジュリスト135号6頁

 

 

事案の概要

 訪問販売等に関する法律(以下「訪問販売法」と言う。)6条1項は、契約の申込みの撤回又は契約の解除をする権利(クーリング・オフの権利)が認められる場合を規定している。

本件は、同法2条3項所定の指定商品(同法施行令2条別表第1の27号「壁用のパネルその他の建築用パネル」)の売買契約と指定役務(同法施行令2条別表第3の8号ホ「物品の取付け又は設置」)の役務提供契約とが一体となった混合契約について、Xのした解除の意思表示につき、同法6条1項1号によりもはや解除ができない場合に当たるか否かが争われた事案である。

 

 

特定商取引に関する法律

(訪問販売における書面の交付)

第四条 販売業者又は役務提供事業者は、営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき又は営業所等において特定顧客から商品若しくは特定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその申込みの内容を記載した書面をその申込みをした者に交付しなければならない。ただし、その申込みを受けた際その売買契約又は役務提供契約を締結した場合においては、この限りでない。

一 商品若しくは権利又は役務の種類

二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価

三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法

四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期

五 第九条第一項の規定による売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第二項、第四項又は第五項の規定の適用がある場合にあつては、当該各項の規定に関する事項を含む。)を含む。)

六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

2 販売業者又は役務提供事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該申込みをした者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて主務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により提供することができる。この場合において、当該販売業者又は当該役務提供事業者は、当該書面を交付したものとみなす。

3 前項前段の規定による書面に記載すべき事項の電磁的方法(主務省令で定める方法を除く。)による提供は、当該申込みをした者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該申込みをした者に到達したものとみなす。

 

第五条 販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を除き、遅滞なく(前条第一項ただし書に規定する場合に該当するときは、直ちに)、主務省令で定めるところにより、同条第一項各号の事項(同項第五号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。

一 営業所等以外の場所において、商品若しくは特定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役務提供契約を締結したとき(営業所等において特定顧客以外の顧客から申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結したときを除く。)。

二 営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利又は役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みを受け、営業所等においてその売買契約又は役務提供契約を締結したとき。

三 営業所等において、特定顧客と商品若しくは特定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役務提供契約を締結したとき。

2 販売業者又は役務提供事業者は、前項各号のいずれかに該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約を締結した際に、商品を引き渡し、若しくは特定権利を移転し、又は役務を提供し、かつ、商品若しくは特定権利の代金又は役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、前条第一項第一号及び第二号の事項並びに同項第五号の事項のうち売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項その他主務省令で定める事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。

3 前条第二項及び第三項の規定は、前二項の規定による書面の交付について準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「申込みをした者」とあるのは、「購入者又は役務の提供を受ける者」と読み替えるものとする。

 

(禁止行為)

第六条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

一 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項

二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価

三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法

四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期

五 当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みの撤回又は当該売買契約若しくは当該役務提供契約の解除に関する事項(第九条第一項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第二項、第四項又は第五項の規定の適用がある場合にあつては、当該各項の規定に関する事項を含む。)を含む。)

六 顧客が当該売買契約又は当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項

七 前各号に掲げるもののほか、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第五号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。

3 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

4 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所等以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。