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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

第14章 取り消し得る6つの困惑類型の追加

旧法4条3項は、消費者は、事業者による勧誘の際に、消費者が退去要請したのに退去しない場合または消費者が退去しようとしたのに退去妨害した場合を困惑類型としていました。本改正では新たに6つの困惑類型を追加し、消費者が当該困惑類型に該当する状況により困惑し、消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした時は、これを取り消すことができるものとしました。

「不利益事実の不告知」に関する要件の緩和がなされています。

 

改正法では、以下の6項目の新たな「困惑」を生じさせる不当勧誘行為類型が追加されました。

 

法人の裏書の方式としての署名

 

 

              約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和39年(オ)第1379号

【判決日付】      昭和41年9月13日

【判示事項】      法人の裏書の方式としての署名

【判決要旨】      手形の裏書人が法人である場合には、その代表機関が法人のためにすることを明らかにして自己の署名をすることを要するものと解すべきである。

【参照条文】      手形法13

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集20巻7号1359頁

 

 

事案の概要

 上告人は、訴外Aが被上告会社にあてて振り出した約束手形の所持人で、右手形の第1裏書欄には、裏書人の表示として、被上告会社の商号、所在地、電話番号が記載され、同会社印およびその代表者印が押捺されていた。

上告人は満期に右手形を呈示したが、その支払いを拒絶されたと主張し、本件訴を提起した。

 原審は、本判決に引用されているような判断をしたうえ、上告人の請求を排斥したが、これに対し、上告人は、法人が手形行為をする場合には、その代表機関が法人のためにすることを明らかにして(たとえば、代表者印を押捺して)法人の記名押捺をすれば足りるのであるから、原判決は手形法13条の解釈を誤っていると主張して上告した。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人大槻弘道の上告理由について。

 論旨は、要するに、原判決が所論裏書を無効としたのは手形法一二条の解釈を誤つたものであるというにある。

 案ずるに、手形を裏書によつて譲り渡す場合には、裏書人が当該手形に署名することを要することは同条の規定により明らかであるが、その裏書人が会社その他の法人である場合には、当該法人の代表機関が法人のためにすることを明らかにして自己の署名をすることを要するものと解するのが相当である。けだし、法人はその機関たる地位にある自然人と別個の人格を有するが、代理の場合と異なり、機関の法律行為を離れて別に法人の法律行為があるわけでなく、法人が裏書人である場合における法人の署名とはその機関の地位にある自然人の署名をいうものと解されるからである。そして、原審の確定したところによれば、本件約束手形の第一裏書欄には、裏書人の表示として、福知山市a町b番地A不動産株式会社と記載され、右会社印および代表者印が押捺されているだけで、その代表者の自署または記名捺印がないというのであるから、右裏書欄に被上告会社の署名があるということができず、右裏書は被上告会社の裏書としての効力を生じない旨の原審の判断は正当である。したがつて、原判決に所論の違法はなく、所論は、ひつきよう、右と異なつた見解に立つて原判決を攻撃するに帰するから、採用できない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第三小法廷

交差点で信号待ちをしていた先行車両の後方から赤色信号を殊更に無視し対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため自車を右方道路から左折進行してきた自動車に衝突させ同車運転者らを負傷させた行為が刑法208条の2第2項後段の危険運転致傷罪に当たるとされた事例

 

 

危険運転致傷,道路交通法違反,傷害被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成17年(あ)第2035号

【判決日付】      平成18年3月14日

【判示事項】      交差点で信号待ちをしていた先行車両の後方から赤色信号を殊更に無視し対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため自車を右方道路から左折進行してきた自動車に衝突させ同車運転者らを負傷させた行為が刑法208条の2第2項後段の危険運転致傷罪に当たるとされた事例

【判決要旨】      交差点で信号待ちをしていた先行車両の後方から,赤色信号を殊更に無視し,対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため,自車を右方道路から青色信号に従い左折して対向進行してきた自動車に同交差点入口手前において衝突させ,同車運転者らを負傷させた行為は,刑法208条の2第2項後段の危険運転致傷罪に当たる。

【参照条文】      刑法208の2-2後段

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集60巻3号363頁

 

 

事案の概要

 1 本件は,赤色信号を殊更に無視した類型の危険運転致傷罪の構成要件該当性が争われた事案であり,判旨に関連する事実関係は,次のようなものである。すなわち,被告人は,普通乗用自動車を運転し,信号機により交通整理の行われている交差点手前で,対面信号機の赤色表示に従って停止していた先行車両の後方にいったん停止したが,同信号機が青色表示に変わるのを待ちきれず,同交差点を右折進行しようとして,同信号機がまだ赤色信号を表示していたのに構うことなく発進し,対向車線に進出して,前に止まっている車両の右側方を通過し,時速約20kmの速度で自車を運転して同交差点に進入しようとした。そのため,折から右方道路から青色信号に従い同交差点を左折して対向進行してきた被害者運転の普通貨物自動車を前方約14.8mの地点に認め,急制動の措置を講じたが,間に合わず,同交差点入口手前の,本来の走行車線であれば停止線が設けられている位置付近において,同車右前部に自車右前部を衝突させ,同人らに傷害を負わせた。

 2 刑法208条の2の危険運転致死傷罪は,自動車運転による死傷事犯の実情にかんがみ,事案の実態に即した処分及び科刑を行うため,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させるなど,一定の悪質かつ危険な運転行為をして人を死傷させた者を,暴行により人を死傷させた者に準じて処罰する犯罪類型として,平成13年の刑法改正で新設されたものであり,その罪質については,故意の危険運転行為により,意図しない人の死傷の結果が生じたときに成立する結果的加重犯に類する犯罪類型であると説かれている(井上宏「自動車運転による死傷事犯に対する罰則の整備(刑法の一部改正)等について」ジュリ1216号39頁)。

 本件は,刑法208条の2において危険運転行為として類型化されたもののうち,赤色信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し,よつて,人を死傷させたという,同条2項後段の赤色信号殊更無視類型の危険運転致傷罪の事案であるが,具体的に争点とされたのは,次の2点である。

第1点は,1,2審において争われた問題であるが,時速約20kmで進行したことが「交通の危険を生じさせる速度」(以下「危険速度」という。)といえるかという点である。

第2点は,上告審において争われた問題であり,被告人が自車を対向車線に進出させて同車線上で事故が発生しており,事故の直接的な原因は対向車線上に進出したことであって,赤色信号殊更無視の危険運転行為によるものとして因果関係を肯定することができるかという点である。

 3 本決定は,職権で,前記1のような事実関係を示した上,赤色信号殊更無視類型の危険運転致傷罪の成立を認めた原判断を是認したものであり,判文に照らせば,上記2つの問題点につき,本件事案の下で,被告人車の速度時速約20kmが危険速度と認められること,また,被告人が自車を対向車線に進出させ,同車線上で被害車両と衝突したとしても,これが赤色信号殊更無視の危険運転行為によるものと認められることを明らかにしたものと解される。

 

 

 

平成二十五年法律第八十六号

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

(危険運転致死傷)

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為

六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 当審における未決勾留日数中20日を本刑に算入する。

 

       理   由

 

 弁護人鈴木久彰の上告趣意は,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 なお,所論にかんがみ,危険運転致傷罪の成否につき,職権で判断する。

 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実関係は,以下のとおりである。すなわち,被告人は,平成15年11月25日午前2時30分ころ,普通乗用自動車を運転し,札幌市北区内の信号機により交通整理の行われている交差点手前で,対面信号機の赤色表示に従って停止していた先行車両の後方にいったん停止したが,同信号機が青色表示に変わるのを待ちきれず,同交差点を右折進行すべく,同信号機がまだ赤色信号を表示していたのに構うことなく発進し,対向車線に進出して,上記停止車両の右側方を通過し,時速約20kmの速度で自車を運転して同交差点に進入しようとした。そのため,折から右方道路から青色信号に従い同交差点を左折して対向進行してきた被害者運転の普通貨物自動車を前方約14.8mの地点に認め,急制動の措置を講じたが間に合わず,同交差点入口手前の停止線相当位置付近において,同車右前部に自車右前部を衝突させ,よって,同人に加療約8日間を要する顔面部挫傷の傷害を,同人運転車両の同乗者にも加療約8日間を要する頸椎捻挫等の傷害をそれぞれ負わせた。

 以上の事実関係によれば,被告人は,赤色信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転したものと認められ,被害者らの各傷害がこの危険運転行為によるものであることも明らかであって,刑法208条の2第2項後段の危険運転致傷罪の成立を認めた原判断は正当である。

 所論は,被告人が自車を対向車線上に進出させたことこそが同車線上で交差点を左折してきた被害車両と衝突した原因であり,赤色信号を殊更に無視したことと被害者らの傷害との間には因果関係が認められない旨主張する。しかし,被告人が対面信号機の赤色表示に構わず,対向車線に進出して本件交差点に進入しようとしたことが,それ自体赤色信号を殊更に無視した危険運転行為にほかならないのであり,このような危険運転行為により被害者らの傷害の結果が発生したものである以上,他の交通法規違反又は注意義務違反があっても,因果関係が否定されるいわれはないというべきである。所論は理由がない。

 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

美容器事件・特許法102条1項所定の「侵害行為がなければ販売することができた物」とは、侵害行為によってその販売数量に影響を受ける特許権者の製品、すなわち、侵害品と市場において競合関係に立つ特許権者の製品であれば足りる。

 

 

              特許権侵害差止等請求控訴事件

【事件番号】      知的財産高等裁判所判決/平成31年(ネ)第10003号

【判決日付】      令和2年2月28日

【判示事項】      1 特許法102条1項所定の「侵害行為がなければ販売することができた物」とは、侵害行為によってその販売数量に影響を受ける特許権者の製品、すなわち、侵害品と市場において競合関係に立つ特許権者の製品であれば足りる。

             2 特許法102条1項所定の「単位数量当たりの利益の額」は、特許権者の製品の売上高から、特許権者において上記製品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であり、その主張立証責任は特許権者側にある。

             3 特許法102条1項に基づき特許権侵害による損害を算定する場合において、①特許発明が、回転体、支持軸、軸受け部材及びハンドル等の部材から構成される美容器の、軸受け部材と回転体の内周面の形状に特徴のある発明であること、②特許発明を実施した特許権者の製品は、支持軸に回転可能に支持された一対のローリング部を肌に押し付けて回転させることにより、肌を摘み上げ、肌に対して美容的作用を付与しようとする美容器であり、上記の特徴のある部分は同製品の一部分であること、③同製品のうち大きな顧客誘引力を有する部分は、ローリング部の構成であって、特許発明の特徴部分が特許権者の製品の販売による利益の全てに貢献しているとはいえないことなど判示の事情の下では、特許発明を実施した特許権者の製品において、特許発明の特徴部分がその一部分にすぎないとしても、特許権者の製品の販売によって得られる限界利益の全額が特許権者の逸失利益となることが事実上推定されるが、特徴部分の特許権者の製品における位置付け、特許権者の製品が特徴部分以外に備えている特徴やその顧客誘引力などの事情を総合考慮すると、事実上の推定が約6割覆滅され、これを限界利益から控除すべきであるとされた事例

             4 特許法102条1項所定の「実施の能力」は、潜在的な能力で足り、生産委託等の方法により、侵害品の販売数量に対応する数量の製品を供給することが可能な場合は実施の能力があるというべきであり、その主張立証責任は特許権者側にある。

             5 特許法102条1項ただし書所定の「特許権者が販売することができないとする事情」は、侵害行為と特許権者の製品の販売減少との相当因果関係を阻害する事情をいい、例えば、①特許権者と侵害者の業務態様や価格等に相違が存在すること(市場の非同一性)、②市場における競合品の存在、③侵害者の営業努力(ブランド力、宣伝広告)、④侵害品及び特許権者の製品の性能(機能、デザイン等特許発明以外の特徴)に相違が存在することなどの事情がこれに該当し、上記の事情及び同事情に相当する数量の主張立証責任は、侵害者側にある。

【参照条文】      特許法102-1

【掲載誌】        判例時報2464号61頁

 

 

特許法

(損害の額の推定等)

第百二条 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。

一 特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に、自己の特許権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額

二 譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(特許権者又は専用実施権者が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額

2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

3 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

4 裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について、当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

5 第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

 

 

 

       主   文

 

 1 一審原告の控訴及び訴えの変更に基づき,原判決を次のとおり変更する。

  (1) 一審被告は,原判決別紙被告製品目録1ないし9記載の美容器を譲渡し,又は譲渡の申出をしてはならない。

  (2) 一審被告は,原判決別紙被告製品目録1ないし9記載の美容器を廃棄せよ。

  (3) 一審被告は,一審原告に対し,4億4006万円及びうち3810万円に対する平成28年6月15日から,うち405万円に対する平成29年8月26日から,うち2億5785万円に対する同年11月17日から,うち1億4006万円に対する令和元年5月15日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (4) 一審原告のその余の請求を棄却する。

 2 一審被告の控訴を棄却する。

 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを20分し,その1を一審原告の負担とし,その余を一審被告の負担とする。

 4 この判決は,第1項(1),(2)及び(3)に限り,仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 一審原告

  (1) 原判決を次のとおり変更する。

  (2) 一審被告は,原判決別紙被告製品目録1ないし9記載の美容器を譲渡し,又は譲渡の申出をしてはならない。

  (3) 一審被告は,原判決別紙被告製品目録1ないし9記載の美容器を廃棄せよ。

  (4) 一審被告は,一審原告に対し,5億円及びうち3810万円に対する平成28年6月15日から,うち405万円に対する平成29年8月26日から,うち2億5785万円に対する同年11月17日から,うち2億円に対する令和元年5月15日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (一審原告は,当審において,上記美容器の製造,使用,貸渡し,輸出及び貸渡しの申出の差止めの訴えを取り下げ,3億円の損害賠償請求を,上記のように拡張した。)

 2 一審被告

  (1) 原判決のうち一審被告敗訴部分を取り消す。

  (2) 上記取消部分に係る一審原告の請求を棄却する。

第2 事案の概要

 1 訴訟の概要

  (1) 本件は,発明の名称を「美容器」とする後記2(2)の各特許権を有する一審原告が,一審被告に対し,一審被告が原判決別紙「被告製品目録」1ないし9記載の美容器(以下,それぞれ「被告製品1」等といい,総称して「被告製品」という。)の製造,使用,譲渡,貸渡し,輸出,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をすることは,上記各特許権を侵害すると主張して,①特許法100条1項及び2項に基づき,上記各特許権による被告製品の製造販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに,②民法709条に基づき,一部請求として,後記2(2)イの特許権の侵害による,特許法102条1項の損害金3億円及びうち3810万円に対する平成28年6月15日(訴状送達の日の翌日)から,うち405万円に対する平成29年8月26日(平成29年8月15日付け訴えの変更申立書の送達日の翌日)から,うち2億5785万円に対する同年11月17日(平成29年11月13日付け訴えの変更申立書(2)の送達日の翌日)から,各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

  (2) 原審は,被告製品の製造販売等は,後記2(2)イの特許権を侵害すると判断した上で,被告製品の製造販売等の差止め及び廃棄,並びに,損害金1億0735万0651円及びうち3810万円に対する平成28年6月15日から,うち405万円に対する平成29年8月26日から,うち6520万0651円に対する同年11月17日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,一審原告の請求を認容し,その余の請求を棄却した。

  (3) 一審原告及び一審被告は,いずれも,原判決を不服として控訴した。

歯科医院マンション事件・契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とする損害賠償責任が認められた事例

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和59年(オ)第152号

【判決日付】      昭和59年9月18日

【判示事項】      契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とする損害賠償責任が認められた事例

【判決要旨】      マンションの購入希望者において、その売却予定者と売買交渉に入り、その交渉過程で歯科医院とするためのスペースについて注文を出したり、レイアウト図を交付するなどしたうえ、電気容量の不足を指摘し、売却予定者が容量増加のための設計変更および施工をすることを容認しながら、交渉開始6か月後に自らの都合により契約を結ぶに至らなかったなど原判示のような事情があるときは、購入希望者は、当該契約の準備段階における信義則上の注意義務に違反したものとして、売却予定者が右設計変更および施工をしたために被った損害を賠償する責任を負う。

【参照条文】      民法1-2

             民法415

             民法3編2章1節1款

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事142号311頁

             判例タイムズ542号200頁

             金融・商事判例711号42頁

             判例時報1137号51頁

 

 

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人伊藤茂昭の上告理由について

 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、上告人の契約準備段階における信義則上の注意義務違反を由とする損害賠償責任を肯定した原審の判断は、是認することができ、また、上告人及び被上告人双方の過失割合を各五割とした原審の判断に所論の違法があるとはいえない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づき原判決を論難するか、又は原審の裁量に属する過失割合の判断の不当をいうものにすぎず、採用することができない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

第3部 消費者契約法の平成30年改正

 

第12章 はじめに

消費者契約法の平成30年改正平成30年通常国会において消費者契約法の一部を改正する法律が成立しました。

内閣府消費者委員会消費者契約法専門調査会が2017年8月にとりまとめた(第2次)報告書(以下、専門調査会報告書)に基づき、消費者契約法の実体法部分を改正する「消費者契約法の一部を改正する法律」(平成30年法律第54号)については、平成30年3月2日に国会に法案を提出し、同年5月24日に衆議院において修正議決され、同年6月8日に参議院において全会一致で可決され、成立しました。その後、同月15日に平成30年法律第54号として公布されました。

なお、改正法は令和元年6月15日に施行されております。

 

第13章 消費者契約法改正の経緯

消費者契約法は、平成28年に改正されたものですが(以下「旧法」といいます。)、その際には、「勧誘」要件の在り方、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、平均的な損害の額の立証責任、条項使用者不利の原則、不当条項の類型の追加等、「現時点で法改正を行うことについてコンセンサスが得られていないものについては、今後の検討課題として引き続き検討を行う」とされていました。これを受けて引き続き検討を重ね、平成30年6月8日に、検討課題とされていたもののうち、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、不当条項の類型の追加等を内容として「消費者契約法の一部を改正する法律」が成立しました(以下「改正法」といいます。)。今回の改正は、消費者と事業者の交渉力等の格差に鑑み、近時の消費者契約に関する被害事例等を踏まえて行ったものです。

 

わいわいランド事件・保育所経営会社Y社とX1との間の雇用契約につき,平成11年3月27日に代表者Yが受託保育所のトレーナーの雇入通知表を渡し,これにX1が就労開始日を同年4月5日として,Yの承諾を得たことにより,期間の定めのない契約が締結されたものとされた例

 

 

              損害賠償等請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成12年(ネ)第2601号、平成12年(ネ)第2602号

【判決日付】      平成13年3月6日

【判示事項】      1 保育所経営会社Y社とX1との間の雇用契約につき,平成11年3月27日に代表者Yが受託保育所のトレーナーの雇入通知表を渡し,これにX1が就労開始日を同年4月5日として,Yの承諾を得たことにより,期間の定めのない契約が締結されたものとされた例

             2 Y社とX2との間の雇用契約につき,X2がY社の平成11年3月27日の雇入通知表の交付に際し「考えさせてほしい」として合意を留保していることから,成立していないとされた例

             3 Y社によるX1の解雇は,Y社が予定していたZの保育業務の委託を受けることができなくなったことを理由とするものであり,X1もそこを職場とすることを予定として雇用契約を結んだものであるから,権利の濫用や信義別に達反するとはいえないとされた例

             4 YによるX1に対する解雇通知は,即時解雇としての効力を生じないが,特段の事情がない限り,通知後、労働基準法20条所定の30日の期間を経過したときに解雇の効力が生じるから,解雇予告手当の支払請求権が生じるわけではないとして,解雇予告手当支払請求を認容した一審判決を取り消し,X1は本件解雇の生じるまでの期間(1か月分)の賃金請求をなすことができるとされた例

             5 Yは,Xらの信頼にこたえて,自ら示した雇用条件をもってXらの雇用を実現し雇用を続けることができるよう配慮すべき信義則上の注意義務があったというべきであり,また,副次的にはXらがYを信頼したことによって発生することのある損害を抑止するために,雇用の実現,継続に関係する客観的な事情を説明する義務があったとされた例

             6 保育業務の委託契約の成立を前提とするXらへの雇用契約の勧誘,その不成立の結果としてのXらの失職につき,Yの一連の行為は,全体としてこれをみると,Xらが雇用の場を得て賃金を得ることができた法的地位を違法に侵害した不法行為に当たるとして,損害賠償および慰謝料の請求が認容された例

【掲載誌】        労働判例818号73頁

 

 

事案の概要

一審被告会社Y社(わいわいランド)は,フランチャイズ方式で園長を募集する方法で小規模な無認可保育所(託児所)を経営する有限会社であり,Yはその代表者である。Yは一審被告補助参加人Z(ヤクルト販売)との間で平成11年4月開設予定の保育ルームの業務委託契約の成立を見込んでスタッフの確保を考え,一審原告X1とX2に就職の勧誘を行い,承諾を得たため,業務内容の説明,雇入通知表,予定表等の交付を行っていたところ,Zとの間の業務委託契約が成立せず,YがX1,X2に対し,「この話はなかったことに」などと述べたため,X1,X2が,Y社とXらとの間では雇用契約が成立しており,上記のYの本件通告は解雇に当たり,解雇権の濫用であると主張して,不法行為,債務不履行に基づく損害賠償の請求(主位的請求原因)と,当審予備的請求としてYにはZとの業務委託契約が未成立であったことにつき説明義務があるにもかかわらずこれを怠ったとして,説明義務違反による損害賠償を請求した事案である。

 

 

労働基準法

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

 

不正競争防止法(平成27年改正前)21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があるとされた事例

 

 

不正競争防止法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成30年(あ)第582号

【判決日付】      平成30年12月3日

【判示事項】      不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があるとされた事例

【判決要旨】      勤務先会社のサーバーコンピュータに保存された営業秘密であるデータファイルへのアクセス権限を付与されていた従業員が,同社を退職して同業他社へ転職する直前に,同データファイルを私物のハードディスクに複製したこと,当該複製は勤務先会社の業務遂行の目的によるものではなく,その他の正当な目的をうかがわせる事情もないこと等の本件事実関係(判文参照)の下では,同従業員には,不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があったといえる。

【参照条文】      不正競争防止法(平27法54号改正前)21-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集72巻6号569頁

 

 

事案の概要

 1 本件は,自動車会社に勤務していた被告人が,同業他社への転職直前に,不正の利益を得る目的で,2度にわたり,勤務先会社のサーバーコンピュータに保存されていた営業秘密に係るデータファイル合計12件の複製を作成したという不正競争防止法違反(営業秘密不正領得)の事案であり,同法(平成27年法律第54号による改正前のもの。以下「法」という。)21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」の有無等が争われた。

 第1審判決は,各データファイルの複製の作成につき,被告人にはこれらの情報を転職先等で直接的又は間接的に参考にして活用しようとしたなどといった不正の利益を得る目的があったものと認めて,営業秘密不正領得罪の成立を肯定し,原判決もこれを是認した。

 被告人は上告し,①1件目の複製作成は,業務関係データの整理を目的とし,2件目の複製作成は,記念写真の回収を目的としたものであって,いずれも被告人に転職先等で直接的又は間接的に参考にするなどといった目的はなかった,②法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があるというためには,正当な目的・事情がないことに加え,当罰性の高い目的が認定されなければならず,情報を転職先等で直接的又は間接的に参考にするなどという曖昧な目的はこれに当たらないなどと主張した。

 本決定は,所論に鑑み,本件における「不正の利益を得る目的」の有無について,決定要旨のとおり職権判示して原判決を是認し,上告を棄却した。

 

 

不正競争防止法

(罰則)

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。次号において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の営業秘密保有者の管理を害する行為をいう。次号において同じ。)により、営業秘密を取得した者

二 詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示した者

三 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者

イ 営業秘密記録媒体等(営業秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体をいう。以下この号において同じ。)又は営業秘密が化体された物件を横領すること。

ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。

ハ 営業秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装すること。

四 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用し、又は開示した者

五 営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同じ。)又は従業者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)

六 営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員又は従業者であった者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、又は開示した者(第四号に掲げる者を除く。)

七 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、第二号若しくは前三号の罪又は第三項第二号の罪(第二号及び前三号の罪に当たる開示に係る部分に限る。)に当たる開示によって営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者

八 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、第二号若しくは第四号から前号までの罪又は第三項第二号の罪(第二号及び第四号から前号までの罪に当たる開示に係る部分に限る。)に当たる開示が介在したことを知って営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者

九 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、自己又は他人の第二号若しくは第四号から前号まで又は第三項第三号の罪に当たる行為(技術上の秘密を使用する行為に限る。以下この号及び次条第一項第二号において「違法使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供した者(当該物が違法使用行為により生じた物であることの情を知らないで譲り受け、当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供した者を除く。)

2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第二十号に掲げる不正競争を行った者

二 他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的で、又は当該信用若しくは名声を害する目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者

三 不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行った者

四 不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第二条第一項第十七号又は第十八号に掲げる不正競争を行った者

五 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)

六 秘密保持命令に違反した者

七 第十六条、第十七条又は第十八条第一項の規定に違反した者

3 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 日本国外において使用する目的で、第一項第一号又は第三号の罪を犯した者

二 相手方に日本国外において第一項第二号又は第四号から第八号までの罪に当たる使用をする目的があることの情を知って、これらの罪に当たる開示をした者

三 日本国内において事業を行う営業秘密保有者の営業秘密について、日本国外において第一項第二号又は第四号から第八号までの罪に当たる使用をした者

4 第一項(第三号を除く。)並びに前項第一号(第一項第三号に係る部分を除く。)、第二号及び第三号の罪の未遂は、罰する。

5 第二項第六号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

6 第一項各号(第九号を除く。)、第三項第一号若しくは第二号又は第四項(第一項第九号に係る部分を除く。)の罪は、日本国内において事業を行う営業秘密保有者の営業秘密について、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。

7 第二項第六号の罪は、日本国外において同号の罪を犯した者にも適用する。

8 第二項第七号(第十八条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

9 第一項から第四項までの規定は、刑法その他の罰則の適用を妨げない。

10 次に掲げる財産は、これを没収することができる。

一 第一項、第三項及び第四項の罪の犯罪行為により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産

二 前号に掲げる財産の果実として得た財産、同号に掲げる財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他同号に掲げる財産の保有又は処分に基づき得た財産

11 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第十四条及び第十五条の規定は、前項の規定による没収について準用する。この場合において、組織的犯罪処罰法第十四条中「前条第一項各号又は第四項各号」とあるのは、「不正競争防止法第二十一条第十項各号」と読み替えるものとする。

12 第十項各号に掲げる財産を没収することができないとき、又は当該財産の性質、その使用の状況、当該財産に関する犯人以外の者の権利の有無その他の事情からこれを没収することが相当でないと認められるときは、その価額を犯人から追徴することができる。

 

 

消滅時効の援用が権利濫用にあたるとされた事例

 

 

 

土地所有権移転登記手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和50年(オ)第1051号

【判決日付】      昭和51年5月25日

【判示事項】      消滅時効の援用が権利濫用にあたるとされた事例

【判決要旨】      家督相続をした長男が、家庭裁判所における調停により、母に対しその老後の生活保障と妹らの扶養及び婚姻費用等に充てる目的で農地を贈与して引渡を終わり、母が20数年これを耕作し、妹らの扶養及び婚姻等の諸費用を負担したなど判示の事実関係のもとにおいて、母から農地法3条の許可申請に協力を求められた右長男がその許可申請協力請求権につき消滅時効を援用することは、権利の濫用にあたる。

【参照条文】      民法1-3

             民法145

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集30巻4号554頁

 

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

 

農地法

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)

第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

一 第四十六条第一項又は第四十七条の規定によつて所有権が移転される場合

二 削除

三 第三十七条から第四十条までの規定によつて農地中間管理権(農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第五項に規定する農地中間管理権をいう。以下同じ。)が設定される場合

四 第四十一条の規定によつて同条第一項に規定する利用権が設定される場合

五 これらの権利を取得する者が国又は都道府県である場合

六 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)、農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)、集落地域整備法(昭和六十二年法律第六十三号)又は市民農園整備促進法(平成二年法律第四十四号)による交換分合によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

七 農地中間管理事業の推進に関する法律第十八条第七項の規定による公告があつた農用地利用集積等促進計画の定めるところによつて同条第一項の権利が設定され、又は移転される場合

八 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(平成五年法律第七十二号)第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第二条第三項第三号の権利が設定され、又は移転される場合

九 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成十九年法律第四十八号)第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第五条第十項の権利が設定され、又は移転される場合

九の二 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成二十五年法律第八十一号)第十七条の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第五条第四項の権利が設定され、又は移転される場合

十 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)による農事調停によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

十一 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律によつて農地若しくは採草放牧地又はこれらに関する権利が収用され、又は使用される場合

十二 遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の二の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

十三 農地中間管理機構が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農業経営基盤強化促進法第七条第一号に掲げる事業の実施によりこれらの権利を取得する場合

十四 農業協同組合法第十条第三項の信託の引受けの事業又は農業経営基盤強化促進法第七条第二号に掲げる事業(以下これらを「信託事業」という。)を行う農業協同組合又は農地中間管理機構が信託事業による信託の引受けにより所有権を取得する場合及び当該信託の終了によりその委託者又はその一般承継人が所有権を取得する場合

十四の二 農地中間管理機構が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地中間管理事業(農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第三項に規定する農地中間管理事業をいう。以下同じ。)の実施により農地中間管理権又は経営受託権(同法第八条第三項第三号ロに規定する経営受託権をいう。)を取得する場合

十四の三 農地中間管理機構が引き受けた農地貸付信託(農地中間管理事業の推進に関する法律第二条第五項第二号に規定する農地貸付信託をいう。)の終了によりその委託者又はその一般承継人が所有権を取得する場合

十五 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下単に「指定都市」という。)が古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第十九条の規定に基づいてする同法第十一条第一項の規定による買入れによつて所有権を取得する場合

十六 その他農林水産省令で定める場合

2 前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、民法第二百六十九条の二第一項の地上権又はこれと内容を同じくするその他の権利が設定され、又は移転されるとき、農業協同組合法第十条第二項に規定する事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会が農地又は採草放牧地の所有者から同項の委託を受けることにより第一号に掲げる権利が取得されることとなるとき、同法第十一条の五十第一項第一号に掲げる場合において農業協同組合又は農業協同組合連合会が使用貸借による権利又は賃借権を取得するとき、並びに第一号、第二号及び第四号に掲げる場合において政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。

一 所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者又はその世帯員等の耕作又は養畜の事業に必要な機械の所有の状況、農作業に従事する者の数等からみて、これらの者がその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地の全てを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合

二 農地所有適格法人以外の法人が前号に掲げる権利を取得しようとする場合

三 信託の引受けにより第一号に掲げる権利が取得される場合

四 第一号に掲げる権利を取得しようとする者(農地所有適格法人を除く。)又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業に必要な農作業に常時従事すると認められない場合

五 農地又は採草放牧地につき所有権以外の権原に基づいて耕作又は養畜の事業を行う者がその土地を貸し付け、又は質入れしようとする場合(当該事業を行う者又はその世帯員等の死亡又は第二条第二項各号に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため一時貸し付けようとする場合、当該事業を行う者がその土地をその世帯員等に貸し付けようとする場合、その土地を水田裏作(田において稲を通常栽培する期間以外の期間稲以外の作物を栽培することをいう。以下同じ。)の目的に供するため貸し付けようとする場合及び農地所有適格法人の常時従事者たる構成員がその土地をその法人に貸し付けようとする場合を除く。)

六 第一号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業の内容並びにその農地又は採草放牧地の位置及び規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合

3 農業委員会は、農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権が設定される場合において、次に掲げる要件の全てを満たすときは、前項(第二号及び第四号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、第一項の許可をすることができる。

一 これらの権利を取得しようとする者がその取得後においてその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合に使用貸借又は賃貸借の解除をする旨の条件が書面による契約において付されていること。

二 これらの権利を取得しようとする者が地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。

三 これらの権利を取得しようとする者が法人である場合にあつては、その法人の業務を執行する役員又は農林水産省令で定める使用人(次条第一項第三号において「業務執行役員等」という。)のうち、一人以上の者がその法人の行う耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること。

4 農業委員会は、前項の規定により第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、その旨を市町村長に通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた市町村長は、市町村の区域における農地又は採草放牧地の農業上の適正かつ総合的な利用を確保する見地から必要があると認めるときは、意見を述べることができる。

5 第一項の許可は、条件をつけてすることができる。

6 第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。

 

 

 

 

       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 上告代理人植田義昭の上告理由一の(一)について

 原審が確定した事実関係によれば、上告人が家督相続により亡父の遺産全部を相続したのち、家庭裁判所における調停の結果、上告人から母である被上告人Aに対しその老後の生活の保障と幼い子女(上告人の妹ら)の扶養及び婚姻費用等に充てる目的で本件第二の土地(第一審判決別紙目録第二記載の土地)を贈与し、その引渡もすみ、同被上告人が、二十数年間にわたつてこれを耕作し、子女の扶養、婚姻等の諸費用を負担したこと、その間、同被上告人が上告人に対し右土地につき農地法三条所定の許可申請手続に協力を求めなかつたのも、既にその引渡を受けて耕作しており、かつ、同被上告人が老齢であり、右贈与が母子間においてされたなどの事情によるものであること、が認められるというのである。この事実関係のもとにおいて、上告人が同被上告人の右所有権移転許可申請協力請求権につき消滅時効を援用することは、信義則に反し、権利の濫用として許されないとした原審の判断は、正当として是認することができ、

原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同一の(二)について
 所論の点に関し、所有権に基づく登記請求権はその性質上消滅時効にかかることがないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
    最高裁判所第三小法廷
        裁判長裁判官  高辻正己
           裁判官  天野武一
           裁判官  江里口清雄
           裁判官  服部高顯
           裁判官  環 昌一

 

 

元監査役からの閉鎖登記簿の抹消登記手続を求める訴えと訴えの利益(積極)


監査役辞任登記の抹消登記等請求事件
【事件番号】    東京地方裁判所判決/昭和61年(ワ)第5264号、昭和61年(ワ)第5265号
【判決日付】    昭和63年7月7日
【判示事項】    一、元監査役からの閉鎖登記簿の抹消登記手続を求める訴えと訴えの利益(積極)
          二、元監査役からの辞任登記抹消請求について辞任の日が実体と異なるにすぎないため更正登記の対象となりうるにすぎないことを理由に棄却した事例
          三、役員選任の株主総会決議取消しの訴えの係属中に当該役員が退任した場合と訴えの利益(消極)
          四、名誉毀損を理由とする損害賠償請求を棄却した事例
【判決要旨】    商業登記簿の役員欄は、現在の役員構成を公示するとともに、過去の役員の就任、退任、辞任等の経過をも公示する機能を有していることにかんがみると、これにつき誤った登記がなされたために第三者が直接に利益を害される場合には、右第三者は、右登記を是正するため、会社に対し商業登記法による抹消登記手続を求めることができると解すべきである。
【参照条文】    商業登記法107
          商業登記法109
          商法247
          商法280-1
          商法258-1
          民法709
          商法266の3
【掲載誌】     判例タイムズ670号206頁
          金融・商事判例817号29頁
          判例時報1284号131頁
          金融法務事情1214号38頁


事案の概要
 一、原告は、公認会計士であり、昭和59年10月21日、被告両社の監査役に就任したが、被告両社が、昭和61年3月7日、原告が昭和60年2月26日被告両社の監査役を辞任した旨の辞任届を偽造して原告が監査役を辞任した旨の登記をなしたとしてその抹消登記手続を求めるとともに、被告両社が右登記をなしたうえ、原告を無視して取締役会を開催し、また取引金融機関等に原告が辞任した旨の虚偽の事実を告知して原告の公認会計士としての名誉信用を侵害したことを理由に、被告両社に対する不法行為責任に基づく損害賠償と、被告両社の代表取締役に対する商法266条ノ3に基づく損害賠償を求め、さらに被告国土開発株式会社の取締役及び監査役を選任した株主総会決議が原告を招集しなかった取締役会決議に基づくとしてその取消しを求めたが、本判決は、抹消登記請求及び損害賠償請求を棄却し、決議取消しの訴えを却下した。
 二、本判決は、まず、抹消登記手続請求について判断し、現在の給付請求であるから訴えの利益が認められるとした。
現在の給付請求についてはそのことだけで訴えの利益を肯定するのが通説であり、本判決も通説を採用したものであろう。
 三、次に、本判決は、総会決議取消しの訴えについて判断し、本件訴訟の係属中に当該決議に基づき選任された取締役及び監査役の任期が満了し、その後の株主総会の決議によって取締役及び監査役全員が新たに選任されたため、取消しを求める選任決議に基づく役員全員が現存しなくなっているため特別の事情が認められない限り訴えの利益を欠くにいたるところ、特別の事情が認められないから、現在監査役の地位にはない原告に原告適格がないとする被告の主張について判断するまでもなく、訴えの利益を欠くとして却下した。


商業登記法
(取締役等の変更の登記)
第五十四条 取締役、監査役、代表取締役又は特別取締役(監査等委員会設置会社にあつては監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役、代表取締役又は特別取締役、指名委員会等設置会社にあつては取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役)の就任による変更の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
2 会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項に規定する者であることを証する書面
3 会計参与又は会計監査人が法人であるときは、その名称の変更の登記の申請書には、前項第二号に掲げる書面を添付しなければならない。ただし、同号ただし書に規定する場合は、この限りでない。
4 第一項又は第二項に規定する者の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。


会社法
(登記の効力)
第九百八条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

(株主総会等の決議の取消しの訴え)
第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等*(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主(当該決議が創立総会の決議である場合にあっては、設立時株主)又は取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この項において同じ。)、監査役若しくは清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。

*注、株主等とは、828条2項によち、株主、取締役又は清算人(監査役設置会社にあっては株主、取締役、監査役又は清算人、指名委員会等設置会社にあっては株主、取締役、執行役又は清算人)をいう。