マイナンバーカードの健康保険証利用について
マイナンバーが健康保険証として利用できるようになり、徐々に利用者が増えています。
厚生労働省も推奨しており、今後は従業員から質問されることも増えてくると思います。
今回はマイナンバーの健康保険証利用についてを解説します。
マイナンバー制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤として、2016年1月に導入されました(※1)。マイナンバーには個人番号と法人番号があり、個人番号については、まずは社会保障、税、災害対策分野に利用を限定して導入されました。勤務先に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出するときや、確定申告を行うときなどに、個人番号を記入したことがある方は多いと思います。
※1 国税庁ホームページ「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の概要」
マイナンバー制度の導入にあわせて、政府はマイナンバーカードの普及も目指しましたが、利用範囲が限定的なこともあってから、普及のスピードはそれほど早くはありませんでした。制度導入から5年経過した2020年4月時点のマイナンバーカード交付率は、全国で16.0%でした(※2)。
普及促進策として、政府は2020年9月から、マイナンバーカードを作成した場合にポイントがもらえる「マイナポイント制度」を実施しました(※3)。この制度は2021年12月で一旦終了しましたが、2022年1月からは、第2弾として、第1弾のキャッシュレス決済の25%還元(最大5,000pt)に加え、マインバーカードに健康保険証の利用申込を行なったり、公金受取り用の銀行口座の登録を行ったりすることで、最大1万5,000ptが追加され、合計で2万ptがもらえることになっています(1pt=1円換算)。こうした普及促進策の結果、2023年4月時点のマイナンバーカード交付率は約76.4%となりました(※2)。
※2 総務省ホームページ「マイナンバーカード交付状況について」
※3 総務省ホームページ「マイナポイント事業」
なお、このマイナポイント第2弾は当初、マイナンバーカードの申請期限が2023年2月末、マイナポイントの申し込み終了日が2023年5月末となっていましたが、4ヵ月延長され、2023年9月末までとなりました。
マイナンバーカード普及促進策の一つである健康保険証利用は、2021年3月から可能になっていました(当時はマイナポイント対象外)。当初は医療機関での対応が遅れており、健康保険証としての利用は限定的でしたが、2023年4月から全医療機関でマイナンバー保険証の利用が原則義務化となり、利用できる範囲は拡大されました。
ただし、原則義務化とはいうものの、すべての医療機関が対応できているわけではありません。そのため、システム開発ベンダーと契約後にシステム整備が完了していない医療機関などを対象に、2023年9月末までの導入完了を目指す経過措置が取られています。2023年4月時点で健康保険証として利用可能な医療機関は、厚生労働省のホームページで確認ができます(※4)。
※4 厚生労働省ホームページ「マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関・薬局についてのお知らせ」
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、マイナンバーカードと健康保険証との紐付けが必要ですが、これは利用者各自が行う必要があります。2023年2月中にマイナンバーカード申請を行っている人が、9月末までに健康保険証の利用申し込みを行えば、マイナポイントが7500ptがもらえます。ポイントが欲しい方は是非早めに手続きを行ってください。
利用申込方法は、①セブン銀行ATM、②専用アプリをインストールしたスマートフォン、③専用アプリをインストールしたパソコン+ICカードリーダ、の3種類です。詳細は、マイナポータルのサイトをご確認ください(※5)。
※5 マイナポータル「マイナンバーカードの健康保険証利用」
なお、マイナンバーカードと健康保険証を紐付けたとしても、今までの健康保険証が使えなくなるわけではありません。政府は2024年秋をめどに、マイナンバーカードと健康保険証を一体化し、紙の健康保険証を廃止しする方針を示していますが、それまでの間は健康保険証、マイナンバーカードのどちらも使用可能です。
また、一度マイナンバーカードを健康保険証に紐づければ、その後転職や退職で保険者が変わったとしても、特に手続きは必要ありません。保険者側の手続きが完了し、新しい保険証の情報が反映されれば、新しい保険証の発行を待たずにマイナンバーカードで受信することができます。
その他、マイナンバーカードの健康保険料利用に関する疑問については、デジタル庁やマイナポータルのQ&Aをご覧ください(※6、※7)。
※6 デジタル庁ホームページQ&A
※7 マイナポータル(マイナンバーカードの健康保険証としての利用)Q&A
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この内容は2023年4月8日時点のものです。
状況によって内容等が変わる可能性がありますのでご了承ください。
社会保険労務士法人ケーズ・インテリジェンス