社会保険労務士法人ケーズ・インテリジェンス

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  【第3回】事業主が実施すべき措置①

 

【第3回】事業主が実施すべき措置①:方針の明確化と相談体制づくり

「何から手をつければいい?」という疑問にお答えします

 

 

 

はじめに:カスハラ対策は「やったほうがいい」だけでは済まない

こんにちは、社会保険労務士の小林です!

 

第1回・第2回では、カスハラの定義と具体的な言動例をお伝えしました。今回からは、事業主が義務として講じなければならない措置の内容に入っていきます。

 

カスハラ防止指針は、令和7年の労働施策総合推進法改正を受けて定められたものであり、事業主に対して雇用管理上の措置を講じることを求めています。実施されないと行政からの助言・指導・勧告の対象となり得るものです。「任意の取組」とは性質が異なり、対応が強く求められる、という点はしっかりと押さえておいてください。今回は措置の前半として、「方針の明確化と周知・啓発」および「相談体制の整備」についてお伝えします。

 

①まず「会社の方針」を明確にして従業員に伝えよう

最初にやるべきことは、カスハラに対する会社の姿勢を明確にし、それを全従業員に知らせることです。指針では具体的に次のような方法が示されています。

 

社内報・パンフレット・社内ホームページなどに「カスハラには毅然とした態度で対応し、従業員を守る」旨の方針を記載して配布・掲載すること、また、その方針を研修や講習の場で伝えることが求められます。さらに、方針は社内だけでなく、顧客等にも周知・啓発することが被害防止に効果的とされています。

 

「うちの会社はカスハラを許しません」というメッセージを、経営トップ自らが発信するトップメッセージとして発信することも有効です。管理職も含めたすべての従業員が、会社の方針をしっかりと理解していることが重要です。

 

あわせて、カスハラが実際に発生した場合の対処方法(誰に報告する、どう対応する、など)も事前に定めて周知しておく必要があります。対処の例としては、管理監督者等に直ちに報告・指示を仰ぐこと、できる限り従業員を一人で対応させないこと、やりとりを録音・録画すること(ただし相手方のプライバシーへの配慮が必要です)、繰り返しの要求が続く場合は退店や電話を切ることを求めること、暴行・脅迫など犯罪行為については警察に通報すること、などが指針に示されています。

 

②従業員が相談できる「窓口」を整備しよう

次に、従業員がカスハラ被害を相談できる窓口をあらかじめ設けておく必要があります。相談窓口は、パワハラやセクハラなど他のハラスメントの相談窓口と一体化して設置することも認められています。

 

窓口は必ずしも専用部署を新設する必要はなく、担当者をあらかじめ決めておく、外部機関に委託するといった方法でも構いません。

 

窓口担当者には、単に話を聞くだけでなく、被害者が萎縮して相談しづらい状況にも配慮しながら、柔軟かつ適切に対応できるようにしておく必要があります。カスハラが実際に起きているケースだけでなく、「起きそうだ」「カスハラかどうかわからないが不安」という段階の相談にも広く対応することが求められています。

 

担当者がきちんと対応できるよう、マニュアルの整備や研修の実施も重要です。

 

まとめ:「仕組み」を作ることが会社を守る

「うちの会社には今のところカスハラ被害はないから大丈夫」と思っていても、いつ発生するかは誰にも分かりません。被害が起きてから慌てて対応するのではなく、事前に「方針」と「相談窓口」という仕組みを整えておくことが、従業員と会社を守ることにつながります。

 

次回(第4回・最終回)は、カスハラが実際に起きたときの事後対応や抑止措置、そして指針全体のまとめをお伝えします。最後までお付き合いください!

 

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ダイヤグリーンこの記事は2026年5月7日時点の内容で作成しました。今後の状況により変更となる可能性がありますのでご了承下さい。

 

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