23-24プレミアリーグ通信簿 その3 | BBGのブログ

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【23-24プレミアリーグ通信簿 その3】

■10位 クリスタル・パレス 13勝10分15敗 勝ち点49
「指揮官の交代でチームが一変最強フロントスリーの大爆発で終盤は破竹の快進撃。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】90点
【MF】70点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】80点
【総合点】380点(6位)
【補強評価】D
【MVP】エゼ


76歳を迎えたホジソン監督が続投となって迎えた今シーズン。
序盤戦は敵地でユナイテッドを破るなど好調な滑り出しを切ったものの、その後は徐々に低迷。
9節からの5試合で4敗と大きく黒星が先行すると、その後も約2ヶ月勝利から見離れされてしまう。
安易な失点と低調な試合から脱することが出来なかったホジソン監督は、体調悪化の問題も相まって1月末に辞任を発表。
辞任が決まった段階では16位と、残留に黄色信号が灯っていると言っていい状況だった。

後任として招聘したのは、22-23シーズンまでフランクフルトで監督を務めていたグラスナー監督。
フランクフルトではチームをEL制覇に導くなど高い指導力を見せていた49歳の指揮官は、初めてとなるプレミアリーグの舞台でもすぐに力を発揮。
就任後5試合でわずか1敗とすぐに負けないチームを作り上げると、32節でリヴァプールを破ってからは怒涛の快進撃を披露。
リーグ戦ラスト7試合を6勝1分と驚異の好成績で乗り切り、チームを見事10位まで押し上げた。

グラスナー体制での最も大きな変化と収穫は、3バックの導入にあることは間違いない。
フランクフルトでも愛用した3-4-2-1の布陣はパレスのメンバーとの相性が良く、指揮官もクラインのCB起用など思い切った采配でチームを活性化。
コンパクトな隊形からの積極的なプレスというグラスナーサッカーがハマり、本拠地のセルハースト・パークには往年のパレスらしい活気あふれるフットボールが復活した。

中でも特に鮮烈な印象を残したのはマテタ・エゼ・オリースから形成される前線のトラインアングルであり、親和性の高い3選手が近い位置でプレーすることでそれぞれポテンシャルが爆発。
ラスト7試合でマテタは何と9得点、エゼは5得点、オリースも4得点を挙げるなど驚異的な得点力でチームを牽引してみせた。

それだけに彼らの去就には注目が集まっているが、今季の活躍を見るとやはり全員を残したい所。
グラスナー監督もフランクフルトとは補強方針を巡って「喧嘩別れ」となっている経歴があり、今季素晴らしい成績を残した指揮官のためにこのオフはしっかりとしたサポートが必要になるだろう。


■9位 ウェストハム 14勝10分14敗 勝ち点52
「ELにも出場したことを考えれば9位は十分立派な成績。4年半のモイーズ体制は円満に終了。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】80点
【DF】60点
【GK】70点
【指揮官】70点
【総合点】360点(9位)
【補強評価】B
【MVP】ボーウェン


ECLとの二足の草鞋に苦しみ14位まで成績が落ち込んだ昨季に比べると、今季は勝ち点も10以上伸ばし十分健闘したと言えるシーズンだっただろう。
2年連続の出場となったELでは残念ながら今期絶好調のレバークーゼンに惜敗してタイトルを逃したが、今のプレミアリーグにおいて9位という成績は数字以上に高い評価を与えて然るべきはずだ。

今シーズンは開幕前に補強した選手が軒並み主力選手として活躍し、5年目を迎えややマンネリ化も否めなかったモイーズ体制に新たな風を吹かせてくれた。
特にクドゥス、ウォード=プラウズの加入で前線の陣容は厚みを増し、サイドアタック中心だった攻撃の形は大きく変化。
自己最多の16得点を挙げたボーウェンはCFとして新境地を開拓し、各選手が代わる代わる様々なポジションをこなしながら多彩な攻撃を展開した。

その一方で、これまでの主力選手たちは途端に冷遇を受けることとなり、結果的に年間を通してほとんど同じ選手が「出ずっぱり」という状況は昨季と一切変化なし。
これがモイーズ流と言えばそれまでではあるが、後半に失速したあたりはやはり主力選手の息切れに拠る部分も強く、選手起用に関しては不満が残ったのも事実と言っていい。

そういった結果を受けてか、モイーズ監督は今シーズンをもっての退任が決定。
これ以上長く続けてもやや上がり目が見えなかった感は否めず、退任のタイミングとしては今がベストな選択と言えるのではないだろうか。
就任時は下位に低迷していたチームをECL制覇にまで導き、常に安定して上位から中位に食い込むチームに仕上げた点には最大限の賛辞を送りたい。

そのため、来季へ向けてはまずは一刻も早い監督の選定が求められることとなる。
今季はリーグワースト4位の74失点と守備の乱れが目立っただけに、守備組織の構築に優れた指導者の招聘がベストな選択肢となるだろう。


■8位 マンチェスター・ユナイテッド 18勝6分14敗 勝ち点60
「失望感の強い結果に終わるも、来季こそという期待感も抱かせてくれる締めくくり。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】70点
【DF】70点
【GK】80点
【指揮官】70点
【総合点】350点(11位)
【補強評価】D
【MVP】ガルナチョ


テン・ハフ体制2年目を迎えた今季は、昨季の3位から順位が8位にまで転落。
CLではグループステージでわずか1勝しか挙げられずに敗退と、失望の強い結果となったことは間違いないだろう。

こうした結果の要因としては新加入選手のフィットの遅れと、怪我人の多さがまずは挙げられる。
アヤックス時代の教え子である新守護神のオナナはプレミアリーグへの適応に苦労し、序盤は失点につながるミスが散見。
「新9番」として期待されたホイルンドは怪我での出遅れが響き、プレミアデビューから初ゴールまで実に15試合を要する結果となった。

指揮官を最も悩ませたのはCBの怪我人問題であり、昨季のMVPとも言われたリサンドロ・マルティネスが年間を通してほぼ戦線離脱となったのはあまりにも大誤算。
ヴァランは今年も相変わらず負傷離脱を繰り返し、36歳を迎えたエバンスや本来はボランチであるカゼミーロを主力選手として計算せざるを得ないなど、起用法が定まらない上に最後まで「CBのスピード不足」が大きな足枷としてのしかかるシーズンとなった。

それでも、19節からホイルンドは6試合連続でゴールを挙げ、長らく批判の的となったオナナも後半戦はMVPに近い活躍でチームを牽引。
鮮烈なブレイクを遂げたガルナチョや、わずか19歳にしてチームに欠かせぬ存在となったメイヌーの台頭など、収穫も決して少なくないシーズンだったのもまた事実。
その両者が得点を奪い、シーズン最終戦となるFA杯決勝では宿敵シティを破って8年ぶりの優勝を飾り2シーズン連続でのタイトル獲得にも成功した。
シーズン終了後のアンケートでは大多数のファンがテン・ハフ体制継続を支持するなど、「来季こそ」という期待感がチームには漂っている。

残念だったのは、若手選手の台頭に反してこれまでの主力選手たちのモチベーション低下が目立ったことだろうか。
ラッシュフォードやカゼミーロは怠慢とも言えるプレーを繰り返し、10得点を挙げたB・フェルナンデスも試合ごとのパフォーマンスのムラが例年以上に顕著だった。
引き続きテン・ハフ体制を継続するのであれば、こうした選手たちの待遇に関してクラブと指揮官は考え直す必要があるだろう。


■7位 ニューカッスル 18勝6分14敗 勝ち点60
「結果だけを見れば不満も残るが、若手選手たちが次々と台頭する姿には充実感も。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】80点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】80点
【総合点】380点(6位)
【補強評価】D
【MVP】ギマランイス


4位フィニッシュという大躍進を果たした昨季に比べると、物足りない結果となった感は否めない。
「4位以上」を求めるのは酷な要求だったが、せめてEL出場圏くらいは確保したかったというのがファンの正直な感想となるだろう。

とはいえ、今季を振り返るとクラブにとっていくつかの「誤算」があったのも事実。
補強の最大の目玉と言われたトナーリが賭博規定違反により早々とチームを離脱してしまったことは最大の誤算であり、中盤の選手層の薄さはチームにとって最後まで大きな泣き所となった。
また、20年ぶりの出場となったCLでは「死の組」に振り分けられてしまい、わずか1勝でGL敗退。
結果もさることながら、毎節強度の高い試合を求められたことで選手たちの披露も蓄積し、最も過密日程を強いられた12月から1月にかけてチームは大きな不振にあえぐ形となってしまった。

それでも、過密日程から解放された後半戦は徐々に本来のパフォーマンスを取り戻すことに成功。
21得点を挙げたイサクに加え、加入2年目を迎えたゴードンは11得点10アシストと大ブレイク。
リーグ4位の数字となる85得点は、決して「金で買った」結果ではなく若手選手たちの成長によってもたらされたものであることは間違いない。
シーズン終盤には10代のマイリやホールといったタレントも台頭し、選手の育成も怠ることなく一定の結果を両立させたハウの手腕には改めて賛辞を送りたい。

とはいえ、上位定着を狙うにはこれまでのやり方では無理があることも判明したシーズンだった。
特に、少数精鋭の陣容を崩さないチーム編成では欧州カップ戦との二足の草鞋は極めて困難。
来季はCL・ELの出場こそないものの、もう少し選手層の厚みを高めない限りは目指す「ビッグクラブ」には近づけないだろう。

チェルシーやユナイテッドのように湯水のごとく投資して不振に苦しみクラブに比べれば非常に健全な運営スタイルには好感が持てるものの、「後ろ盾」がないわけではないので今オフはもう少し積極的な補強を求めたいところだ。


■6位 チェルシー 18勝9分11敗 勝ち点63
「今季も天文学的な補強費用に見合わぬ結果。選手を率いる優秀な指揮官の存在が待たれる。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】80点
【DF】80点
【GK】70点
【指揮官】70点
【総合点】370点(8位)
【補強評価】D
【MVP】パーマー


昨シーズンに続いて1000億円近い天文学的な投資でチームを補強するも、費用対効果は極めて悪い一年となってしまった。
12位に終わった昨季に比べれば大幅に順位こそ上がったものの、クラブが目指しているのはこんな成績でないことは明白。
リーグ優勝を狙うまでは無理だとしても、CL出場圏すら届かなかったのはシンプルに大誤算だ。

シーズン前の懸念要素にも挙げられた「CF不足」がこうした誤算の最大の要因と言えるだろう。
22得点を挙げたパーマー、14得点を挙げたジャクソンと数字だけを見ると贅沢な悩みとも言えるが、前者は2列目での起用が主であり、後者はCFとしての総合力には大きく欠けていた。
本来新エースとして期待されていたエンクンクは一年間のほとんどを怪我で棒に振り、最後まで最前線に柱となる選手が欠けていた影響は小さくない。

また、チームを率いたポチェッティーノの采配も最後までピリッとしないままだった。
4-2-3-1の新布陣を見出した後半戦は快進撃を見せ、3月からわずか1敗という成績でのフィニッシュに成功したものの、今季のチェルシーに戦術面で見るべき点があったとは言い難い。
PKキッカーを巡って試合中に内紛が起きるなどチーム全体を掌握できている雰囲気も乏しく、わずか一年での解任というフロントの判断にも頷ける部分は多い。

結果的にはまたしても監督の早期解任という結果になってしまったが、若い選手が多い今のチェルシーに必要なのは「一流選手たちを束ねあげるモチベーター」よりも「チームの基礎となる部分を作る戦術家」になるだろう。
果たして今オフも過去2年と同じような大量補強があるのかはわからないが、まずはチームが目指すフットボールの形を何とかして作り上げたい。
選手個々の能力に関しては獲得に費やした移籍金が証明しているだけに、あとは彼らを正しい方向へと導く優秀な「艦長」の存在を待つばかりだ。