BBGのブログ

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2026年北中米ワールドカップ 決勝
スペイン vs アルゼンチン


●Preview

史上最多となる48カ国にて行われた2026年北中米ワールドカップ。
開幕戦がもはや遠い昔の出来事に思われるくらいだが、いよいよ「104試合目」となる決勝戦が幕を開けることになる。

前回大会王者のFIFAランキング1位、アルゼンチンか。
それとも2024年のEURO王者、FIFAランキング2位のスペインか。

一切の不足なし。
これ以上ない夢のカードにより、世界王者がついに決まることとなる。

●STARTING LINE-UP


(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)

スペインは準々決勝、準決勝、そして決勝と一切のメンバー変更なし。
準決勝では途中交代となったポロの状態が懸念されたが、どうやら疲労の蓄積程度で負傷ではなかったとのことでひと安心だ。

一方のアルゼンチンは、準決勝から3名の選手を交代。
準決勝では突然のシメオネの抜擢がチームに良い効果をもたらしたが、今度はニコ・ゴンサレスが今大会初スタメンに抜擢された。

●Review



試合は大方の予想通り、立ち上がりからスペインが主導権を握る内容に。
フランス戦と同様に高めのライン設定を敷くことでコンパクトな陣形を保ち、各選手が積極的なプレスを展開。
出しどころを失ったアルゼンチンから易々とボールを回収すると、パスを回しながら自分たちのリズムで試合を進めていく。

対するアルゼンチンも序盤は前から積極的にボールを奪いにいく姿勢を見せたが、スペインが相手ではやはり守備が免除されているメッシの存在が足枷になってしまう感は否めない。
常に1枚足りない相手のプレスをスペインの選手たちは大きな苦とせず、ボールを持った際の優位性はスペインの方に圧倒的な分があるのは誰の目にも明らかだった。

また、アルゼンチンにとって大きな痛手となってしまったのはリサンドロ・マルティネスの負傷退場。
前に出て相手を潰せるCBとしてこの試合でも絶大な存在感を放っていたリサンドロ・マルティネスは代えの効かない選手であり、彼に代わって機動力に欠けるオタメンディが投入される「最初の選手交代」はチーム全体にとっても大きな影響を与えることとなってしまった。

後半に入り、スカローニ監督はニコ・ゴンザレスを早々に諦めパレデスを投入。
リサンドロ・マルティネスに代わってパレデスに中盤での潰し役を与え、素早く守備の修正に打って出る。

しかしその一方でサイドで幅を取れる選手がいなくなったことで、後半はポロやククレジャのオーバーラップによるスペインのサイドアタックに苦戦。
デ・ラ・フエンテ監督もこの日は早めのN・ウィリアムズ投入などで積極的にサイドからの圧力を強め、結局アルゼンチンは前半以上に防戦一方の展開を強いられてしまう。
気づけば80分ごろまでシュート0本と、前回王者が何もできないまま試合終盤を迎えることになってしまった。

それでもアルゼンチンとしては今大会で度々ミラクルを起こしてきたこの80分以降の時間帯まで0-0で持ち込んだことで、むしろ「何かが起こるような予感」があったのも事実。
シュート0本という数字すら、むしろアルゼンチンの勝利へのフラグのようにすら思えてしまうそんな期待感がスタジアムには漂いつつあった。

…だったのだが、その期待感をE・フェルナンデスが台無しにしてしまう。

82分に手を使った不必要なファウルで警告をもらうと、90+3分にはクバルシに対して危険なタックルを見舞って2枚目の警告。
この場面も全くタックルの必要ない場面であり、誰も擁護のしようのないラフプレーで10人での戦いを強いられることになってしまう。

こうなるとさすがのアルゼンチンもミラクルを起こすというわけにはいかず、あとは何とか120分を耐え凌ぐだけという試合になってしまった。
それでも延長に入ってからの苦しい時間帯をE・マルティネスの度々のビッグセーブで乗り切った際には前回大会の決勝の再現も頭によぎったが…自分たちの愚行により10人での戦いを招いた中、さすがにそう全てが上手くアルゼンチンに傾くほどワールドカップという舞台は甘い舞台ではなかった。

延長後半開始早々の106分、スペインはペナルティエリア角からのポロのクロスを大外でN・ウィリアムズが折り返し、ここにF・トーレスが詰めてネットを揺らす。
再三再四のサイドアタックから、最後は今大会で何度も見られた「ペナ角クロス」でアルゼンチンの守備を攻略。
これが決勝点となって、16年ぶり2度目のワールドカップ制覇を成し遂げることとなった。

敗れたアルゼンチンは試合後にもパレデスが相手選手に暴行をふるって退場処分を受けるなど、圧倒的劣勢を強いられた中で選手たちがセルフコントロールを欠いてしまい、この「精神的未熟さ」が大きな敗因となった感は否めない。

一方のスペインは度々に渡るアルゼンチン側の挑発を意に介さず、ゴールが奪えない中でも最後まで淡々と自分たちのすべきことを全うし続けた120分間だった。
メッシ、エムバペ、ハーランドといった強烈なタレントたちの活躍が目立った今大会において、決勝戦はこの「精神力の差」によって明暗が分かれる結末となった。

●Result

Final
SPAIN 1-0 ARGENTINA

得点 106 F・トーレス(ESP)
MOM ポロ(ESP)
2026年北中米ワールドカップ 3位決定戦
フランス vs イングランド


●Preview

大会初戦から毎試合快勝を続け、「優勝候補の最右翼」と目されながら、準決勝でスペインに完敗を喫してしまったフランス。
60年ぶりの優勝へ向けてアルゼンチン相手にリードを得ながら、終盤の2失点で痛恨の逆転負けを喫してしまったイングランド。

両チームいまだに準決勝の傷が癒えない中で迎える3位決定戦。
モチベーションの保ち方は極めて難しいだろうが、少しでも好ゲームとなることを期待したい。

●STARTING LINE-UP


(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)

準決勝からは両チームともに大幅なターンオーバーで臨むこととなった。
フランスは得点王獲得のかかるエムバペと、彼のサポート役としてオリーセとラビオを残した以外はほぼ全員が総入れ替え。

イングランドも大半の選手が入れ替えとなった中で、ライスがこの試合もスタメン出場となったことは驚きだった。
細かい怪我や体調不良などのアクシデントに見舞われながら満身創痍の中でプレー続けてきたライスが、主将の腕章を巻いて今大会7試合目のピッチに立つ。

●Review



試合はイングランドが早々のゴラッソで先制に成功する。
3分、ドゥエの緩いパスをカットしたライスがそのままドリブルで持ち上がり、最後はペナルティエリアの手前から力みなく右足を振り抜いて鮮やかに先制点を奪った。

この場面でもライスに寄せることができなかったフランスだが、この日は各選手のモチベーションの低さが明らかだったと言わざるを得ない。
ラインを上げているにも関わらず前線の選手たちはプレスに行こうという姿勢が一切見られず、中盤の選手たちも守備意識が低いためバイタルエリアのケアが緩慢。
イングランドはボールを持てば自由に攻撃を打ち込める状態で、先制点を決めて以降もフランスの緩慢な守備を前にチャンスを量産し続けた。

この流れのまま18分にはライスのコーナーキックにコンサが合わせて追加点を奪うと、30分以降は今大会苦しみ抜いたサカがその鬱憤を晴らすかのようにゴールラッシュ。
37分にはゴール前の混戦からこぼれ球に詰めて3点目を奪うと、45+1分には同僚のエゼからのスルーパスに抜け出して追加点。
結局前半はイングランドが4-0と、今大会で最多となる得点差をつけての折り返しとなった。

この試合をもって退任の決まっているデシャン監督は後半の頭から怒りの4枚替えで選手たちに喝を入れると、その喝に早速交代組の選手が応えてみせる。
後半開始早々の48分、ウパメカノがワトキンスに対してガツンと当たってボールを奪うと、DFラインの背後を取る絶妙なラストパス。
ここまでに無かった「球際の強さ」をきっかけに、最後はラストパスを受けたエムバペがしっかりとシュートを沈めて1点を返した。

するとこの1点に怖気付いてしまったのか、ここからはイングランドの守備が極めて後ろ向きな状態になってしまう。
攻撃の圧を強めるフランスのアタッカーに対してズルズルとDFラインを下げる守備を繰り返してしまい、後半は一転してフランスがやりたい放題の内容に。
54分にはまたもDFラインの裏を取ったバルコラが2点目を決めると、67分にはオリーセとの細かいパス交換からエムバペが今大会10得点目を決めてみせた。

こうなるとフランスの大逆転劇もあるかと思われたが、ここで試合の流れを変えたのは途中出場でピッチに入ったイングランドのベリンガム。
持ち前の推進力、そして何より今大会全ての試合で示し続けてきた「勝利への執念」を発揮し、防戦一方だったチームは彼の存在により息を吹き返すこととなった。

こうしたベリンガムのプレーに呼応したのは、この試合で「ただひとり」と言ってもいいほど全力プレーを見せていた左SBのスペンス。
85分という時間帯に左サイドを駆け上がってPKを獲得すると、このPKをサカが決めてイングランドがフランスを突き放す。
それでも1点を返してなんとか追いすがるフランスだったが、最後の最後に試合を決めたのはやっぱりベリンガムだった。
90+8分、センターサークル付近でボールを拾うとひとりでペナルティエリア内に侵入し、最後はウパメカノの股を鮮やかに抜いて自身今大会7得点目を決めてみせた。

終わってみれば6-4というワールドカップ史上類のないゴールラッシュとなったが、互いにモチベーションの低さがはっきりとプレーに表れてしまい、レベルの高い試合が続いていた中で「興醒め」のような試合になってしまった感は否めない。
終盤は足を攣る選手が多発するなど、たとえ出場機会の多くない選手でも1ヶ月を超える長丁場の大会がいかに選手たちを疲弊させるかということが顕著に見て取れる試合でもあった。

試合前から必要性に関して議論が続いていた「3位決定戦」について、やはり必要がないことが明らかになったようにも思われる試合だったが、おそらくゴールラッシュに気をよくしているインファンティーノ会長の耳にはこうした意見は一切届いていないことだろう。

●Result

Round8
FRANCE 4-6 ENGLAND

得点 3 ライス(ENG) 18 コンサ(ENG) 37 サカ(ENG) 45+1 サカ(ENG) 48 エムバペ(FRA) 54 バルコラ(FRA) 67 エムバペ(FRA) 87 サカ(FRA) 90+6 デンベレ(FRA) 90+8 ベリンガム(ENG) 
MOM サカ(ENG)
2026年北中米ワールドカップ 準決勝
イングランド vs アルゼンチン


●Preview

フランスがスペインに完敗という予想だにしない結果に終わった準決勝第1戦。
スペインが待つ決勝に駒を進めるのはイングランドか、アルゼンチンか。

86年のマラドーナの「神の手ゴール」に始まり、02年の日韓大会での「ベッカムの退場」など、ワールドカップにおいて数々の因縁があるこのカード。
両者の因縁の歴史に、今夜また新たな1ページが刻まれることになる。

●STARTING LINE-UP


(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)

イングランドはここまで「悩みの種」となっている右サイドハーフに、準々決勝では決勝点の呼び水となるミドルシュートを放ったロジャーズを起用。
サイドハーフは決して本職とは言えない選手だが、優勝へ向けて彼の起用で「最終決着」となることを願いたい。

アルゼンチンは、今大会ここまで19分しか出場機会のなかったジュリアーノ・シメオネがここに来て初スタメン。
先述した日韓大会のベッカム退場は、父であるディエゴ・シメオネの数々に渡る挑発がきっかけとなったが、息子はまたしても因縁の担い手となるのだろうか。

●Review



準決勝に辿り着くまでそれぞれ「激闘」を繰り広げてきた両チーム。
さすがに各選手の疲労が懸念されたが、空調の効いたアトランタでの開催ということもあって序盤からエネルギッシュな試合を披露。
特にイングランドは立ち上がり非常に積極的にプレスに出ていく様子が伺えた。

時間が経つにつれて徐々に試合は落ち着いたが、さすが因縁のカードと言うべきか激しい中盤での潰し合いが続く。
それ故に両者ゴール前までボールを運ぶ機会が少なく、互いにシュート0本にてハイドレーションブレイクを迎えることとなった。

ブレイク明けにフリーキックからストーンズのヘッド、そしてリース・ジェームズが直接フリーキックを狙うなどふたつのチャンスを作ったイングランド。
この日は長らく悩まされていた体調不良から「完全に回復した」と語ったライスが、本人の言葉通り出色のパフォーマンスを披露。
中盤のボールの拠り所として機能することで、前半はイングランドが優勢に進めながらの折り返しとなった。

後半開始早々にゴールキックからの簡単な形でこの日最初の決定機を作ったアルゼンチン。
アルバレスとシメオネを使ったサイドからの攻撃がこの日は機能し、その後の時間帯はイングランドを押し込んでいく。

しかし、ペースを握っている時間帯にこそ大きな落とし穴があるのがフットボールのあるあると言うべきか。
55分、自陣まで下がっていたケインからのパスを受けたライスが右サイドにはたくと、ロジャーズのクロスに対してファーでゴードンが見事にモリーナの裏を取る。
この試合で何度も見せていたケインの下りる動き、そして「右サイドハーフ論争」をまさに決着づけるロジャーズの見事なクロスがハマり、イングランドが待望の先制点を奪ってみせた。

これで追いかける展開となったアルゼンチンは、ハイドレーションブレイク明けにデ・パウルとモンティエルを投入して右サイドをガラリと入れ替え。
ブレイク直後にデ・パウルからのクロスにマク・アリステルが飛び込む形で連続して決定機を作るなど、確実にゴールの匂いが漂うようになってくる。

一方のイングランドは同じタイミングでCBのコンサを投入し、早々と5バックでの逃げ切りを選択。
その後も次々とゴールに襲いかかるアルゼンチンの攻撃をなんとか凌ぎ続けると、82分にはライスに代えてバーンを投入し、試合を完全に締めくくろうという姿勢を見せた。

しかし、結果的にはこの「撤退」がイングランドにとっては仇となってしまった感は否めない。
85分、アルゼンチンのショートコーナーに対してイングランドの選手たちは全員がペナルティエリア内に下がってしまい、メッシからのパスを受けたE・フェルナンデスに対する反応が大きく遅れてしまった。
慌てて出て行ったベリンガムも時すでに遅く、E・フェルナンデスが強烈なミドルシュートを突き刺して同点に追いついてみせる。

その後も自陣から出られないイングランドの選手たちに対してアルゼンチンは自由に攻撃を打ち込み続け、90+2分にはマク・アリステルのミドルシュートがポストを叩く。
そしてこの跳ね返りを拾ったメッシが右サイドからクロスを上げると、中でフリーになっていたLa・マルティネスが頭で合わせてまたしても劇的な形で試合を決着させることとなった。

これだけ劇的な形での勝利が続くとさすがに「何かに導かれてる」ような印象すら受けるアルゼンチンだが、この試合に関しては納得の勝利と言えるだろう。
これまでのように中央からの崩しにこだわるだけではなく、サイドを使った攻撃や精度の高いミドルシュートなど、幅の広い攻撃で見事にイングランドを攻略しきってみせた。
シメオネを「隠し球」のような形で先発起用し、チームとして新しいスタイルを見せてくれたスカローニ監督の采配も素晴らしかったと言っていい。

一方で、アルゼンチンの多彩な攻撃を引き出したのはイングランドの「あまりにも早すぎる撤退」が要因だったのもまた事実。
メキシコ戦、そしてノルウェー戦とトゥヘル監督の割り切った姿勢がイングランドを準決勝まで導いたのも事実だが、アルゼンチンを相手にしても同じ作戦が通じると考えた判断は残念ながら浅はかと言わざるを得ない。

●Result

Semi-Final
ENGLAND 1-2 ARGENTINA

得点 55 ゴードン(ENG) 85 E・フェルナンデス(ARG) 90+2 La・マルティネス(ARG) 
MOM La・マルティネス(ARG)
2026年北中米ワールドカップ 準決勝
フランス vs スペイン


●Preview

フランス、スペイン、アルゼンチン、イングランド。
FIFAランク上位4チームがそのままベスト4に残るという、過去に例のない展開となった今大会の準決勝。

その中でもここまでは圧倒的な強さを見せつけ、優勝候補の最右翼と目されているフランス代表。
エムバペ、オリーセ、デンベレを擁し3試合で16得点を挙げている「最強の鉾」が、ここまで6試合でわずか1失点という「最強の盾」を持つスペインと激突する。

●STARTING LINE-UP


(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)

準々決勝から一切のメンバー変更がなかったスペインに対し、フランスは準々決勝から2名のメンバー変更。
大会に入ってから負傷を繰り返していたチュアメニが3試合ぶりにスタメン出場となった。
彼が不在だった2試合で代役を務めていたコネは十分なパフォーマンスを見せていただけにこの選択には不安も残るが、デシャン監督の厚い信頼にチュアメニはプレーで応えたい。

●Review



共にボールを握れる両チームの対戦だけあって主導権争いが注目された前半だったが、立ち上がりの趨勢はまさに五分と五分。
お互いに様子を見ながらジリジリと、非常に緊張感のあるゲームが展開された。

その中で目立ったのはスペインの非保持の際の積極性。
フランスがボールを持った際には最前線のオヤルサバルから全員が積極的にプレスに動き、フランスに対して簡単にボールを運ばせまいという姿勢が強く見て取れた。

するとこの積極性が活きたのが20分。
左サイドからのクロスを処理しようとしたディーニュに対してヤマルが猛然とプレスをかけに行くと、背後から来たヤマルの存在に気づかなかったディーニュのキックがヤマルに直撃。
PKを獲得したスペインは、これを名手オヤルサバルがしっかりと決めて先制に成功する。

先制してからのスペインは、ボールを回しながら持ち前のポゼッションサッカーを披露。
奪われないのも凄いことだが、細かいショートパスの連続でそのまま崩し切ってしまうのがさらに凄いところ。
38分にはメニャンのゴールキックが乱れたことをきっかけに、ヤマル、オルモ、F・ルイスの3名が中央を見事に崩したが、F・ルイスのシュートは枠を捉え切ることができなかった。

守備でも堅さを見せるスペインは、フランスが時折見せる鋭いカウンターにもしっかりと対応。
難しい局面でも難なく処理できるのはスペインの守備陣だからこそなせる技であり、並のチームならば2,3点くらいは喫していてもおかしくはなかっただろう。

一方で前半の途中にサリバが負傷交代となるなど全てが噛み合わないフランスは、後半に入ってからコネを投入。
少しでもボール奪取を増やそうという意図が伺えたが、後半に入ってからもスペインの華麗なパスワークの前にほとんどボールは奪えない。
それどころか57分にドゥエを投入すると、交代に際してやや左サイドの守備がふわっとしたところをスペインに突かれてしまう。
58分、ポロの入れた縦パスに対してオルモがウパメカノを背負いながらもワンタッチで落とすと、リターンを受けたポロがそのままペナルティエリア内に侵入してフィニッシュ。
スペインらしい鮮やかなコンビネーションで貴重な貴重な追加点を奪ってみせた。

こうなると何としても前に出たいフランスだったが、スペインのポゼッションに対してこの日はボールの奪いどころを最後まで見出すことができなかった。
マイボールにしてからもコンパクトな陣形を保つスペインを相手に有効な攻め手を繰り出せず、オリーセを下げてまで投入したシェルキやT・エルナンデスも何もできず。
早めのロングボールなどがあってもいいようには思えたが…多彩な攻撃パターンを持つフランスもこのロングボールだけは自分たちの戦術として持ち合わせていなかった。

一方のスペインは、最後の交代カードとしてペドリを投入するなど、最後の最後までこのリードを「ポゼッションで守り切る」という圧巻の内容を披露。
「リードを得ればこちらものもの」というスタンスで、これぞまさしくティキ・タカという完璧な試合運びで決勝へ駒を進めることになった。

決勝点を決めたポロを筆頭にどの選手の活躍も素晴らしかったが、個人的には守護神のウナイ・シモンの存在を誰よりも讃えたい。
エムバペやデンベレの裏抜けを常にケアし、広大な守備範囲をひとりでカバーし続ける彼の存在がなければこのティキ・タカも決して成立することはなかっただろう。

●Result

Semi-Final
FRANCE 0-2 SPAIN

得点 22 オヤルサバル(ESP)  58 ポロ(ESP)
MOM シモン(ESP)
2026年北中米ワールドカップ 準々決勝
アルゼンチン vs スイス


●Preview

カーボベルデとは延長戦の末に3-2で勝利、そしてエジプトには2点のビハインドからの逆転勝ちと、決勝トーナメントに入ってから「激闘」の続くアルゼンチン。
全ての試合でゴールを決めてチームをここまで導いてきたメッシは、この試合でもゴールを決めて前人未到の「ワールドカップ10試合連続ゴール」の記録を打ち立てることはできるだろうか。

対するスイスは、決勝トーナメントに入ってからの2試合をいずれも無失点と手堅い守備を武器にベスト8まで勝ち上がってきた。
ベスト8進出はこれが1954年以来52年ぶり、通算3回目となる大偉業。
今のスイスならば史上初のベスト4進出も十分に成し遂げられる可能性はあるだろう。

●STARTING LINE-UP


(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)

中3日での試合が続くアルゼンチンだが、エジプト戦からメンバーの変更は一切なし。
ターンオーバーしたヨルダン戦を除くと、メッシだけではなくE・フェルナンデスやマク・アリステルもほぼ全ての試合にフル出場という状況が続いている。

スイスは、コロンビア戦を欠場したマンザンビがこの試合にも間に合わず。
こちらはエルベディ、アカンジ、ジャカ、フロイラーと、スタメンの半数近くの選手が全ての試合にほぼフル出場という状況だ。

●Review



会場を埋め尽くしたアルゼンチンのファンの熱量とは対照的に、立ち上がりに試合のペースを握ったのはスイス。
前線から積極的にプレスに出つつ、ボールを持つとエンドイェやソウが果敢に仕掛けて早い時間帯から得点を奪おうという意思を示してくれた。

しかし、その意思に反して試合を先に動かしたのはアルゼンチン。
10分、右から左からと連続してコーナーキックが続くと、メッシのキックに中でマク・アリステルが頭で合わせて先制点を奪う。
アルゼンチンにしては珍しいコーナーキックからのゴールとなったが、「今大会で最も平均身長が低いチーム」であったことを考えると、スイスとしてはやや勿体無い失点とも言っていいだろう。

こうなると追加点の献上は絶対に避けたいスイスだったが、その後も前からボールを奪いに行くスタンスを継続。
32分にはカウンターからエンボロがゴール前に抜け出してチャンスを作るなど引き続き試合を優勢に進めたが、その一方でアルゼンチンもこうしたプレスをしっかりといなしてボールを渡さない。
結局前半は互いにシュート2本ずつと、スイスは積極的なプレッシングに対してやや「費用対効果」の悪い45分となってしまった。

それでも後半も前からのプレスを継続するスイスに対して、アルゼンチンも2点目を奪いに前へと出る場面が増えてきた。
これに起因する形でスイスにもカウンターからのチャンスが増え、50分には後方からのスルーパスに抜け出したエンボロに決定機。
静かだった前半から一転して、ピッチの上には何かが起こりそうな気配が漂うようになってくる。

そして67分、その「流れ」をモノにしたのはスイスだった。
左サイドで大外に張り出したエンドイェが、ロドリゲスとのワンツーからカットインすると冷静なフィニッシュで同点弾。
シンプルなワンツーだったが、前半から再三仕掛けていたエンドイェの積極性が実る形で試合を振り出しに戻してみせた。

アルゼンチンを相手にも自分たちのリズムで試合を進めながらしっかりとゴールを奪ったスイスだったが、この直後にまさかの落とし穴が待ち受けることとなる。
得点から2分後の69分、この試合すでに1枚の警告を受けているエンボロがパレデスとの接触を装う痛恨のシミュレーションにより、2枚目の警告を受けて退場。
当初はパレデスに警告が出された中、今大会から導入された「人違いへのVARの介入」により判定が覆ることになったが、このシミュレーションに関しては擁護の余地がないあまりにも軽率なプレーと言わざるを得なかった。

ゴールを奪うには最も必要不可欠だった選手がピッチを去ってしまったスイスは、この退場を受けて布陣を5-3-1へ変更。
チームの重心を下げざるを得ず、ここまでの積極的なプレッシングから一転して、以降はとにかくアルゼンチンの攻撃を耐え凌ぐという選択を取らざるを得なくなってしまう。

しかし、この日のスイスにとってはここからがある意味「真骨頂」の時間帯とも言ってよかっただろう。
ひとり少ない中でも組織的な守備でアルゼンチンを封じ込め、メッシに対してはジャカが徹底したマークで終始自由を与えない。
結局数的優位を得てからのアルゼンチンは30分で3本しかシュートを打てず、試合は90分で決着がつかずに互いに2試合連続となる延長戦へもつれ込むこととなった。

このようにコーナーキックからの失点以外は概ねリズムよく守っていたこの日のスイスだが、延長戦に入るとさすがに疲労からか守備のリズムが崩れるようになってくる。
加えてスイスにとって厄介だったのは延長戦から投入されたアルマダの存在で、3列目からも積極的に持ち上がってくるアルマダの攻撃参加を中々捕まえることができない。
延長戦に入ってからはいよいよサンドバッグ状態となってしまい、全員がペナルティエリア内から出られなくなってしまうと…さすがにアルゼンチンがその隙を見逃してくれるというわけはなかった。

112分、ペナルティエリア角でボールを受けたアルバレスに対してスイスの選手は寄せに行けずに余裕を与えてしまうと、アルバレスの狙い済ました強烈なシュートが決まってアルゼンチンはついに勝ち越し。
さらに115+1分、前に出るしかないスイスからボールを奪ったアルゼンチンは、アルマダがひとりでゴール前まで持ち上がってシュート。
このシュートはコベルが何とか弾いたものの、こぼれ球にLa・マルティネスが詰めて試合を決定づける3点目を決めてみせた。

このように最後はアルゼンチンが「力で押し切った」というような形での決着となったが、スイスからすると返す返すもエンボロの退場が残念過ぎたことは間違いない。
11人対11人で試合が続いていたらもっと面白い試合が観られていたはずなだけに、一サッカーファンとしても非常に残念な退場劇であった。

●Result

Round8
ARGENTINA 3-1 SWITZERLAND

得点 10 マク・アリステル(ARG) 67 エンドイェ(SWI) 112 アルバレス(ARG) 115+1 La・マルティネス(ARG) 
MOM マク・アリステル(ARG)