スペイン vs ドイツ
●Preview
準々決勝の幕開けは、今大会の「事実上の決勝戦」と言っていいだろう。
強豪国の中でも、ここまで飛び抜けて質の高い試合を見せてきたドイツとスペイン。
どちらかがベスト8で去ることになるのはあまりにも惜しいが、これもまた国際大会の魅力であることは間違いない。
4試合で10得点2失点のドイツ、4試合で9得点1失点のスペイン。極上の一戦がいざ幕を開ける。
●STARTING LINE-UP
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240714/13/2010-worldcup/a9/9c/p/o0581035915462952940.png?caw=800)
(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)
ラウンド16ではジョージアを4-1の快勝で下し、負荷の少ない勝ち上がりとなったスペイン。
スタメン11人には一切の変化なく、今大会のベストメンバーで「敵地」での一戦に臨む。
対するドイツは、こちらもラウンド16の流れを汲んだ11人を選択。
ヴィルツではなくて両翼にはサネが入り、中盤ではエムレ・ジャンが今大会初先発となった。
●Review
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240714/13/2010-worldcup/4b/07/j/o0600040015462952942.jpg?caw=800)
両チーム試合の入り方に注目が集まったが、互いにハイテンションな序盤戦となった。
特に、母国の大歓声を受けたドイツはキックオフ直後からかなり選手たちが昂っている様子。
激しいチャージの末にスペインは8分でペドリが負傷退場してしまうなど、試合の先行きにはやや暗雲が立ち込める。
しかし、ハイテンションな試合を得意とするのはドイツよりもスペイン。
ヤマルとN・ウィリアムズという今大会絶好調の両翼は縦に速い攻撃を何より得意としており、序盤戦は彼らを生かした攻撃でドイツを自陣へと押し込んだ。
試合も徐々に落ち着き始めた20分以降は、それぞれ丁寧なボールを保持から局面打開を図ろうという様相に。
両国共にゴールは生まれなかったものの、相手をより苦しめていたのはやはりスペインか。
ゴールキックを徹底的にクロースのポジションに蹴るなど、ドイツの司令塔を不得意な守備に忙殺させることで中盤の主導権を握りにかかる。
たまらずドイツは後半開始からジャンに代えてアンドリッヒを、サネに代えてヴィルツを投入。
しかし、根本的な問題の解決は図れないままスペインに押し込まれる時間が続くこととなる。
さらなる交代で何とか打開を図りたいナーゲルスマンだったが、51分にスペインが先制点。
右サイドを崩したヤマルの突破も見事だったが、中盤で空いたスペースにオルモが飛び込んだゴールはまさにスペインが狙い続けた形そのものだった。
失点直後にドイツはスーパーサブのフュルクルクを投入し、ここからはパワープレーを徹底。
ポゼッションに偏りがちなチームにおいて特異な存在である彼は今大会のドイツの大きな強みであり、この日もこのなりふり構わぬ戦法が結果に結びつくこととなった。
試合終了間際の89分、左サイドでミッテルシュタットがあげたアバウトなクロスをキミッヒが頭で折り返し、最後はヴィルツが合わせてドイツが同点に追いつくことに成功する。
押し込まれる展開が続き、ヤマルとN・ウィリアムズを既に下げていたスペインには痛恨の失点。
延長戦もドイツに押し込まれ続けたが、この時間を凌ぎきった守備陣には称賛を送るべきだろう。
すると119分、タレント不在となった前線でひとり違いを生み出していたオルモが起点となり、彼のクロスにミケル・メリーノが合わせてまさかの劇的決勝弾を決めてみせた。
最低でもPK戦という様相だったドイツにとっては非常に悔やまれる失点だったが、内容を考えるとスペインがベスト4進出にも納得か。
開催国を相手に「耐える展開」もしっかりとモノにし、さらに盤石な状態で準決勝へと進出した。
●Result
Round8
SPAIN 2-1 GERMANY
得点 51 オルモ(SPA) 89 ヴィルツ(GER) 119 メリーノ(SPA)
MOM オルモ(SPA)