23-24プレミアリーグ通信簿 その2 | BBGのブログ

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【23-24プレミアリーグ通信簿 その2】

■15位 エバートン 13勝9分16敗 勝ち点40
「勝ち点剥奪という処分にも屈さず、現実的なサッカーを貫いて残留を勝ち取った。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】70点
【総合点】320点(15位)
【補強評価】D
【MVP】ブレイスウェイト


FFP違反により11月に勝ち点10の剥奪が決定すると、その後も一度は6点の軽減に変更、最終的には8に再変更ととにかくFAに振り回されるシーズンとなってしまった。
これだけピッチ外の状況が騒がしいと選手たちもモチベーションを保つのには相当苦労したと思われるが、その中で最終的にリーグ11位相当の結果を残した点は高く評価していいだろう。

昨季に続き指揮を執ったダイチ監督のもと、ピッチ上では今季も手堅く古典的なサッカーを継続。
ターコウスキと成長著しいブレイスウェイトの両CBがディフェンスラインに要塞を築き、ハードワークに定評のあるゲイェとオナナのダブルボランチ、そしてフィジカルモンスターのドゥクレ、更に最前線でターゲット役となるキャルバート=ルーウィンと、センターラインの強度はリーグ随一。
跳ね返す、奪う、放り込むを徹底することでしぶとく勝ち点を積み重ね、大きなスランプを作ることなく一年間を戦い抜いたのはこれぞショーン・ダイチのチームと呼ぶに相応しいだろう。

こうした戦い方を退屈と揶揄する声も少なくはないが、勝ち点剥奪により残留争いが不可避だった今季においてはベストな選択だったことは間違いない。
4月末にはマージーサイド・ダービーを制して残留を手繰り寄せるなど、理不尽な処遇に折れることなく最後まで情熱的な試合を見せてくれた点からもファンにとっては満足度の高いシーズンとなったことだろう。

とはいえ、いよいよ平等な勝負に挑める来季はもう少しチームとしての前進を披露したい所。
ここ数年は残留争いの常連クラブとなりつつあるが、過去の戦績を考えればやはりもう一つ上のステップで勝負したいクラブであることは間違いない。
今季は残留という結果に胸を張ったダイチ監督だが、バーンリー時代に比べれば遥かに豊富な戦力を与えられているだけに、来季以降はもう少し厳しい目で見る必要があるだろう。


■14位 ウォルバーハンプトン 13勝7分18敗 勝ち点46
「開幕直前にロペテギが退任するも、後任のオニールが素晴らしい仕事で残留に導く。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】60点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】80点
【総合点】340点(13位)
【補強評価】D
【MVP】ファン


昨季途中就任しチームの順位を一気に押し上げたロペテギ監督が、開幕5日前に突如退任を発表するという非常事態で幕を開けた新シーズン。
退任の要因となったチームの経営状態の悪化により、主軸選手たちも次々と退団するなど最悪に近い船出となったが、終わってみれば14位と見事残留に成功した。

残留の最大の立役者は、新監督のガリー・オニールであることは間違いない。
昨季はボーンマスで指揮を執り、厳しい戦力の中で見事残留に導いた指揮官は今季も新天地で如何なくその能力を発揮。
チームの持ち味でもあったロングカウンターをさらに徹底して磨き上げただけでなく、攻守両面におけるインテンシティを大きく向上させることに成功した。
与えられた戦力と時間が非常に限られていた中で、チーム全体に戦術を浸透させた指導力は特筆すべきものがあり、7節にはホームでシティを破るなどいくつものビッグディールを披露。
オニールのもとで戦う集団となった新生ウルブスは、その後も幾度となく上位陣を苦しめる存在として注目を浴びた。

これほどの指揮官が開幕5日前にフリーの状態だったのがウルブスにとっては最大の幸運だったわけだが、今季の成績を受けてオニールは多くのビッグクラブから注目を浴びる存在となっている。
クラブも大幅な昇給を提示して引き止めに動いているようだが、苦しい経営状態を考えると資金力で勝負できるとは考えづらく、遅かれ早かれ近い内にはクラブを去ると見るべきだろう。
その時にまた同じように優れた指導者を引き当てられる確率は低いだけに、今季の成績に満足せずにクラブの根幹に横たわる課題の解決に着手したい所。
わずか15人程度の戦力で年間を戦わざるを得なかった極めて薄い選手層の向上が、まずは最初に解決すべき戦力面での課題となるだろう。


■13位 フラム 13勝8分17敗 勝ち点47
「指揮官をよく知る選手たちがピッチ上で見せる組織力や完成度はリーグ随一。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】70点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】70点
【総合点】350点(12位)
【補強評価】B
【MVP】ペレイラ


昇格初年度で10位まで躍進した昨季に続いて、今季も安定した戦いで無事に残留を達成。
開幕直後にエースのミトロビッチが退団となった中でも昨季と変わらぬ55得点を挙げ、リーグカップでは準決勝まで進出するなどタイトル獲得にも迫ってみせた。

2年続けての好成績の要因としては、就任3年目となったマルコ・シウバ監督のもとで戦術および戦力の確立が進んだことが挙げられるだろう。
昇格時は選手層の薄さを懸念する声も多かったが、指揮官のやり方を熟知する少数精鋭のメンバーが生み出す高い組織力や戦術の完成度はリーグ随一。
ボールを保持しても良し縦に速い攻撃も良しと幅の広い戦い方を武器に、下位相手にはしっかりと勝ち点を積み重ね、ホームでアーセナルを撃破するなど上位勢にも互角の戦いを披露した。

また、こうしたチーム作りを可能にさせたフロントの仕事ぶりも高く評価されるべきだろう。
ミトロビッチをサウジアラビアに「強奪」された以外はほとんどの選手を慰留させた上で、限られた資金をうまく振り分けながらカスターニュ、イウォビ、ヒメネスといった即戦力を獲得。
その上で彼らが軒並み主力選手として活躍するなど、こと今シーズンの補強戦略に関しては完璧な結果だったと言っていい。

とはいえ、昨季もバイエルンへの移籍寸前と言われた大黒柱パリーニャの「2年連続残留」は極めて難しいミッションであり、今やロビンソン、ペレイラ、そしてアダラバイヨまでもがビッグクラブからの熱視線を注がれる存在となっている。
好成績の「代償」とも言えるこうしたオファーに対して、果たしてフロントはどのような立ち回りを見せるのか。
今年の夏は今後のクラブの命運を占うと言っても過言ではない、非常に重要なオフとなるだろう。


■12位 ボーンマス 13勝9分16敗 勝ち点48
「思わぬ監督交代が結果的にはヒット。エースの爆発もありリーグ最高成績を達成。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】70点
【指揮官】80点
【総合点】360点(11位)
【補強評価】C
【MVP】ソランケ


戦力的にはリーグ最下位と言われたチームを残留させたオニール監督が、開幕前にまさかの解任。
後任としてスペイン人監督のイラオラを招聘するというあまりにも博打的な監督交代には疑問の声が多かったが、結果的には1部リーグでのクラブ最高勝ち点を記録する充実の一年に。
思い切った選択を見事に成功させた、フロントの決断にまずは最大限の賛辞を送りたい。

イラオラ監督の就任で最も変わった点は、やはり守備時における積極性になるだろう。
これまではどちらかと言うと引いて構える守備が多かったチームが、積極的なプレッシングを売りにするチームへと一変。
「ビエルサの弟子」と言われるに相応しい緻密な戦術をチーム内に落とし込み、チームにはこれまで以上に規律や連動が生まれるようになった。

こうしたアグレッシブなスタイルの導入において最も高い親和性を発揮したのが在籍6年目を迎えたFWのソランケだろう。
高いポテンシャルは以前から評価されていたものの、昨季は不得手とするポストプレー役を求められたことで得点数はわずか「6」で終了。(リーグ戦に限る)
しかし、今季はチームが前からのディフェンスを徹底したことでゴール前でのプレー機会が大幅に増え、終わってみればリーグ4位の19得点とキャリアハイのシーズンを過ごすことに成功した。

このように、2年連続残留という結果以上に収穫の多い充実のシーズンを過ごしたと言っていい。
序盤戦は勝てない時期が続いたが、初めてのプレミアリーグ挑戦でいきなり自身のカラーを存分に発揮したイラオラの指導力も特筆に値する。
おかげで早くも引き抜きの噂が絶えない指導者となりつつあるが、残留となれば来季以降もボーンマスが楽しみな存在となることは間違いないだろう。


■11位 ブライトン 12勝12分14敗 勝ち点48
「さすがのデ・ゼルビも戦力難には苦しんだ。退任が決まり、新監督の行方に要注目。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】70点
【総合点】320点(15位)
【補強評価】D
【MVP】グロス


デ・ゼルビ監督のもとクラブ史上最高となる6位という成績を残した昨季に比べ、今季は結果も内容もやや停滞感の強いシーズンとなってしまった。

サンチェス、カイセド、マクアリスターと綺麗にセンターラインの柱を移籍で失った影響はやはりデ・ゼルビを持っても厳しく、三笘を筆頭に多くの選手が怪我に泣いたのも大誤算。
新加入のアンス・ファティやペドロは戦術への適応に苦しみ、これまで高い賞賛を浴びてきたクラブ独自の補強戦略も今季は最後まで奮わないままで終わった。

自慢の「デゼルビ・メソッド」も、やはりピッチ上に立つ選手のクオリティがあってこそ。
ボールは保持出来とも最後の部分での決定力や迫力を欠き、リーグ最多の12引き分けという結果がその内容を如実に表していると言っていい。

これを今季だけの不運と捉えるべきかは難しいところだが、デ・ゼルビ監督は結局わずか就任1年半をもって退任が決定。
前任のポッター体制から続いてきたひとつのサイクルが終焉を迎えたと言っていいだろう。

こうなると次のサイクルを再定義する必要があるオフシーズンとなるが、「継続」か「改革」かを決めるのは非常に悩ましい所。
主力選手の退団や怪我人の多発という状況下でもしっかりと10位でまとめた点を評価すべきという向きもあるだけに、昨季との比較だけで安直な判断を下すことは避けなければならない。

いずれにせよ大事なのは新たなサイクルに進むにあたってなるべく長い準備期間を用意すること。
新監督の選定に時間を要して戦術の浸透が進まずにシーズンインすることだけは絶対に避けたい。
それこそポッターの退任後すぐにデ・ゼルビを連れてきたように、スピード感のある監督人事が今は強く求められている。