今年もマンチェスター・シティの優勝という結果に終わった一年でしたが、このブログではいつものように全20クラブを「通信簿」と題してレビューしたいと思います。
今年は早さにこだわり、リーグ終了からなるべく早めに終えられるように努力します!
それでは早速更新していきますので、よろしくお願いします!
【23-24プレミアリーグ通信簿 その1】
■20位 シェフィールド・ユナイテッド 3勝7分28敗 勝ち点16
「クラブ全体から残留への気概が感じられず不名誉な記録と共に降格が決定。」
23-24基本フォーメーション
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240522/14/2010-worldcup/19/6c/p/o0729057315441962394.png?caw=800)
【FW】40点
【MF】50点
【DF】40点
【GK】50点
【指揮官】40点
【総合点】220点(20位)
【補強評価】E
【MVP】アルブラスター
3年前にFLCへ降格した際から指揮を執るヘッキンボトム監督のもと、若手選手中心の陣容に刷新して再昇格を果たした今シーズン。
しかし、その一方で開幕前にはオーナーがクラブの売却を示唆するなど経営状態は芳しいとは言えず、結果的にはこうしたクラブ内部の懸念要素が最悪の形で結果に表れる一年となってしまった。
エースのヌディアイェと中盤の要だったベルゲを放出して迎えた新シーズンは、やはり得点力不足に苦しむ滑り出しに。
リーグカップでは3部のリンカーンに1点も奪えずに敗戦など序盤から低迷が続くと、6節ではホームでニューカッスルに0-8という歴史的大敗を喫してしまう。
ここでチームの糸が切れてしまったか、その後は大量失点での敗戦が続出。
終わってみればリーグ記録となる年間104失点という不名誉な記録を樹立し、年間わずか3勝という結果でのブッチギリ最下位となってしまった。
ヘッキンボトム監督は結局1勝も挙げられないまま解任となってしまったが、その後の選択がクリス・ワイルダーの再招聘というのもいかがなものだっただろうか。
就任2試合目で初勝利を挙げるなど監督交代で一時は調子が上向いたものの、いわばヘッキンボトムの「師」とも言える指揮官のもとではチームに大きな変化が生まれないのも当然のこと。
モチベーションを失った選手たちをまとめ上げることも出来ず、結局25節から未勝利、最後は7連敗でのフィニッシュとなった。
このように、現場もさることながらクラブ上層部にも残留への気概の感じられない極めて失望感の強いシーズンとなったことは間違いない。
わずかな希望となったのは、ワイルダー体制のもとで終盤戦に抜擢された若手選手たちの存在か。
特に、19歳という年齢ながらスタメンに定着しキャプテンマークを巻く存在にもなったアルブラスターは今後のキャリアが要注目の選手となるだろう。
■19位 バーンリー 5勝9分24敗 勝ち点24
「戦力に見合わぬ戦術の追求ににより、わずか1年での降格が決定。」
23-24基本フォーメーション
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240522/15/2010-worldcup/3b/88/p/o0730057315441978387.png?caw=800)
【FW】40点
【MF】50点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】50点
【総合点】240点(19位)
【補強評価】D
【MVP】ベルゲ
コンパニ監督の就任以降チームが劇的に変貌を遂げ、ペップ仕込みのパスサッカーを武器に昨季はFLCで勝ち点101を記録する圧倒的強さでの優勝を達成。
それだけに今季のプレミアリーグでも注目度の高い存在となったが、結果的にはわずか1年での降格という結末に終わってしまった。
降格の大きな要因となったのは、リーグワースト3位の数字に終わった得点力不足にあるだろう。
開幕前から「エース不在」は大きな懸念要素としてあげられていたが、やはりシーズン最多スコアラーが6得点(ブルーン・ラーセン)という陣容では勝ち点を積み上げることは出来なかった。
この点に関しては、開幕前にクラブレコードの移籍金で獲得したアムドゥニがフィットできなかったことも指揮官にとっては誤算だったはずだ。
一方で、監督としては自身初となるプレミアリーグでの戦いにおいて、コンパニ監督が選んだ戦術に疑問が残るのもまた事実。
これまで同様にポゼッションを重視する自身のスタイルを貫き通したが、残留を第一目標とした場合はこの判断も決して正しいとは言い難かっただろう。
戦力面で不利を強いられるプレミアリーグでは自慢のパスワークも機能せず、保持はすれどボールを前進させられないという課題を最後までクリアすることが出来なかった。
それでもクラブはコンパニ監督を支え続け、終盤は粘り強く勝ち点1を積み上げることで残留に迫ったが…8連敗を喫した序盤戦での躓きが最後まで響き、結局は残留圏とは勝ち点差8をつけられ19位でのフィニッシュに。
コンパニ監督自身はバイエルンなどの強豪クラブからも興味を示されるなど自身の評価を高めつつあるものの、戦力に見合わぬ選択でチームの降格を招いた責任は小さくない。
来季の監督人事がどうなろうとも、プレミアリーグで通用するクラブを目指すのであれば方向性の再考が必要となる今オフだろう。
■18位 ルートン・タウン 6勝8分24敗 勝ち点26
「最後までアグレッシブに戦うも、選手層の薄さが響き無念の降格。」
23-24基本フォーメーション
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240523/20/2010-worldcup/8c/f8/p/o0728057415442470075.png?caw=800)
【FW】60点
【MF】50点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】60点
【総合点】270点(18位)
【補強評価】D
【MVP】バークリー
32年ぶりのトップリーグ昇格を果たした今季、「戦力面では最下位」という陣容ながら粘り強い戦いでしぶとく残留争いを続けたものの…最後の最後で力尽きて1年での降格が決定。
年明けからのリーグ戦ではわずか1勝、ラスト10試合では7敗と、後半戦の不振はやはり選手層が薄いゆえの「体力不足」にあると言えるだろう。
主力選手に怪我人が続出したのも大きな想定外であり、橋岡らの途中加入組も含め多くの選手が複数のポジションをこなしながらチームを支え続けたが、やはりもう少し質の高い戦力を揃えたかったというのが率直な感想だ。
それでもFWのモリスとアデバヨはそれぞれプレミアの舞台でも10得点を挙げるなど躍動し、新加入のバークリーは全盛期の活躍を彷彿とさせるプレーで脚光を浴びた。
選手個々の活躍を含め決して「歯が立たなかった」シーズンではなかっただけに悔しさも強まるが、チームとしてやれることは最大限にやりきったと言っていいだろう。
スタッツを見ると85失点という失点の多さが目立つところだが、ビッグクラブ相手にも怯まずにアグレッシブなスタイルを貫いたからこその結果とも言っていい。
大敗を喫する試合も多かった一方で、収容人数1万人弱の本拠地ケニルワース・ロードではビッグクラブを常にギリギリまで追い詰める熱のこもった試合を披露してくれた。
結果的に降格してしまったのでこうした戦い方を非難する声もあるかもしれないが、降格が決定的になったウエスト・ハム戦での試合後のサポーターの反応がすべてを物語っているだろう。
暖かい拍手に涙した指揮官ロブ・エドワーズが試合後に語った通り、降格は決まったものの得るものが非常に多いシーズンとなったことは間違いないはずだ。
■17位 ノッティンガム・フォレスト 9勝9分20敗 勝ち点32
「今季も費用対効果の悪い1年となったが、監督交代が吉と出て最低限の目標は達成。」
23-24基本フォーメーション
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240523/21/2010-worldcup/06/c1/p/o0729057415442498246.png?caw=800)
【FW】60点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】60点
【総合点】280点(17位)
【補強評価】D
【MVP】ギブス=ホワイト
昨年に続いて今年も開幕前にマリナキスオーナーの独断による大量補強を実施し、陣容をほぼ刷新して迎えた新シーズン。
ビッグクラブとの対戦が続いたこともあって滑り出しで躓くと、得点源だったアウォニィの離脱も影響しチームは低迷の一途を辿ってしまう。
すると、この不調に我慢の出来なかったマリナキスオーナーが12月末に監督交代を決断。
これまでフロントの横暴な方針にも文句ひとつ言わずに結果を残し続けてきたクーパー監督を想うと不憫な判断ではあったが、直近6試合で5敗となった17節をもって指揮官の解任が決定した。
この監督の交代劇を「後先を考えない安直な判断」と批判する声もあったが、結果的に新監督となったヌーノのもとでチームは勢いを取り戻すことに成功。
就任後公式戦4試合を3勝と一気にチーム状態を上向かせると、年明け以降も要所で粘り強く勝ち点を積み重ね、シーズン終盤に勝ち点剥奪(財務規定違反により勝ち点4が3月に剥奪決定)という想定外の事態に見舞われながらも「最低限の目標」を達成することに成功した。
ヌーノの就任で大きく変わったことは4バックの導入にあるだろう。
3バックが基本線だったチームに素早く4バックを浸透させ、新布陣の導入によりハドソン=オドイ、ギブス=ホワイト、エランガといったアタッカー陣の能力を引き出したのは最大の功績だ。
その一方で試合を追うごとにチームに停滞感が増していった感も否めず、終盤戦では5バックの守備偏重な戦い方にシフトするなど戦術面で見るべき部分は多くなかった。
4ポイントをプラスしても17位という成績は、与えられた戦力を考えると物足りない結果と言わざるを得ないだろう。
おそらくこの結果を受けてマリナキスオーナーはこのオフも大量補強に踏み切ることが予想されるが、果たしてヌーノ監督はそのやり方を受け入れることが出来るだろうか。
一定の結果を残した今季の戦い方に固執せず、来季はまた陣容が刷新となった選手の能力から逆算した戦術の選定が求められることになる。
■16位 ブレントフォード 10勝9分19敗 勝ち点32
「3年連続での残留は評価に値するも、停滞感が徐々に強まっている感は否めない。」
23-24基本フォーメーション
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240523/22/2010-worldcup/d5/24/p/o0728057115442528465.png?caw=800)
【FW】60点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】70点
【総合点】300点(16位)
【補強評価】D
【MVP】フレッケン
昇格3年目となった今シーズンは、過去2年に比べると順位こそ落としたものの最大のミッションであるプレミア残留に成功。
クラブの資金規模などを考えれば、3年連続での残留は最大限の評価に値するだろう。
特に今シーズンは開幕前に守護神だったラジャが退団し、エースのトニーは賭博規定違反によって1月までの出場停止を強いられるなど多くの苦難が待ち受ける一年だった。
トニーに代わるエースとして期待されたムベウモが長期離脱を強いられるなど手薄な戦力の中で怪我人が続出し、15節からの15試合は2勝1分12敗と一時は降格が間近に近づく状態にまで陥った。
それでも残留できたのは、指揮官のトーマス・フランクと彼を支え続けたフロントの信念によるものだろう。
負けが込む状態でもフランク監督はこれまでのやり方を貫き通し、ポゼッションでは20%程度の数字を記録するような「防戦一方」の試合でも我慢強く耐え忍び、あくまでポゼッションよりも効率重視のスタイルを最後まで崩さなかった。
こうした状況下でも最後まで指揮官の戦術を遂行し続けた選手たちの一体感も素晴らしく、30節のマンチェスター・ユナイテッド戦で劇的な勝ち点1を掴んだことでチームは一気に好転。
ラスト10試合を3勝4分3敗と息を吹き返し、終わってみれば降格圏に大きく差をつけてのプレミア残留となった。
このように紆余曲折を経ての残留となったが、ここ数年陣容にほとんど変化がない故かやや停滞感が強まっているのも事実。
少数精鋭がフランク流のやり方とは言え、怪我人が多発した今季の反省点などを踏まえて来季はある程度編成へのテコ入れが必要となるだろ。