23-24プレミアリーグ通信簿 その4 | BBGのブログ

BBGのブログ

ブログの説明を入力します。

【23-24プレミアリーグ通信簿 その4】

■5位 トッテナム 20勝6分12敗 勝ち点66
「選手層の薄さに泣いたものの、久々に来季へと繋がるシーズンを過ごす。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】80点
【DF】70点
【GK】80点
【指揮官】80点
【総合点】390点(5位)
【補強評価】A
【MVP】ソン・フンミン


ビッグクラブでの実績乏しいポステコグルー監督の招聘は疑問の声も強かったが、久々に監督交代なく一年間を「完走」。
5位という結果は必ずしも満足とは言い難いが、ようやく翌年に繋がるシーズンを過ごしてみせた。

日本のサッカーファンには名高い攻撃志向の「アンジェ・ボール」はプレミアリーグの舞台でも躍動し、序盤戦は一時首位に立つなど開幕から8勝2分の快進撃を披露。
ポステコグルー就任に合わせた「名より実を取る」補強も見事にヒットし、新守護神のヴィカーリオや、ウドギーにファン・デ・フェンといった若手選手たちもチームの中心選手として機能した。

悔やまれるのはシーズン途中で故障者が続出したことであり、特に11節のチェルシー戦でファン・デ・フェンとマディソンという攻守の要を失った点はあまりにも痛手だった。
彼らに代わる人材の不足はもちろんのことチーム全体の選手層が薄く、DFラインや中盤の2列目はほとんど4,5名の選手で回さざるを得ないシーズンに。
ラスト7試合で5敗と最後は急失速での幕切れとなってしまったが、ここはこうした選手層の薄さに拠る「体力不足」という部分が大きいと言えるだろう。

とはいえ、方向転換を図った新体制初年度ということを考えれば選手層の薄さも致し方ない。
チームの根幹を担う主力選手は定まっただけに、体制2年目を迎える今オフは各ポジションを「肉付け」してプレミアの舞台で一年間戦い抜けるチーム作りを目指したい。

終盤の失速を理由に現体制への不安を叫ぶ声も聞こえるが、安易な監督交代の連続がここ数年の停滞を招いていることは決して忘れてはならない。
ケインという絶対的エースを失いながらも過去7年で最多タイとなる74得点を挙げた攻撃的サッカーの継続が、今は最も正しい判断と言っていいだろう。


■4位 アストン・ビラ 20勝8分10敗 勝ち点68
「エメリのスタイルがひとつの結実を見た結果、過去最高のシーズンを過ごした。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】90点
【MF】90点
【DF】80点
【GK】80点
【指揮官】90点
【総合点】430点(3位)
【補強評価】A
【MVP】ワトキンス


エメリ監督が途中就任となった昨季は7位に食い込み周囲を驚かせたが、今季はさらなるジャンプアップに成功し見事4位フィニッシュ。
実に42年ぶりとなるCL出場権獲得を達成して、またしてもサプライズを提供した。

エメリ監督の推し進める縦に速いサッカーが今季は更に完成度を高め、得点数は昨季の51得点から76得点へと実に20得点以上もアップ。
ディアビ、ベイリー、そして冬に加入したロジャーズと、スピード豊かなアタッカーが繰り出すカウンターの切れ味はリーグNo.1と言っても過言ではない。
彼らの加入でマークが軽減されたワトキンスは、これまで以上に幅広い角度からの貢献で19得点13アシストと自己最高の成績を残してみせた。

そして、忘れてはならないのがエメリサッカーの申し子とも言えるパウ・トーレスの存在だ。
ビジャレアルから今季加入すると、初めてとなるプレミアリーグの舞台でも堂々たるプレーぶり。
精度の高いフィードを連発して、DFラインから前線のアタッカー陣を操る攻撃の司令塔を担った。

その他にも、3列目からふたりで15得点を挙げたD・ルイスとマッギンのコンビや、11月にイングランド代表から初招集を受けたコンサなど、各ポジションの戦力ならびに完成度は抜群。
指揮官にとっては苦い思い出となったアーセナルに対してシーズンダブルと完璧なリベンジに成功しただけでなく、シティ相手にもホームで勝利するなどその強さはもはや本物だ。

最終盤でやや調子を落としたものの、年間を通して安定した成績での4位フィニッシュはお見事。
カンファレンスリーグでも準決勝まで進み「二足の草鞋」を履きこなしたことを考えれば、来季挑むことになるCLの舞台でも自ずと期待値は高まってくる。


■3位 リヴァプール 24勝10分4敗 勝ち点82
「クロップ退任の発表以降まさかの失速。選手層の薄さに泣く結果に。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】90点
【MF】80点
【DF】80点
【GK】90点
【指揮官】90点
【総合点】430点(3位)
【補強評価】B
【MVP】ファン・ダイク


中盤の陣容を刷新し「リヴァプール2.0」と謳われた新生チームは序盤から快進撃。
クアンサーの台頭など思わぬ収穫にも後押しされ、12月までのリーグ戦をわずか1敗で乗り切るなどリーグ首位にて新年を迎えることになった。

そんなチームに驚きをもたらしたのは今季限りでのクロップ監督退任決定のリリース。
9年間に渡りクラブを指揮し、誰からも愛された名将の退任は大きな衝撃を与えるものだったが、逆にELを含めて「4冠」の可能性を残しての発表には、集大成としてのタイトルラッシュへの気運を高めてくれるものでもあった。

…だったのだが、チームはむしろクロップ退任の発表以降一気にトーンダウン。
リーグ戦では試合を追うごとに順位を下げ、ELとFA杯は揃って準々決勝敗退と、結果的にはカラバオカップのタイトルのみと尻すぼみな結末を迎えることになってしまった。

こうした失速の要因はやはり選手層に大きな難を抱えていたことが最大の理由になるだろう。
思わぬ掘り出し物となった遠藤の活躍もあり「アンカー問題」は一定の解決こそ見たものの、バックアッパーがまるで不在での戦いは無理があった。
新星ブラッドリーの登場やエリオットの奮闘など育成組織出身の若手選手たちが活躍したことは嬉しいニュースだったが、シティとアーセナルによる「超ハイレベル」の優勝争いに太刀打ちするにはやはりバックアッパーが質不足だった感は否めない。
加入2年目を迎えながら引き続きヌニェスのパフォーマンスは上がらず、不調に苦しんだディアスも含めた3トップの出来も、往年の「フロントスリー」に比べると不満と言わざるを得なかった。

これにてクロップ体制は終了と迎え、来季からはオランダ人監督のスロットの招聘が決定。
誰が監督になったとしてもクロップの後任は非常に難しい立場となることは間違いなく、来季以降は一旦長い目で見てあげるべき必要があるだろう。


■2位 アーセナル 28勝5分5敗 勝ち点89
「今季もシティにわずか及ばずも、攻守ともに黄金時代に匹敵するパフォーマンス。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】90点
【MF】90点
【DF】90点
【GK】90点
【指揮官】90点
【総合点】450点(2位)
【補強評価】A
【MVP】サカ


今季もシティをギリギリの所まで追い詰めながら、勝ち点2が足りずに2位でのフィニッシュに。
CLでは準々決勝でバイエルンに敗れ、国内カップ戦も含めて無冠でのシーズン終了となった。

シティに未消化分の試合が残っていた関係で、最終節のわずか一週間前まで首位に位置していたことを考えれば、簡単には受け入れがたい優勝逸であることは間違いない。
しかし、昨季を上回りクラブ史上最多となる28勝を挙げ、リーグ史上最少となる29得点を記録。
シティに比べれば遥かに「健全」なクラブ運営の中、20人弱の選手層でこの成績を残したことは最大限の評価に値する。
待望の司令塔となったライスは年間MVP級の活躍を初年度から披露し、多彩な得点パターンで多くの選手がゴールを量産した攻撃のクオリティはシティを上回ったと言っても過言ではない。
タイトルという結果だけでは決して測れない、黄金時代に匹敵する充実のシーズンを過ごしたと言っていいだろう。

悔やまれるのは前半戦でいくつか見られた取りこぼしだが、年が明けてからはリーグ戦18試合を16勝1分1敗と驚異的な成績で駆け抜けてみせた。
この勢いを来シーズンにそのまま持ち込むことができれば、「3度目の正直」で優勝に手が届く可能性も十分にあるだろう。
もはや「アンタッチャブル」な存在になりつつあるシティだけに優勝を至上命題と課すのも酷ではあるが、アルテタ体制のもとで他のクラブを数歩出し抜く存在となったことは明確な事実だ。

とりあえず、来季の目標としてはまずはCLを含めたカップ戦のタイトルとなるだろう。
今オフの補強があたり一定の完成を見つつあるスカッドを、アルテタおよびフロントがどのような形で強化するかには注目が集まるところである。


■1位 マンチェスター・シティ 28勝7分3敗 勝ち点91
「前人未到の4連覇達成。苦難も多かっただけに指揮官の手腕が改めて際立った。」

23-24基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】100点
【MF】90点
【DF】90点
【GK】90点
【指揮官】100点
【総合点】470点(1位)
【補強評価】B
【MVP】フォーデン


プレミアリーグに限らず、イギリスのトップリーグでは史上初となる4連覇を達成。
世界一のリーグと言われる今のプレミアでこの成績は圧巻であり、PSGやバイエルトンと同様にいよいよ「一強体制」を築き上げたと言っていいだろう。

そうは言っても今季もアーセナルが勝ち点差2に迫るなど、ライバルを圧倒しているわけでは決してない。
大黒柱であるデ・ブルイネを筆頭に前半戦は怪我人が相次ぐなど苦しい戦いを強いられたが、その中で光ったのはやはりグアルディオラの手腕。
今季は3バックの導入など例年以上に柔軟な選手起用が多く、加えて20歳のボブや19歳のリコ・ルイスなど、外部からの補強組に限らない若手選手たちも巧みに使いながらチームを優勝へと導いた。

グバルディオルやヌネスと言った新加入選手たちはフィットに時間を要したが、加入選手を粘り強く起用して必ず必要不可欠な選手へと育て上げる指導力もペップの大きな才能のひとつ。
今やチームに欠かせないロドリやグリーリッシュが初年度は軒並み苦しんだことを考えれば、来季以降チームがさらなる進化を遂げる可能性も高そうだ。

とはいえ、今季もチームを牽引したのはやはり「ペップ・チルドレン」の主力選手たち。
怪我から復帰して以降17試合で10アシストという驚異的な成績を残したデ・ブルイネのパフォーマンスも圧倒的だったが、何と言っても今季のシティを語る上で欠かせないのはフォーデンだ。
パフォーマンスのムラが解消され、指揮官から全幅の信頼を得ることで19得点8アシストと大爆発。
育成組織出身の選手が年間MVPを獲得したことはファンにとっても鼻が高く、シティが決して「お金だけのクラブではない」ことを証明したとも言っていい。

このように、充実一途の今のシティはもはや国内では「敵なし」の存在と言っていい。
リーグ優勝だけではもはや満足できない状況なので、決勝でのダービーに敗れた悔しさを胸に来季は国内三冠を目指したいところだ。