2024年J2戦力診断 その2 | BBGのブログ

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【2024年J2戦力診断 その2】

水戸ホーリーホック(昨シーズン17位)
『若手重視の編成を継続も、昇格という目標には不一致と言わざるを得ず。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 6
DF 5
GK 5
指揮官 6
【総合値】28(17位)
【補強評価】D
【キーマン】山田奈央


濱崎新体制のもと思うように勝ち点が伸びず、昨季は最後まで残留争いを強いられる一年に。
目指したポゼッションサッカーがハマらず、失点だけが嵩む見所少ないシーズンとなった。

そんな指揮官のもとで迎える2年目のシーズンだが、上がり目を感じられるかと言うと首を横に振らざるを得ない。
攻撃の司令塔として指揮官が最も頼りにしていた武田は所属元の浦和へと復帰し、2年間守護神を務めた山口や攻撃の要だった小原といった主力選手もチームを去った。
こうした激しい戦力の入れ替わりは毎年のこととは言え、加入した選手の顔ぶれを見ると戦力面で釣り合っているとは率直に言い難い。
特に武田の穴は大きく、このメンバーでもう一度ポゼッションを追求するのは無理があるだろう。

昨シーズンに続き今季も平均年齢24歳と極めて若いラインナップが完成し、フロントは「育成の水戸」と胸を張るが、昇格という目標に対しては極めて不一致な陣容であることは間違いない。
「育てて売る」というサイクルが正常に機能しているという印象も乏しく、どちらかと言えば退団した選手の穴埋めとして若手選手の獲得に奔走しているという印象だ。
昨季は「ピッチ上でのリーダー不在」という課題も明確に浮き彫りとなったが、こちらも残念ながら手を加えられることは一切ないままだった。

厳しい言葉が並んでしまったが、安藤や山田などこのチームで才能を伸ばした選手たちがチームの幹となりつつあるのは心強い所。
特に、非常に手薄なDFラインにおいてDFリーダーとしての活躍が求められる山田は今季のキーマンと言えるだろう。


ベガルタ仙台(昨シーズン16位)
『森山監督の招聘は期待が寄せられるも、多くを求めすぎることは禁物だ。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 7
MF 7
DF 7
GK 7
指揮官 7
【総合値】35(8位)
【補強評価】B
【キーマン】郷家友太


一年でのJ1復帰が叶わず、大型補強を施した上で満を持しての再挑戦となった昨シーズン。
昇格の有力候補と謳われながら、蓋を開ければ過去最低の一年を過ごす結果となってしまった。

伊藤、堀体制でそれぞれ目標として掲げたポゼッションサッカーは言葉だけが虚しく響くばかりで最後まで一切形にならず。
この結果を受けてクラブは今オフ、Jクラブでの監督経験はこれが初となる森山佳郎監督を招聘するという思い切った一手に打って出た。

森山監督はあくまでも「育成畑」の指導者であり、一貫性のない強化ビジョンには不安も残る。
その一方で、自身の戦術に選手を当てはめようとした伊藤監督とは対照的に、選手ありきでチームを作り上げるスタイルには期待感も強い。
また、降格以降どこか全体的に緩んだ空気があったチームを一変させるためにも、モチベーターとしての高い能力にも期待が寄せられている。

戦力を見ても、氣田や加藤の「禁断の移籍」はあったものの、引き続きリーグ有数の陣容は維持。
各ポジションにバランス良く選手が出揃ったという印象が強く、髙田や知念などバックアッパーにも実績のある選手が顔を控える。
多くの組み合わせを可能とする選手層の厚さは、先に挙げた指揮官の「柔軟性」をより発揮しやすいと言えるだろう。

とはいえ、その指導力に関してはあくまでも未知数であることには変わりはない。
クラブからは「将来へ向けて育成にも力を入れる」ことが招聘の理由として発表されたものの、昇格を至上命題としながら育成までも求めるのは酷が過ぎると言っていい。
近年は現場とフロントの方向性の不一致も目立つだけに、相次ぐ不祥事の問題などを含めまずはクラブ全体が同じ方向を向くところから始めたい。


徳島ヴォルティス(昨シーズン15位)
『昨季の課題と正面から向き合う印象のないチーム作りには不安が残る。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 7
DF 7
GK 7
指揮官 6
【総合値】33(11位)
【補強評価】E
【キーマン】永木亮太


スペイン体制3人目の指導者となったラバイン監督の采配がハマらず、まさかの残留争いに巻き込まれた昨シーズン。
辛抱強く支えたクラブの信念もむなしく、8月には21位まで順位が落ち込むと解任が決定。
後任の吉田達磨監督のもとで何とか立て直しに成功し、ラスト5試合を1敗で乗り切るなど上向きででのフィニッシュに成功した。

とはいえ、残留という結果はあくまでも最低限の結果であることは忘れてはならない。
柿谷の復帰に加え、13得点を挙げた森海渡などリーグ有数の戦力を抱えながら15位という結果は極めて不甲斐ないと言わざるを得ないだろう

しかし、終盤での復調に満足したのか今オフのクラブの動きは極めて乏しいものに終わった。
元々の戦力を考えれば大型補強は必要ないとは言え、チームの課題に対してはほとんど手当てがなされず、あくまでポゼッション志向を貫いて結果を求めようという姿勢には疑問が強い。
そもそも吉田監督自身も前歴の甲府では天皇杯を制しながら退任という厳しい評価を下された指導者であり、年間を通した采配には専ら期待が出来ないという印象だ。

懸念要素として森海渡が退団したセンターフォワードを挙げる声も多いが、最も気がかりなのは白井が退団したボランチのセクション。
チームに不足していた守備の強度やハードワークという部分を一手に担っていた白井の穴は大きく、ここを埋められない場合はチーム全体が崩壊する可能性も低くないだろう。
既存戦力で乗り切るしかない以上、35歳を迎えた永木のフル回転が絶対条件として求められる。

いずれにせよ、昨季の不振とあまり正面から向き合う印象のないチーム作りには不安大。
一寸先は闇という今のJ2において、昨季の大宮のような結果にならなければいいのだが…。


ロアッソ熊本(昨シーズン14位)
『継続性は確保するも補強は乏しく。今季も残留が最大の目標となるか。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 7
DF 6
GK 7
指揮官 7
【総合値】33(11位)
【補強評価】D
【キーマン】石川大地


主力選手が根こそぎ退団となってしまった昨季は、一時20位まで落ち込む厳しいシーズンに。
それでも信念を貫いた大木采配、そして指揮官を信じたクラブの選択が功を奏し、終盤の復調で14位まで順位を上げてのフィニッシュとなった。

2022年の4位という成績は出来すぎに近く、戦力を考えれば14位という成績はある程度「妥当」と言っていい。
J3から昇格して2年間しっかりと残留したことは高く評価すべきであり、この2年間をベースにしてここから一歩一歩改めて昇格という頂を目指したい。

今オフは懸念された主力選手の退団も平川1名に留まり、継続性の確保には成功。
その一方で平川の代役となる選手の獲得は一切進まず、補強と呼べる選手は3年ぶりの復帰となる岩下のみに留まった。
さすがにこの戦力で大きな飛躍を望むのは難しく、引き続き残留が目標の一年となるだろう。

苦しい陣容で4年目の指揮を託された大木監督は、どうやら「新布陣」の導入でチームに変化を加えたいと考えている模様。
昨年もテストした3-5-2の導入など柔軟な姿勢を見せているものの、いかんせん戦力に変化がないだけに布陣の変更には苦労するはずだ。
本格導入を目指すのであれば、昨季高校生ながら天皇杯で得点を挙げた道脇には早くも主力選手としてのフル回転が求められることになる。

このように、新シーズンへ向けてはあまりポジティブな要素は見いだせないのが率直な感想だ。
前半戦で9得点を挙げながら怪我で後半戦を棒に振った石川を、「今オフ最大の補強」としてキーマンにピックアップする。


ブラウブリッツ秋田(昨シーズン13位)
『J3得点王の獲得には、次のステップを目指すクラブの意気込みが伺える。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 5
MF 6
DF 6
GK 6
指揮官 8
【総合値】31(14位)
【補強評価】C
【キーマン】小松蓮


主力選手が大幅に退団となった昨季も、終わってみれば例年通りに中位をキープ。
吉田監督のもと最早おなじみとなった「徹底」を合言葉に、強度の高いサッカーで多くの上位勢を苦しめてみせた。

今オフも選手の入れ替わりは激しく、戦力的に見ればやはりリーグで最下層に位置するチームであることには変わりない。
DFラインは河野を残してレギュラーが全員退団し、特にサイドバックの人員不足は懸念要素。
藤山の起用も考えられるが、ボランチも選手層が薄く頭の痛い所である。

それでも、吉田監督の存在があれば大きな不安は必要ないだろう。
その独特なキャラクターにばかり注目が集まりがちだが、就任以降4年をかけて築き上げた縦に速いサッカーの完成度はリーグ随一。
シンプルなスタイルではあるものの、選手の細かい配置なども考え抜かれた質の高い戦術は目を見張るものがある。
また、指揮官の戦術にしっかりと沿った補強戦略にも高い評価が与えられるべきであり、今オフ加入した選手たちも恐らく多くが即戦力としてフル回転することだろう。

そんな新加入選手の中でも特に期待がかかるのは、松本から加入したFWの小松蓮だ。
戦力外となった選手の獲得が多いクラブにとって、J3とはいえリーグ得点王という注目選手の「引き抜き」という例は極めて珍しい。
昨季リーグ最下位に終わった得点力不足の解決はもちろんのこと、彼のような選手の獲得はクラブにとっても「次のステップ」へ進みたいという覚悟の表れとも言えよう。