2024年J2戦力診断 その3 | BBGのブログ

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【2024年J2戦力診断 その3】

藤枝MYFC(昨シーズン12位)
『横山の穴埋めには不安も、新戦術の導入でさらなる高みを目指す。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 7
DF 6
GK 6
指揮官 8
【総合値】33(11位)
【補強評価】D
【キーマン】 矢村健


昇格初年度となった昨シーズンは、J3で猛威を奮った攻撃サッカーを存分に体現。
シーズン途中に渡邉りょうや久保藤次郎を失いながらも、最後まで得点力を落とすことなく見事中位でのフィニッシュに成功してみせた。

今オフも攻撃の中心を担った横山が退団するなど戦力ダウンを強いられることとなったが、チームの肝はタレントではなくその戦い方にある。
今季で就任4年目となる須藤監督が作り上げたハイライン・ハイプレスの戦術はリーグでも有数の完成度を誇っており、この完成度があったからこそ昨季も年間を通して安定した成績を残せたと言っていい。

故に戦力面の不安をそこまで過度に懸念する必要はないが、横山に代わる戦力が獲得できていないのも事実。
東京Vから加わった梶川も本来はボランチを主戦場にする選手であり、トップ下はシンプルに戦力が足りていない。
加えて昨季のレギュラーだった岩渕良太と契約満了という判断には疑問も残るところだが、クラブには現有力戦力に自信ありと言ったところなのだろうか。
ルーキーながら背番号8を与えられた浅倉あたりは今季のブレイク候補生となるだろう。

あくまでもJ2で2年目を迎えたばかりなので今季も残留が最大の目標となるものの、更に上を目指すのあればやはり昨年リーグワーストに終わった失点数の減少は必須条件だ。
須藤監督は今季「ハイプレスとブロックの使い分け」を明言しており、この戦術がどこまではマルカは大きな見もの。
無事に両立を成し遂げることができればそれこそさらなる飛躍も見えてくるが、「いいとこ取り」の戦術に失敗した場合は思わぬ低迷があっても不思議ではない。

キーマンには、昨季終盤にゴールを量産した矢村健をピックアップした。
あの勢いを今シーズンに持ち込むことができれば、選手としての本格ブレイクもいよいよ目前だ。


ザスパクサツ群馬(昨シーズン11位)
『戦力の維持に成功し、クラブ史上最も期待値の高いシーズンに。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 7
DF 7
GK 8
指揮官 8
【総合値】36(7位)
【補強評価】B
【キーマン】 髙澤優也


これまでは残留争いが続いていたクラブが、昨季は一転して昇格争いに食い込む躍進の年に。
就任2年目となった大槻監督のもとでチームコンセプトの確立が進み、リーグ4位の失点数を誇る堅守を武器に大きなサプライズを提供した。

それだけに今オフは主力選手をどこまで残せるかという点がカギとなったが、終わってみれば退団選手は右SBの岡本一真のみ。
佐藤や天笠などの注目選手も全員が契約延長となり、彼らの残留が最大の補強と言っていい。

加えて得点力不足の課題を解決すべく、前線には5年ぶりの復帰となる髙澤優也を獲得。
大怪我からの復帰明けということでコンディションには不安が残るものの、J1でのプレー経験も持つ「かつてのエース」の獲得には多くのファンが期待を寄せている。
また、昨季はJ3の岩手で11得点を挙げる大ブレイクを見せた和田昌士の存在も心強く、平松も含めてそれぞれタイプが異なるFWが揃ったことで前線の選手起用はグッとが幅が広がるだろう。

その他の補強は最小限に留まったものの、継続性を維持しながら不足ポジションへの補強に成功し、充実のラインナップが出揃った。
あとは大槻監督が戦術面でどれだけのプラスアルファをもたらすことが出来るかどうか。
主力選手の固定化が著しかった昨季は終盤戦での息切れが顕著だっただけに、戦力の底上げも大きなポイントとなるだろう。

いずれにせよ、クラブ史上最も期待値の高いシーズンを迎えていることは間違いない。
クラブハウスや練習場と言ったハード面での整備も進み、昇格できるかはともかくとしてそろそろ「次のステップ」へと進む時が来たと言えるだろう。


ファジアーノ岡山(昨シーズン10位)
『大型補強でリーグ有数のタレント軍団に。指揮官の力量が試される。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 7
MF 9
DF 8
GK 8
指揮官 7
【総合値】39(4位)
【補強評価】A
【キーマン】 グレイソン


3位まで躍進した2022年から一転、昨季は10位とプレーオフ出場すら遠く及ばない一年に。
規律重視の木山サッカーがどこか頭打ちという印象も否めず、閉塞感の漂う試合が多かった。

それでも3年目の契約延長が決まった今季、木山監督に懸けたクラブは大型補強に動いてみせた。

最大の目玉はブローダーセンとシャビエルの両助っ人であり、特にシャビエルはJ2においては反則級の存在と言っても過言ではない。
守護神不在もチームの大きな課題だっただけに、ブローダーセンの加入も非常に大きな価値を持つことは間違いないだろう。

彼ら助っ人勢に加えて、藤田や竹内など「計算の立つ」バックアッパーの獲得にも余念がなく、昨季の主力選手ですらポジションの確約できない強力な陣容が完成。
個々のタレント力だけを見れば2022年を凌ぐラインナップと言ってよく、不祥事(飲酒運転)によりJ1の舞台から離れていた柳貴博の獲得からも今季への強い覚悟が伝わってくる。

それだけに、木山監督としてもこうしたフロントの努力に何としても応えなければならない。
自身の戦術を浸透させることも大事ではあるが、リーグ有数のタレント軍団となった今季はある程度「選手に合わせた」柔軟な姿勢も取り入れたい所。
それこそシャビエルのような癖の強い選手をどのように扱うかは力量が試されることとなる。

キーマンには、昨季戦力を固定できなかった1トップとして期待がかかるグレイソンを挙げた。
Jリーグでのプレー経験がないだけに未知数な存在ではあるものの、リーグ11位に終わった得点力不足解決のためには彼の活躍が必要不可欠だ。


大分トリニータ (昨シーズン9位)
『強化ビジョンの感じられない片野坂監督の再登板には期待値も低く…。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 8
DF 7
GK 7
指揮官 7
【総合値】35(8位)
【補強評価】D
【キーマン】 鮎川峻


前半戦を2位で折り返した昨季だったが、怪我人の続出による失速を止められず終わってみれば9位という結果に。
後半戦は試合内容も芳しくなく、2年続けての昇格失敗となった下平監督は退任が決定した。

後任人事には注目が集まったものの、クラブの選択は片野坂知宏監督の再登板。
多くの功績を残した「レジェンド」ではあるものの、退任してからわずか3年でまた招聘という選択にはファンからも疑問の声が上がっている。
クラブとしての明確な強化ビジョンが欠けていると言われても仕方がないだろう。

戦力に関しても目新しい補強があるわけではなく、去年と同じ陣容を再度片野坂監督に預けただけという印象は否めない。
唯一の即戦力として期待されていたFWのサムエルが加入後すぐに長期離脱となってしまった点は大きな不運だったが、昇格へ向けての本気度は残念ながら伝わってこないのが現状だ。

片野坂監督も大分を出てからは指導者としての評価を落としており、自身のキャリアのためにも正念場のシーズンとなるだろう。
代名詞の「3-4-2-1」を封印したG大阪では最後まで戦術の構築に苦労していたが、現状の大分の陣容も3バックに適しているとは言い難い。
キャンプでは戦力に合わせた4-2-3-1を基本形としているようだが、こうした点からもフロントのサポート不足を指摘せざる得ないだろう。

このように3年ぶりの片野坂体制は決して順調な滑り出しとは言い難いが、戦力を考えれば昨季の成績が決して「妥当」なものではないのもまた事実。
目標とする昇格へ向けて、キーマンには「新エース」として期待がかかる鮎川峻の名前を挙げる。


ヴァンフォーレ甲府(昨シーズン8位)
『退団ラッシュでチームは解体。補強費を注ぎ込んだ攻撃陣に望みを託す。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 8
MF 8
DF 6
GK 6
指揮官 7
【総合値】35(8位)
【補強評価】C
【キーマン】アダイウトン


昨季はクラブ史上初となったACLの舞台にて快進撃が続いた一方、リーグ戦では最終節の敗戦により無念のプレーオフ出場逸という結果に。
評価に難しい成績となったが、厳しい過密日程を考えれば良く頑張ったと評価していいだろう。

しかし、今オフはこうしたポジティブな結果を受けて主力選手が「大量離脱」に。
10番を背負った長谷川、ダブルボランチの中村と松本、さらにDFラインはレギュラー4名が全員退団と、チームはまさに解体されてしまったと言っていい。
ACLではいよいよ決勝トーナメントが始まるという状況だけに極めて残念な結果であり、こうした事態を考えるとやはり秋春制の導入もやむなしかと思わざるを得ない。

戦力面で特に深刻なのが守備ブロックであり、井上と蓮川のレギュラー両名が揃って退団となったCBは大幅なクオリティの低下が懸念される。
ボランチのコマ不足も著しく、三沢と木村の新加入選手2名がフィットできなかった場合はチーム全体がぐらつきかねないだろう。

一方で、前線には強力なアタッカーが次々と加入することになった。
長谷川の抜けた左サイドにはJ1での実績十分なアダイウトンの獲得に成功し、最前線には磐田からファビアン・ゴンザレスをバックアッパーとして招聘。
戦力バランスの悪さは気になるところではあるが、退団選手全員の穴埋めは難しかったことを考えれば「アタッカーに全振り」という決断にもうなずける。

篠田監督にとってはまたもチームを作り直しという結果になってしまったが、甲府の場合は周りのクラブとは異なり2月15日のACL準々決勝(1stleg)に照準を表す必要がある。
刷新となったチームの中からなるべく陣容の最適解を見出し、仕上がりの早さを武器に序盤戦でロケットスタートを決めたい。