2024年J1戦力診断 その2 | BBGのブログ

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【2024年J1戦力診断 その2】

湘南ベルマーレ(昨シーズン15位)
『エースの系譜が途絶え厳しい陣容。ハイプレス再導入の有無がカギを握る。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 5
MF 6
DF 6
GK 7
指揮官 6
【総合値】30(18位)
【補強評価】E
【キーマン】小野瀬康介


6月から8月にかけて長らく最下位に落ち込むなど例年以上に苦しんだ昨シーズン。
それでも夏の補強で獲得したキム・ミンテや田中聡の活躍もあり、ラスト6試合を4勝という好成績で乗り切って結果的には15位でのフィニッシュとなった。

ここ数年は目標を5位に掲げて臨んでいるものの、結果は大きく乖離した順位が続いている。
今季の目標はまだ未発表ではあるものの、即戦力の補強は退団した大橋と石原に代わるルキアン、鈴木雄斗の2名のみ。
特に年間13得点を挙げた大橋の穴がルキアンで埋まるとは考えづらく、今季も残留が最大の目標となることは間違いないだろう。

残留のためには、先にも挙げたように大橋の穴をどれだけ全員でカバーできるかが鍵となる。
ここ数年比較的余裕を持って残留を決めていた要因は、町野と大橋というこのクラブにしては珍しい優秀な点取り屋がいたからこそ。
得点力の低下が予想される今季はまた苦戦を強いられることが見込まれており、湘南らしい全員サッカーで何とかエース不在を補いたい。

また、昨季はシーズン序盤で早々と頓挫したハイプレスの導入をどうするかも注目のポイントだ。
降格枠が1から3に増える今季は、序盤での不振がそのまま命取りともなりかねない。
終盤戦での好成績を良しと捉えてそのままのサッカーを継続するか、それともリスクを負ってもう一度ハイプレスの戦術を試みるか。
どちらの選択も決して間違いではないものの、後者を選ぶ場合は昨季のリピートとならぬようにキャンプでの徹底した仕込みが必須となってくる。


サガン鳥栖(昨シーズン14位)
『今季も戦術の深掘りを進める一年に。ブラジル人FWの活かし方には注目。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 5
MF 7
DF 6
GK 8
指揮官 8
【総合値】34(12位)
【補強評価】D
【キーマン】本田風智


昨シーズンは「誰が出ても点を取り続けることが出来る攻撃の構築」という課題のクリアに着手。
結果的にリーグ5位となる43得点を挙げるなど、チームは着実な成長を遂げていると言っていい。

こうなるとファンとしてはそろそろ何らかのタイトル獲得を望みたい所だが、クラブおよび指揮官はまだまだ慎重な姿勢は崩さない様子。
資金力で苦しい立場とは言え、今オフの補強はあくまでも退団選手の穴埋め程度に留まった。

その中でプラスαをもたらす存在として期待がかかるのは、待望の左利きCBとなるキム・テヒョンとなるだろう。
昨季までプレーした仙台ではややプレーの粗も目立ったが、ビルドアップ能力が強く求められる鳥栖ではその左足が大きな武器となる可能性が高い。
キム・テヒョンだけではなくCBには木村、上夷とそれぞれキック精度に長ける選手を加えており、結果に拘ると言うよりはさらなる川井サッカーの「深化」に焦点を当てたいという姿勢が補強方針からも伺える。

一方前線ではチーム2位となる9得点を挙げた小野と、切り込み隊長を担った岩崎の2名が退団に。
岩崎の穴は昨季J2で大活躍を見せた中原の獲得で補ったものの、得点以外でも多くの仕事をこなしていた小野に代わる選手の獲得には至っていない。
ヴィニシウス・アラウージョやマルセロ・ヒアンといった現体制ではあまり縁のないブラジル人FW
を、一体どのようにしてチームに組み込むかは指揮官にとっても新たな腕の見せ所となるだろう。

キーマンには大怪我からの復活が見込まれる本田をピックアップした。
昨季は11試合で3得点と好スタートを切っていただけに、完全復活を遂げてチームの得点力向上に貢献したい。


京都サンガF.C.(昨シーズン13位)
『戦力はほぼ横ばい。戦術のアップデートには司令塔のフル回転が必須か。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 7
MF 6
DF 6
GK 7
指揮官 7
【総合値】33(14位)
【補強評価】D
【キーマン】武田将平


入れ替え戦に回って命からがらの残留となった一昨季に比べ、昨季は13位と比較的余裕を持って残留を決めるなど成長が見られる一年となった。
チョウ監督のもとで4年目となる今シーズンは、J1定着へ向けてさらなる土台を築く年としたい。

しかし、戦力面では昨季からほぼ「横ばい」とオフの補強は寂しい結果に。
主力選手の退団は井上のみに留まったものの、井上に代わって鈴木義宜が加わった以外は即戦力の加入はほとんどなし。
レギュラーの定まらなかった左SBに湘南時代の教え子である鈴木冬一を獲得したものの、彼も決してポジションが約束された選手とは言えないだろう。

チームの戦術は良くも悪くもチョウ体制初年度から一貫しており、昨季も課題だったビルドアップの構築はほとんど放棄という結果に終わってしまった。
それだけにある程度は戦力面での上積みにて成績の向上を図りたかったのだが…こうなるとやはり戦術面でのアップデートが求められることとなる。
代名詞のハイプレスをベースにした縦に速い攻撃だけではなく、自分たちがボールを握りながらの攻撃をどこまで仕込むことが出来るか。
司令塔候補として期待されながら、昨季は怪我でシーズンの半分以上を棒に振った武田の活躍がチームの進化には不可欠となってくる。

前線では昨季途中加入ながら13試合7得点という結果を残した原も注目の選手となるだろう。
オーストラリアAリーグからの加入となったマルコ・トゥーリオも今季公式戦で17試合13得点と高い得点力を発揮している選手であり、思わぬ掘り出し物となる可能性を秘めたストライカーだ。


北海道コンサドーレ札幌(昨シーズン12位)
『例年通りのマンネリ感漂う陣容に。攻撃陣の選手層の薄さは特に気がかりだ。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 6
DF 6
GK 7
指揮官 6
【総合値】31(16位)
【補強評価】E
【キーマン】鈴木武蔵


ペトロヴィッチ体制も今シーズンで7年目。
中位を維持し続けているとは言え、毎年掲げるタイトル獲得という目標には程遠い状況が続く。
昨シーズンはサポーターからも厳しいフレーズの横断幕が掲げられることとなった。

こうした「愛のムチ」に応えたい所だったが、今オフも編成面での本気度は残念ながらほとんど伝わってきていない。
むしろルーカス・フェルナンデス、小柏、田中駿汰が相次いで移籍し、さらには福森を放出したことで戦力はダウン傾向。
特に鈴木武蔵の復帰以外にポジティブな動きの少ない攻撃陣は選手層の薄さが顕著であり、昨季12得点を挙げた浅野も現状では右WBで使わざるを得ないほどに選手のコマが足りていない。

攻撃陣に加えて、ボランチやDFラインもバックアッパーのクオリティ不足は大きな懸念要素。
ただでさえ昨季はシーズン途中の金子退団以降一気に成績が下降しただけに、そこから戦力が更に低下しているという現実には頭が痛い所である。

このように本来であれば降格候補に挙げられてもおかしくはない陣容と言っていいが、少人数の編成でこそ力を発揮するのがペトロヴィッチ監督の流儀でもある。
昨季はCFまでをこなした駒井のように、「ミシャ式」を熟知する愛弟子たちはどこのポジションにおいても指揮官の求める動きを100%体現できる抜群の戦術理解力も備えており、戦力面の不安が順位に直結することはないだろう。

ただし、それこそタイトル獲得を本気で目指すのであれば現陣容では叶わぬ夢と言っていい。
ペトロヴィッチ監督も今年で67歳という年齢を迎えるだけに、そろそろ次のサイクルを意識したチーム作りにも着手したいところだが果たして。


FC東京 (昨シーズン11位)
『補強方針には疑問もリーグ有数のアタッカー陣が完成。得点力向上は必須だ。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 7
MF 7
DF 7
GK 7
指揮官 6
【総合値】34(12位)
【補強評価】D
【キーマン】小柏剛


アルベル体制が1年半で頓挫し、後任にクラモフスキー監督を迎え入れた昨シーズン。
監督人事からも明らかのようにクラブはパスサッカーの導入を目指しているが、どちらかと言えば真逆のスタイルを紡いできたのがFC東京のサッカー史。
監督の志向と戦力の乖離が、戦術の転換を阻む大きな要因として横たわっている。

こうした状況を解消すべくクラブは今オフ積極的な選手補強に動いてみせた。
しかし、遠藤、小柏、荒木、高といった選手たちがパスサッカーの導入で力を発揮できる人材かと言われると疑問は強い。
どの選手もリーグ有数の実力者であるのは確かだが、クラモフスキー体制への親和性という面では不安が残る所である。

また、布陣に関しても現在の基本形となる4-3-3の布陣ではどうにも選手が当てはめづらい。
ボランチに戦力が集中しているバランスの悪さも気がかりであり、昨季攻撃の中心を担った渡邊凌磨の後任はいったい誰が務めることになるのかが見えてこない。
現状では新加入の小柏や荒木はサブとせざるを得ず、現有戦力を最大限に活かすためには新たな布陣の導入なども指揮官には求められることになってくる。

このように現場とフロントの意思疎通という面で引き続き不安が残るものの、何にせよ戦力が大幅にアップとなったことも間違いのない事実。
特に補強のほとんどが集中したアタッカー陣はリーグ有数のラインナップが完成しただけに、昨季終盤のような得点力不足という内容は許されないだろう。
予想ではリザーブに置いたものの、ディエゴ・オリヴェイラへの依存度軽減という面でも期待の懸かる新加入の小柏をキーマンに挙げた。