2024年J1戦力診断 その1 | BBGのブログ

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毎年恒例のJ1・J2全クラブの戦力診断企画、今年は少し早めですが今週から始めたいと思います。
いつもと違い、今年はJ1の20クラブから紹介!

順位で言うと降順に紹介していきますので、それではよろしくお願いいたします!


【2024年J1戦力診断 その1】

東京ヴェルディ(昨シーズンJ2 3位)
『戦力面で最後方からのスタート。若手選手を鍛え上げて残留を目指す。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 4
MF 5
DF 6
GK 8
指揮官 7
【総合値】30(18位)
【補強評価】D
【キーマン】山田楓喜


昨シーズンはPO決勝を劇的な展開で制し、実に16年ぶりとなるJ1復帰が決定。
開幕戦で早速マリノスとの「クラシコ」が割り当てられるなど、古豪の復活劇には多くの注目が集まっている。

しかし、戦力を見ると極めて厳しい陣容であることは間違いない。
昨季の得点源は途中加入とはいえ染野(6得点)のみとFWの戦力不足は著しく、染野自身もJ1での実績はほぼ皆無だけに同じような期待を望むのは酷だろう。
加えて昇格のキーマンとなった中原輝も退団となり、攻撃陣は明らかに戦力不足が否めない。
J2であれば戦力面の不利をある程度戦術で補うことも出来たが、J1の舞台ではこうした戦力不足が致命傷となる可能性は低くない。

それでもクラブはこれまでの方針からブレることなく、今オフもJ2時代から追いかけていた選手を中心に「運動量」や「頑丈さ」を持ち味とする選手を積極的に獲得。
小池や梶川といった長らくクラブに尽くしたベテラン選手も放出し、平均年齢が20代前半に近い極めて若い陣容を作り上げた。

城福監督も「試合が楽と思われるような練習がしたい」と、彼ら若い選手をとにかく徹底して鍛え上げることでJ1の荒波を乗り切ろうという考えなのだろう。
資金面でも恐らくリーグ最下位に近い立ち位置だけに「止むを得ない」選択とも言えるが、栄華を誇ったあの頃のヴェルディとはまさに真逆の立場からの挑戦を応援したい所だ。

キーマンには、パリ五輪代表候補でもある新加入の山田楓喜を挙げた。
技術や推進力には定評がありながら、守備の部分に課題を残し京都では伸び悩んでいた22歳。
城福監督のもとで一皮むければ大化けの可能性もあるだけに、個人としての目標にもなる五輪選出へ向けて飛躍の一年としたい。


ジュビロ磐田(昨シーズンJ2 2位)
『ブラジル人獲得の成否に命運がかかる。韓国から逆輸入の石田にも要注目だ。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 5
MF 7
DF 7
GK 6
指揮官 7
【総合値】32(15位)
【補強評価】C
【キーマン】石田雅俊


降格に加えてFIFAからの補強禁止処分を受けるという「ダブルパンチ」から始まった2023年だったが、このピンチを見事力に変えて1年でのJ1復帰に成功。
ピッチ内外において横内監督の高いマネージメント力に導かれての昇格劇となった。

個の力に頼って昇格をした過去の例とは異なり、チームにはインテンシティを重視した強度の高いサッカーというベースが完成したことが何より心強い。
J1での戦いは一筋縄ではいかないことは間違いないが、苦しい時にでも「立ち返れる場所」があることは昨季の昇格における大きな要因ともなった。
横内サッカーの生命線でもあった上原の残留もそういった面で大きな意味を持つだろう。

一方で、残留を手繰り寄せるためのプラスαとしてはシンプルにブラジル人選手に頼ることを選択。
新たに加わった3選手はいずれも即戦力として期待がかかる経歴の持ち主であり、特に選手層が薄いCFに加わったリカルド・ペイショットのプレーは今季の行方を大きく占うことは間違いない。
ブラジル人選手中心のチーム作りとなると昨季築いたチームの良さが失われてしまうことも懸念されるが、海外でのプレー経験も豊富な山田大記の存在があれば過度な心配も要らないだろう。

気がかりな点があるとすればポジションごとにやや戦力にムラがある所であり、鈴木とドゥドゥが抜けた右SBと左SHを不安要素として挙げる声は強い。
右SBに関しては松本のスライドや新加入の西久保の存在など選択肢が豊富だが、左SHに関しては石田にかかる部分が強く、昨季13得点に絡んだドゥドゥの穴埋めをどこまで出来るかは要注目。
Jリーグでは芽の出ない存在だったにも関わらず、Kリーグでのブレイクを経て「再輸入」となった異色の経歴を含め、リーグ全体を通して注目の選手のひとりとなりそうだ。


FC町田ゼルビア(昨シーズンJ2 1位)
『昨季を更に上回る積極補強を敢行。一方でFWの戦力だけには不安も残る。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 8
DF 7
GK 7
指揮官 7
【総合値】35(11位)
【補強評価】A
【キーマン】ナ・サンホ


昨シーズンはJ2では「超大型補強」と評される積極補強を敢行。
高校サッカー界からの転身で話題を呼んだ黒田監督の現実的な采配と戦力的優位が巧みに噛み合い、ぶっちぎりでのJ1昇格を決定させた。

戦力面での優位を保てないJ1で個人能力に依存したサッカーを続ける点には不安の声も上がったが、こうした不安を解消すべくフロントはさらなる大型補強でチームをバージョンアップ。
今オフチームに加わった選手を挙げるともはやキリがないという状況だが、昌子や谷といったA代表経験者に加え、林や柴戸などの若手選手も加わり総勢40名近い大所帯でのシーズンインとなった。

複数の選手をB契約で獲得していることが予想される点などに関しては批判の声も強かったが、決してルールから逸脱しているわけではないのもまた事実。
一見すると乱獲という印象も強いが、昨季は補強選手がことごとくヒットしたことが昇格の要因となったように、強化部が原体制に代わってからは現場とフロントが一体となった補強が続いている。
指揮官にとってもこの戦力をまとめ上げることは容易ではないミッションとなるが、不必要な戦力を抱えているようなことはないだろう。

そんな中で、エースのエリキが引き続き長期離脱中となるFWのポジションに大きな動きがなかった点だけは不安が残る。
昨季もエリキの離脱後以降は露骨に成績を落としており、彼抜きでどのようにしてJ1で戦うプランを描いているかは興味深い所。
ビッグネームの獲得を探っているという線も有り得そうだが、既存戦力で戦う場合は昨季Kリーグで年間12得点を挙げた現役韓国代表のナ・サンホがカギを握る存在となるだろう。

いずれにせよ、戦力面だけを見れば既にリーグでも中位クラスの戦力を抱えていることは間違いない。
ACLを目指すという黒田監督の言葉も、決して奢りではないだけの強力なスカッドが完成した。


柏レイソル(昨シーズン 17位)
『細谷の残留が最大の補強。五輪までの間に勝ち点を出来るだけ積み上げたい。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 7
MF 6
DF 6
GK 6
指揮官 6
【総合値】31(16位)
【補強評価】D
【キーマン】細谷真大


多くの混乱を招いたネルシーニョ監督に見切りをつけ、井原体制で何とか残留を決めた昨シーズン。
しかし、その残留という結果もあくまで「降格1クラブのみ」という特例に救われてのものであり、監督交代後も21試合でわずか4勝とリーグ戦では最後まで浮上することが出来なかった。

昨年のオフに近年では珍しい積極補強に動いたこともあってか、今オフの動きは極めて静かなものとなった。
新加入選手はJ2からの獲得のみに留まり、レギュラーとして期待出来るのは退団した椎橋の代役として見込まれる白井程度になるだろう。
逆に、椎橋に加えて山田康太や仙頭がわずか1年でチームを去ることとなり、戦力はどちらかと言えばダウンという印象だ。

それでも、海外移籍も噂されたエースの細谷が残留となったことは比喩抜きに「最大の補強」と言っていいだろう。
チームの得点の半分近くに絡み、フィニッシュワーク以外でも絶大な貢献度を誇る細谷抜きに今のレイソルは成り立たない。
今年は五輪イヤーということで本人も鼻息荒く、さらなるゴール量産にも期待が懸かっている。

それだけに、五輪までの間に可能な限り勝ち点を積み上げることが残留のためには絶対条件。
五輪後も彼がこのチームに留まっている保証はなく、彼に代わる実力者を獲得することも現実的ではないため、何とか7月までの間に大きな貯金を作りたい。

幸いなことに昨季は天皇杯決勝に進出するなどシーズン終盤を良い形で終えたため、この流れをどこまで今シーズンに持ち込むことが出来るかどうか。
キャンプでの調整はもちろんのこと、開幕時からチーム内の空気をしっかりと引き締めるマネージメント力も井原監督には求められるだろう。


ガンバ大阪 (昨シーズン16位)
『今季も戦力と戦術の乖離は解決せず。指揮官にも現実的な采配が求められる。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 5
DF 6
GK 7
指揮官 6
【総合値】30(18位)
【補強評価】D
【キーマン】一森純


ポヤトス新監督のもとで特異なポゼッションサッカーに取り組んだ昨季だったが、戦術の浸透が最後まで進まず16位という低調な結果に。
そもそも戦力と目指す戦術が全く一致していないことは明らかだっただけに、ポヤトス体制の継続が決まった今オフは指揮官の意向に沿った新戦力の獲得が必須という状況だった。

しかし、新加入選手の顔ぶれを見ると今年も狙い通りの補強ができたとは言い難いだろう。
そもそもシーズン終了後から補強の噂が各メディアで乱立し、他クラブの有力選手に「手当たり次第」のオファーを出していたという印象が否めない。
その上で噂の上がった有力選手は大半が獲得失敗に終わっており、レギュラーとして期待できる獲得選手はごく僅か。
鈴木と岸本という徳島時代を知る2名の加入は心強いが、全体的に見ると戦力の上積みは少なく、むしろ「ピッチ上の指揮官」とも評された山本悠樹の退団で戦力ダウンと言っても過言ではない。

それでも、中谷、坂、そして一森と、CBとGKには足元の技術に定評のある選手が加わった。
最後尾から丁寧にパスを繋ぐサッカーにおいてとりわけ一森の復帰は大きな価値を伴うものがあり、一年間だけとは言え優勝を争うマリノスでプレーした経験もチームに還元したい所だ。

とにもかくにも、降格が3枠となる今季は昨年のように戦術の浸透に悠長に時間を割いている余裕はまるでない。
戦力面での後押しが乏しい中で松田浩氏が強化部長に就任するという「保険」をかけられたポヤトス監督には同情の余地も多いが、時には自身の理想を捨ててでも今季は結果に執着した戦いが求められることとなってくる。