2024年J1戦力診断 その4 | BBGのブログ

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【2024年J1戦力診断 その4】

鹿島アントラーズ(昨シーズン5位)
『新監督の指導力や選手層の極めて薄い戦力に、大きく不安の滑り出し。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 8
MF 8
DF 8
GK 7
指揮官 6
【総合値】37(9位)
【補強評価】E
【キーマン】ギリェルメ・パレジ


ここ数年は目まぐるしい監督交代が続いているが、22年秋から指揮を執った岩政監督もわずか1年半で退任が決定。
後任人事には注目が集まったが、OB路線からもブラジル人路線からも外れ、ランコ・ポポヴィッチ監督の招聘という思わぬ新監督が決定した。

日本での指導歴が長く誰もが知る存在ではあるものの、直近で指揮を執ったC大阪や町田での評判は芳しくない。
ワンツーを多用したサッカーは既に賞味期限切れとも揶揄されており、リーグ優勝という目標に対して相応しい監督とは言い難いのが率直な感想である。

極めて少数精鋭の陣容を好むチーム運営も現代サッカーの潮流から外れつつあるが、鹿島というビッグクラブでも同様の姿勢は一切変わらず。
特に不安なのはDFラインの層の薄さであり、右SBはルーキー濃野のフル回転が必須なことに加え、残りの3枠もバックアッパーがほぼ不在という状況に陥っている。
佐野が海外移籍秒読みとも噂されるボランチも人材苦のポジションであり、主力選手の大半は負傷離脱が許されない。
このような状況下で良いトレーニングが出来るとも考えづらいが…主将の鈴木を筆頭に選手たちが前向きな姿勢で練習に取り組んでいる点には安心だ。

戦力的不安はさておき、8年ぶりのリーグ制覇を本気で狙うのであれば昨季のような出遅れだけは絶対に許されない。
外国籍選手の移籍における失敗や遅れが目立つ中で、ただひとりキャンプ初日からチームに合流して練習試合ではゴールも挙げているギリェルメ・パレジのブレイクに期待を懸けたい。


浦和レッズ(昨シーズン4位)
『新監督の後押しに大型補強を敢行。新戦術の導入には中盤の強度向上が必須。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 8
MF 8
DF 9
GK 9
指揮官 8
【総合値】42(3位)
【補強評価】A
【キーマン】S・グスタフソン


リカルド・ロドリゲス体制で築いたパスサッカーをベースに、堅守の要素を上手く組み合わせたスコルジャ采配が当たった昨シーズン。
リーグ最少の27失点という成績で4位まで順位を上げることになったが、代表監督のオファーを受けたとされるスコルジャ監督はわずか1年での退任となってしまった。

クラブが次に選んだ監督はノルウェー代表監督の経験も持つ、マティアス・へグモ監督。
ここ数年の「北欧色」が強い人事であり、ショルツやホイブラーテンとの親和性という面でも期待できるだろう。
アジアはおろか国外での指導もこれが「ほぼ初めて」という点には不安が残るものの、指導歴を考えれば申し分のない人選であることは間違いない。

注目の戦術に関しては、ハイプレスをベースとしたアタッキング・フットボールを好むとのこと。
就任と同時に4-3-3への移行を既に明言しており、神戸やマリノスのようなサッカーを志すこととなるだろう。
これまでのサッカーとはやや毛色が異なるものの、現在のJリーグでは主流となりつつあるスタイルだけにファンの期待も高まっている。

また、クラブもヘグモ監督を後押しすべく今オフは大型補強を敢行。
昨季の課題だった「エースの不在」に対してチアゴ・サンタナ(22年J1得点王)の獲得で一発回答しただけでなく、得点力不足が指摘されていたサイドハーフのポジションにはASローマからソルバッケンというビッグネームの獲得にも成功した。
その他にも補強選手を挙げればキリがないが、アタッキング・フットボールを成功させるためには中盤の強度が重要なポイントとなってくる。
現状この「強度」にやや不安があるだけに、新加入選手の中では現役スウェーデン代表のサミュエル・グスタフソンが最もカギを握る選手となるだろう。


サンフレッチェ広島(昨シーズン3位)
『優勝へ向けて勝負のシーズン。充実の陣容が出揃ったFW陣の活躍に期待大。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 9
MF 7
DF 8
GK 9
指揮官 9
【総合値】42(3位)
【補強評価】C
【キーマン】加藤陸次樹


スキッベ監督就任以降2年続けてリーグ3位という好成績で終え、いよいよ体制3年目。
クラブにとっては大願成就となる新スタジアムで迎える一年だけに、目標はもちろんリーグ優勝のタイトルとなるだろう。

補強に関しては、今オフに限っては大橋の補強程度に留まったものの、昨季途中にマルコス・ジュニオールと加藤を迎え入れているため十分な戦力が出揃った。
外国籍選手4名に加えて満田、加藤、大橋という顔ぶれが揃うFW陣はリーグ有数のラインナップとも言ってよく、チーム内の激しい競争による相乗効果にも期待が寄せられている。

一方で中盤からDFラインにかけてはやや選手層が薄く、不測の事態が起きた際の対応に関してはスキッベ監督の柔軟性が求められることとなってくる。
ボランチに関しては昨季の後半戦で何度か見られた満田の起用を予想する声も多いが、彼の得点能力を考えるとやはり勿体ないという感は否めない。
エースの満田の能力を最大限に活かすためにも、昨季低調なパフォーマンスに終わった野津田の再起には強い期待が寄せられている。

DFラインはこの2年間「佐々木・荒木・塩谷」のフル稼働が続いているため、バックアッパー不足に対する過度な心配は必要ないか。
とはいえ佐々木と塩谷は揃って大ベテランの域を迎えているだけに、その観点からも優勝のためには今季が最も重要なシーズンという位置づけになるだろう。

キーマンには昨季の加入以降13試合で5得点と高い決定力を発揮した加藤陸次樹を挙げる。
C大阪をシーズン途中に退団するという選択は多くの物議も醸したが、そこまでしても移籍を選んだクラブ愛(ユース出身)を胸にチームを9年ぶりの優勝へと導きたい。


横浜F・マリノス(昨シーズン2位)
『昨季の反省を踏まえた補強に成功。DFリーダーと新守護神の活躍が重要だ。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 10
MF 9
DF 9
GK 7
指揮官 8
【総合値】43(2位)
【補強評価】C
【キーマン】畠中槙之輔


連覇を逃しただけでなく、無冠に終わる悔しい思いを味わった昨シーズン。
マスカット監督からキューウェル監督へと体制が代わり、新たなる船出でタイトル奪還を目指す。

監督としての経験も浅く未知数の存在であるキューウェル監督ではあるが、経歴を見てもポステコグルー監督からの系譜を継ぐ人選だけに大きな不安は要らないだろう。
ブラジリアントリオも無事に全選手が残留し、監督交代による大崩れはまず考えられない。

昨季はDF陣に怪我人が続出したことが優勝逸の最大の要因となっただけに、今オフはDFの補強が相次ぐ形となった。
CBには渡邊と山村を、さらに左SBには加藤蓮と「3番手」に近い選手にまで即戦力を加え、これほどの戦力が揃えばどんな緊急事態があっても間違いなく対応が効くはずだ。

更に大きな意味合いを持つのは韓国から3年ぶりの復帰となった天野純の存在となる。
ボランチも渡辺皓太と喜田への依存度が極めて高いポジションだったので、マリノスのサッカーを誰よりも知る天野の復帰は心強い。
マスカット体制ではビルドアップの不安定さも課題に挙げられていたが、技術に長ける天野の加入が解決の糸口となる可能性も十分あるだろう。

いずれにせよ、チーム再建へ向けては昨季リーグ8位という結果に終わった失点数の減少が必須。
長期離脱からの復帰が見込まれる畠中にはDFリーダーとしてチームを牽引する活躍が求められることとなる。
また、一森が退団した後の守護神として名前が挙げられているポープ・ウィリアムを不安要素として指摘する声も強いだけに、彼がその重圧を跳ね返すことが出来るかも重要なポイントだ。


ヴィッセル神戸(昨シーズン1位)
『昨季の課題だった選手層の拡大をクリアし、連覇は至上命題の陣容が完成。』

2024年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 9
MF 9
DF 8
GK 9
指揮官 9
【総合値】44(1位)
【補強評価】A
【キーマン】井手口陽介


ポゼッションスタイルからの転換が見事にハマり、ショートカウンターを武器に初の優勝を達成した昨シーズン。
連覇へ向けて重要な今オフは、とにかく選手層の拡大に徹底して取り組んだ。

GKにはオビと新井、DFラインには広瀬と岩波、中盤には井手口と鍬先、そして前線には宮代と、いずれも即戦力を加えることでチームの陣容は一変。
まさしく2チームが組めるほど充実のラインナップが完成し、このオフ最も補強で成功したチームと言っても過言ではないだろう。
以前のような豪華絢爛な外国籍選手の補強ではなく、ビッグネームではなくとも確実に計算できる戦力を優先する補強方針も高く評価したい。

これで昨季の課題だった「主力選手とバックアッパーの実力差」は一気に解決。
2年ぶりの出場となるACLとの両立にも十分耐えうる、連覇は至上命題に近いメンバーが出揃った。

中でもカギを握るのは福岡から獲得した井手口陽介の存在となるだろう。
選手層の拡大を目的として獲得した他の選手とは異なり、今季の新加入選手ではただひとりのレギュラー候補として期待値は極上。
現在の神戸のスタイルとの親和性の良さも感じるだけに、彼の加入で中盤の強度は更に高まることが予想されている。

懸念要素があるとすれば、過密日程に大迫と武藤の2名がどこまで耐えられるかになるだろう。
ある程度リーグに専念できた昨季とは異なり、ACLとの併用が予想される今季はコンディション維持に不安が残る。
どれだけ補強しても替えの効かない存在だけに、彼らに不測の事態が起きることだけは避けたい。