2023年J1通信簿 その4 | BBGのブログ

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【2023年J1通信簿 その4】

■4位 浦和レッズ 15勝12分7敗 勝ち点46
『新監督の就任で堅守の確立に成功するも、僅か1年で体制が終了。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】80点
【DF】90点
【GK】90点
【指揮官】80点
【総合点】410点(5位)
【補強評価】C
【MVP】A・ショルツ


成果の乏しかった3年計画が終わり、ポーランドからスコルジャ監督を迎え入れた新シーズン。
前体制の「遺産」とも言えるもののACL決勝を見事制し、リーグでも4位までジャンプアップするなど収穫の多い一年となっただろう。

近年は監督交代の度にチームのスタイルが大幅に入れ替わるなど継続性の乏しいシーズンが続いていたが、スコルジャ監督は就任してすぐにチームの現状と課題を素早く把握。
前体制で築き上げたポゼッションスタイルをベースにしつつ、新たにゾーンディフェンスを組み込むことでチームに守備の安定をもたらした。
待望の「左利きCB」として加わったホイブラーテンの活躍もあり、失点は昨季から10以上も減らすことに成功。
37歳にしてまだ成長を続ける守護神西川の活躍もあり、年間27失点と驚異の数字で最少失点の栄誉を獲得した。

その一方で年間を通して悩まされたのが得点力不足であり、ショルツ&ホイブラーテンの「鉄壁コンビ」とは対照的にこちらは外国籍選手が軒並み期待に応えられなかった。
春先に急遽獲得したホセ・カンテは代名詞となった「理不尽ゴール」を武器に夏場以降奮闘を見せたものの、全体的にタレント力不足だった感は否めない。
中島翔哉や安部裕葵の「復帰組」の獲得も不発に終わり、攻撃面に関しては補強戦略が失敗だったと言わざるを得ないだろう。

就任早々に結果を残したスコルジャ監督だったが、そのプロフェッショナルな姿勢ゆえに望んだ補強が進まぬクラブに納得がいかず。
母国の代表監督という名誉あるオファーを受けたこともあり、わずか1年での退任が決定した。
次期監督は未定だが、今季スコルジャ監督が見せたように今季の収穫をしっかりベースにしてくれる監督を探し当てたい所だ。


■3位 サンフレッチェ広島 17勝7分10敗 勝ち点58
『スキッベ監督のもと、今季も若手選手が存分に力を発揮し上位をキープした。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】80点
【DF】90点
【GK】90点
【指揮官】90点
【総合点】420点(3位)
【補強評価】D
【MVP】大迫敬介


ルヴァン杯制覇、天皇杯でも準優勝という結果を残した昨季に比べるとどうしても見劣りしてしまうものの、群雄割拠のJ1の舞台にて2年続けて3位という成績は高い評価に値するだろう。
ましてや今季は開幕前の選手補強もほとんどなかったことを考えれば、リーグ戦で勝ち点3を上積みしたという事実には胸を張っていい。

4バックの新布陣など、開幕前に指揮官が目論んだ「戦術の幅を広げる」という狙いは残念ながら不発に終わった。
昨季と同様に戦術面で目を見張るような部分があったチームではなかったが、それでも好成績を残し続けるスキッベ監督のマネージメント能力には改めて舌を巻く。
就任以降何度も強調する「選手の個性を尊重する」サッカーで、結果を両立するというのは決して容易なことではない。
他に類を見ない指導法で、今のJリーグの中でも一際異彩を放っている監督と言っていいだろう。

こうした采配のもとでのびのびと能力を高めた満田が今季は攻撃の核となっただけに、彼が12節の大怪我で長期離脱となった点は極めて残念だった。
満田離脱時の成績は11戦でわずか2勝と結果が如実にその存在の大きさを物語っており、彼がフルシーズン戦うことが出来れば優勝争いも決して夢ではなかっただろう。

それでも、満田に続いて今季はルーキーの中野や越道など新たな若手選手が急台頭。
川村拓夢はA代表に選出されるまでの選出に成長し、更には夏に加入した加藤が13試合で5得点を挙げ「ストライカー不足」にも解決の糸口が見えてきた。

実際にスキッベ監督自身も終盤戦の結果には手応え十分という様相で、来季へ向けては強い自信を隠さない。
悲願の新スタジアムで迎える来シーズンは、いよいよ8年ぶりのリーグ制覇を視界に捉える一年となるだろう。


■2位 横浜F・マリノス 19勝7分8敗 勝ち点64
『想定外の怪我人多発と補強の失敗が重なり、初の連覇にわずか届かず。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】100点
【MF】80点
【DF】80点
【GK】80点
【指揮官】80点
【総合点】420点(3位)
【補強評価】E
【MVP】アンデルソン・ロペス


33節まで優勝を争いながらも、神戸にわずか及ばず初のリーグ連覇は夢と消えた。
ルヴァン杯も準決勝で敗退とタイトル獲得もならなかったが、逆に言えばどのクラブよりも厳しい日程の中で最後まで優勝を争ったことは一定の評価にも値するだろう。

タイトルに手が届かなかった要因は、例年を遥かに上回る怪我人の多さだった。
特に不運だったのはDFラインに怪我人が集中したことで、今季はベストメンバーが最後までほとんど組めないまま終了。
一時期は喜田がCBに回るほどのスクランブル体制を強いられるなど、ここまでの非常事態はさすがに想定外だったことは間違いない。

ただし、シーズン前の「備え」もやや甘かった感は否めない。
昨季MVPを獲得した岩田や高丘らが退団した一方、彼らに代わる補強選手は明らかに質不足。
新加入の上島、井上、植中は揃って低調な結果に終わり、戦力ダウンがモロに響く結果となってしまった。

また、昨季から課題に挙げられていた「引いた相手の崩し方」に関しては、今季も大きな課題として乗り越えられないままであった。
良くも悪くも「ブラジリアントリオ」に頼ったサッカーにはファンからも徐々に不満の声が高まっており、マスカット監督の退任も致し方ないところだろう。

後任にはマスカット監督と同郷のハリー・キューウェル氏の名前が挙がっており、アタッキング・フットボール路線は来季以降も継続となることはどうやら確実だ。
長らく同じスタイルのサッカーを続けているによる継続した課題やマンネリ感をどのように打破するか。
新監督の腕の見せ所でもあるが、まずはしっかりとした補強で選手層の拡大を図りたい。


■1位 ヴィッセル神戸 21勝8分5敗 勝ち点71
『指揮官の大胆な決断にベテラン選手たちが応え、悲願のリーグ制覇を達成。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】100点
【MF】80点
【DF】90点
【GK】90点
【指揮官】100点
【総合点】460点(1位)
【補強評価】B
【MVP】大迫勇也


昨シーズンは13位に終わったチームが、序盤戦から思わぬ快進撃を披露。
最後まで優勝争いはもつれたものの、終わってみれば年間を通してほとんど首位を譲ることなく悲願のリーグ制覇を成し遂げた。

優勝の最大の要因は、簡単に言うのであれば「脱・イニエスタ」にあっただろう。
圧倒的な実績を誇るが故にチームの中心選手から外すことの出来なかったイニエスタをベンチに置き、長らく取り組んだパスサッカーからの大きな方向転換を図ることは決して簡単にできる決断ではなかったはず。
この決断を容赦なく下し、そして選手全体に浸透させた吉田監督のマネージメントはお見事。
加えて、そうした状況下でも不満を漏らさずに最後まで円満にクラブを去ったイニエスタやサンペールの「人間力」にも賛辞を送りたい。

結果的にパス数は12位、逆にインターセプト数がリーグ1位を誇る「ショートカウンター」を武器にしたサッカーが完成し、チーム全体のパフォーマンスが今季は格段に向上。
戦術転換のキーマンとなった齊藤と主将の山口が中盤でボールを狩り続け、攻めに転じると武藤と佐々木が高い推進力でボールを運び、フィニッシャーとして大迫が抜群の決定力を発揮する。
シンプルだが破壊力抜群のサッカーで、得点数は昨季から倍増に近い数字を記録した。

また、年間を通してほとんどパフォーマンスを落とさずに全日程を走り抜いたベテラン陣の活躍にも最高の評価を与えたい。
イニエスタの稼働率にチーム全体が左右されたこれまでのチームとは一変し、彼らタフネスなベテラン陣がチームを牽引したことで「連敗ゼロ」という高い安定感の確立にも成功した。

その一方で控え選手たちとの実力差はチームの課題としても残ったが、本多や井出が望外の活躍で優勝に貢献するなど、フロントも「味のある」補強で現場を巧みにバックアップ。
誰よりもこのクラブを知る吉田監督のもと、過去にない「一体感」がクラブ全体に生まれたことが優勝の最大の要因と言えるだろう。