2023年J1通信簿 その2 | BBGのブログ

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【2023年J1通信簿 その2】

■13位 京都サンガF.C. 12勝4分18敗 勝ち点40
『戦術面での上積みは少なくも、攻撃陣の奮闘で2年連続の残留に成功。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】320点(12位)
【補強評価】D
【MVP】豊川雄太


昨季から順位では3つ、勝ち点では4を積み上げ緩やかながら成長が見られる一年に。
降格1枠という特例のシーズンではあったものの、鬼門の昇格2年目を乗り越えての2年連続残留という結果だけで一定の評価には値するはずだ。

試合内容に関しては良くも悪くもチョウ・キジェ流を今季も貫いたと言えるだろう。
徹底したハイプレスに基づいたショートカウンターは引き続きチームのストロングポイントとなった一方で、課題だった「攻撃の組み立て」は今季もほとんど進められなかった。
パス数はリーグ最下位とビルドアップはほぼ放棄というのが現実であり、一時はリーグ戦で8戦未勝利の状態が続くなど停滞感の強い試合が多かったのも事実である。

しかし、得点数で見ると昨季よりも10得点もの上積みに成功。
これは、チョウ監督との親和性の良さを見せ加入2年目で10得点とブレイクした豊川、そして夏の加入で見事なスマッシュヒットとなった原大智など、戦力面での上積みによる部分が大きいと言っていい。
特に8月に加入してから13試合で7得点4アシストという結果を残した原の活躍ぶりはすさまじく、彼が来季も京都でプレーするとなった場合は要注目の存在になってくる。

来季へ向けては何とか戦術面での積み上げを見せたいところだが、就任以降の試合内容を見ていると現状からの大きな変化はあまり望みにくいという印象は否めない。
京都でも4年目のシーズンを迎えチョウ監督にとってもひとつ「結果」が欲しいシーズンとなるが、あとは補強の成否と既存戦力の成長に懸かっていると言えるだろう。
6月にA代表召集を受けるなど成長著しい愛弟子の川崎や、白井の退団により空いた右SBを見事物にした福田らのさらなるブレイクに期待したい。


■12位 北海道コンサドーレ札幌 10勝10分14敗 勝ち点40
『例年通りの中位キープも、後半戦の成績には来季以降への危機感も漂う。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】70点
【DF】70点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】330点(14位)
【補強評価】C
【MVP】浅野雄也


クラブ史上最長政権を維持するペトロヴィッチ体制にて、いよいよ6年目となった今シーズン。
ここ数年はマンネリ化を指摘する声も強くなっているが、今季も成績はこれまでとほぼ横ばい。
目標としていたタイトル獲得にも程遠く、マンネリ感は否めない結果となってしまった。

リーグの中でも決して資金力には優れない立場ながら、毎年大きな戦力の入れ替わりもなく中位を維持しているという点は一定の評価にも値することは間違いない。
もはや知り尽くされている「ミシャ式」のスタイルは、相手からの対策に屈することなく今季もリーグ3位の56得点を挙げるなど持ち前の攻撃性を発揮してくれた。

しかし、リーグワースト2位の61失点と「取る以上に取られる」サッカーも相変わらず。
ハマった時はいい試合をするが…というのも最早お約束の枕詞となっており、長年見ているファンにとっては失望感が上回るシーズンだったのではないだろうか。

特に今季は前半戦目覚ましいパフォーマンスで攻撃を牽引した金子拓郎の退団以降目に見えて成績が下降し、後半戦に限ってはわずか3勝と全く立て直しの効かないままシーズンが終了となってしまった。
愛弟子の駒井をCFで起用するなどといった奇策も功を奏したとは言い難く、いよいよミシャサッカーにも限界の予感が漂いつつある。
シーズン終了後にはサポーターから厳しい批判の横断幕も掲げられたが、こうしたアクションも現状の結果より来季以降への危機感あってこそのものだろう。

クラブがこの危機感をきちんと共有できていればいいのだが、長年続く「良くも悪くも中位維持」という安心感にどっぷりと浸かっているようでは、思わぬ落とし穴が待ち受けることになるだろう。
目標に掲げるタイトル獲得を本気で目指すのであれば大きなテコ入れが必要になるが果たして。


■11位 FC東京 12勝7分15敗 勝ち点43
『戦力に合わない監督選考で収穫なき一年に。来季以降への見通しも暗く。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】50点
【総合点】300点(15位)
【補強評価】D
【MVP】ディエゴ・オリヴェイラ


ポゼッションスタイルにこだわるアルベル体制で2年目のシーズンを迎えたが、指揮官の目指すサッカーは今季も全く形にならないままであった。
過去の指導者が長らく積み上げてきたこれまでのスタイルとは180度異なるサッカーの導入はやはり無理があり、大きなサポートもないまま指揮だけを託されたアルベル自身も被害者と言っていいだろう。
もちろん、戦力に見合った適切な軌道修正が出来なかった点は自身の責任も重いが、結局前半戦を折り返したタイミングでアルベル体制は終焉を迎えることとなる。

後任人事には注目が集まったが、山形を解任にされたクラモフスキー監督の招聘という一手も極めて失望感の強い選択だったと言っていい。
ここ数年の実績を見ると指導成績は下降の一途を辿っており、厳しく言えばアルベル体制の「型落ち」感は否めなかった。
モチベーターの才を発揮して就任直後こそ公式戦3連勝を飾ったものの、戦術面では前任からの進歩を見せられずに成績は徐々に低迷。
結局年間を通して10位付近を前後しただけに過ぎず、実に6年ぶりとなる二桁順位でのフィニッシュとなった。

アルベル、そしてクラモフスキーとクラブがここまで「ポゼッション」に拘る理由は不明だが、そこまで拘るのであればスタイルに合わせた補強は必須だろう。
チームを変えたいと意欲十分で加入した仲川は戦術の犠牲となって低調な結果に終わり、11位という順位もディエゴ・オリヴェイラの孤軍奮闘に何とか助けられての結果だった感は否めない。

戦力面では十分な陣容を誇るだけにファンにとっては歯がゆいシーズンとなったが、クラモフスキー監督の続投が決定と来季へ向けての見通しも暗い。
それこそ大型補強がなされない限り、さらなる順位低下も決して有り得なくはないだろう。


■10位 アルビレックス新潟 11勝12分11敗 勝ち点45
『徹底的な継続路線がJ1の舞台で花を咲かせ、実り多き一年を過ごす。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】80点
【DF】70点
【GK】80点
【指揮官】80点
【総合点】370点(8位)
【補強評価】C
【MVP】小島亨介


J1昇格初年度となった今季、即戦力の補強は太田と新井のみという徹底した「継続路線」で臨むこととなったが、結果的にはこの選択が見事ヒット。
前任のアルベル監督がFC東京で苦戦するのを横目に、長らく積み上げたパスサッカーを見事J1の舞台でも披露してみせた。

際立ったのは「誰が出ても質の落ちないチーム全体の戦術理解度」であり、前半戦目覚ましい活躍を披露した伊藤涼太郎の退団にもチームは全く揺らぐことはなかった。
主軸の舞行龍ジェームズや堀米悠斗などにも怪我が相次ぐ一年だったものの、こうした苦境にも屈せず安定した成績を維持。
伊藤の抜けた穴を埋めた三戸はリーグのベストヤングプレーヤーを受賞するまでの活躍を見せただけでなく、昨季はバックアッパーに留まった渡邊や秋山もJ1の舞台で堂々たるプレーを披露した。

こうした結果はまさに長年同じ陣容で戦ってきた継続性の成果であり、彼らを巧みにやり繰りした松橋監督の手腕もお見事。
チームと共に選手ひとりひとりも大きな成長を遂げるシーズンを過ごし、守護神の小島亨介は4年ぶりとなるA代表復帰も勝ち取った。
彼の活躍に引っ張られるようにチームはラスト4試合をクリーンシートで締めくくり、横浜と敵地で互角に渡り合うなどファンにとっては最後までエキサイティングな充実の一年となったろう。

近年のJリーグはパスサッカーを志すチームが軒並み苦しむ中、自分たちのスタイルを貫き通してのこの成績は数字以上の価値を伴うことは間違いない。
チームワークの良さも感じられ、今季のJ1の中で特にポジティブな感想を抱いたクラブのひとつだったと言えるだろう。


■9位 セレッソ大阪 15勝4分15敗 勝ち点49
『選手個々は奮闘するも得点が遠く。攻撃の行き詰まりを来季は解消させたい。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】70点
【DF】80点
【GK】80点
【指揮官】70点
【総合点】370点(8位)
【補強評価】C
【MVP】香川真司


リーグ5位、ルヴァン杯準優勝という成績を足がかりに、今季こそタイトル獲得をと意気込んで臨んだが、タイトルレースはいずれも早々に敗退。
リーグ戦でも順位を4つ落とすなど、不本意な結果に終わったことは間違いないだろう。

戦力を見ると新加入のレオ・セアラは期待通りに12得点を記録し、香川真司は全試合に出場するなど溌剌としたプレーで期待以上の活躍を披露した。
毎熊はA代表でも常連に上り詰めるなど充実のシーズンを過ごした選手が多かったのだが…終わってみれば得点数はリーグ15位の39得点と得点力不足が大きな足かせに。
「エース不在」と言われた昨季より更に得点減という結果には首を傾げたくもなるが、攻撃面での「戦術の行き詰まり」が得点力不足の要因としては挙げられるだろう。

ドリブル数リーグ2位、クロス本数リーグ3位という結果からも明らかなように、良くも悪くも攻撃はサイドアタック一辺倒。
カピシャーバやクルークスは積極的な仕掛けと技術の高さこそ披露してくれたものの、最後の部分で連動性やアイデアが少なく、攻撃は散発に終わるものが多かった。
クロスの「的」となる加藤陸次樹がシーズン途中でまさかの退団となった影響も大きく、レオ・セアラに匹敵する期待値で迎えられたクルークスの活躍も物足りなかった感は否めない。

こうした誤算はあったとは言え、チームがもう一段階ステップアップするためには攻撃面での戦術のアップデートは必須だろう。
各選手の献身性やハードワークを怠らない組織力はリーグ随一の集団と言えるが、果たしてもう一歩突き抜けたチーム作りをすることが出来るか否か。
来季は就任4年目を迎える小菊監督にとっても、ひとつ正念場のシーズンとなることは間違いない。