2023年J1通信簿 その1 | BBGのブログ

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J2に続き、J1も2023年シーズンの通信簿企画を始めたいと思います。
まずは下位の5クラブからスタート。今年も降順に発表しますのでよろしくおねがいします!


【2023年J1通信簿 その1】

■18位 横浜FC 7勝8分19敗 勝ち点29
『新戦力が機能せず、スタイルの転換にも失敗。わずか1年での再降格に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】280点(18位)
【補強評価】D
【MVP】井上潮音


実に20人を超える新戦力を補強し、昨季から様変わりとなった陣容で挑んだ新シーズン。
しかし、その新戦力の大半が機能せず、昨季までの積み上げも失われる結果となってしまった。

新戦力はほとんどがJ2からの補強となったこともあり、シンプルにJ1の舞台で通用しない選手が多かった感は否めない。
DFリーダーとして期待されたンドカは軽率なプレーで失点に関与する場面が多く、坂本や高井といったアタッカー陣もJ1の選手を相手には力を発揮することが出来なかった。

加えて、四方田監督が試みた攻撃的サッカーへの転換もチームの混乱に拍車をかけることに。
シーズン半ばからは重心の低い守備的サッカーへと切り替えたものの、開幕10戦でわずか勝ち点2に終わった序盤戦の大スランプがあまりにも悔やまれる。
降格枠が1だったことを考えれば、リスクを負ったスタイルの転換は失策だったと言わざるを得ないだろう。

夏場には横浜ダービーでマリノスを4-1と撃破するなど波に乗ったかのように思われたが、攻撃のキーマンだった山下の離脱もあって終盤戦でまたも最下位転落。
リーグ戦では複数得点を挙げた試合がわずか5試合のみと、とにもかくにも最後まで攻撃陣の出力不足に苦しんだ。
小川航基のシーズン中の退団は想定外だったかもしれないが、彼に代わる戦力の補強が一切なかった点にも不満は残る。

これにて結局わずか1年でのJ2復帰が決定。
この結果を受けても四方田監督の続投が決まっただけに、来季は継続性を武器に「昇格後」も見据えたチーム作りを進めたい所だ。


■17位 柏レイソル 6勝15分13敗 勝ち点33
『遂に露呈されたネルシーニョ監督の限界。井原体制でも収穫は乏しく。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】50点
【総合点】300点(15位)
【補強評価】D
【MVP】細谷真大


尻すぼみな結果で終わった昨季終盤の不安を払拭すべく、オフには近年珍しい大型補強を敢行。
前線からDFラインまで即戦力となる実力者を多数加えたのだが、結果としては目標に掲げた勝ち点60にまるで及ばない結果となってしまった。

第二次政権も5年目を迎えたネルシーニョ監督にとっては、ここ数年囁かれていた「限界説」がまさしく露呈するシーズンになったと言えるだろう。
昨季は細谷という新星の台頭に引っ張られて望外の結果を残したものの、「戦術皆無」と言われる個人能力頼みのサッカーが長く通用するほど今のJリーグは甘くない。
土台となる戦術がない分新加入選手たちのフィットも「出たとこ勝負」となってしまい、半数近い選手は宝の持ち腐れ状態となってしまった。

また、少しでも結果が出ないと選手選考が「取っ替え引っ替え」になってしまう悪癖も相変わらずで、シーズン序盤戦ではサポーターと指揮官が度々衝突するなどチーム状況は最悪の状態に。
降格1枠という特例のシーズンながら、高額な違約金を支払ってでも解任を選んだクラブの判断もやむを得ないと言っていい。

後任となった井原新監督のもとでも長らく低迷が続いたが、何とかチームとしての戦術が定まった夏場以降は成績が向上。
犬飼や山田雄士の獲得も大きなヒットとなり、天皇杯では決勝進出という明るい話題も振りまいてくれた。

とはいえ、リーグ戦に関してはあくまでも「特例」に救われただけに過ぎず、結果内容ともに最後まで厳しいシーズンだったことは間違いない。
井原監督の続投は決まったものの、天皇杯決勝という結果にクラブ全体が慢心するようなことがあれば来季も厳しいシーズンとなるだろう。


■16位 ガンバ大阪 9勝7分18敗 勝ち点34
『指揮官の戦術と戦力の乖離があまりにも大きく、停滞感の漂う厳しい一年に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】290点(17位)
【補強評価】E
【MVP】ファン・アラーノ


片野坂体制がわずか半年で終わり、松田浩監督のもとで何とか残留にこぎつけた昨シーズン。
今季は心機一転スペイン人監督のダニエル・ポヤトスを招聘し、再度ポゼッションスタイルに取り組むシーズンとなった。

しかし、掲げた理想こそは高かったものの結果と内容がまるで伴わない一年に。
最終ラインからの丁寧なビルドアップに取り組んだものの、そもそも指揮官の目指すサッカーと抱えている陣容が全く不一致だった感は否めない。
開幕前の補強に関しても果たして指揮官のリクエストに沿ったものなのかと疑問の声が上がっていたが、やはりと言うべきかジェバリやネタ・ラヴィはフィットに時間を要することになってしまった。

それでも彼ら新外国籍選手が徐々に力を発揮することでチームの成績も一時は向上。
15節からは引き分けを挟んで7連勝と順位も急上昇させたが、一転して26節からは1分8敗という非常に厳しい成績にて尻すぼみにシーズンを終えた。

ラスト9試合では勝敗もさることながら得点もわずか2点に終わるなど、課題だった得点力は最後まで向上せず。
ポヤトスサッカーへのフィットに苦しんだ宇佐美や鈴木武蔵といったタレントは最後までコンディションを上げられず、チーム全体からはどこかどんよりとした停滞感が最後まで拭えなかった。

若手選手の突き上げも乏しく極めて収穫の少ないシーズンとなってしまったが、それでもポヤトス監督の留任は決定。
来季のレギュレーションならば降格となる立場だけに指揮官には厳しい評価を下さざるを得ないが、留任と決めたからにはクラブにも今度こそ的確なサポートを求めたい。
千住と戦力に大幅な乖離が見られるだけに相当なテコ入れが求められるが、それを実行するくらいの覚悟がなければ引き続き茨の道が待ち受けることだろう。


■15位 湘南ベルマーレ 8勝10分16敗 勝ち点34
『一度はどん底まで落ち込むも、夏の選手補強を機にV字回復に成功した。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】70点
【指揮官】60点
【総合点】320点(12位)
【補強評価】C
【MVP】大橋祐紀


最後の昇格となった2017年以降、6年連続にてJ1での戦いとなった今シーズン。
W杯メンバー選出も果たしたエースの町野も残留し「そろそろ残留よりもひとつ上のステージを」と、目標を2年連続「5位以内」に定める強気な姿勢での開幕となった。

開幕戦は山口監督が追い求めるハイプレスのサッカーが機能し、鳥栖を5-1で破る見事な滑り出しとなったが、残念ながらスタートダッシュも僅か1試合までだった。
すぐさまロングボール主体の「湘南対策」を各クラブに敷かれると勝ち点が伸び悩み、得点力不足と合わせて守備の脆さを大きく露呈。
長らく守護神を務めた谷の穴も大きく、4月に入ってからは10節からは泥沼の公式戦6連敗。
その後も大量失点の試合が続き、結果15試合に渡って未勝利が続くなど近年でも稀に見る大スランプに陥ってしまう。

スタジアムの空気もこれまで以上に荒む中、転機となったのは夏に加わった新加入選手の存在だ。
札幌から加入したキム・ミンテは、対人戦の強さに加えて統率力を発揮しすぐさまディフェンスリーダーに。
サポーターの盛り上げ役も担うなど、チームの雰囲気を一変させた陰のMVPと言っていい。
加えてヨーロッパから復帰した田中聡もすぐさまレギュラーに君臨し、フィットが進んだソン・ボムグンも夏場以降は出色のパフォーマンスで多くの勝ち点奪取に貢献した。

夏にドイツへと去った町野の穴は大橋が期待以上のパフォーマンスで補ったこともあり、9月以降のリーグ戦では5勝2分2敗と右肩上がりのフィニッシュに成功。
目標とした5位には遠く及ばなかったものの、一時はどん底の状態にあったことを考えればこの結果は讃えて然るべきだろう。

「ひとつ上のステージ」への到達に向けてはまだまだ課題が多いものの、町野や大橋といった優れたタレントが続々と台頭するのはチームがいいサイクルにいる証。
ホームで神戸と互角に渡り合うなど自信に繋がる試合も多かっただけに、来季こそは目標の5位にひとつでも近づくシーズンとしたい。


■14位 サガン鳥栖 9勝11分14敗 勝ち点38
『多くの選手の才能を引き出しながら、今季も数字以上に充実の一年を過ごす。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】70点
【指揮官】70点
【総合点】330点(11位)
【補強評価】B
【MVP】長沼洋一


昨季から順位は3つ、勝ち点も4減少と数字的には決して満足なシーズンとは言えなかっただろう。
ただし、資金力では引き続き厳しい立場の中で、群雄割拠のJ1において引き続き中位をキープしている点は数字以上の評価を与えて然るべきはずだ。

就任2年目となった川井監督のもと、今季は「どんな選手が出ても点を取り続ける形を構築すること」を目標に掲げ、実際にリーグ5位の得点数を記録するなど一定の成果を挙げることに成功した。
岩崎や堀米に続き、今季は30歳を迎えた小野裕二が自己最多の9得点をマークする出色の活躍ぶり。
加入2年目となった長沼もMFながら10得点と、見事キャリアハイとなる成績を残してみせた。
ポゼッションにこだわる特異な戦術を敷きながら、選手の才能を巧みに引き出す指揮官の柔軟な手腕には改めて賛辞を送りたい。

チームとして確固たる戦術が浸透しているからこそ、多くの新加入選手もスムーズにフィット。
熊本から加わった河原はフルタイム出場を果たして早くもチームの心臓を担い、山形から加わった山崎も初のJ1の舞台で堂々たる活躍を披露した。
J3の松本から獲得した横山歩夢も、終盤戦は鮮烈な活躍を披露し来季要注目の選手となるだろう。

このように、他クラブにはない「創意工夫」を持ち味に、川井監督就任以降は数字以上に収穫の多いシーズンが続いていることは間違いない。
あとはこの収穫を何かインパクトのある結果に繋げられればベストなのだが、2年続けて天皇杯でJ2クラブに敗れるなど「勝負弱さ」が現チームにとっては最大の課題となってくる。
こればかりは戦術の工夫では簡単に解消できることではないものの、川井体制3年目となる来季は何かひとつ結実となる成績を残したい所だ。