2023年J2通信簿 その4 | BBGのブログ

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【2023年J2通信簿 その3】

■8位 ヴァンフォーレ甲府 18勝10分14敗 勝ち点64
『ACLの舞台で結果を残しながらも、最後まで昇格を争う充実のシーズンに。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】70点
【DF】80点
【GK】60点
【指揮官】70点
【総合点】350点(8位)
【補強評価】B
【MVP】長谷川元希


昨シーズンは天皇杯で優勝という快挙を達成した一方で、リーグ戦では18位と大低迷。
今季はACLでGS突破を目指しながらリーグ戦での浮上を目指すという難しいシーズンになったが、終わってみればその目標を「ほぼ達成」したシーズンと言えるだろう。

もちろん最終節でロスタイムに逆転ゴールを許しプレーオフ出場権を逃したという結果に悔しさは残るものの、順位で見れば9つのランクアップに成功したのは事実。
何よりも評価されるべき結果は初出場となったACLでの健闘であり、最終節を残した現段階でグループ首位に立つという素晴らしい戦いぶりを見せている。
決して豊富な戦力を擁しているとは言えない中で、9月からの「超過密日程」をわずか2敗で走り抜けている点は篠田監督の手腕も高く評価すべきであろう。

選手個々の活躍に目を向けると、今季も20代前半の若い選手達の活躍がチームの原動力となった。
ルーキーながら即座に中心選手となった井上や三浦など、近年の甲府の代名詞となっている「大卒選手のスカウティングの上手さ」は今年も健在。
主将の須貝が7月に退団という非常事態に際しては即座にC大阪から松田陸という実力者を加え、さらに8月に加入した中村亮太朗もスマッシュヒットとなるなど移籍市場での立ち回りの上手さも印象的だった。

それだけに、欲を言えばもう少し戦術の整備が進めばという思いがあるのもまた事実。
2大会でのローテーション起用などマネージメントの面では篠田監督は能力を発揮したものの、チームのスタイルは選手の能力に依存した部分が強く戦術面での工夫は最後まで乏しかった。
選手個々で見れば素晴らしい活躍を見せた選手が多い中で、得点数と失点数のいずれもが昇格を狙うチームとしては厳しい数字に終わった点が「戦術の欠如」を物語るとも言えるだろう。

このオフは長谷川や井上などが既にJ1勢からのターゲットとなっており、彼らを可能な限りプロテクトしながら2月再開のACLに備えるという難局がこの先には待ち構えている。
選手補強、そして課題の戦術整備は、わずか1ヶ月弱の急ピッチでの仕事が必須だが果たして。


■7位 V・ファーレン長崎 18勝11分13敗 勝ち点65
『リーグ有数の戦力を抱えながら、選手ありきの戦い方に終始し中位に埋没。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】60点
【DF】70点
【GK】80点
【指揮官】60点
【総合点】350点(8位)
【補強評価】C
【MVP】ファンマ・デルガド


来年に完成する新スタジアムをJ1で迎えるためにも、大型補強で勝負をかけた新シーズン。
エースとして期待されたファンマは26得点で得点王と文句なしの活躍を見せ、同じく新守護神の波多野もフルタイム出場を果たすなど期待通りのプレーを披露したものの、チーム全体の成績が伴わずプレーオフ出場すら叶わぬ一年となってしまった。

不満が残ったのは就任2年目となったカリーレ監督のチーム作りとなるだろう。
途中就任となった昨季はポゼッションスタイルへの転換に向けてある意味勝ち点を犠牲にする部分も多かったが、結局そのスタイルは今シーズンも身につかず。
パス数ではリーグ18位とポゼッションはほぼ放棄したに近く、だからといって代わりに別のスタイルを導入したという成果も見られなかった。
良くも悪くもファンマに依存したサッカーが続き、その一方でファンマのような絶対的存在のいなかったDFラインは軽率な失点を連発。
選手の能力ありきのサッカーしか出来ないようでは、7位という結果も致し方ないと言っていい。

そんな中でもカリーレ監督の要望になるべく応えるべく、クラブは夏の移籍でも積極補強を敢行。
最終的に外国籍選手は8人、途中退団した選手も含めると年間を通して11名もの選手が在籍するなど、順位に見合わぬ強大な戦力だけが残されることとなってしまった。

このように厳しい評価を下さざるを得ないシーズンだったが、クラブは先日監督の続投を発表。
この決断には首を傾げざるを得ないが、来季の昇格のためにはまず膨れ上がった戦力の整理が必須となってくる。
その上で、もう少し戦術面で主体性のあるフットボールを求めたいところだが…ブラジルやアジア各国での豊富な実績を持つ指揮官にまだ「策」が残されていることを願うばかりである。


■6位 ジェフユナイテッド千葉 19勝10分13敗 勝ち点67
『小林監督の就任と補強が当たり、着実な積み上げが見られる一年を過ごした。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】80点
【DF】70点
【GK】60点
【指揮官】80点
【総合点】370点(6位)
【補強評価】A
【MVP】見木友哉


3年間に渡ったユン体制が終わり、小林監督にバトンタッチして迎えた新シーズン。
新体制が発足したにも関わらず開幕前の補強も乏しく、「ハイプレスサッカーへの再転換」というワードにも期待感は極めて低かった。

事実、開幕してからの2ヶ月間は苦しみに苦しんだと言っていい。
開幕戦での勝利以降は8試合に渡って勝利のない時期が続き、9節終了時には21位ともはや降格を危惧する声の方が強かった。

しかし、そこから一度はハイプレスを諦め、重心の低いサッカーに切り替えたことが見事ヒット。
日高と田中和樹の両サイドアタッカーがそれぞれ推進力を発揮することで深い位置からのカウンターも相手の脅威となり、夏にドゥドゥが加入するといよいよサイドアタックが攻撃の生命線に。
苦しみながらも勝ち点を積み上げた前半戦で守備強度の増したチームは、再び本来目指した「ハイプレス」を戦術に組み込みながら破竹の快進撃を披露する。
8月以降いよいよ手のつけられなくなったチームは31節からの7連勝で一気に順位を6つ押し上げ、見事に大逆転でのプレーオフ進出を勝ち取った。

残念ながら39節、そしてPO1回戦では2度とも東京Vに敗れる「力負け」で昇格こそ叶わなかったものの、年間を通して着実な成長と積み上げが見られ、近年では最も充実感のあるシーズンとなったのは事実。
特に光ったのは小林監督のモチベーターとしての能力であり、前半戦の不振の中でも選手たちからの求心力を失うことなく、対話を重ねながら練習から強度の高いチーム作りを成功させた。
理論派だった選手時代の印象からは想像の付かない情熱的な言動でファン・サポーターも盛り上げ、近年見られなかったフクアリの活気を取り戻す原動力となった点も高く評価したい。

先に挙げた日高と田中に加え、ルーキーの小森がチーム最多の13得点を挙げるなど、開幕前は不安要素のひとつだった新加入選手たちはむしろストロングポイントに。
それだけに今オフはまず彼らをいかに「守り抜く」かがカギとなるが、今年見せた指揮官の指導力を考えればたとえ誰が引き抜かれることになったとしても来季の千葉には期待が抱けるだろう。


■5位 モンテディオ山形 21勝4分17敗 勝ち点67
『渡邉監督の絶妙な軌道修正が結果を残し、来季に大きく繋がる一年に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】80点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】80点
【総合点】380点(5位)
【補強評価】B
【MVP】南秀仁


昇格プレーオフ決勝で涙を飲んだ昨季を踏まえ、今季こそ昇格をと強い決意で臨んだシーズンだったが…蓋を開ければ開幕からまさかの大低迷に。
代名詞とも言えるアタッキングサッカーがもはや「賞味期限切れ」だったクラモフスキー監督は相手の厳しい対策を前に為す術がなく、3節からの5連敗で早々と解任が決定してしまう。
後を引き継いだ渡邉新監督のもとでも早急な立て直しは叶わずに連敗は8まで伸びることとなってしまったが、11節での勝利以降チームは徐々に勝ち点を積み上げることで自信を掴んでいった。

前体制のサッカーを決して無駄にすることはなく、その上で自身のスタイルを上手く融合させた渡邉監督の手腕は特筆に値するものがあったと言っていい。
クラモフスキー体制では粗も多かったポジショナルプレーは監督の交代で急激に完成度を高め、丁寧なビルドアップの導入で南や西村といった技巧派の選手は更にその才を伸ばすこととなった。

そんな指揮官を大きく助ける存在となったのが夏の加入で加わった高江麗央の存在であり、彼が中盤の底でアンカーとして機能することでチームはグッと完成に近づくことに。
じわじわと調子を上げながら、38節からの5連勝で鮮やかに逆転でのプレーオフ出場を勝ち取った。

プレーオフ1回戦では清水相手にどうしてもゴールをこじ開けることが出来なかったが、シーズン中の就任という難しい立場ながら結果と内容の両立に成功させた渡邉監督の手腕には改めて拍手。
極端に引き分けが少ない成績は「安定感の欠如」という面で不満も残る一方、7月のダービーでは4得点を挙げて快勝するなどハマった時の破壊力という面で大きな魅力を放ってくれた。

昇格のためにはもちろん来季この17敗という敗戦数を少しでも減らしていくことが求められるが、大きな戦術の転換なく軌道修正に成功した点はオフの移籍市場でも有利に働くことだろう。
手薄なポジションにピンポイントな投資を施し、来季は自動昇格を照準に入れる一年としたい。