2023年J2通信簿 その3 | BBGのブログ

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【2023年J2通信簿 その3】

■12位 藤枝MYFC 14勝10分18敗 勝ち点52
『超攻撃的スタイルを貫き通し、リーグでも異質の存在感を放つ。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】70点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】80点
【総合点】310点(11位)
【補強評価】D
【MVP】横山暁之


クラブ初のJ2挑戦となった今季は、12位でのフィニッシュと大健闘の一年に。
J3時代からチームの特徴であった「超攻撃的スタイル」を貫き通し、リーグワーストの72失点記録しながらも多くのアタッカーが躍動する魅力ある試合を展開した。

最も評価すべき点は、攻撃の要であった渡邉と久保が途中退団となったにも関わらず成績を落とさなかった点にあるだろう。
7月の段階で13得点(渡邉)、8アシスト(久保)とそれぞれリーグ有数の活躍を見せていた2名の退団は大きな痛手だったが、チームはその後も持ち前の得点力を維持。
ラスト10戦は3敗で乗り切るなど最後は尻上がりに調子を上げ、降格争いには巻き込まれることなくシーズンを乗り切った。
特に、ホームにて清水を2-0で破った37節は、今季の総決算としての意味合いを越えて「クラブの歴史に刻まれる一勝」と言っていいはずだ。

こうした結果の最大の要因は、須藤監督の戦術がチーム全体に浸透していることにあるだろう。
開幕前の加入選手こそあまりフィットが進まなかったものの、これまでの須藤サッカーを担ってきた中心選手たちがそれぞれ初めてとなるJ3の舞台で躍動。
その中でも特に指揮官を「恩師」と仰ぐ横山暁之の活躍は鮮烈であり、渡邉と久保が抜けたチームを一年間牽引し続け6得点8アシストと素晴らしい成績を残してみせた。

ポゼッションを志向するチームが軒並み苦しんだ今シーズンにおいて藤枝はまさに「異質」な存在と言ってよく、今季のJ2を盛り上げるチームのひとつだったことは間違いない。
須藤監督の契約延長がシーズン最終戦を待たずに発表されたのも当然であり、チームもそして指揮官もここからの行く末が非常に楽しみだ。


■11位 ザスパクサツ群馬 14勝15分13敗 勝ち点57
『補強のヒットと戦術の整備が進み、大きな躍進を遂げる一年に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】70点
【DF】80点
【GK】80点
【指揮官】80点
【総合点】360点(7位)
【補強評価】A
【MVP】中塩大貴


大槻体制初年度は20位という結果に終わり、今季も補強不足を理由に開幕前は降格候補と見る声も多かった。
しかし、蓋を開ければ序盤戦から快進撃を披露しプレーオフ出場権を争う一年に。
ラスト10試合で2勝と尻すぼみな結果に終わり目標は達成できなかったものの、昨季の成績を考えれば大健闘の一年と言えるだろう。

躍進の要因は、「不足」と見られていた補強選手の大ヒットにあると言っていい。
左SBとして全42試合に先発出場し、攻守両面においてチームを支えた中塩は文句なしのMVP。
40試合に出場したCBの酒井は即座に守備の大黒柱となり、新加入ながら10番を背負った佐藤は6得点9アシストと攻撃を牽引した。
昨季途中に関東リーグから加入した長倉のステップアップ(7月に新潟へ移籍)に代表されるように、限られた資金の中で的確な選手補強を行った強化部と大槻監督の慧眼は強い称賛に値する。

もちろん補強方針だけではなく、2年目を迎えた大槻監督のチーム作りも素晴らしかったことは間違いない。
選手を固定し、ピッチ上での優先順位を明確にするシステマチックなサッカーが機能したことで、今季のザスパはチームの安定感が大幅に向上。
リーグ4位の44失点という堅守を武器に、粘り強く勝ち点を積み上げて昇格戦線へと食い込んだ。
中塩や酒井の加入でDFラインからのビルドアップ力も向上し、昨季のように跳ね返すばかりのサッカーからの脱却にも成功してみせた。

その一方で、大半の選手が年間フル出場となったことによる「息切れ」が終盤戦でのスランプを招いたのもまた事実。
理想を言うのならば今オフは選手層の増強を図りたいところだが、岡本や天笠ら若手選手たちは長倉に続いて上位クラブからのターゲットとなることは間違いない。
選手スタッフの素晴らしい奮闘に、何とかフロントが応えたいところだが果たして…。


■10位 ファジアーノ岡山 13勝19分10敗 勝ち点58
『弁明の余地は残るも、木山サッカーに頭打ちが見られるシーズンだった。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】290点(14位)
【補強評価】D
【MVP】鈴木喜丈


昨季は3位にまで進出した上で、今季はその結果を担った中心選手たちが概ね残留。
継続性を武器に挑みながら、PO進出すら叶わぬ10位という結果には強い失望感が残る。

開幕から15試合を終えた段階で4勝1敗10分と、とにかく勝ちきれない試合が続いた今シーズン。
この成績をどう捉えるかは難しいところだったが、「優勝」というクラブの目標設定が焦りを生んだか木山監督の選手起用は安定感を欠くこととなった。
週替わりのような采配が続き、結局今季から本格導入となった4-4-2は早い段階で頓挫となってしまう。

それでも夏場には4連勝を達成するなど復調の兆しを見せるも、クラブ初の5連勝を懸けた山形戦を前に体調不良に拠る離脱者が相次ぐなど不運にも見舞われた。
結局この試合を落としてからは7戦でわずか1勝に終わり、最後まで波に乗り切れないシーズンに。
4連勝を除くと連勝はわずか1回のみと、爆発力に欠けた点が昇格を逃した大きな要因であることは間違いない。

元々優勝という目標は無理があったことや、佐野の途中退団(8月に海外移籍)など木山監督にとっても弁明の余地は少なくない。
デュークの代役として獲得した櫻川が期待に全く応えられなかったことも大きな誤算だった。
粘り強く起用し続けたが年間4得点に終わり、デュークのようなポストプレーでの貢献も少なく後半戦は出場機会が激減。
加えて昨季16得点を挙げたチアゴ・アウベスが負傷離脱を繰り返すなど、全ての責任を指揮官に負わせるのは無理があると言えよう。

しかし、最後まで閉塞感を打ち破れなかった試合内容にはどこか頭打ちという印象も否めない。
良くも悪くも型に嵌まった規律重視のサッカーこそが、「勝ちきれなさ」や爆発力を欠いた最大の要因とも言えるだけに、それこそ優勝を本気で目指すのであれば指揮官の交代も視野に入れる必要があるだろう。


■9位 大分トリニータ 17勝11分14敗 勝ち点62
『序盤こそ好発進も、チームの課題を最後まで解消できずに失望の結果に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】70点
【DF】70点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】310点(11位)
【補強評価】D
【MVP】野村直輝


昨季はルヴァン杯との並行した日程などに苦しみ一年での昇格を逃したものの、終盤戦は快進撃を見せ尻上がりのフィニッシュに成功。
そこから数人の主力選手が退団となったものの、今季こそは昇格の有力候補として目された。

事実、開幕から5試合を4勝1分という結果で発進するという好スタートを披露。
完成度の高いパスサッカーで試合内容でも相手を圧倒し、その後も白星を重ね続けた。

しかし、10節で町田に敗れて首位を明け渡すことになると途端に歯車が狂ってしまう。
70%のボール保持率を記録しながら1-3で敗れたこの試合は選手たちの自信を奪ったか、その後の2試合も同じような形で連敗。
また、三竿の退団によりDFラインからのビルドアップの質が落ちた今季は、この時期から相手FWのプレスに苦しむ場面が多く見られるようになった。

このようにチームの課題は明確だったのだが、下平監督は最後までこの課題を解消することが出来ないままであった。
選手の起用こそ目まぐるしく入れ替えたものの、戦術面での修正が効かないチームは試合を追うごとに低迷が顕著に。
7月から9月にかけての15試合でわずか3勝に終わるなど、気づけば首位争いはおろかプレーオフ圏外まで押し出されることになってしまう。

結局このまま最後まで浮上できず、昨季を下回る9位という結果でシーズンが終了。
最終節を待たずに下平監督の退任が発表されたのも妥当と言わざるを得ず、チームは大きな分岐点に立たされていることは間違いない。
ここ数年拘り続けてきた「ポゼッション志向」にはある程度メスを入れるべきだと思われるのだが、一部メディアで噂される片野坂知宏氏の「再登板」が事実であれば先行きは暗いと言わざるを得ないだろう。