2023年J2通信簿 その2 | BBGのブログ

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【2023年J2通信簿 その1】

■17位 水戸ホーリーホック 11勝14分17敗 勝ち点48
『継続性や育成型クラブというワードが虚しく響く結果に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】50点
【総合点】280点(17位)
【補強評価】D
【MVP】武田英寿


秋葉前体制でヘッドコーチを務めた濱崎監督のもと、継続性を重視して挑んだ新シーズン。
しかし、順位を4つ落としただけではなく、失点が20近くも跳ね上がるなど悪い部分が多く目立つ一年となってしまった。

昨季から多くの選手が残留となるなど、編成に継続性を持たせたフロントの仕事は評価に値する。
一方、エースだった木下の穴埋めなど重要なポジションの補強を怠ったツケはやはり大きかった。
育成型クラブとして若手選手を多く獲得したものの、J2で結果を残すにはやはり役不足なラインナップだった感は否めない。
柱となる選手が不在のチームは安定感を欠き、最後は7戦未勝利と迷走したままでのフィニッシュとなってしまった。

また、こうした若手中心のチームを纏めるにあたって秋葉前監督は高いマネージメント能力を発揮していたものの、濱崎監督は残念ながらその能力に欠けていたと言っていい。
厳しく言えばこれまでも戦術面では見るべき点が少なく、「戦う」「走る」と言った部分で何とか渡り合っていたチームだったが、ポゼッションという目標を追い求めるあまりそうした「水戸らしさ」が失われてしまう結果に。
戦術面での軌道修正力も見られず、試合中の采配にも多くの不満が残ることとなった。

それでも何とか残留という結果はつかみ取り、恐らく濱崎体制は来季も継続となるだろう。
しかし、経営規模はまだまだ小さくても今の水戸は決して「残留でよし」というクラブではない。
育成型クラブや攻撃的サッカーといった聞こえのいい言葉に逃げるのではなく、戦力面への投資やコーチングスタッフの編成などにおいて「本気」を感じることが出来る仕事を今オフは求められることとなるだろう。


■16位 ベガルタ仙台 12勝12分18敗 勝ち点48
『ピッチ内外でクラブがバラバラの状態が続き、過去最低に近い一年に。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】70点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】50点
【総合点】280点(17位)
【補強評価】D
【MVP】郷家友太


1年でのJ1復帰が叶わず、昨季終了後からクラブは積極的な補強を敢行。
郷家や林などJ1での実績も豊富な選手に加え、エヴェルトンやホ・ヨンジュンなどの期待値が高い外国選手も獲得し、開幕前は昇格の有力候補として挙げられることも多かった。

しかし、開幕10戦でわずか3勝と開幕直後から苦しい滑り出しでの幕開けに。
一時は5戦で4勝など復調の兆しを見せるものの、20節から11戦無敗と泥沼に陥ってしまう。
この間に監督が伊藤監督から堀監督へ交代となったが、可変式システムやポジショナルプレーを志向した伊藤監督の挑戦はまるで形にならないまま半年程度で終了となってしまった。

確かに他球団が羨むほどの戦力を抱えていた今季の仙台だったが、伊藤監督の目指すサッカーとの相性が良かったかと言われると疑問は残る。
特にGKを含めたDFラインの技術不足は顕著であり、最終ラインからのビルドアップがままならない試合が頻発。
伊藤監督自身も采配に柔軟性が欠け、選手の特性に合わせたサッカーを仕込むことが出来なかったという印象だ。

後任の堀監督を含めて選手のマネージメント能力にも欠けており、ピッチ上の選手たちからはあまり一体感や献身性なども感じることが出来なかった。
加えて今季はシーズン中にサポーターグループの問題行為や、元社員の不正行為などが発覚するなどピッチ外でも不祥事が多く、クラブ全体がバラバラに近い一年に。
結局、昇格争いはおろか40節で何とか残留決定という過去最低に近いシーズンとなってしまった。

残念ながら浮上の兆しすらが見えない状況が続いているが、堀監督の退任も決定しただけに何とか監督人事で起死回生を図りたい。
現有戦力とチームの課題に沿った監督を招聘したいところだが、ここ数年のフロントの動きを見ているとあまり期待は抱けないのが率直な感想である。


■15位 徳島ヴォルティス 10勝19分13敗 勝ち点49
『監督経験ゼロの指揮官のもとではやはり結果が出ず。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】50点
【総合点】290点(14位)
【補強評価】D
【MVP】森海渡


ロドリゲス、ポヤトス、そして今季から指揮を執ったラバイン監督とスペイン路線を継続して臨んだ新シーズン。
柿谷が12年ぶりに復帰を果たすなど昇格へ向けて「時は来た」かと思われたのだが、蓋を開ければ序盤戦から低空飛行の一年に。

これまで築き上げたポゼッションスタイルをベースに、縦に速い攻撃や積極的なプレッシングを植え付けたいと意気込んだラバイン監督だったが、懸念された「監督経験ゼロ」という部分がやはり大きく不利に働いた感は否めない。
試合中の交代策などで後手に回るケースが多く、結果が出ない時期の修正力も低かった。
目指したサッカーは確かに聞こえこそよかったものの、攻守両面で選手に多くを求めすぎるあまりチームは混乱に陥ってしまう。
開幕から11戦未勝利、21節からも10戦未勝利と長いスランプ期が続き、結局31節が終了した時点で解任が決定。
ラバインサッカーの可能性を信じるべきとの声も挙がったが、当時19位という順位を考えれば解任は致し方ないと言えるだろう。

後任を務めた吉田達磨監督は「理想の追求よりもとにかく残留」と残留を第一にしたチームづくりに舵を切り、チームはそこから順位を4つ上昇させることに成功した。
しかし、この結果はあくまでも「最低限」に過ぎず、来季への可能性が感じられたかと言われると首は縦に振りづらい。

事実、来季の監督人事に関しては未定という状況が続いており、クラブは新たな監督の招聘を探っている線もありそうだ。
ラバイン体制こそ失敗に終わったものの、明確なスタイルを定めたここ数年のクラブのチャレンジには評価できる部分も少なくない。
大幅な路線の転換など、近年の努力が水泡に帰すような選択を取らないことを願うばかりである。


■14位 ロアッソ熊本 13勝10分19敗 勝ち点49
『今季の戦力で昨季の再現を狙うのはあまりにも無理があった。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】300点(13位)
【補強評価】D
【MVP】平川怜


昨シーズンはJ2昇格初年度にして4位フィニッシュと大躍進。
POでも快進撃を見せJ1昇格にあと一歩のところまで迫ったものの、最後の最後で昇格が叶わなかった結果、シーズン後には多くの主力選手が引き抜かれることとなってしまった。

ほぼ「総取っ替え」に近い退団ラッシュに対して、加入した選手たちはあまりにも小粒だった感は否めず、今季は周囲からの懸念通りに開幕直後から大苦戦。
特に22節からは13試合未勝利と一時は降格圏ギリギリまで順位を落としたものの、終盤戦で何とか息を吹き返して残留という最低限の結果は掴み取ることに成功した。

一昨季までJ3にいた事を考えれば2シーズン続けての残留という結果をポジティブに捉えることも出来るが、この結果は十分予期できただけにフロントの責任は重いだろう。
大木監督の指導力を悪い意味で過信した感は否めず、いくら何でもこのメンバーで昨季を上回る成績を求めるというのは無理がありすぎた。
厳しい状況でも指揮官を信じ抜いた選択が「残留争い」という局面では功を奏したものの、悪く言えば最後まで何も手を打たなかったとも言っていい。
どん底の状況から自力でチームを引き上げた大木監督の采配は、去年とは違った意味で称賛に値するはずだ。

その一方で、リーグでは厳しい結果に終わったものの天皇杯ではベスト4まで進出するなど快進撃を披露。
2年続けてファン・サポーターに大きな夢を見させてくれた点は素晴らしく、これまでのクラブの歩みが正しかったことを結果で示したと言えるだろう。

夢を夢で終わらせないためには、このオフ戦力面での継続性を持たせたい所。
平川や江崎など注目株となりつつある選手が多いだけに、今季こそは最低でも何人かはしっかりとプロテクトしたい。


■14位 ブラウブリッツ秋田 12勝15分15敗 勝ち点51
『今季も持ち前の堅守を武器に大健闘。何とかスタジアム問題の解決を。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】70点
【DF】80点
【GK】60点
【指揮官】80点
【総合点】340点(10位)
【補強評価】B
【MVP】藤山智史


吉田監督のもと、「徹底」や「秋田一体」という言葉を合言葉にJ2では強烈な存在感を放つ存在に。
その一方で今季は開幕前に多くの主力選手が退団となり、さすがに降格を予想する声も多かった。

それでも蓋を開ければ13位とこれまでとほぼ変わらない成績で残留争いとは無縁の一年に。
得点37はリーグ最下位だったものも、失点もリーグ4位の44失点と堅守を武器に多くの上位クラブを苦しめた。

守備に関しては特に選手の退団が多かっただけに、この結果は吉田監督の指導力およびチームとしての総合力の高さを雄弁に物語ると言えるだろう。
新加入の河野や阿部、ルーキーの高田がすぐに主力選手として大活躍した点は、確固たるクラブとしての哲学があってこそ。
こうしたチームの方向性に沿って、少ない資金ながら的確な補強を披露するフロントの仕事にも高い評価が与えられて然るべきだ。

それだけに、シーズン終盤で上がった「ライセンス問題による降格の可能性」は残念な話題だった。
現状のソユーススタジアムがJ2ライセンスを満たしていないことに起因する問題であり、新スタジアムの建設計画も一向に進まないことから一時はJ3降格濃厚とも囁かれることに。
何とかギリギリの所で「温情」に近いライセンスが交付されたものの、スタジアム問題に進展がない限りはJ1昇格はおろかJ2残留もままならない。

選手・スタッフは素晴らしい奮闘を見せているだけに地元自治体からの支援が進まないのは傍から見てももどかしく、ここは何とかフロントがチームを後押ししたい所。
強いて現場に注文をつけるのであれば、今季は後半戦ホームで0勝と「外弁慶」な成績となってしまったので、来季はソユーススタジアムでひとつでも多くの勝利を挙げて市民にアピールしたい。