2023年J2通信簿 その1 | BBGのブログ

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今シーズンのJ2も42試合および昇格プレーオフがすべて終了となりました。
J2に関しては先にベストイレブンの発表も終えてますので、ここからは各クラブに絞っての通信簿企画を始めたいと思います。
例年通り全22クラブの2023年シーズンを採点させていただきますので、5回の更新を最後までご覧ください!!!(今年は降順に発表いたします)

【2023年J2通信簿 その1】

■22位 ツエーゲン金沢 9勝8分25敗 勝ち点35
『限界を迎えていた柳下体制に依存し続けたがゆえの降格劇。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】50点
【DF】40点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】270点(20位)
【補強評価】D
【MVP】藤村慶太


柳下体制も7年目に突入。
来季からこけら落としとなる新スタジアムの存在もあり今季は勝負の一年として臨んだものの、結果的には最下位で降格という皮肉な結末となってしまった。

戦力面でも例年より充実したメンバーを揃えたのだが、結果的には戦力の充実よりも長期体制ゆえのマンネリ化が勝ってしまったという印象だ。
厳しく言えばマンネリ化と言うよりも「柳下監督の限界」と言うべきか。
年間最多失点での降格となったが、60失点を超えるのは今季も含めるとこれで実に4年連続。
課題だった守備の脆さは結局最後まで一切立て直しが進まず、この点に関しては指揮官の責任が重いと言わざるを得ない。
試合後の会見で選手の不甲斐ないプレーを嘆く姿も、あまり快いものとは言い難かった。

その一方で、昇格以降財政状況が厳しいチームをこれだけ長期に渡りJ2に残留させ続けたのも柳下監督の手腕に拠る部分が大きいだろう。
本来であればクラブの功労者として扱われるべき監督でもあるだけに、「別れ時」を見誤り最後まで依存し続けたフロントの判断は極めて残念。
30節から13試合未勝利で降格とチームはもはや崩壊に陥っていたが、最後まで一切補強やコーチングスタッフの見直しなどにも動かなかった点にも疑問が残る。

これにて来季は10年ぶりにJ3の舞台で戦うことが決定したが、これまで頼り続けてきた指揮官はもういない(退任が決定)。
クラブとしてどのようなサッカーを志しどのような指揮官を招聘するのか、クラブの歴史にとってこのオフは未来に関わる非常に重要な期間となるだろう。


■21位 大宮アルディージャ 11勝6分25敗 勝ち点39
『チーム内の緩さや甘さに改善が効かず、無念のJ3降格が決定。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】50点
【DF】40点
【GK】50点
【指揮官】50点
【総合点】250点(22位)
【補強評価】E
【MVP】市原吏音


一昨シーズン、昨シーズンと降格争いを強いられるシーズンが続いていたが、今季はついに降格が決定。
開幕以降ほとんど降格圏から浮上できず、37得点71失点という数字を見ても降格はやむなしと言わざるを得ないだろう。

近年課題に挙げられていたチームとしての「緩さ」や「一体感の欠如」は今季も改善が見られないままであった。
前半戦で指揮を執った相馬監督はチーム内のこうした雰囲気を変えることが出来ず、戦術以前の部分に大きな問題を抱えたチームは軽率な失点を連発。
球際の弱さや走力の欠如が散見される試合内容は、結果以上にファンを大きく失望させることとなった。

相馬監督の解任後、本来ならばこうしたチームの目を覚まさせる「劇薬」のような監督の招聘が望ましかったのだが、原崎ヘッドコーチの内部昇格という選択が解任の決定打に。
チームの空気を変えることはおろか、戦術面でも見るべき点が少ない原崎体制のもとでチームはさらなる低迷に陥ってしまう。
終盤戦で突如4連勝という快進撃を披露したものの、試合中の采配なども鑑みても原崎監督に評価すべき点はほとんどなかったと言っていいだろう。

もっとも、こうした監督人事しか打てなかった裏にはクラブの財政状況も大きく関わっていることだろう。
選手たちのプレーから情熱があまり伝わってこなかった点に関しても、クラブ内部に大きな問題を抱えているから故という可能性もありそうだ。

親会社のNTTが撤退という噂も報じられるなど、現在のクラブを取り巻く環境はまさに最悪の状況だ。
一年でのJ2復帰といった簡単なセリフではなく、ファン・サポーターには正しい現状説明と明確なビジョンの提示が求められている。


■20位 レノファ山口 10勝14分18敗 勝ち点44
『目標とは程遠い結果に。新体制も尻すぼみな結果で終了。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】60点
【総合点】270点(20位)
【補強評価】E
【MVP】前貴之


トップ6入りと強気な目標を掲げてシーズンインしたが、終わってみれば20位という結果に。
得点37はリーグワースト、失点67はリーグワースト5位と非常に厳しい一年だったと言わざるを得ないだろう。

アグレッシブで攻撃的なサッカーという名塚監督の掲げたサッカーは、残念ながら実態を伴わずにシーズン序盤から瓦解してしまった。
退団した主力選手に代わる新戦力のフィットが進まなかった点は指揮官にとっても大きな誤算であり、高井や沼田といった個の力に優れる選手の退団がそのまま直撃。
ボールは保持できてもチャンスが遠いストレスの募る試合が続き、5月という段階で早々と解任が決定してしまう。

次期監督にファン・エスナイデルを招聘するという思い切った決断には注目が集まったものの、21節から6試合連続のクリーンシートを達成するなど思わぬ形で成績が向上。
結果的にこの時期に稼いだ勝ち点が残留に大きく影響しているだけに、エスナイデル監督の招聘は正解だったと言っていいだろう。

ただし、以降の成績は低迷が続き来季へ向けての期待感はほとんど感じられないままシーズンは終了となってしまった。
守備の安定もあっという間に消え去ってしまい、27節以降は16試合で29失点とむしろ失点が止まらず。
ホームでは8戦で3勝と粘り強く勝ち点を積んだものの、残留という結果以外は評価しづらいままエスナイデル監督はシーズン終了と共に退任が決定。

わずか半年間での退任も致し方ない結果ではあったものの、来季へ向けての上積みはほとんど得られない一年間であったことも事実だけにフロントの責任は重い。
レノファらしいサッカーという定義も霞んできている感は否めないだけに、来季は正念場の一年となるだろう。


■19位 栃木SC 10勝14分18敗 勝ち点44
『フロントのサポートがないまま、時崎体制は終焉が決定。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】280点(17位)
【補強評価】D
【MVP】根本凌


時崎体制2年目のシーズンとなったが、今季も残留争いからは脱せずに18位にて終了。
結局最終節を待たずして時崎監督の退任も決定し、ポゼッションスタイルの確立を目指した2年間の挑戦も終焉となった。

結果としては17位、18位と「失敗」と言わざるを得ない結果だったが、果たしてその責任は時崎監督が負うべきだったかは疑問が残る。
特に今季は開幕前に主力選手が次々と引き抜かれた中で、彼らに代わる補強選手の獲得がほぼ0名とフロントからのサポートはほとんど見られなかった。
夏にイスマイラ、レアンドロ・ペレイラとネームバリューのある外国籍選手を次々と獲得したもの、それはあくまでも残留のための急場凌ぎの補強に過ぎない。
指揮官の目指すサッカーを体現するための選手は年間を通してあまりにも足りていなかった。

外国籍FWに関してもレアンドロ・ペレイラはほとんど戦力となれず、今季も年間を通して39得点と極端な得点力不足に苦しんだ。
一方で47失点と守備に関しては手堅いディフェンスを作り上げ、むしろ戦力を考えれば時崎監督は「残留の功労者」とも呼んで然るべきはずだ。

パスサッカー確立のためには補強資金が足りていなかったのであるならば、身の丈に合わない指揮官を招聘した段階で問題ありと言っていい。
次期監督の人選は未だに見えないが、場当たり的な選考ではなく、長期的な視野に基づいた上での選考がなされない限りは残留争いから抜け出す未来は見えてこないままだろう。


■18位 いわきFC 12勝11分19敗 勝ち点47
『田村監督の就任でチームは一変も、来季への課題は少なくない。』

2023基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】50点
【指揮官】60点
【総合点】290点(14位)
【補強評価】D
【MVP】宮本英治


平均年齢23歳とリーグで最も若い陣容を揃え、走力やアグレッシブさを武器にJ2初挑戦となったものの、序盤戦は苦しい滑り出しに。
若さゆえの経験不足が響いたか、消極的でどこか気後れするような試合内容が散見された。
20節を終えた段階で4勝4分12敗、21位という成績では村主監督の解任も致し方ないだろう。

2年ぶりの再登板となった田村監督に体制が代わると「選手たちの兄貴分」としても知られる指揮官がチームを一変させる。
ミスを恐れぬ勇猛なフットボールが息を吹き返し、就任以降7戦無敗と成績が飛躍的に向上。
その後も13試合でわずか1敗と勝点を粘り強く積み上げ、残留圏からの脱出に成功した。

怪我人の復帰以外は戦力面の補強も一切なかっただけに、田村監督の手腕は見事の一言。
終盤戦はさすがにペースを落として残留決定は41節まで持ち越しとなったものの、課題だった得点力が大幅に向上した点も高く評価すべきだろう。

その一方でこの結果は監督交代という「劇薬」が機能した一過性のものである感も否めず、戦術的な部分で良化が見られたかと言うと答えは難しい。
前半戦に9失点した清水相手にホームでまたも7失点という惨敗を喫するなど、玉砕に近いような無策の試合が多かったのもまた事実である。

ひとまず残留という最大の目標は達成したものの、「同期昇格」ながら12位でのフィニッシュと、J2の舞台でも存在感を発揮した藤枝とは大きく水を開けられることとなった。
いわきらしさというチームの根幹にある部分は取り戻すことに成功したものの、戦力補強を含めたチーム全体の「アップデート」がこのオフは求められることとなってくる。