2023年J2戦力診断 その2 | BBGのブログ

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今月から始めたJ2戦力診断企画、連日更新したいと思います。
今回は第2回。昨シーズン13位の水戸から17位の栃木までの5クラブをご紹介します!


【2023年J2戦力診断 その2】

水戸ホーリーホック(昨シーズン13位)
『継続性の強い陣容ゆえに、いかに前体制からの成長を見せられるかが鍵。』

2023年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 5
MF 7
DF 6
GK 7
指揮官 6
【総合値】31
【補強評価】C
【キーマン】安藤瑞季


3年に渡りチームを率い、水戸に「攻撃サッカー」という新たな文化を根付かせた秋葉監督が退任。
後任の人事に注目が集まったが、濱崎ヘッドコーチの昇格という「継続路線」で新シーズンを迎えることとなった。

監督人事に合わせて選手編成も継続路線を徹底しており、一年ごとに移り変わりの激しかったここ数年のオフとは異なり大半の選手が残留に。
20代前半の選手が大半を占めるラインナップで、今季も攻守両面においてアグレッシブなフットボールを見せてくれることだろう。

その一方で、秋葉体制からどのように変化や成長を見せていくかという面では課題も多い。
喜怒哀楽の激しい言動で人気を集めた秋葉監督の「情熱」がチームの原動力となっていた部分もあるだけに、これが初めてのJリーグでの指導となる濱崎監督が同じようにチームを牽引できるかは不安も大きい。
「攻撃サッカーをさらに進化させたい」とは指揮官の弁だが、昨季10得点を挙げた木下が退団した中で果たしてその目標を実現させることは出来るのだろうか。
局面打開では存在感を放ちながら、年間わずか3得点に終わった安藤の奮起が順位上昇のためには不可欠な要素となるだろう。

このように、戦力に大きな入れ替わりがないからこそ新監督にとっては「違い」を見せるために難しいシーズンになってくる。
秋葉監督の存在に甘えてこれまで通りの戦いを踏襲しても結果はついてこないだろうし、かといって突然大胆な方向転換を強いるのも禁物。
クラブ史上最高順位達成に向けては、ここしかないという絶妙なバランスを見出すことが求められることとなる。


ツエーゲン金沢(昨シーズン14位)
『体制7年目で遂に昇格を意識する一年に。守備の課題をいかに払拭できるか。』

2023年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 7
MF 7
DF 6
GK 7
指揮官 7
【総合値】34
【補強評価】B
【キーマン】孫大河


柳下体制も今年でいよいよ7年目。
マンネリ化が懸念されていた中で昨季は14位と盛り返しを見せるなど、経験豊富な指揮官のもとでチームはまだまだ成長の余地を残しているという印象だ。

そんな中、今オフはフロントが過去にない積極的な補強を敢行。
これまでは若手選手のレンタル移籍などが中心だった中で、石原や加藤といった実績ある選手を次々と完全移籍で獲得。
さらに、日本でのプレー経験があるバイアーノとバイーアの外国籍選手を加え、柳下監督も初めて「J1昇格」というフレーズを口に出すなど期待値の高いシーズンインとなっている。

しかし、昨季リーグワースト2位という結果に終わった守備陣に関しては戦力的なテコ入れはあまり進んだとは言い難い。
小島の補強はあくまでも松田の退団に伴ったものであり、レオ・バイーアも合流が遅れるなどチームへのフィットには不安を残す。
ここ数年は毎年60失点以上を喫している守備の改善がなされない限り、昇格という目標は夢のまた夢と言わざるを得ないだろう。

指揮官が不変である以上はあまり戦術面での改善は期待しにくいが、昨夏の移籍後すぐにレギュラーを獲得した孫のブレイクで守備の不安は補いたいところ。
怪我により戦列を離れている点は大きな懸念要素だが(4月頃復帰見込み)187cmという身長に加えて左足でのフィードも武器にする「逸材候補」だけに今季のJ2でも要注目のタレントと言っていい。

このように、昇格という目標こそハードルが高い感は否めないものの、実績ある選手とポテンシャルの高い若手選手が融合し、体制7年目で最も充実したメンバーが出揃ったことは間違いない。
この戦力をもとにいったい次はどのようなアップデートを目指すのか。まずは柳下監督が今季志向するサッカーの内容に注目だ。


FC町田ゼルビア(昨シーズン15位)
『超積極補強でリーグ随一の陣容が完成。一方で新監督の選考には不安も。』

2023年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 9
MF 8
DF 8
GK 7
指揮官 6
【総合値】38
【補強評価】A
【キーマン】エリキ


サイバーエージェントとのスポンサー契約以降、周囲の期待とは裏腹にここ数年移籍市場での動きは非常に地味だった感は否めない。
しかし、3年計画の3年目で昇格に失敗したことを踏まえ、藤田晋氏が自ら社長に就任した今オフはまさに「大盤振る舞い」。
他の追随を許さない、リーグで最も派手な補強を施して戦力を刷新するオフシーズンとなった。

実に20人近い新加入選手を迎え入れたたためその全てを紹介するのは困難だが、数だけではなく質においても今季の補強は最大限の評価が与えられると言えるだろう。
ネームバリューが先行した補強ではなく、黒川や下田、髙橋といった「J2での実績がある選手」を優先的に獲得する堅実性を見せた一方で、最大の補強ポイントであった前線にはデューク、エリキというビッグネームの獲得でまさに一発回答。
バックアッパーのクオリティ向上にも余念がなく、池田や稲葉といった実力者がサブに控えるリーグ随一の陣容が完成した。

ここまでの戦力を考えればもはや昇格は至上命題となってくるが、どうしても懸念されるのが黒田剛監督を迎え入れた監督人事になるだろう。
高体連では言わずと知れた名将ではあるが、あまり成功例のない転向となるだけに不安は強い。
これだけ確実性の高い戦力を揃えながら、監督人事でここまで博打を打つ必要はあったのだろうか。
ましてやここまで強大な戦力となると、ピッチ内外でのマネージメント力を含めて様々な能力が求められることとなってくる。
ヘッドコーチに招聘した金明輝氏も「ひと癖ある」人物だけに、チームがまとまりきれずに空中分解してしまうような展開は避けたい所だ。

とはいえ、他クラブからすればそれも羨ましい悩みと言っていい。
新たな練習拠点も完成し、ハードとソフト両面でリーグ有数のクラブまで成り上がった今季、勢いのままに2枠の自動昇格枠を是が非でもつかみ取りたい。


レノファ山口(昨シーズン16位)
『退団選手の穴を上回る積極補強。彼らへの戦術浸透が進めば期待も高まる。』

2023年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 5
MF 7
DF 6
GK 8
指揮官 6
【総合値】32
【補強評価】B
【キーマン】皆川佑介


21年の途中からチームを率いる名塚監督のもと、昨季は本来のレノファらしい攻撃的なサッカーに復調の兆しが見られる一年に。
順位こそ16位に留まったものの、一昨季よりも得点を14点も増加させエネルギッシュなサッカーを展開してみせた。

それ故に、攻撃のキーマンを担った高井、沼田、そして橋本といったタレントが次々と引き抜かれることとなってしまったが、チームはこのオフ積極的な補強を敢行。
田中、小林、皆川と、近年はやや燻っている印象はあるものの実績豊富なアタッカーを相次いで獲得した。

また、佐藤への依存度が高かったボランチのポジションには彼に劣らぬ実力者である矢島を獲得。
選手層のアップに加えチーム内の競争が激しくなったこともポジティブな要素であり、概ね選手編成に関しては「上出来」な仕事ぶりだったと言えるだろう。

それだけにあとは名塚監督がこうした新加入選手たちにどれだけ早く自身の戦術を浸透させられるかがポイントとなってくる。
予想スタメンの顔ぶれを見ても半数近くの選手が新加入組となっているだけに、ここで躓いて序盤からチームが迷走してしまうような展開だけは絶対に避けたいところ。
ましてや今季の目標として掲げた「トップ6入り」を叶えるのであれば、序盤戦で波に乗るような展開こそが求められることとなる。

メンバーは刷新されただけに不安も大きいが、加わった面々を見るとそれぞれ攻撃面で秀でた一芸を持ちながら献身性も備え持つ「レノファらしい」タレントと言えるだろう。
その中でやや異質な存在であり、チームに欠けていた純粋なストライカーとしての活躍が期待される皆川佑介をキーマンに挙げた。


栃木SC(昨シーズン17位)
『継続性重視の姿勢は伺えるが戦力補強があまりに乏しい。苦戦必至の一年か。』

2023年予想フォーメーション
【各セクション診断】
FW 6
MF 6
DF 5
GK 6
指揮官 6
【総合値】29
【補強評価】E
【キーマン】高萩洋次郎


時崎新監督を迎え、これまでの栃木には見られなかったポゼッションを重んじるサッカーへの転換を図った昨シーズン。
結果的にはリーグワーストの32得点に終わるなど満足行くシーズンにはならなかったが、布陣や起用などを含め「ベースを作る」一年になったことは間違いないだろう。

それだけに今季は飛躍の一年としたいところだが、まずは大幅な戦力ダウンという厳しい現実が待ち受ける船出となってしまった。
3バックのレギュラーだったグティエレス、鈴木がそれぞれ退団となっただけでなく、時崎サッカーのキーマンであった谷内田も退団に。
こうした戦力流出に対するクラブの動きも鈍く、彼らの穴埋めがほとんど叶わない状態でシーズンインを迎えることとなっている。

その他の所属選手は25人が残留と「継続性」を重視しようという姿勢はうかがえるものの、代えの効かなかった3選手が退団した影響は計り知れないと言っていい。
特に、チームの守備を一手に支えていたグティエレス退団のダメージは甚大で、ここをルーキーやレンタルバックの選手だけで補おうというのは無謀というのが率直な感想だ。

また、32得点という結果に関しても「ストライカー不足」に拠る部分が大きかった感は否めないだけに、FWの補強が0名という結果にも強い疑問が残る。
識者からも評価の高い時崎監督の手腕には期待したいところだが、この戦力で目指すサッカーを完成させられるかと言うと不安は強い。
順位の近かった山口や金沢らが積極的な補強を展開していることを考えても、現状では残留が叶えば御の字という印象だ。