第99回箱根駅伝総括 | BBGのブログ

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第99回箱根駅伝は駒澤大学の優勝という形で幕を閉じました。


下馬評通りの強さを発揮し、見事に三冠達成。
これまでも数多くの栄誉に輝いてきた大学ではありますが、今年の駒澤は「大学史上最も強いチーム」だったと言っていいのではないでしょうか。

全選手が個人成績を区間3位以内でまとめるなど、際立ったのは総合力ならびに各選手の駅伝での強さ。
ベストは程遠い状態ながら2区で意地の走りを見せた田澤を筆頭に、選手ひとりひとりの走りから優勝への強い気持ちや力強さといったものをヒシヒシと感じることが出来ました。

大会後に退任を示唆した「大八木監督のために」という思いの強さも大きく影響したことと思いますが、シーズン前に選手たちから「三冠を目標に臨む」との言葉があったというように、目標へ向けた妥協なき努力がまさに結実されたのが今大会の結果だったと思います。

コンディション不良だったとは言え2区で区間賞を逃した田澤が思いのほかサバサバと「やれることはやった」と振り返ったことからも分かるように、出来る努力は全てやったという自信がチームにはあったのでしょう。
エース格の佐藤が欠場となったアクシデントにも一切揺るがなかった点からも、そうしたチーム全体の自信を強く伝わってきた印象です。


連覇を狙った青山学院大学は、5区を予定していた「若の神」こと若林の直前での体調不良が結果的には大きく響く形となってしまいました。
6区を予定していた脇田を5区に配置し、そして6区には西川を抜擢する「応急処置」で臨みましたが、脇田は区間9位、西川は区間20位と力を発揮することが出来ませんでした。

代えの効かない特殊区間における直前でのアクシデントは確かに対処が難しいですが、その一方で今季の青山学院からは3大駅伝を通じてあまり「らしさ」を感じることが出来ませんでした。

選手個々のハツラツとした走りや、チーム全体の積極的な姿勢があまり見られず、駒澤というライバルを相手に最後までどこか及び腰だった印象です。
最終的に今大会も10人中7人が4年生で占められるなど、下級生の突き上げの少なさが「勢いのなさ」に繋がってしまった部分があるのかもしれません。
近年は圧倒的な強さで常に優勝を争う存在ですが、チームとして過渡期を迎えているのかもしれませんね。


一方、そんな青山をしっかり抑え込んで2位に食い込んだ中央大学の結果は素晴らしかったです。

これにて今季三大駅伝全てで区間賞を獲得した吉居大和の走りも痺れましたが、復路の選手たちが全員好成績でまとめて2位を守りきった点をより強く讃えたいですね。
概ねほとんどの選手が単独走という難しい状況でしたが、誰ひとり気持ちを切らさずにしっかりと前の駒澤大学を追い続けた点からは彼らの「本気度」を感じました。
100回大会で優勝を目指すというのがチームとしての目標とのことですが、十分現実的な目標と言っていいでしょう。
就任当初は1年生の選手を主将に抜擢するなどチーム運営にも非常に苦労していたことを考えると、実に10年近くをかけて母校を強化してきた藤原監督の「諦めない気持ち」にも拍手を送りたいですね。


優勝争いのダークホースとも言われた國學院大学は、主将の中西大翔の欠場も響き4位という結果に終わりました。
その一方で下級生が半数以上を占める編成で4位に食い込んだことを考えると、来季以降もやはり侮れない存在となるでしょう。
出雲と全日本ではそれぞれ2位だったことを考えても「山の選手育成」というチームの課題は明確なので、来季はそこの部分に注力して是非箱根でも勝負できる陣営を作り上げてほしい所。
右肩上がりの成長を続けているエース平林の存在も含め、引き続きこれからが楽しみな大学です。


前回大会の2位という結果には及びませんでしたが、今大会も順天堂大学は最上級生の頑張りで上位に食い込むことになりました。
5区で区間2位の走りを見せた四釜も素晴らしい活躍でしたが、最終10区で区間賞を獲得した主将の西澤の走りには痺れるものがありましたね。

嫌われ者になることも厭わないという覚悟で今シーズンチームの先頭に立ってきたという西澤にとっては、「その分自分が結果で締めなさないといけない」という相当なプレッシャーがあったはず。
そういったプレッシャーを跳ね除けて見事区間賞を獲得した姿は、まさに主将に相応しい堂々たるものがありました。


主将の奮闘と言えば、早稲田大学の井川の走りも今大会のハイライトのひとつと言えるのではないでしょうか。
区間賞こそ獲得できませんでしたが、3区で見せた9人抜きという走りが「予選会からの5位入賞」という結果の最大の要因となったことは間違いありません。
これぞまさしくゲームチェンジャー。1区2区で出遅れてしまったのは残念ではありましたが、井川を3区においた花田監督の采配もズバリ当たりましたね。

また、今大会の早稲田は例年に比べると格段に安定感が高く、各々が持てる力を十分に出し切ったという印象が強かったです。
これまでは優れた選手を多数擁しながらも思わぬブレーキ区間などにより毎年苦戦していましたが、こうした変化にも花田監督の手腕が影響しているのかもしれません。
名門復活へ向けて、来季はより楽しみな一年となることは間違いありませんね。


早稲田の躍進、そして駒澤の結果を振り返ってみても、「10人全員の安定感」の重要性が改めて浮き彫りになった大会なのではないでしょうか。

当たり前のことですが、いかにブレーキ区間なく各選手が安定した成績で襷を繋げるか。
絶対的なエースの存在も大事ですが、それ以上に「平均値」が大事であるという印象を今大会の結果からは受けました。


区間賞の結果を見ても、ほとんどでバラバラの大学の選手が受賞する異例の結果となりました。

たまたまという見方もあるかもしれませんが、各大学が駅伝の強化に力を入れるようになったが故に、有力選手が一部大学に集中するようなケースがなくなってきたことも影響していると言えるでしょう。

以前のように山で圧倒的な成績を残す選手がいなくなったという側面も併せて、「エースよりもバランス」の重要性が上がっていることを感じた2日間でもありました。
もちろんその2つが両立出来ていれば完璧ですし、今季の駒澤はそれに近いチームであったことは間違いありませんが。


そんな中、例年重要性を増している印象を受ける6区で区間賞を獲得した駒澤大学の伊藤に今大会はMVPを贈呈したいと勝手に考えています(笑)

最大のライバル青山がこの6区で「自滅」してしまった感はあるとは言え、この6区の伊藤の走りが優勝を決定づけたことは間違いありません。
1年生で山下りというのは相当なプレッシャーもあったと思いますが、最高の「飛び道具」を手にいれたことは藤田体制(新監督見込み)にとっても大きな後押しとなることは間違いないですね。

また、駒澤で言えば1区で個人2位の成績を残した円の走りも素晴らしかったと思います。
失礼ながらエントリーメンバーの中ではやや不安要素になるかなぁと思っていたのですが、蓋を開ければこれ以上にない仕事ぶり。
今年の1区は経験者が少なく、最後まで牽制合戦となったことが彼にとってはいい後押しにもなりましたね。

青山学院にとってはここで目片が7位という結果に終わったのも小さくない誤算だったのではないでしょうか。
他の区間とは違って完全な駆け引き勝負となる1区の選手起用の難しさも改めて感じました。


そんな1区のタイトルホルダーである吉居大和が2区に配置されたことは大会前は残念に思っていたのですが、初めてとなる2区挑戦でも素晴らしい「激走」を見せてくれました。

オーバーペース気味に入って一時はやや遅れを取った中、最もきつくなる終盤に再度ペースアップして区間賞を獲得した走りはこれぞ吉居大和という魂の走り。

吉居に加えて田澤、そして近藤という現在の学生陸上界を代表する3名が中継所ギリギリまでつば競り合いとなった様は間違いなく今大会一番の見どころでした。
今大会どころかここ数年でも最も熱くなった場面と言ってよく、あの競り合いが見られた段階でもう満足という気持ちすらありましたね(笑)

近年はエースを2区以外に配置する大学も増えていますが、やはり2区こそが最も難しい区間でありそして花の2区。
今後も今大会のように2区で幾多もの名勝負が生まれることを願いたいと思います。


「名勝負」とは異なりますが、4区でまたしても60分ジャストという驚異的な数字を叩き出して区間賞を獲得したヴィンセントの走りも圧巻でした。
これにて2区、3区、4区の区間記録保持者となり、箱根駅伝の歴史に名を残すレジェンドの仲間入り。
私も長年箱根駅伝を見ているのですが、間違いなく史上最強の留学生と言っていいでしょう。
これはあくまで個人的な感想になるのですが、あの脱力感漂う走りから驚異的な数字を叩き出すギャップも個人的に大好きなんですよね(笑)


その他で印象深かった場面としてはやはり育英大学の新田の走りになりますね(笑)
1時間近く画面を独占した結果、大学のHPがサーバーダウンになったとも聞きましたが、いかに箱根駅伝が日本のお正月の風物詩であるかということが改めてよくわかりました。
今大会も30%近い視聴率を獲得したと聞きましたが、100回大会を迎える来年は一体どのような数字になってしまうのか。今から楽しみであり、恐ろしさもどことなく感じてしまいます(笑)


さて、改めて今年の大学駅伝界は「第100回箱根駅伝」へ向けた特別なシーズンとなってきます。

予選会の門戸が全国全ての大学に開かれることで即座に出場校が様変わりになるとは思いませんが、大会後に原監督が「早急に全国大会とするべき」と語ったように、箱根駅伝の未来へ向けて布石となるような大会になればいいなと思いますね。

100年以上に渡る大会の中で積み上げてきた歴史や伝統ももちろん大事ですが、社会情勢も急速な変化を遂げている現代において箱根駅伝が変わらないといけない部分もたくさんあると思います。
今回は敢えてそういった部分への指摘は避けることとしますが、先程も言ったように100という数字が良い意味で節目となってくれることを願いたいですね。

それでは最後に、いつも通り今大会の予想の「答え合わせ」をしていきましょう(笑)


今年は優勝の駒澤大学こそ的中させたものの、その後は4位の國學院のみ的中という非常に残念な結果に終わってしまいました(苦笑)

言い訳ではないのですが、こうして振り返っても大会全体の流れはだいたい読めているとは思うんですけどねぇ。
シード権獲得校自体は10校中9校的中だったのですが、細かい部分で全く噛み合わず順位の的中は2校のみという悲しい数字となってしまいました(苦笑)


ちなみに区間賞の予想もヴィンセントと山本の2名のみという結果に終わりました(笑)

それにしてもこうしてみると今大会の駒澤は佐藤に加えて花尾も欠場していたわけですからいかに選手層が厚かったかということですよね。
万全とは言えないチーム状態の中で、そこを最小限のダメージで留めてみせた大八木監督の選手配置も素晴らしかったと思います。


それでは最後に、退任の意向を示した「名伯楽」に改めて私からも一駅伝ファンとして感謝の言葉を伝えさせていただきたいと思います。

今大会は「大八木監督の変化」が中継の中でも多く取り上げられたように、60歳という年齢を迎えてもなお従来の指導法に固執せず、勝利のためそして「子どもたち」の為にすべての手を尽くしてきた熱意こそが、この三冠という結果の最大の要因であることは間違いありません。

その一方で「ただ丸くなった」かのように伝えられるのも勝手ながら違和感がありました(笑)
最後まで大八木監督らしい厳しさも失わなかったからこそ、今大会の駒澤大学は全ての大会で勝ち続けることが出来たのだと思います。
30年近くに渡る駒澤大学での指導者生活、本当にお疲れ様でした。


また、今大会は沿道での応援が正式に解禁となり、再び沿道から大会を盛り上げてくれたファンの皆様にも感謝を伝えたいと思います。
やはり箱根駅伝はファンの存在あってこそ。あの何重もの人垣の存在があるからこそ、見る者にとっても選手にとっても特別な大会となるのだということを改めて実感させられました。

そして、そんな大会を長年素晴らしいフレーズの数々で視聴者に伝えてくださった河村亮アナウンサーへ哀悼の意を表しつつ、この辺で今回の記事は締めくくらせていただきたいと思います。

駅伝ファンの皆様、それではまた秋の駅伝シーズンになったらこのブログでお会いしましょう!!