スペイン vs イングランド
●Preview
実にひと月に渡ったEURO2024もついに本日で最終日。
史上初となる24カ国での開催は大会前こそ疑問もあったものの、終わってみればより多くの国のサッカーを見ることが出来ていつも以上に楽しい祭典だったと言っていいだろう。
レギュレーション変更による混乱もなく、まずは無事に決勝戦を迎えられたことを喜びたい。
そんな今大会において、出色のパフォーマンスを見せ続けてきた今大会ここまで全勝のスペイン。
対して、圧倒的なタレント力を武器に試合終盤での逆転劇を繰り返してきたイングランド。
ここまでの歩みが好対照な両チームによる決勝戦は、現代サッカーの潮流を占う一戦とも言えるだろう。
●STARTING LINE-UP
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(布陣は試合開始時のもの。一部、選手名が記事内での表記と異なることをご了承下さい。)
スペインは、準決勝を出場停止で欠場したル・ノルマンとカルバハルが揃ってスタメンに復帰。
ペドリが欠場となった以外は、グループステージ初戦から一貫したベストメンバーで決勝に臨む。
イングランドは、試合の幕が開けると3バックではなく4-3-3での戦いに。
ベリンガムが左WGに入り、準決勝は中央でのプレーに手応えを掴んだフォーデンがトップ下に。
ここまで全試合に先発を続けてきたトリッピアーに代わり、この日はルーク・ショーがスタメンの枠を勝ち取った。
●Review
試合は大方の予想通り、スペインがボールを握りイングランドがそれを迎え撃つ展開に。
現スペイン最大の武器である両WGも、ウォーカーとショーがこの日はしっかりとシャットアウト。
トリッピアーを下げてまで起用されたショーは持ち味の守備力を発揮し、サウスゲート監督の采配が目論見通りに的中する序盤戦となった。
スペインは準決勝でも見せたヤマルが中央に降りるプレーなどで混乱を生みにかかるが、こうした動きにもしっかりと対応できるのはイングランドもさすがのひと言。
つまらないつまらないと揶揄され続けてきた今大会だが、相手の攻撃に動じない質の高い守備に関しては高い評価を与えて然るべきだろう。
目論見通りに退屈な前半戦を0-0で折り返したイングランドに対し、スペインは前半途中で負った怪我によりロドリがHTでピッチを退くというアクシデントが発生。
攻撃の司令塔であるロドリを欠き、先行きに暗雲立ち込める後半戦のキックオフとなった。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240716/21/2010-worldcup/d0/70/j/o0934062315463927158.jpg?caw=800)
だったのだが、こうしたピンチに選手たちが奮い立ったのか、それとも狙い通りの形だったのか。
後半キックオフ直後の47分、カルバハルのスルーパスを受けたヤマルが右サイドから中央に切れ込むと、DF数人をひきつけてからのラストパスにN・ウィリアムズが見事なゴールを突き刺した。
相手に生まれた一瞬の隙を見逃さない鮮やかなゴール。やはり試合を動かすのはこの両名だった。
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しかし、ロドリの不在はやはりスペインにとっては痛手だった感は否めない。
ビハインドになったイングランドは前線からのハイプレスに作戦を切り替えてスペインを自陣に押し込んでいくが、ここでロドリがいればスペインもある程度プレスをいなすことが出来ただろう。
相手を押し込み続けたイングランドは73分、サカがこちらも右サイドでDF数人を引き付けると、ベリンガムのポストプレーから最後はパーマーが強烈なミドルシュートを叩き込んで同点に追いついた。
イングランドが残念だったのは、同点に追いついたことで素早く撤退を選択してしまったこと。
以降はハイプレスを取りやめ、5バックの陣形で延長線も睨んだ戦いにシフトチェンジ。
確かにこうした戦い方の中で今大会は勝利を積み上げてきただけに理解は出来るのだが…攻撃の核でもあるサカをDFラインにまで下げるという選択は果たしていかがだっただろうか。
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結局この選択が仇となり、スペインは攻撃参加したサカの空けたポジションをカウンターで攻略。
86分、オルモからボールを受けたオヤルサバルが左に叩くと、ククレジャが出した絶妙なグラウンダーでのクロスにまたしてもオヤルサバルが飛び込んで勝ち越しゴールを奪う。
この場面人数もやや足りていなかったイングランドは、結局同点に追いついた後で前に出るのか後ろに下がっての守備を徹底するのかチームの意識がややバラバラだったような印象だ。
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それでも幾多のミラクルを起こし続けてきたイングランドはアディショナルタイムにゴールへと迫ったが、誰もが同点を確信したグエヒのヘッドをオルモが「神クリア」で対処した時点で勝負あり。
狙い通りには試合を進められずも、この日はイングランドに負けない勝負強さを発揮したスペインが3大会ぶり、史上最多となる4度目の欧州制覇を成し遂げることに成功した。
●Result
Semi-Final
SPAIN 2-1 ENGLAND
得点 47 N・ウィリアムズ(SPA) 73 パーマー(ENG) 86 オヤルサバル(SPA)
MOM N・ウィリアムズ(SPA)